著者
阿部 真也 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin135, 2019 (Released:2019-06-01)

時系列予測の観点から株価を予測するために深層学習を用いる研究が多数行われてきた。 一方で、クロスセクション予測(マルチファクターモデル)の観点から、深層学習を用いて株価を予測する研究は少なく、特に世界の株式市場における有効性を実証する研究は存在しない。 そこで本稿では、グローバルな株式市場においてクロスセクション予測の観点から深層学習を用いたマルチファクターモデルに基づく相対的な魅力度の有効性を検証する。 分析の結果、次の結論が得られた。 1.深層学習による株価予測モデルはランダムフォレストやリッジ回帰に比べリターン/リスクの面で優れている。2.特に低リスクという観点で、深層学習モデルは優れている。3.市場の効率性が低下すると、収益機会が増える可能性がある。
著者
竹内 正広 早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明 石間 衛 石川 徹也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin209, 2019 (Released:2019-06-01)

国文学研究資料館により整備されている歴史的典籍データベースを有効活用することは,人文科学のみならず,自然科学系分野を融合させた研究の展開にもつながる.しかしながら多くの研究者にとっては,それらに書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究では,ディープラーニングによるくずし字認識モデルを応用し,小型で比較的安価なシングルボードコンピュータRaspberry Piを用いて,カメラで撮影した見開きの古典籍画像から,自動で1文字ずつのくずし字領域を検出し,それらの認識を可能とする組み込みシステムを開発した.既にWWWアプリケーションとして実装されている先行研究と比較して,認識するのにかかる時間や精度はほぼ変わらず,高性能なコンピュータを用いなくても,Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータで問題なく動作することを示すことができた.これを発展させることで,研究者のみならず,スマートフォンを持ち込むことができない小・中学校や,普段モバイル機器を持ち歩かない高齢者の方々でも,くずし字に触れたいときにそれを支援するシステムを実現することができると考えられる.
著者
河村 郁江 白松 俊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1K2J401, 2019 (Released:2019-06-01)

郷土食に関して地域で伝えられている話は,地域の食の特性を理解する上で非常に重要である.本研究では,地域ごとの郷土食の違い等を含む詳細なストーリーを構造化・オープンデータ化し,分析や可視化などの応用に繋げることを目指す.そのために,郷土食に関する領域オントロジーと,郷土食のストーリーに関する領域オントロジーを設計した.その結果,特に郷土食のストーリーに関する領域オントロジーには,素材関連や食べ方等の独自プロパティが必要であるという知見を得た.今後は,各地で収集した様々な事例を用いて本稿のオントロジーを拡張しつつ,これまで開発してきた「もちマップ」に適用する予定である.
著者
小川 泰弘 佐藤 充晃 駒水 孝裕 外山 勝彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4E2OS7a02, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究の目標は,日本法令の要約を提供することである.そのためにランダムフォレストによる重要文抽出に基づく自動要約を提案する. 従来の自動要約に関する研究においては,原文書の情報のみが用いられてきた.近年では機械学習に基づく手法なども提案されている. しかし,そうした機械学習において利用される学習データの量は,特に日本語においては,充分でなかった. それに対し,本研究の法令の要約においては,政府が作成する「法令のあらまし」を利用することにより,この問題を解決する. さらに,従来利用されてきた決定木やSVMを使った手法に代えて,ランダムフォレストを用いた重要文抽出を提案し,その性能が従来手法を上回ることを示す. 本論文の貢献は,従来よりもサイズの大きな要約用コーパスを作成した点と,重要文抽出におけるランダムフォレストの有効性を確認した点にある.
著者
武田 惇史 鳥海 不二夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3F3OS14a03, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,人工知能研究において,人狼ゲームが注目されている.本研究では,今後の人工知能大会における5人人狼のレギュレーションにおいて,あらゆる戦略に対して優位となるような戦略が発見されるかを調べるため,戦略進化のシミュレーション手法を提案する.シミュレーションの結果,常に優位となる戦略は発見されず,戦略は周期的に変化し続けるようになることが明らかとなった.
著者
平野 正徳 和泉 潔 松島 裕康 坂地 泰紀 島田 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O1J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は,金融市場における高頻度取引(HFT)のマーケットメイク(MM)戦略と呼ばれる注文行動について分析を行うことを目的とした.株式会社日本取引所グループより提供を受けた,東京証券取引所の注文データを使用し,仮想サーバーの名寄せを前処理として行なった.その結果得られた,取引主体別の注文データを,いくつか指標を使うことで,クラスター分析を行い,高頻度マーケットメイク戦略(HFT-MM)を取っている取引主体を抽出し,それらの注文が,直近約定価格から何ティック離れたところに置かれているかについて計算した.その結果,HFT-MMとされる行動主体は,直近約定価格からかなり離れた位置(5-10ティック)のところにも注文を置いていることが明らかになった.この結果は,HFT-MMとされる取引主体が,マーケットメイク戦略だけではなく,他の戦略も採用している可能性を示唆しており,さらに確認すると,価格が急変した際には,不安定化効果を引き起こす可能性をも示唆していることがわかった.
著者
寺内 光 森 直樹 上野 未貴
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H2J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

