著者
山崎 祥一郎 井邑 智哉 深田 博己 塚脇 涼太
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.53-59, 2010

インターネット利用に関する心理学的研究において, 社会関係資本の概念を用いた研究が注目を集めている。本研究では, (a)インターネット社会関係資本の醸成に, コミュニティサイズの認知及びコミュニケーション時間が及ぼす影響と, (b)インターネット社会関係資本が精神的健康(抑うつ, 幸福感)に及ぼす効果を検討することで, インターネット社会関係資本にかかわる一連の過程を検討した。本研究の結果, インターネット上のコミュニティサイズがインターネット結合型および橋渡し型の社会関係資本を醸成し, インターネット橋渡し型社会関係資本が個人の抑うつを増加させる傾向があるということが分かった。
著者
Tanno Syota
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.279-284, 2012

Reflections on course styles and instructional modes are presented. The author focused on the lecture course 'Mind and Behaviour' and the seminar course 'Seminar in Psychological Readings' in Hiroshima University. 'Mind and Behaviour' contained talk and group work. Opening with conversation helped the author relax and anticipate the appropriate pace and manner for the day' s lecture, and it encouraged students to have fun in the course. Group work made the lecture bidirectional and helped motivate students to be active, engaged, and attentive towards the course. 'Seminar in Psychological Readings' contained similar conversational interaction and attempted to employ appellative strategy. As in 'Mind and Behaviour', the author benefited from an initial period of informal talk and students found the conversational time pleasant and informative. The author' s observations of seminar activities suggest that conversation also supports good presentation performances and stimulates quality discussions. Although appellative strategy towards the author appeared to be more difficult than anticipated, students called each other using first-names or nicknames and the discussions were active and the participation was lively.
著者
岡本 祐子
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.285-304, 2012

Erikson, Rapaport, Will など,数多くの精神分析家が臨床と研究に携わったAusten Riggs Center の臨床活動について紹介し,その特質と世代継承性について考察した。Riggs の臨床は,①心理力動的オリエンテーション(psychodynamic approach)による集中した心理療法(intensive psychotherapy),②チーム治療(team therapy)と治療共同体(therapeutic community),③活動プログラム(activity program), ④患者の尊厳の尊重(patients' authority)が特徴的である。この基本方針は,第二次世界大戦後60 年余にわたって継承されており,精神病圏・人格障害圏の重い病理水準の患者を対象としているにも関わらず,60~80%以上の治癒率という高い治療実績を有している。また,スーパーヴィジョンを通じて質の高い力動的心理療法が次世代に継承されてきた。現在,世代交代期にあるRiggs の課題について論じた。
著者
井邑 智哉 岡崎 善弘 徳永 智子 高村 真広
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.263-267, 2012

長期休暇中に様々な宿題を行わなければならない児童は,計画を立てた上で宿題をしているのだろうか。本研究では,計画を立てた小学生と立てなかった小学生それぞれの宿題の取り組み方について調査した。小学生の宿題の取り組み方は4 タイプに分類された:(a)ほぼ毎日していた"安定型",(b)冬休みの前半で集中的に宿題をするが,後半からペースが落ちる"前半集中型",(c)冬休みの前半では宿題をあまりしないが,後半からペースを上げる"後半集中型",(d)ほとんど宿題をしなかった"逃避型"。計画作成の有無でそれぞれのタイプを分類した結果,計画を立てていなかった小学生には逃避型が多く,計画を立てた小学生には安定型,前半集中型,後半集中型が多いことが示された。
著者
森田 愛子 藤井 真衣
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.269-277, 2012

本研究の目的は,どのような領域の子どもの発達に保護者が気づきやすいかを調べること,保育者を基準としたときの,保護者の気づきやすさについて検討すること,様々な種類の行動の発達に育児がどの程度影響すると保護者が思うかを検討することであった。6 領域20 項目の発達チェック項目に関し,保育園・幼稚園の3 歳児クラスの保護者72 名と保育者7 名,4 歳児クラスの保護者114 名と保育者3 名から質問紙で回答を得た。主な結果は以下のとおりである。保護者は生活技術の発達に最も気づきやすかった。3 歳児クラスの保護者は,言語理解の発達に比較的気づきにくいことがわかった。また4 歳児クラスの保護者は対人技術の発達について他の領域より比較的気づきやすいこともわかった。保育者の気づきやすさと比較しても,保護者の気づきやすさの得点は高いケースが多かった。ただし社会性の発達については,保育者のほうが気づきやすい傾向がみられる。育児の影響については,3 歳児・4 歳児クラスのいずれの保護者も,生活技術については,育児の影響が大きく,粗大運動の発達については育児の影響が小さいとみなしていた。
著者
岡本 和典 石田 弓
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.249-262, 2012

