著者
難波 脩人 辻 順平 能登 正人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1F3OS17a04, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,熟練農家の知見を再現するために教師あり学習を用いた研究が盛んにおこなわれている.一方で,農業のような複雑な要因が絡む作業において農家が行っている農作業が最適かどうか判断することは困難であり,農家の知見から集めた訓練データを用いて学習した結果が最適解かどうかの判断は難しい.我々は熟練農家の知見に依存せずに学習を実行する強化学習によって栽培の最適化を行うことを目的とした.植物に対して強化学習を適用する際に重要な点として状態の定義があげられる.植物の状態は時間とともに変化することから同じ状態は1試行の中に1度しか現れず,Qテーブルを作成することが現実的ではない.また,植物は短期間に何度も栽培できないため,学習に必要なデータが十分に集まらず,学習が収束しない恐れがある. 本研究ではQ関数の作成にニューラルネットワークによる関数近似を用いる手法を採用した.さらに,学習が収束しない可能性を考慮し,experience replayによる過去の経験を再利用することでデータ数の少なさをカバーした.結果として,植物は自らの背丈に合わせて潅水量を決定する行動をとる様子が確認できた.
著者
見尾 和哉 石野 亜耶 目良 和也 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS18b01, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では,抑圧された感情まで推定するシステムの構築を目的に,本心でない発話を自動検出する手法を提案する. 提案手法では,機械学習にLSTMを使用し,特徴量として発話中の音声と表情の情報を利用する. SVMを用いた既存手法との比較実験を行い,台詞を固定したパターンでは, 提案手法により再現率を0.12ポイント,F値を0.07ポイント改善することができた.
著者
髙市 晃佑 片上 敬雄 黒澤 義明 目良 和也 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin231, 2019 (Released:2019-06-01)

近年盛んである深層学習を用い音源を分離することを目的とする.ネットワークを用い通常の会話から特定の人間の声を抽出することを試みる.画像変換を行うpix2pixに注目する.そのアルゴリズムは純粋な画像変換の手続きに基づくため,追加の手続きとして音声を一度スペクトログラムに変換する必要がある.その後,人間の声を分離するためにネットワークを学習し、特に同性と異性の違いに注意して抽出を行う.この観点から、本稿では男女の声を重ねた音声を使って2つの実験を行った.SSIMとカラーマップを評価の基準に使用した.結果として,女性の声が良く抽出できていることを確認した.ところが,女性同士の発話から抽出はできなかった.今回,分離はうまくいかなかったという結論に至った.しかしながら,生成された音声は自然に再生されたと思われる.今後の課題は,こうした人間の判断を客観的に判定することである.
著者
松野 省吾 水木 栄 榊 剛史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin113, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,筆者らの構築したTwitterをはじめとしたSNS上に存在する日本語の文章に対応する単語分散表現モデルを紹介する. 本モデルはSNSデータ,Wikipedia,Webページといった複数カテゴリを媒体とした日本語大規模コーパスから作成される.作成した単語分散表現モデルに対し,Speamanの順位相関係数を評価指標とした単語類似度算出タスクによる評価を実施したところ,wikipediaのみを学習コーパスとして用いたモデルと比較して7ポイント程度良い性能を得られた.本稿で紹介した単語分散表現モデルはWebサイトを通じて公開する予定であり,本モデルが活用されることで,SNSデータを対象とした自然言語処理研究が一層盛んになることを期待したい.
著者
藤嶋 陽子 佐倉 統
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3L4OS22b03, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では、ファッションデザイン分野への人工知能の適用可能性についての考察を目的としている。ファッションにおいては歴史的に、テクノロジーを芸術としての価値を否定する複製可能性や大量生産と結びつけ、否定的に捉える価値観が存在している。こういった思想的な背景は、今日急速に進展している人工知能のデザインへの適用の可能性と課題を検討するうえでも重要な前提となる。それゆえ本研究では、こうした歴史的文脈を踏まえて人口知能の技術的特性を分析し、ファッションデザインの制作プロセスとの親和性について検討を行った。そこには親和性が見出されたが、それはあくまで包括的なデザインプロセスの導入に当たるリサーチ段階に当たると考えられる。ファッションデザインの価値評価は強固にデザイナーの感性と結びついており、それは制作段階のひとつひとつの過程よりもむしろ一連の制作過程と結びついている。こうしたファッションデザインの文脈における価値体系を前提とすると、人工知能のデザイン適用には人間のデザイナーとの共生関係が必要となり、その協働の可能性を検討することが重要となってくる。
著者
松吉 俊 内海 彰
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2L5J902, 2019 (Released:2019-06-01)

