著者
中西 航 布施 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_673-I_681, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
14

本研究では,GPS測位値のような誤差を有する時系列観測を得たときに,その測位精度を表すモデルのパラメータをデータ適応的に推定する手法の有用性を示す.まず,測位精度を既往研究を援用してモデル化する.つぎに,一般状態空間モデルの枠組みにこのモデルを統合する.具体的には,ネットワーク上を移動する歩行者から取得される測位値に基づき,測位精度を歩行者位置,経路選択および移動速度と同時に逐次ベイズ推定する定式化を行った.仮想ネットワーク上から生起した擬似的な測位値への適用により推定精度を検証するとともに,従来手法との比較を通して提案手法の利点を示した.さらに,実空間上のデータにおいても,提案手法が機能することを確認した.
著者
吉野 大介 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1229-I_1239, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
19
被引用文献数
2

デマンド交通の運行計画の検討にあたり,運行経路の解のバリエーションが得られることはサービス運営者にとって有効な情報となり得る.しかし,既往の列挙アルゴリズムでは経路列挙のような膨大な組み合わせが存在する際に現実的な計算時間での列挙が困難であった.本研究は,デマンド交通の運行経路をグラフ構造により表現し,与えられたグラフ構造の中からある制約条件を満たすような部分グラフ構造を全て列挙して,それらをZDD(ゼロサプレス型二分決定グラフ)により圧縮表現して索引化する技法について提案した.また,ZDDによって得られた列挙解を用いたネットワーク上での影響分析への適用可能性についても併せて検討を行った.
著者
竹中 祥人 吉田 長裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1167-I_1172, 2014

近年,自転車利用に対する健康や環境面での関心が高まる一方で,事故全体に占める自転車の関わる事故の割合は漸増傾向にある.自転車事故は,信号なし交差点において事故の多いことが報告されている.この要因として,交差点における見通しと運転挙動との関係が示唆されているが,それらの相互関係は明らかになっていない.本研究では,無信号交差点で発生した自転車事故を対象に交差点の見通しと運転挙動との相互関係について,実態調査に基づいて分析および考察を行った.
著者
黄 明霞 藤田 素弘 鈴木 弘司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.20-30, 2015

本研究では,カウント表示式信号機下の車両挙動として,カウント表示や監視カメラの有無などの異なる条件の中国8交差点の観測調査データに基づき,特に停止通過の車両挙動分析を行った.そして青から赤への信号切替時での車両挙動の重回帰モデル等を構築する.その結果,カウント表示がある交差点では無い交差点よりも,30-50m程度手前から減速し,最大減速度も小さくなり,停止傾向も強いことがわかった.また通過時はカウント表示有りのほうが,最大加速度や交差点進入速度が有意に小さくなることが確認できた.交差点特性として,監視カメラによる赤信号無視の取り締まりのある交差点が多いことや全赤時間が設定されていないこと及び,90m手前あたりからカウント表示が確認できるという条件の下で,カウント表示式信号機の安全特性がわかった.
著者
横関 俊也 森 健二 矢野 伸裕 萩田 賢司 牧下 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_577-I_588, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

本研究では,自転車利用者が通行位置と進行方向の選択を行う際に影響を与える要因を解明するため,自転車交通の観測調査とロジスティック回帰分析を行った.その結果,通行位置の選択には,年齢層や自転車のタイプ等といった自転車利用者の個人属性,自転車の進行方向,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無,歩行者や自動車,自転車の交通量が影響を与える要因となることがわかった.また,進行方向の選択には,自転車利用者の個人属性はあまり影響せずに,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無や大規模集客施設のあるサイドかどうか,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無や自動車と自転車の交通量が影響を与える要因として推定された.
著者
相馬 佑成 森本 瑛士 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_945-I_955, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

