著者
後藤 和久
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.193-205, 2005 (Released:2005-08-01)
参考文献数
64
被引用文献数
2 1

今から約6500万年前の白亜紀/第三紀(K/T)境界に地球外天体が衝突したとする説は,その後のメキシコ・ユカタン半島における衝突クレーターの発見や衝撃変成石英などの衝突起源物質の発見により現在では広く認知されるようになり,この衝突こそがK/T境界の生物大量絶滅の原因だったのではないかと考えられている.ところが,この衝突はK/T境界より約30万年前に起き,K/T境界での生物大量絶滅とは無関係だったとする説が一部の研究グループから近年報告され,K/T境界での衝突を支持する研究者との間で論争となっている.そして,衝突がK/T境界より約30万年前に起きたとする説に対して数多くの矛盾点が指摘され,この衝突はやはりK/T境界で起きた可能性が高いことが再確認されつつある.本論では,地球外天体衝突とK/T境界の同時性をめぐる一連の論争を紹介し,この問題を検討する.
著者
加藤 誠 安井 敏夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.651-653, 1979-10-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
太田 亨 新井 宏嘉
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.298-299, 2006-04-15 (Released:2014-02-07)

訂正地質学雑誌112巻3月号掲載の太田・新井論文(Vol.112, No. 3, p.173-187)中で,校正段階でのミスにより数式等に誤りがありました.訂正し,お詫び申し上げます.
著者
Takehisa Tsubamoto Kunimatsu Yutaka Hideo Nakaya Tetsuya Sakai Mototaka Saneyoshi Emma Mbua Masato Nakatsukasa
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.4, pp.153-159, 2015-04-15 (Released:2015-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1 9

New dental and astragalar specimens of a primitive hippopotamus, Kenyapotamus coryndonae (Mammalia, Cetartiodactyla, Hippopotamidae, Kenyapotaminae) from the lower Upper Miocene Nakali Formation at the Nakali locality, central Kenya, are described and illustrated. The new specimens increase the known morphological and size variations of the dentition and astragalus in this primitive hippopotamid species, which is important to understand the origin and early evolution of the Hippopotamidae.
著者
赤石 和幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.XXIII-XXIV, 1999 (Released:2010-11-26)
参考文献数
1

平安時代の十和田火山最新噴火では, 北日本の広い範囲に十和田aテフラが降り, 続いて毛馬内火砕流が発生した(町田, 1981). 火砕流は泥流化して米代川沿いに流下し, 途中で堰止湖を作って大洪水を引き起こし, 流域を火山泥流堆積物で覆い尽くした. 1999年7月29日に秋田県大館市道目木の圃場整備工事現場でこの堆積物を調査中, 大洪水による災害を生々しく物語る古代の埋没家屋を発見した. この遺跡は米代川流域で現存する古代の庶民の埋没家屋としては唯一の例であり, 当時の庶民の生活を知る上で貴重であるだけでなく, 火山泥流の特性と大洪水による被害の実態を知る上でも重要な手がかりとなり, 今後の災害予測にも役立つものと期待される.
著者
冨吉 将平 高須 晃
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.10, pp.540-543, 2009
被引用文献数
1 3

This is the first report of lawsonite in pelitic schists from the Kebara Formation, a tectonometamorphic unit exposed between the Sambagawa metamorphic belt and the Chichibu belt in western Kii Peninsula. Lawsonite and pumpellyite have previously been reported from basic schists in the Kebara Formation, suggesting high-P/T metamorphic conditions. The pelitic schists consist mainly of quartz, albite and chlorite along with minor carbonaceous matter and rare phengite, lawsonite, calcite and titanite. The mineral assemblage of the lawsonite-bearing pelitic schists is chlorite+phengite +lawsonite+albite+quartz. This assemblage is basically the same as that reported for lawsonite-bearing pelitic schists from the chlorite zone in the Sambagawa metamorphic belt, i.e. in the Ise area in eastern Kii Peninsula and in the Besshi nappe complex exposed along the Asemigawa River in central Shikoku. These various lawsonite-bearing pelitic schists probably experienced similar high-P/T metamorphic conditions suggesting that the entire Kebara Formation experienced similar high-P/T metamorphism to that of the chlorite zone in the Sambagawa belt.
著者
南部 暁生 稲垣 静枝 小澤 伸介 鈴木 由香 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.617-634, 2003-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
54
被引用文献数
2 5 3