我々は、物語文章生成の新しいパラダイムとして、シミュレーションとメタファー写像を利用するフレームワークの開発に取り組んでいる。このフレームワークでは、シミュレーションによって得られた状態遷移列をメタファー写像を用いて物語世界のイベント列として解釈することにより、物語文章を生成する。本論文では、チェスと迷路探索に関するメタファー写像セットの構築について報告する。本フレームワークでは、大きなプログラムにおいてサブルーチンがサブルーチンを呼び出すように、物語世界が別の物語世界を呼び出す。計算機に知的にこれを実行させるための学習データとして今後利用することを想定し、物語世界と物語世界の間のつながりもアノテーションした。現在、物語文章生成のために291個のメタファー写像セットが利用可能であることを報告する。
著者
森 梓 濱 龍太郎 原田 篤 高久 由香里 橋本 敦史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2J3J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

本報は、調理動画を対象とした深層学習による物体検出の応用と時系列データの分析に関するものである。私たちの最終目標はパーソナライズされたキッチンの提案であり、そのためにこれまでは目視観察とスプレッドシートソフトウェアを用いた分析を行ってきた。しかし、この従来の手法は十分な精密さと被験者数を得るために膨大な工数がかかった。然して分析視点も限定的にならざるを得なかった。そこで私たちは自動化ツールとして深層学習による物体検出を導入した。約90種類の物体を含む一連の調理動画に対して物体検出を適用し、Pythonを用いてデータ抽出と分析を行い、シンクエリアにおける物体検出数の時系列データが3パターンに分類されることを発見した。この発見は、パーソナライズされたキッチンの提案に向けた調理パターンの理解に貢献する。
著者
福田 宗理 穴田 一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3F4OS14b03, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,人工知能が人狼ゲームを行う大会がある. 人工知能が嘘をつく能力が要求される人狼ゲームを行う事で, より高度な判断が行われるようになり人間に近づくと考えられる 大川らの研究では各プレイヤがどの役職かを推定するニューラルネットワーク(NN)を構築した. しかしNNに入力する特徴としてどのプレイヤを対象にして発言したかは用いているが, 発言の対象となるプレイヤの特徴を用いていないため,推定が困難になっていると考えられる. 本研究では,会話情報のうち,推定対象者から他のプレイヤへの発言内容と 他のプレイヤから推定対象者への発言内容,各プレイヤの宣言した役職,その時の経過日数とターン数, 他のプレイヤ同士の発言内容を考慮し役職推定を行い,その有効性を確認した.
著者
高柳 未来 田部井 靖生 西郷 浩人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4I3J204, 2019 (Released:2019-06-01)

変数間作用を考慮した非負スパースモデルを作ることは,現実世界の問題を解く上で必要不可欠であり,例えば生物学では応答変数は頻繁に特徴の組み合わせの線形和で定式化される. この論文ではアイテムセットマイニングと非負線形回帰を組み合わせ,この問題の解を導く. 我々の貢献は,特徴探索のための新たな条件を提案することである. 人工データでは,提案手法は枝刈り条件のないナイーブな手法に比べて数桁分高速に実行できることを実証する. さらに,実験において非負制約が通常のLASSOよりも有効な特徴の数を減らすことができることを示す. HIV-1ウイルスの薬剤耐性データセットを用いた実験では,提案手法は突然変異の組み合わせにより引き起こされる薬物耐性の上昇を高速でモデル化することに成功した. 我々は誤検知の抑制において,非負制約が効果的であることも実証した.
著者
小川 雄太郎 清水 琢也 横井 俊昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Q3J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