近年,患者の通院に対する負担軽減を目的に,先進技術やMaaSの考えを取り入れた医療MaaS等の新たな医療サービスとして,コネクティッド・メディスンの導入検討がなされている.さらに,昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により診療形態の変革が予想される.本研究では,コネクティッド・メディスンに対する利用意向を医療サービスに関わる複数指標を用いた都市類型化や独自のアンケート調査から得た通院行動・意識,コロナ禍の影響の観点から考察した.結果として,コネクティッド・メディスンに対する利用意向については,医療サービスに基づく都市類型の違いより,通院行動・意識やコロナ禍の影響の方が顕著であることが示された.コネクティッド・メディスンの導入に際し,通院頻度や交通手段に基づく検討の重要性が示唆されたといえる.
著者
仲条 仁 藤井 琢哉 石川 良文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_173-I_179, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

東日本大震災の経済被害においては,製造業を中心としたサプライチェーンの崩壊による間接被害が深刻化したことが大きな特徴といえる.本研究では,製造業の各企業における生産被害に着目し,被災内容や生産停止の実態について,インターネットや新聞情報等から調査し,国内約1,300事業所の被災情報を収集・整理した.企業の所在地や業種,被災内容別に生産停止期間等の分析を行った結果,原材料・部品調達困難が主要因となり生産停止となった事業所は約10%存在し,その生産回復までの期間は約2ヶ月半であることが明らかとなった.その他,被災要因別・産業別の被災事業所分布やその特性を把握した.また,震災後の道路交通ネットワークの走行水準を一般車プローブデータから把握し,事業所生産復旧との関係について分析した.
著者
関谷 浩孝 上坂 克巳 小林 正憲 南部 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_769-67_I_777, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

貨物車の経路選択行動についての既往研究では,所要時間及び費用に加え,道路構造,出発時刻,予測所要時間情報提供の有無等を説明変数とした研究は見られるものの,輸送品の特性に着目した研究は少ない.そこで,本研究では「要冷蔵の有無」及び「到着時間指定の有無」といった輸送品の特性を表す指標と,貨物車の経路選択行動との間に関係があることを実証データを用いて明らかにした.具体的には,物流センサスデータを用い,上記2つの指標それぞれと「高速道路利用の有無」の関係を分析し,冷蔵が必要な品物及び到着時間を指定された品物は,高速道路を利用して輸送される割合が大きいことを示した.
著者
松井 京子 島村 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_111-I_119, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
24

近年頻発する竜巻災害に対しレーダー観測等を用いた警報システムの開発が切望されているが,精度の経済評価および効率的運用の指針は欠如している.低頻度・局所事象警報の空振り削減は難しいが,誤警報は警報の信頼性を減じ事業者損失を発生させる.そこで,直前警報によって被害の軽減が可能な個人・事業者を対象に,竜巻警報の経済価値定式化を行った.これは,警報の精度特性と対象者の損益構造によって経済価値を最大にする捕捉率・誤警報率を導き出すものである.本研究の結果は,「警報には最適な誤警報率・捕捉率の組み合わせが存在し,これは受け取り手の損益構造によって異なる」「誤警報による損失が大きい場合には,『閾値を高く設定してカタストロフィックな災害は回避するが,弱い竜巻を見逃す』戦略が有効である」の2点を示唆する.
著者
作中 祐介 阪本 真 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_657-I_666, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
13

新興経済国を中心に世界の航空需要は年々増加しており,首都圏空港では早急な機能強化が最優先課題となっている.海外では効率的な管制処理システムの導入といったソフト面の整備が進んでおり,管制官のワークロード改善や燃料消費の削減,環境負荷の低減などの効果を上げている.本研究では,羽田空港に適した新たな管制処理システムを検討し,その導入効果を分析することを目的とする.そこで,管制処理システムの導入効果を管制面や運航面,環境面に関して,定量的に評価できる空域シミュレータの開発を行った.次に,都心上空を活用した管制処理システム案を作成し,その導入効果について開発した空域シミュレータによるシミュレーション分析を行った.分析結果から管制処理システムの導入効果に関して検討を行った.
著者
山崎 基浩 安川 和博 愛川 遼
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_416-II_424, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
14

