著者
北神 慎司 菅 さやか KIM Heejung 米田 英嗣 宮本 百合
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.19, 2009

日本では,特に,トイレを表すマークにおいて,男女の区別は「形(男女それぞれのシルエット)」によって表されるだけでなく,男性用には青などの寒色系,女性用には赤などの暖色系の色を用いることが多い.このように,色によって,トイレの男女を区別するというデザインは日本特有のものであり,欧米ではあまり見られない.そこで,本研究では,日本人の大学生を対象として,トイレマークの認知に,色や形がどのような影響を及ぼすかについて,ストループ様課題を用いて検討した.その結果,ピクトグラム(トイレマーク)条件では,赤,ピンク,青,黒の各彩色条件において,男女の意味判断に要する反応時間に差が見られた(暖色系は「男>女」,寒色系は「男<女」).これらの結果は,日本人にとって,トイレマークの男女を識別する際の情報として,色が非常に重要であることを示唆するものと考えられる.
著者
北神 慎司 菅 さやか KIM Heejung 米田 英嗣 宮本 百合
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第8回大会
巻号頁・発行日
pp.28, 2010 (Released:2010-09-01)

北神ら(2009, 認知心)では,日本人を対象として,ストループ様課題を用いて,トイレマークの認知に,色や形がどのような影響を及ぼすかを検討している.その結果,赤やピンクの男性マークや,青や黒の女性マークにおいてストループ様干渉が起こることが示された.つまり,日本人にとって,トイレのマークを認知する際,色情報が非常に重要であることが示唆されている.それでは,色によって,トイレの男女を区別する文化がない場合,ストループ様干渉は生じないのだろうか.本研究では,アメリカ人の大学生を対象として,ストループ様課題を用いて,トイレマークの認知に,色や形がどのような影響を及ぼすかを検討した.その結果,アメリカ人においても,ピンクで彩色された男性マークにおいて,ストループ様干渉が示された.先行研究の結果と併せて,これらの結果は,色のジェンダー・ステレオタイプという観点から考察された.
著者
米田 英嗣 仁平 義明 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.479-486, 2005-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
15
被引用文献数
10 6

This study examined the cross-domain, anticipatory, and self-referential roles of affect (Miall, 1989) in reading short mystery novels. In Experiment 1, undergraduate students either read an entire story once or read the same story twice. During the first reading, these participants read only the first part of the story, and during the second reading, they read the entire story. They rated the importance of each sentence. Then they either described a prediction or their impression of the story. Finally, they created a title. In Experiment 2, the first group rated the importance of each sentence. The second group rated the feelings of understanding: forefeel, empathy, and a sense of strangeness. The results of both experiments showed that the relative importance of sentences shifted between first reading and second reading. As they read the end of the story, empathy increased but a sense of strangeness decreased. The results of description showed that the readers updated their interpretations in order to understand the story correctly.
著者
楠見 孝 米田 英嗣
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.24, 2017 (Released:2017-10-16)

日本全国の18歳から79歳の800人に対象にweb調査で、作品舞台を旅する「聖地巡礼」行動における作品世界への没入感を検討した.質問項目としては、物語理解における没頭尺度,移入尺度を旅行行動に対応するように改良し、あわせて、懐かしさ傾向、旅行行動などを測定した.その結果、アニメの作品舞台の旅行者は、小説舞台の旅行者に比べて,場面既知感が高いこと,場面既知感と作品世界への没入は相関が高いことが明らかになった。
著者
米田 英嗣 間野 陽子 板倉 昭二
出版者
JAPANESE PSYCHOLOGICAL REVIEW
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.39-50, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
85
被引用文献数
1

This paper reviews the role of empathy in autism spectrum disorders and psychopathy. Empathy can be subdivided into two categories: cognitive empathy (i.e., the ability to identify the emotions of others) and affective empathy (i.e., the ability to share or match the emotions of the self with those of others). Individuals with autism spectrum disorders lack cognitive empathy, whereas individuals with psychopathy lack emotional empathy. The similarity hypothesis states that people empathize with other people who are similar to themselves in personality and in conditions such as developmental disorders or typical development. The similarity hypothesis predicts that individuals with autism spectrum disorders would emotionally empathize with other people with autism spectrum disorders, and individuals with psychopathy would cognitively empathize with other people with psychopathy. Finally, we attempted to interpret autism spectrum disorders and psychopathy as resulting from the neurodiversity of empathy.
著者
川崎 真弘 米田 英嗣 村井 俊哉 船曳 康子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.33, 2014 (Released:2014-10-05)