流体シミュレーションは製造業などの製品設計フェイズで重要となるCAE (Computer Aided Engineering) のひとつである. より最適な設計を実現するうえで流体シミュレーションの計算時間短縮は重要な課題のひとつであり, 近年は機械学習を使用した高速化手法の試みが盛んになりつつある. 本研究では流体シミュレーション手法のひとつMPS法 (Moving Particle Semi-implicit) に着目し, MPS法の一部を機械学習モデルに置き換え高速化する手法を提案する. 具体的にはナビエ・ストークス方程式の圧力勾配項を求める際に, MPS法では陰解法形式になっている圧力計算部分を, 10種類の特徴量からなる入力と勾配ブースティング回帰木による回帰モデルに代替し, 流体シミュレーションを高速化する. 最後に提案手法の定性的挙動を流体シミュレーションのトイプロブレムであるダム崩壊問題の数値計算で確認し, 提案手法の結果が従来手法と同様の挙動を示すことを示す.
著者
篠原 裕之 石黒 達治 中村 遵介 山崎 俊彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3N4J1002, 2019 (Released:2019-06-01)

企業において商品を上市する際には、パッケージデザインに関する好意度調査を行い、良好な結果が得られたデザインを採用する事が多い。しかし、十分な消費者パネルを集めた調査には多額の費用が必要である、一度の調査にかけられるパッケージデザインの数に上限があるという課題がある。そこで、未調査のパッケージデザインを好意度調査に供した結果を畳み込みニューラルネットワークを用いて予測する事、その際にパッケージデザインの中で好意度に対して好影響を及ぼすと予測される要素と悪影響を及ぼすと予測される要素をClass Activation Mappingを用いて可視化する事、を目的に研究を行った。その結果、パッケージデザインのプレスクリーニングテストや調査においてデザイン上重要であると予測される要素をデザイナーにフィードバックすることが可能になった。
著者
高野 雅典 高 史明 森下 壮一郎 西 朋里 小川 祐樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2D5OS1b05, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は現代的/古典的レイシズムとニュース番組の関係性を知るためにインターネットテレビのニュース番組に投稿される在日コリアンに対する差別的なコメントを分析した。その結果、在日コリアンに対してネガティブ偏見を持つ持つ人は両方のレイシズムを表出することがわかった。一方でそのどちらを表出するかはニュース番組の内容に依存することがわかった。
著者
江谷 友梨 長井 志江 セオフィリス コンスタンティノス 明和 政子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2D1J1103, 2019 (Released:2019-06-01)

ロボットが人間社会に次々と参入している中、人とロボットが親和的な関係を構築することは非常に重要である。私たちはロボットによるまばたきの模倣と内受容感覚の個人差が人とロボットの親和的な関係構築に影響を与えるかどうかを検証した。その結果、どちらの要因も人とロボットの親和的な関係との間に統計的に有意な関係を見出すことはできなかった。しかしながら、本研究で得られたデータから、人がロボットのまばたきを逆模倣するような場面が観察され、人とロボットのまばたきの同期が多いほど親和的な関係構築への期待も高まる可能性が示された。この発見は今後のHRI研究のデザインに重大な示唆を与えるだろう。
著者
清田 直希 狩野 芳伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4E3OS7b02, 2019 (Released:2019-06-01)

法律文書は専門性が高いうえ、客観的な評価を求められるため、 自然言語処理の分野において非常に期待されている。 しかし、その文章は非常に複雑で多様な解析技術を要する。 そこで本論文では、まず司法試験自動解答を行うコンテスト型 ワークショップCOLIEE(Competition for Legal Information Extraction and Entailment)で配布されるテストデータを 要素ごとに手作業で分類し必要タスクごと(条件文抽出、否定形解釈) の概要をまとめた。そして特に人物関係に注目し、動詞や人物の役割を 基に法律文書の構造化の提案を行う。
著者
Tomoki ITO Hiroki SAKAJI Kiyoshi IZUMI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin125, 2019 (Released:2019-06-01)