わが国における交通事故死者数は減少傾向にあるものの「歩行中」など致死率の高い事故の減少率は低く,安全対策の必要性が高まっている.愛知県豊田市では「歩行者保護モデルカー活動」と称した人対車両事故削減を目的とした交通安全啓発に取組んでいる.本研究では「横断歩道での歩行者優先」を取り上げ,ドライバーへの意識調査で得られた知見を踏まえ,地域住民らによる交通安全街頭啓発運動を活用した効果的な啓発方法を検討した. ドライバーとのアイ・コンタクトを取りながら「止まってくれてありがとう!」等のメッセージを掲示し停止したドライバーに会釈する等,街頭において「能動的な啓発活動」の実証実験を行った結果,「能動的な啓発活動」実施時には通常の街頭活動時よりも歩行者優先率が向上することが明らかとなった.
著者
小林 渉 岩倉 成志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1067-I_1074, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
10

筆者らが開発を進めてきた遅延の発生や波及を高精度に再現する列車遅延連鎖シミュレーションシステムは,信号保安システムの改良や輸送力増強に伴うオペレーションの変更など広範な遅延対策の効果を計測することができるが,遅延対策として有効な階段やコンコース増設などの駅構造の改良の効果を計測することはできなかった.このため本研究では,駅構造の違いによって乗車位置が変化し,それが列車遅延に与える影響を予測可能にする乗車駅ホーム上の旅客の乗車位置選択モデルを構築する.ケーススタディとして階段を増設をした場合の遅延予測を行う.結果として乗車位置選択モデルは乗車分布と降車分布を概ね再現できた.シミュレーションシステムでの再現性もおおむね良好であり,また駅改良による遅延削減の例も示すことができた.
著者
伊藤 雅
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_621-I_628, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
7

路面電車の軌道緑化は,都市景観の創出,ヒートアイランドの緩和,騒音の抑制など様々な効果をもたらしている.本研究では,2007年度から本格的に軌道緑化がなされ,2012年度末には道路延長にして8.9kmの併用軌道区間全ての緑化が完成するという,日本で最も整備が進んでいる鹿児島市の路面電車沿線住民を対象として,軌道緑化に対する住民意識に関するアンケート調査を実施した(有効回答数327世帯).その結果,軌道緑化の整備が進むにつれ市民の評価意識は高まり,公的事業としての軌道緑化事業の実施推進や税金利用に対する意識の向上を促していることがわかった.また,アンケートによる支払意思額にもとづいて軌道緑化の環境価値を推計したところ,年間数億円程度の便益がもたらされている可能性を示した.
著者
大室 ひな 神田 佑亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_835-I_845, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
9

我が国の航空政策は1980年代から規制緩和として運賃設定の自由化等が進められてきた.2000年以降はLCCと呼ばれる新規航空会社の参入等が積極的に進められてきたが,その影響を定量的に評価した研究は少なく,特に2000年以降の影響は明らかとなっていない.本研究では2000年までの影響を評価した既往の研究をベースに,2000年以降の規制緩和の影響について,レガシーキャリアのネットワーク,正規運賃,路線距離と運賃の関係,モデル分析による実効運賃水準の時系列変化等に着眼点し,航空会社の収益状況 とあわせて定量的に分析することを目的とする.分析の結果,2000年以降,レガシーキャリアの正規運賃の上昇,地方路線網の衰退などの負の影響が明らかとなった.また,正規運賃の上昇に反し,実効運賃水準の上昇が確認されない結果も得られた.
著者
寺口 敬秀 桜井 慎一 池ヶ谷 典宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_207-I_217, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
14

本研究は,海を見渡せるという砲台跡の立地特性に着目し,遺産を残しつつ市民へ砲台跡を開放していくための利活用方法を考究するものである.砲台跡を管理する全国27市町村へのアンケート調査では,公開していない砲台跡が約3割あり,公開している砲台跡でも遺跡劣化や草木伐採に関して課題となっていることがわかった.また,既に利活用されている全国45砲台跡を対象に,用途を公園・展望台・キャンプ場・学習施設の4種類に分け,それぞれの立地・環境特性を把握した.さらに,東京湾沿岸の19砲台跡を対象に,立地や環境特性を現地調査にて把握し,全国で活用されている45砲台跡の特性と比較したところ,観音崎第一砲台跡がキャンプ場や学習施設,腰越砲台跡が公園や展望台に適していることがわかった.
著者
松島 格也 小林 潔司 福井 浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_511-I_521, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

