- 著者
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佐藤 廉也
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
- 巻号頁・発行日
- vol.93, no.5, pp.351-371, 2020-09-01 (Released:2023-02-19)
- 参考文献数
- 41
- 被引用文献数
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4
森の資源に依存して暮らす人びとが生涯を通じて植物知識をいかに獲得していくのかを検討するために,エチオピアの焼畑民マジャンギルを対象に植物知識を測るテストを実施し,その結果を性・年齢に注目しつつ分析した.テストは植物名の知識,樹木利用知識,樹木の断片から樹木名を同定する能力,というレベルの異なる3種を設定した.その結果,植物名と利用知識では,10歳代には急激に,20歳代以上には緩やかに,年齢とともに得点が増加する傾向が認められる一方,生業の性分業に由来すると推測される知識量の性差がみられた.同定テストでは,30歳代までは年齢が高くなると得点も高くなる傾向があるのに対し,40歳代以上では逆に年齢と得点に負の相関が認められ,知識のレベルによって獲得・維持パターンが異なるという結果が得られた.以上の結果と生業活動に関する情報を合わせ,植物知識が生業活動と密接に関連しつつ獲得・維持されるという示唆が得られた.