人工知能(AI)に人間の創作物を理解させようとする研究が盛んである.しかし,それらは依然として難しいタスクである.本研究では,人間の創作物の中でも特に4コマ漫画を扱い,AIに理解させることを目的とする.この挑戦のために我々は「4コマ漫画ストーリデータセット」と呼ばれる新しい漫画データセットを用いる.このデータセットはAI創作の開発のために研究者と漫画家によって作られた世界初のデータセットである.本研究ではコマ画像のタッチ識別をするが,方法としてはオートエンコーダモデルを用いてコマ画像を分散表現化し,その分散表現を用いて識別タスクを解き,テスト画像がいずれのタッチであるか判断する.そのタッチ識別タスクの識別率によって分散表現の間接的な評価を行うこととする.また,顔のパーツ等を抜いた画像に対して同様の実験を行うことにより,提案した手法の有効性を確認する.
著者
安藤 大地
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3L4OS22b02, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,著者自身の一人称視点調査に基づくジャズの即興獲得過程の練習記録例を挙げ,音楽生成システムに音楽家の知識を取り込むことの有効性について議論する.ジャズの即興演奏における2-5-1和声進行とそのフレーズの練習時の認知についてのにものであり,音楽家は非常に明確に自身の練習中の認知を音楽的に明確に記録することができていた.そのような明確になっている音楽家の高レベルな認知を知識として機械学習システムに取り込むことは,創作において個性の演出に有効であること,学習の効率の点からも有用である可能性を示す.
著者
作花 健也 中山 浩太郎 木村 仁星 井上 大輝 山口 亮平 河添 悦昌 大江 和彦 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

医療画像は診断や治療に幅広く利用されているが,読影には高い専門性が必要である.胸部X線写真は患者の状況や重要な情報を把握するための方法として最も普及している方法の一つであり,緊急医療や健康診断など様々な場面で日々大量の撮影が行われている.この結果,専門家へ大きな負担が発生しており,その解決が求められていた.そのため近年,医療画像から自動で所見を生成する研究が行われている.しかしながら,所見には表記方法の揺らぎがあるためクラス分類問題として解くことが困難である. 本稿では,胸部X線写真から表記方法の揺らぎにも対応可能な文字単位での所見生成の手法を提案した.加えて,アテンション機構を用いることで結果の解釈性を高めた.結果として,位置情報を反映した所見生成ができていることを確認し,文字単位での所見生成の有用性を示した.
著者
川合 伸幸 中田 龍三郎 久保 賢太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2J5OS19b04, 2019 (Released:2019-06-01)

ビデオデームで他者で対戦していると思い込むことで、実際にはコンピュータと対戦しているにもかかわらず異なる反応が心身に現れるかを検討した。その結果、脳波は主観反応から、誰かと対戦していると思い込むこと(プロジェクション)だけで、コンピュータと対戦していると信じているときとは異なる反応が得られた。
著者
豊澤 修平 村井 源
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3L3OS22a03, 2019 (Released:2019-06-01)

本論文では星新一のショートショートにおけるSFジャンルのオチに至る物語構造の分析をするために,古典的なプロット分析を利用しオチパターンの抽出を行った.物語自動生成にはまずプロットを作製しこれを文章化する過程を必要とする.オチに至る物語構造を分析することにより,より自然な物語の自動生成を実現できる可能性がある.星新一の代表的なジャンルであるSFから「宇宙」,「薬」,「自動装置・発明・コンピュータ」,「ロボット」に作品を限定しオチのパターン化と必要条件,前提条件の抽出を行った.結果として各テーマにおける特徴的なパターンの抽出を行うことができた.テーマのパターン化及び必要条件と前提条件の記述の統一化と抽象化の結果を用いることで,今後より星新一らしい自然な物語の自動生成が可能になると考えられる.
著者
安原 雅貴 荒川 隆行 越仲 孝文 矢野 昌平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin225, 2019 (Released:2019-06-01)