北大東島の礁性堆積物は,大東層と海軍棒層からなる.大東層は3つのユニットに区分される.ユニット1は主にframestoneよりなり,中央盆地に分布する.ユニット2はユニット1を不整合に覆い,2つのサブユニットから構成される.下位のサブユニット2aは,島外縁の環状丘陵地の主体をなし,主にframestoneよりなる礁芯相と,中央盆地縁辺部の急崖に露出しmdstoneの卓越する背礁相からなる.上位のサブユニット2bは,島の最高所付近に露出するframestoneとpackstoneからなる.ユニット3は東海岸に点在し,斜交層理の発達したoackstoneよりなり,下位層を不整合に覆う.海軍棒層は東海岸の標高10m以下に分布し,framestoneからなる.ユニット1は卓礁の堆積物である.サブユニット2a堆積時には,厚い環礁堆積物が形成されたが,その後,礁は著しく減退した.ユニット3堆積時,島の東部に浅瀬や造礁サンゴのパッチが広かった.海軍棒層は小規模な裾礁の堆積物である.
著者
横山 祐典 阿瀬 貴博 村澤 晃 松崎 浩之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.693-700, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
53
被引用文献数
5 6

宇宙線との相互作用によって地球表層で岩石中に生成される核種(TCN)は, 加速器質量分析計(AMS)の発達によって, 地球表層プロセスの研究に急速に広く用いられるようになってきた. TCN研究では半減期の違う複数の核種を組み合わせることによって, 侵食速度, 埋没履歴などを求めることが可能である. 現在はTCNのうち, 10Beや26Alの測定がAMSにより活発に行われてきている. 現在のところTCNの絶対量の誤差は約10%と大きいが, それでもこれらの測定結果を使って, テクトニクスや気候変動についての新しい知見が得られるようになった. チベットにおいての研究例も増え始めており, 今後サンプリング地点を増やし測定を活発に行うことによって, インドのユーラシア衝突によって引き起こされているチベット地域のテクトニクスの詳細や気候変動を細かく明らかにすることができる.
著者
西脇 仁 奥平 敬元
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.141-155, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
62
被引用文献数
3 2 5

領家変成帯中の近畿中央部飛鳥地域に分布する苦鉄質岩は,領家古期 花崗岩類に対して層状に産している.苦鉄質岩のほとんどは,コアもリムもほぼ均一な化学組成を示す半自形~他形の斜長石と角閃石からなる.また,斜長石-角閃石温度計を用いて平衡温度を計算するとおよそ500-600℃となることから,これらの苦鉄質岩は角閃岩相の変成作用を被った変成岩であると考えられる.一部の苦鉄質岩に認められる面構造とマグマ期-亜マグマ期に形成された花崗岩類の片麻状構造が斜交関係にあることから,両者は同じ変形作用を被っておらず,苦鉄質岩の面構造は,少なくとも花崗岩類との接触以前に形成されたと判断される.これらのことから,苦鉄質岩は花崗岩質マグマの定置以前に角閃岩相の変成作用を被った後,花崗岩質マグマに捕獲されたと結論づけられる.
著者
河部 壮一郎 岡本 隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.12, pp.769-781, 2012-12-15 (Released:2013-04-26)
参考文献数
38
被引用文献数
1 6

北海道北西部羽幌川支流右ノ沢地域(羽幌ドーム)に分布する上部白亜系蝦夷層群は,下位より上部羽幌川層と流矢層に対比される.前者はサントニアン階に,後者は下部カンパニアン階に対比されると考えられる.また本地域と,より沖合であったとされる逆川地域でのアンモナイト類の産出状況を比較した結果,ハミトイド型アンモナイト類は,異常巻きアンモナイト類の中でもより浅海棲であったことが示唆された.
著者
小泉 格
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.311-324, 2009 (Released:2009-12-08)
参考文献数
34
被引用文献数
1

(1)古海洋学は,海洋システムの発達と変動を研究する学問分野である.古海洋研究の進め方と古海洋研究の課題を記述した.微化石の研究は,層序,古環境,古気候など地質学に関わって貢献してきた.この努力を生物学の分野で行えば,微化石による進化古生物学を確立できる.(2)第四紀の開始時期の問題,氷期-間氷期の10万年サイクルの開始時期とその原因,氷期から間氷期への急激な温暖化(ターミネーション)の問題,および最終間氷期の始まりであるターミネーションIIについて研究の現状をまとめた.(3)15万年前以降における珪藻化石群集の周期的変動が,三陸沖6本と日本海2本のピストンコア堆積物で認められた.三陸沖コアに見られる環境変動は,北半球における環境変動とほぼ同一の周期値を持つことが判明した.
著者
西川 治 奥平 敬元 吉田 昌幸 白石 建雄
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.Supplement, pp.S75-S85, 2008-09-18 (Released:2011-12-22)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

出羽丘陵は,東北日本が強い東西圧縮応力場におかれた鮮新世前期から逆断層や褶曲構造を形成しながら隆起を開始し,更新世中期にかけて全域が陸化したと考えられている.この隆起運動に関連した変形構造は,出羽丘陵成立過程の構造運動の実態を明らかにするために重要なデータとなるだけでなく,脆性領域の変形機構や変形様式を理解するための格好の素材を提供している.この見学旅行では,出羽丘陵西縁部に存在する北由利衝上断層群および中央部に位置する鳥田目断層群に伴われる変形構造を観察し,その運動像や変形条件について考察する.