To extract business contents automatically from financial reports is an important problem in the financial industry. Especially, segment names and their explanations are important contents to be extracted. However, the methods for extracting these types of information from financial reports have not been established. In this study, we aim to develop a practical solution for extracting these types of information. To solve this problem, we developed a manually annotated dataset for the task of extracting the segment names and their explanations of each company from financial reports and then developed a recurrent neural network model to solve this task. Our developed method using the manually annotated dataset outperformed the baseline methods without the dataset in the task of extracting segment names and their explanations of each company. This results demonstrated that our approach is useful for extracting the business contents of each company. This work is the first work for applying a machine learning method to the task of extracting segment names and their explanations. Insights from this work should be useful in the industrial area.
著者
岩崎 絢子 仲山 千佳夫 藤原 幸一 角 幸頼 松尾 雅博 加納 学 角谷 寛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H4J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

睡眠時無呼吸症候群 (SAS) は, 睡眠中に呼吸の停止あるいは呼吸量の減少が頻回に起こる疾患であり, 日中の眠気などの症状を引き起こすほか, 心血管系の合併症のリスクを高める. しかし, 自覚症状に乏しいケースも存在することから, 診断および治療に至っていない患者が多く存在すると考えられている. SAS の診断には終夜睡眠ポリグラフ検査 (PSG) が用いられるが, PSG を実施できる施設が少ないことが問題となっていた. そこで本研究では, 心拍変動解析と長期短期記憶を組み合わせた簡便なスクリーニング手法を提案する. SAS 患者および健常者計 59 名のデータに対して提案法を適用したところ, 感度 100%, 特異度 100% で SAS のスクリーニングが可能であることが判明した.
著者
新屋 勝啓 長 隆之 山岡 成光 西 和彦 中尾 政之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin218, 2019 (Released:2019-06-01)

近年、深層学習を利用したIoT技術は様々な目的に利用されている.IoTにおいてエッジコンピューティングとデータ転送量、クラウドへのデータ蓄積のバランスが重要である.本研究では、深層学習を用いた画像認識技術に寄って、自動販売機から購入された飲料を自動で認識することを提案する.
著者
谷田 泰郎 高椋 琴美 齋藤 有紀子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1F2NFC102, 2019 (Released:2019-06-01)

人間の理解に基づくコミュニケーションは非常に重要である。然しながら、そのメカニズムを理解することは必ずしも重要ではない。本稿では、膨大な情報から情緒的価値(感覚的な感性価値)のみを抽出する「心のモデル」を提示する。
著者
小方 孝 小野 淳平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1F2NFC103, 2019 (Released:2019-06-01)

筆者は物語生成の観点から,特に「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」の観点から,歌舞伎における要素と技法を調査・分析して来た.本論文の目 的は,歌舞伎における二つの要素(人及びストーリー)と同じく二つの技法(綯 い交ぜ及び尽し)を選び,その組み合わせ的な,あるいは多重的な使用について 考察することである.結果として,筆者は自動的に生成・編集された,役者の記 述・二つの歌舞伎作品の梗概・綯い交ぜと尽しの技法を利用して編集されたシナ リオを含む例を示す.この例は,「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」におけるある反復生成過程におけるある特定の地点におけるストーリーに対 応する.
著者
井上 大輝 木村 仁星 中山 浩太郎 作花 健也 Rahman Abdul 中島 愛 Patrick Radkohl 岩井 聡 河添 悦昌 大江 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

深層学習を活用した胸部 X 線写真の自動診断は現在盛んに研究されている.診断精度を改善するためには,異常と疑われる局所画像を抽出し,深層学習ネットワークの入力とするかが重要である.そこで本研究では,「診断時に医師が凝視している領域を異常と疑われる局所画像として抽出できるのではないか」 という仮説を立てた上で,視線データを基に抽出された局所画像を入力とする深層学習モデルを構築した.その結果,視線データを使用しない場合,または医師訓練を受けていない被験者の視線データを使用した場合に比べて,医師の視線データを使用した場合により高い精度が認められ,視線データの有用性を示した.