著者
田中 充
出版者
九州大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2021-09-10

ヒトは食品を咀嚼・嚥下する際に、口腔内に放出される呈味・香気成分を味覚・嗅覚(化学感覚)情報として検知するとともに、歯ごたえや舌触りといった食感を触覚(物理感覚)情報として検知しており、これらの感覚から食品の風味を認知して美味しさを評価している。しかし、現在の機器計測ではすべての風味成分と食感を一元化して捉えることはできず、風味が美味しさを決める機構は多くが不明である。本研究では、食品の風味・食感を完全にデジタル記録するための次世代技術を開発することで、呈味・香気成分の空間的な分布、ならびに食感を網羅的に可視化した「完全な風味設計図」の構築を目指す。
著者
箱崎 真隆 坂本 稔 篠崎 鉄哉
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、先史時代の日本列島域の古環境変遷を「酸素同位体比年輪年代法」および「炭素14スパイクマッチ法」を用いて高い時空間解像度で復元する。特に①「鬼界アカホヤ噴火」の誤差0年決定、②過去6400年間の降水量と太陽活動の復元、③世界的寒冷化イベント(4.2-4.3kaイベント)の影響評価を目的とする。そのために、埋没木と遺跡出土木材の網羅的な酸素同位体比分析と炭素14分析を実施する。並行して新規の木材資料獲得と年代決定を行ない、より古い時代まで復元できる基盤形成を進める。本研究によって、日本列島域における古環境の形成と先史人類の適応について明らかにする。
著者
大嶋 孝志 小池 隆司 笹野 裕介 高須 清誠 安田 誠 山口 潤一郎 菅 誠治 跡部 真人 外輪 健一郎 滝澤 忍 椴山 儀恵 矢島 知子 宮尾 知幸 小島 諒介 武田 和宏 松原 誠二郎 矢田 陽
出版者
九州大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2021-09-10

本領域研究は、有機合成に破壊的イノベーションを起こすデジタル有機合成(実験科学と情報科学の異分野融合)の基盤を世界に先んじて築くことを目的とし、有機合成の多様性に対応した独自のデジタル化プラットフォーム(PF)を構築する。A01班、A02班、A03班の3班体制で、人工知能(AI)を徹底活用した自動化法(分子構造自動設計、合成経路自動探索、反応条件自動最適化、バッチ→フロー自動変換、自律的自動合成システム)でムダを徹底排除し、革新反応・革新分子創出の超加速化を実現するとともに、自動化法開発の基盤となる、有機化学の機械学習に最適化した本領域独自のデータベース(DB)の構築を行う。
著者
櫻間 一徳
出版者
京都大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

本研究の目的は,生物の高度な群行動の発現メカニズムを包括的に理解できる数理モデルを構築するためのモデリング技術を開発し,そのモデルに基づいて実世界における生物の群行動のメカニズムを解明,それを工学応用することである.そのため,グループを基にしたハイパーグラフおよび数学の群論における不変性を用いた数理モデルを採用する.生物の行動データからモデルを構築する方法として,複数の群作用に不変なモデル関数による選択的アプローチと,ニューラルネットワークで関数近似し不変性を導出するデータ科学的アプローチの二つを提案する.本研究成果は,生物学・データ科学・工学などの幅広い分野に波及することが期待される.
著者
井上 康博 船山 典子 近藤 滋 新美 輝幸 大澤 志津江 小沼 健 秋山 正和 山崎 慎太郎 田尻 怜子 後藤 寛貴
出版者
京都大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

細胞は、素材によって工法を選び、組み立てることで「体」を建築する。本領域では、この素材の加工という新しいパラダイムを提示することで、後期発生以降の形態形成の原理に挑む。このパラダイムは「工業」そのものであるため、工業デザイン技術の生物への応用と、生物で得られた知見の産業応用が期待できる。この目的のために、総括班は、様々な分野の実験系と理論系の融合推進、異分野からの若手研究者の参入支援など、領域推進の司令塔としての機能を担う。
著者
近藤 滋
出版者
大阪大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