発達障害児に見られる「逆さバイバイ」のように、視点と身体表象の重ね合わせはコミュニケーション時の発達障害の一つとして重要な未解決問題である。本研究では、視点と身体表象の重ね合わせを健常者と発達障害者で比較し、発達障害の方略の違いを調べた。PCディスプレイ上に呈示された人の両手のうち一方がタッピング動作をし、被験者はその動作と同じ手でタッピングをすることが要求された。方略の聞き取り調査より、定型発達者の多くが視点取得の方略を取るのに対して、発達障害群の多くは逆に心的回転の方略をとった。その方略の違いは発達障害のスケールと有意に相関した。また発達障害者は定型発達者とは異なり、自分がとった方略と異なる方略を強制されると有意にパフォーマンスが悪化した。今後の課題として同時に計測した脳波・光トポグラフィの結果を合わせて発達障害の方略の違いに起因する脳ネットワークを明らかにすることを目指す。
著者
楠見 孝 米田 英嗣 小島 隆次
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.415-424, 2008
被引用文献数
2

本研究は,教育用の3次元仮想空間オンラインチャットコミュニケーション・システムにアバターの表情機能を導入して,ユーザの会話に対する動機づけや相手の感情理解の精度に及ぼす効果とユーザビリティの評価に基づくシステムの改良を検討した.実験1では,15組の大学生ペアが,スマイリー入力表情システムと表情なしシステムの両方を用いて英語でチャットを行い,ユーザビリティを評価した.その結果,大学生のユーザビリティ評価においては,スマイリー入力表情システムの表情なしシステムに対する優位性を示すことはできなかった.そこでこのユーザビリティ評価に基づいて,スマイリー入力表情システムをアイコン入力表情システムに改良した.実験2では,16組の大学生ペアが,アイコン入力表情システムと表情なしシステムの両方を用いて日本語でチャットを行い,相手の感情を推測した.参加者の感情の推測はアイコン入力表情システムの方がより正確であった.最後にコミュニケーション・システムの改良に関する今後の課題を検討した.
著者
米田 英嗣 鳥居 深雪 神尾 陽子 Just Marcel Adam
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、小説などの物語を用いて自閉スペクトラム症(ASD)をもつ成人および児童における日常生活スキルプログラムを開発することを目的とした。紙面上で、AQ、対人応答性尺度(SRS-2)、現代文の評論文と小説文に解答した。PC上で、言語を用いた心の理論課題(White et al., 2011)、図形を用いた心の理論課題(Castelli et al., 2000)に回答をした。その結果、プログラムの実施前後でパフォーマンスを比較した結果、図形の動きに対して心的状態を帰属する傾向が高くなることがわかった。言語を用いたトレーニング効果が非言語性の心の理論課題に転移し、成績の向上が認められた。
著者
楠見 孝 米田 英嗣
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 = Contents tourism review
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2-11, 2018-03

本研究では、作品舞台の旅における旅行者の物語への没入感に、旅行者の個人差特性、訪問時の感情がどのように影響するのか、あわせてアニメ、TVドラマ、映画、小説に差異があるかを心理学的に検討した。作品舞台の旅の経験をもつ、全国の16-79歳の男女市民800人にインターネット調査を行った。その結果、個人差特性としての懐かしさポジティブ傾向性と想像性が、旅における既知感による懐かしさや感動を喚起して、作品への没入感を深めることが明らかになった。コンテンツ間の差異に関しては、アニメの聖地巡礼は、年齢層が20-30歳代で、旅行前・中・後ともネットへのアクセスなどにおいて能動的で、感動も大きい。一方、小説の聖地巡礼は、年齢層は50-60代とやや高く、訪問時の既知感が他のコンテンツに比べて低い。したがって、訪問時における場所への既知感が高いことが没入感と関連する。
著者
米田 英嗣 市村 賢士郎 西山 慧 西口 美穂 渡邊 智也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

物語を読むことは、物語に記述された世界、登場人物が経験する出来事を疑似的に体験することであり、読者の脳の中で行われる現実世界のシミュレーションとも言える (米田, 2010; Mar & Oatley, 2008)。本研究では、小説を読むことによって社会的能力の向上がみられるかどうかを、教育介入前のプレテスト、介入直後のポストテスト、介入一ヵ月後のフォローアップテストを用いて検討した。小説読解トレーニングにおいて、ストレンジストーリー課題で心情理解の成績が向上したのに対し、アニメーション課題では、介入の効果が出なかったことから、近転移のみが見られることが明らかになった。社会的能力は、小説読解をトレーニングをしたときのみ向上することがわかった。本研究から、プレ・ポストデザインを用いた小説読解トレーニングによる社会的能力向上の長期的効果を明らかにした。
著者
小山内 秀和 古見 文一 北島 美花 近藤 千恵子 所 歩美 米田 英嗣 楠見 孝
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.108-120, 2019-03-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
39