バイオメトリクス認証のひとつに,外耳道の音響特性を示す外耳道伝達特性を特徴量とした耳音響認証がある. 外耳道伝達特性は,ドライバユニットとマイクロホンが一体となった専用イヤホンを用いて測定する. イヤホンを毎回着脱するため,測定データに観測ゆらぎが含まれる. 我々は過去の研究で,2つのマイクロホンを内蔵したイヤホンを用いて得られる2つの特徴量を組み合わせることで精度が向上すると考えた. しかし,精度は向上しなかった. これは特徴量を組み合わせる手法が有効ではないと考えられる. 本研究では,複数のマイクロホンから得られる特徴量により観測ゆらぎを補間すると考え,すべての特徴量を同一ラベルで学習する手法を提案する. 提案手法により,精度の向上が確認できた. 分散を用いた解析より,精度が向上したのは観測ゆらぎを補間できたことと,1回の測定で得られる特徴量が増え,学習データが多くなったことによるものと考えられる. 複数のマイクロホンを内蔵したイヤホンを用いる手法は有効であることがわかった.
著者
石井 晃 川畑 泰子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2F3OS5a05, 2019 (Released:2019-06-01)

意見を連続値として考えるオピニオンダイナミクス理論はBounded Con dence Model がよく知られて いる。しかし、これには人々の対立は含まれていない。本論文では人々の間に信頼と不信の関係を対人関係の係 数の正負で表現し、一次元軸上の意見の値も正から負を取り得るとして拡張した理論を提示する。さらにヒット 現象の数理モデルにならってマスメディアにおける影響も加味して、考察を行う取り組みを行った。本論文では、 計算シミュレーションで2 人、3 人、20 人、そして300 人の例を示す。また、この計算から算出される意見の分 布はソーシャルネットワーク上で測るコメントの意見の分布とが比較できる可能性がある。
著者
八重樫 文絵 荒木 雅弘 岡 夏樹 新谷 元司 吉川 昌孝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,レセプトデータを用いた生活習慣病の発症予測システムを提案する.近年運送業界では,インターネットの普及に伴うドライバーの過重労働に対する対策として,健康管理対策の見直しを急務としている.発症予測を目的とした関連研究には,医療情報に対して表現学習を用いているものがある.これらの関連研究と同様に,我々は本研究の課題を自然言語処理の分野の文書分類問題として捉え,生活習慣病の発症予測を行うモデルの開発を試みた.我々は文字列として保存されているレセプトデータを固定長ベクトル化し,アンダーサンプリングとバギングの組み合わせによって生活習慣病の発症を予測した.その結果,我々のモデルは正例の再現率が0.75にまで昇り,レセプトデータに対して自然言語処理を施すことの有効性が示された.
著者
岡田 和夏 和田 勇歩 東藤 大樹 横尾 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2E1J103, 2019 (Released:2019-06-01)

我々は,充足可能性問題を解くソフトウェアであるSATソルバーを用いた計算機科学的アプローチで,多次元離散空間上の単一施設配置問題の解析を試みる.エージェントの選好は,自身の所在地から施設の配置位置までの距離が小さい程,効用が高いとする単峰的選好と,自身の所在地から施設の配置位置までの距離が大きい程,効用が高いと考える単溝的選好の2種類とする.本論文では,まず,グラフとエージェントの選好から,自動でCNF形式のSATインスタンスを生成するアルゴリズムの提案を行い,パレート効率性および架空名義操作不可能性に関する施設配置問題のSAT符号化を行った.次に,PicoSATを用いて実際に多次元離散空間上の施設配置問題を解き,パレート効率性および架空名義操作不可能性を同時に満たすメカニズムの存在性が,理論的結果と一致することを確認した.最後に,SATソルバーによって,サイズ2×3の格子空間において単溝的選好の場合,パレート効率性,架空名義操作不可能性,および全射性を同時に満たすメカニズムが存在しないことを示した.
著者
小村 友希 坂本 航 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3F4OS14b04, 2019 (Released:2019-06-01)