魚類ヒレの先端には、アクチノトリキアと呼ばれるコラーゲンの棒状結晶体を、ヒレの細胞が「建築資材」のように扱い、分業体制で、作成・整列・骨化を行うことで、ヒレ骨パターンを作り上げている。本申請研究では、その過程の完全な理解、インビトロにおける再現、計算機シミュレーションによるインシリコ再構成により、これまで不明であった後期形態形成現象の新たな概念を創出し将来の再生医療の基礎を作ることを目的とする。
著者
福嶋 健二 船井 正太郎 塩崎 謙 三角 樹弘
出版者
東京大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

学習とは、学習データの入力から出力までのプロセスを多数の学習パラメータで表現し、学習パラメータを変分によって最適化することである。学習のクォリティは大別すると2つの要素で決まっている。すなわち、過学習を避けつつより一般性のある関数空間を扱える表現と、ベクトル空間内で複雑な構造を持った学習データに対する適切な最適化である。本研究では、表現に対するアプローチとしてゲージ場の理論の様々なテクニックを用い、最適化のための入出力データが内在するトポロジカルな特徴に着目することによって、両者に変革的な進歩をもたらすことを目指す。
著者
田中 章詞 唐木田 亮 瀧 雅人
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

ここ十数年のうちに起こった機械学習(Machine Learning)の技術の劇的な発展のうちの多くが、深層学習(Deep Learning)の手法によるものであることは疑いの余地がないが、それにもかかわらず深層学習は従来の統計的機械学習の常識から見ると理論保証が難しいこともよく知られた事実である。本研究では従来の機械学習の理論研究手法に加え、物理学からもたらされた知見を結合し、深層学習の理論/応用の両方にさらなる深い理解、発展をもたらすことを目的とする。
著者
牛場 潤一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本研究計画では、標的脳領域に選択的に作用する次世代型BMI技術を脳卒中後の臨界期に経日的に適用して、機能代償回路の形成をガイダンスすることに挑戦し、機能回復臨界期が外因的に延長・増大できることを明らかにする。また、その過程で安静時機能結合MRIを計測し、傷害脳の回復期に誘導できる可塑的変化量を同定する。また、運動機能スコアへの利得を算出し、脳卒中後の機能回復臨界期における潜在的回復量を明らかにする。
著者
石井山 竜平 上田 孝典 李 正連 西川 一弘 小山 竜司 山口 香苗 上野 景三 松本 大
出版者
東北大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本研究の目的は、本領域における心理学・社会学・文化人類学からなる一連の計画研究から得られた知見を、各自治体の社会教育・生涯学習の担当職員や教職員むけの講習・研修プログラム、およびこれからの生涯学習計画にパイロット的に実装化することにある。並行して、①隣国(東アジア)と日本における生涯教育政策・実践を比較検証しつつ、②地域主導の生涯発達支援の新展開や、学校教育を包含した統合的な地域人材育成計画の新展開に加担していくことで、政策と実践の双方への実装をめざす。
著者
佐藤 いまり 平 諭一郎 日浦 慎作 佐藤 洋一
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本課題では,質感を科学的に取り扱うための学術的知見を蓄積し,我々が視覚を通して感じる質感と物体が有する光学的特性,その光学特性を生む素材・制作工程との関係を明らかにすることで,本物の工芸品の「良さ」を科学的に論じる手段と,工業製品のさらなる高付加価値化に寄与する計測・評価技術の創出を目指す.特にデジタルな再現技術に人手を介した質感表現を加えた作品を準備し,その物理特性と質感の差異を能動的に解析することで,革新的な質感評価・質感合成技術の創出する。これにより、本物の工芸品の「良さ」を科学的に論じる手段と,工業製品のさらなる高付加価値化に寄与する計測・評価技術の創出を目指す。