The concept of immersion into stories refers to the degree to which readers focus their attention fully on a story and experience the situation in the story like a real world. During such an experience, readers project the representations of the story onto the text itself. Although researchers have investigated whether reading narrative fiction is positively associated with social ability, empirical studies do not provide consistent results. We hypothesized that individual differences in story immersion can influence the relationship between reading stories and mindreading. In Study 1 (with adults) and Study 2 (with children), we measured participants’ exposure to stories, their proneness to story immersion, and mindreading. In contrast to previous studies, we did not find significant correlation between exposure to stories and mindreading. Story exposure,however, was associated with the story immersion in both adults and children. Furthermore, the result of Study 1 showed significant correlation between story immersion and mindreading. These results suggest an important role for story immersion on the enhancement of mindreading. This possibility is discussed in light of the methodology used to measure story immersion and developmental changes in reading experience.
著者
北神 慎司 菅 さやか KIM Heejung 米田 英嗣 宮本 百合
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第7回大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2009 (Released:2009-12-18)

日本では,特に,トイレを表すマークにおいて,男女の区別は「形(男女それぞれのシルエット)」によって表されるだけでなく,男性用には青などの寒色系,女性用には赤などの暖色系の色を用いることが多い.このように,色によって,トイレの男女を区別するというデザインは日本特有のものであり,欧米ではあまり見られない.そこで,本研究では,日本人の大学生を対象として,トイレマークの認知に,色や形がどのような影響を及ぼすかについて,ストループ様課題を用いて検討した.その結果,ピクトグラム(トイレマーク)条件では,赤,ピンク,青,黒の各彩色条件において,男女の意味判断に要する反応時間に差が見られた(暖色系は「男>女」,寒色系は「男<女」).これらの結果は,日本人にとって,トイレマークの男女を識別する際の情報として,色が非常に重要であることを示唆するものと考えられる.
著者
米田 英嗣 市村 賢士郎 西山 慧 西口 美穂 渡邊 智也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3D2OS7b02, 2018 (Released:2018-07-30)

物語を読むことは、物語に記述された世界、登場人物が経験する出来事を疑似的に体験することであり、読者の脳の中で行われる現実世界のシミュレーションとも言える (米田, 2010; Mar & Oatley, 2008)。本研究では、小説を読むことによって社会的能力の向上がみられるかどうかを、教育介入前のプレテスト、介入直後のポストテスト、介入一ヵ月後のフォローアップテストを用いて検討した。小説読解トレーニングにおいて、ストレンジストーリー課題で心情理解の成績が向上したのに対し、アニメーション課題では、介入の効果が出なかったことから、近転移のみが見られることが明らかになった。社会的能力は、小説読解をトレーニングをしたときのみ向上することがわかった。本研究から、プレ・ポストデザインを用いた小説読解トレーニングによる社会的能力向上の長期的効果を明らかにした。
著者
米田 英嗣 ヒル エリザベス
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.26, 2017 (Released:2017-10-16)

発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であるという神経発達障害であり(American Psychiatric Association, 2013)、自閉スペクトラム症との併発が多いことが知られている。本研究では、運動巧緻性と共感性が、時間産出の正確さを予測すると考え、発達性運動障害の成人21名、定型発達の成人21名を対象に実験を行った。時間産出課題の成績を目的変数とした重回帰分析を行った結果、運動巧緻性の低さと情動的共感の低さが時間産出の不正確さと関連することがわかった。また、自閉スペクトラム症得点を共変量とした共分散分析を行った結果、自閉症傾向が高いほど、時間産出が不正確であることがわかり、時間産出が不正確な原因は、発達性協調運動障害の特性自体よりも、併存する自閉スペクトラム症の特性が関連していることが明らかになった。
著者
楠見 孝 米田 英嗣
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2-11, 2018 (Released:2021-09-01)

本研究では、作品舞台の旅における旅行者の物語への没入感に、旅行者の個人差特性、訪問時の感情がどのように影響するのか、あわせてアニメ、TVドラマ、映画、小説に差異があるかを心理学的に検討した。作品舞台の旅の経験をもつ、全国の16-79歳の男女市民800人にインターネット調査を行った。その結果、個人差特性としての懐かしさポジティブ傾向性と想像性が、旅における既知感による懐かしさや感動を喚起して、作品への没入感を深めることが明らかになった。コンテンツ間の差異に関しては、アニメの聖地巡礼は、年齢層が20-30歳代で、旅行前・中・後ともネットへのアクセスなどにおいて能動的で、感動も大きい。一方、小説の聖地巡礼は、年齢層は50-60代とやや高く、訪問時の既知感が他のコンテンツに比べて低い。したがって、訪問時における場所への既知感が高いことが没入感と関連する。