不完全情報ゲームの一つである人狼ゲームでは,各プレイヤがそれぞれ役職を持ち,村人陣営と人狼陣営に分かれてゲームを行う.役職・陣営の推定は,勝敗を左右する基本的な能力の一つであると認識され,精力的に研究が行われているが,その多くは推定精度の向上を主たる目的としている.しかし,より高度で戦略的に行動するエージェントを実現するためには,高い推定精度はもちろんのこと,推定の根拠や基準を明示化し,エージェントの構築に対して直接的にフィードバックを行えることが望ましいと考えられる.これらのことを背景に,本論文では,役職・陣営推定モデルの解釈を目的とした明示的推定理由の抽出を行った.具体的には,第4回人狼知能大会決勝戦のログデータを対象とし,決定木およびランダムフォレストによる推定モデルの構築と,inTreesによる解釈可能モデルの抽出を行い,これらの結果を比較,考察した.
著者
川﨑 樹 森口 草介 高橋 和子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4E3OS7b03, 2019 (Released:2019-06-01)

法律の構成から双極議論フレームワーク(BAF)を構築する手法を示す. 各法律はその効果を発揮するために満たすべき要件事実と, その効果を排斥させるための例外から成る. それぞれを論証間の支持関係、攻撃関係に対応させて BAF を構築する. また,BAF を用いて,与えられた事実から結論すなわち効果を発揮する法律が何かを 推論する手法を示す. この手法は事実と結論の間の双方向の推論になっており,まず,与えられた事実のみから得られる結論を導き, その推論結果を用いて新たな結論を導くのに必要な事実を抽出する.
著者
堤 瑛美子 塩野谷 周平 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1O3J1201, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,教育の現場では学習者の発達を促すために個々の特性や理解度を把握することが課題となっている.これまで,学習過程の学習者の理解度やある知識の習得状態を推定する手法として Bayesian Knowledge Tracing(BKT)開発されてきた.しかし,BKTモデルでは知識の習得状態が二値または多値で表されるが,実際には知識の習得状態は連続値であるため,知識の習得状態を段階的に表現することで習得状態の正確な評価をすることは難しい.本研究では,学習者の知識の習得状態の推定精度向上のために,堤ら(2019)で提案した学習過程において知識の習得状態が隠れマルコフ過程に従って変化する項目反応モデルをBKTの一般化モデルとして提案する.提案モデルは知識の習得状態を連続値で表現し,さらに学習データから知識状態の遷移確率を最適化するため,様々な学習過程に適応させることができる.従来のBKTと提案モデルを用いて学習過程での学習者の知識の習得状態を推定し,推定精度を比較する実験から,提案モデルを用いることで推定精度が向上することが示された.
著者
佐藤 禎紀 柏原 昭博 長谷川 忍 太田 光一 鷹岡 亮
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P3OS2103, 2019 (Released:2019-06-01)

Web調べ学習では,Web空間を探索して与えられた課題(初期課題)に対して網羅的,体系的な学習が求められる.一方Web空間では,学ぶべき項目や順序(学習シナリオ)は与えておらず,学習者は学習課題に対する知識構築と次に学ぶべき課題の展開を並行して行うため,認知的負荷が高い.筆者らはWeb調べ学習におけるプロセスをモデル化したWeb調べ学習モデルを提案し,そのモデルに沿った学習を促すシステムiLSBを開発した.一方で学習者はiLSBを用いても初期課題と関係ない課題を展開する場合があり,学習シナリオの診断が必要である.しかし一般的な,解となるシナリオと学習者のシナリオの比較による診断は学習者の主体性を阻害してしまう.そこで本研究では,Web上の関連データをリンク付けしたLOD(Linked Open Data)を用いて,学習者の主体性を阻害せず課題展開を診断することで,より妥当なシナリオ作成を促す手法を提案する.また,本稿では提案手法の評価実験を行った.その結果,提案手法は学習者の課題展開への見直しを促し,妥当なシナリオ作成に有効であることが示された.
著者
石 晶 李 志豪 本吉 俊之 大西 直 森 裕紀 尾形 哲也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1L2J1101, 2019 (Released:2019-06-01)

深層学習を用いてサブタスクを学習することにより,自動運転におけるメインタスクの性能を上昇させることができる.Li et al. 2018の研究では,周囲の認識を担うPerception Module(Semantic Segmentation, Depth情報を抽出)と,運転操作を行うDriving Moduleという2つのモジュールを用いたマルチタスク学習手法を提案し,未知の環境での汎化性能を改善することを示した.しかし,メインタスクに対するサブタスクの理論的な設計は無い.本研究では,Li et al. 2018の研究をもとに自動運転における複数のサブタスクの組み合わせによる運転行動の生成結果を比較する実験を行なった.その結果,Semantic SegmentationのみをPerception Moduleが学習する際に汎化性能が最も高くなった.