人々の交通機関選択問題を考える際,従来の非集計モデルの枠組みでは交通サービス水準や居住地環境のデータは外生変数として与えられる.しかし,人々は利用する交通行動を想定して居住地を選択していることが考えられ,この場合,個々人が享受する交通サービス水準などは自ら選択した結果である.このような内生性の問題を考慮せずに推計したパラメータはバイアスが生じる可能性がある.本研究では計量経済学における内生性について概念・手法を整理して,交通機関選択モデルにおける内生性を検証するとともに,内生性を考慮した分析手法を提案して居住地選択行動と交通機関選択行動との関係を実証的に分析する.
著者
國井 大輔 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_623-II_633, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
29

過疎地域においては,路線バスの代替交通手段としてコミュニティバスやデマンド交通等の運行が行われているが,利便性と持続可能性の両立が困難な地域が少なからず存在している.そのような地域においては低廉な運賃でサービスを提供することができるライドシェアが自家用有償旅客運送という形で運行されているが,ドライバー不足等の問題でサービスの維持が困難な地域もでてきている.一方で,近年はタクシーを利活用する動きが活発化しているが,自治体の財政負担が増加傾向であるため,持続可能性が懸念されている.本研究では,公共交通サービスが具備すべき様々な条件を基に,過疎地域におけるニーズの隙間(ギャップ)の存在を明らかにする.また,そのギャップを埋めるためのライドシェア活用方策に着目し、現状課題と将来展望について述べる.
著者
山田 忠史 中村 昂雅 横山 大河 谷口 栄一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.272-284, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
45

本研究は,均衡制約付き数理計画問題の枠組みで,サプライチェーンネットワーク(SCN)と交通ネットワーク(TN)を統合したスーパーネットワークを対象に,TN上の離散設計変数の値を最適化するモデルを提案する.このモデルの上位レベルは,TN上のリンクの組み合わせ最適化問題に相当する.一方,下位レベルには,サプライチェーンとマルチモーダル交通のスーパーネットワーク均衡モデルを採用し,スーパーネットワーク上の各主体,すなわち,製造業者,卸売業者,小売業者,消費市場,物流業者,旅客の行動が記述される.このモデルを用いて,TN上のリンクの新設・改良によるSCNの効率性向上(TNの最適設計),および,リンクの途絶によるSCNの余剰低下(TNの脆弱性評価)について,基礎的検討を行う.
著者
柳川 篤志 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_351-I_368, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
37

現在わが国の人口は東京へ一極集中しており,世界の先進諸国と比較しても東京への集中度合いは非常に高い.人口の一極集中には地方の衰退,首都における災害等への脆弱性という弊害が存在しており,東京一極集中は是正されるべきであると考えられる.一極集中の是正へ向けてはその要因を検証していくことがまずもって必要である.国内外の既往研究においては,一極集中の要因を巡る研究がなされてきたが,定量的な分析に基づく実証研究は十分になされていない.そこで本研究では,鉄道整備が人口の一極集中に与える影響を明らかにすることを目的とし,国内外のデータを利用し実証的な分析を行った.その結果,鉄道インフラの偏在が人口移動に影響をもたらし,鉄道整備の東京圏への一極集中が,人口の東京圏への 一極集中をもたらす可能性が示唆された.
著者
加藤 真人 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_285-II_301, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
37

土木計画や公共政策には,言論の自由が保障された条件の下で弁証法的議論が繰り返される必要があるが,これらを侵害する恐れのある社会心理現象を指す概念に「ポリティカル・コレクトネス(PC)」が挙げられる.本研究ではPCを「“原則的には必ずしも正しくはないが,時世上は正当である”と社会的に認識されている,他人に押し付けることを前提として用いられる価値規準」と定義し,その基本的特徴を把握するためのアンケート調査を実施した.分析の結果,「自分の価値規準を持ちつつも抽象的な論理や理屈に固執せず,謙虚であるような態度」を持つことがPC度の低減につながる可能性が示唆され,その方策として事実情報提供法やコミュニケーション法といった心理的方略が有効であることが示唆された.