本研究では,岡本・石田(2009)が考案した「夢の自己分析サポートシート」 を名島(2003)の「能動的夢分析」の介入技法を援用して改良し,その臨床的有用性について検討した。研究1 では,改良を行ったサポートシートの実施難易度と得られた気づき,およびサポートシートへの記述にクライエント理解に役立つ情報が含まれるかについて検討した。そして,サポートシートは夢と現実との関連づけを容易にし,対人関係に関する気づきが得られやすいことと,クライエント理解に役立つ情報が得られるものであることが示された。研究2 では,サポートシートを用いることで,夢に対する「わけがわからない」という自我違和的な印象が軽減されることが示唆された。さらに,事例をもとにサポートシートを用いた夢の自己分析過程について検討したところ,サポートシートは夢の中の要素の中の連想を深め,夢と現実での体験とを関連づけた意味を見出すことを促すことが示唆された。
著者
井村 文音 石田 弓
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.217-234, 2012

家族成員との交流の中で,自身の同一性の発達よりも家族全体の安定性を優先し,表面的に強く調和する関係性を偽相互性という。現代青年には,友人との間で自己開示を求めながらも,円滑な人間関係の維持に重点を置き,発言を抑制する傾向がある。この傾向は,偽相互性に見られる相手を優先するために自己を抑制し,不十分にしか自身の思いを表現できないノン・アサーティブな自己表現の特徴と類似する。本研究は,家族機能状態に着目して偽相互性の特徴を想定し,家族成員間の相互作用の状態と青年の発言抑制傾向との関連性を検討することを目的とした。研究1 では,家族の偽相互性を想定した家族機能状態と青年の発言抑制傾向との関連性は明らかにされなかったが,家族機能の凝集性,及び適応性のそれぞれの側面と発言抑制傾向との関連性が示唆された。研究2 では,シンボル配置技法の1 つである家族イメージ法を用いた調査を行い,青年がイメージする家族機能状態や家族成員間の相互作用の状態と青年の発言抑制傾向との関連性を明らかにした。
著者
川本 智映子 岡本 祐子
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.235-248, 2012

本研究は,高齢者にとって死を考える上で重要となる他者との関係における死のイメージについて検討を行った。その結果,重要な他者が子どもの場合には,子どもに対して「役割を託す」「繋がりを感じる」関係性,死のイメージとして次の生への視点が見出され,子どもの中に自分の存在が内在化され,死を迎えた後にも重要な他者と繋がる感覚を有していることが示唆された。重要な他者が配偶者の場合には,「生きがい」「支えあう」関係性,死のイメージとして次の生への視点がみられた。重要な他者が親の場合には,親から託された「役割を引き受ける」関係性,肯定的な来世のイメージがみられた。重要な他者によって異なる関係性と死のイメージが存在することが示された。
著者
松下 優衣 石田 弓
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.179-196, 2012

アレキシサイミア傾向とは,『体感・感情の認識表現不全』と『空想・内省の不全』という大きく分けて2 つの構成概念からなるパーソナリティ特性を指す。先行研究ではアレキシサイミア傾向が身体に対する志向性,意味づけなど,身体の捉え方,体験のされ方における何らかの逸脱と関連することが示唆されているが,実証研究は少ない。そこで,本研究では身体をどのように捉えているのかという観点からアレキシサイミア傾向者の困難について検討することを目的とした。研究1 では大学生を対象に質問紙調査を行い,身体をどのように捉えているかを身体感覚の測定を通して捉え,アレキシサイミア傾向との関連を見ることを目的とした。研究2 では身体をどのように捉えているかを,バウムテストを用いて無意識的な側面から捉え,その特徴とアレキシサイミア傾向との関連を検討した。その結果,アレキシサイミア傾向と身体の捉え方,体験のされ方にある程度の関連が見られた。そして,アレキシサイミア傾向の下位概念である『体感・感情の認識表現不全』と『空想・内省の不全』で身体の捉え方の質が異なる可能性も示唆された。
著者
藤岡 美紀 石田 弓
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.197-216, 2012

これまでに箱庭制作後の言語的やりとりについて言及されてこず,箱庭制作後の作品についてどのように取り扱うかが課題であると指摘されてきた。青年期では,自己理解教育が必要であるといわれていることから,本研究では自己理解を促進させるために箱庭制作後の言語的やりとりにおいてどのような質問ができるかについて明らかにすることを目的とした。まず大学生を対象に収集した箱庭制作後の語りから,クライエント用箱庭療法面接のための体験過程スケールをもとに新たな評定基準を作成した。次に,自己理解を促進すると想定した質問によって表出された語りを新たな基準を用いて分類し,各質問の特徴を明らかにした。その結果,自己像に関する質問では自己像のイメージが生じた時の違いによって自己理解の促進の程度に差が見られることが明らかになった。また一番印象的な玩具に関する質問では,個人的体験が語りに反映されやすく,自己理解が促進されやすいことが明らかになった。
著者
森田 修平 岡本 祐子
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.169-177, 2012

精神分析学においては自我はさまざまな機能を持つとされ,今日までBellak らをはじめ,多くの研究がなされてきた。また,その測定法は,質問紙,ロールシャッハ・テストなどの投映法と多様である。しかし,自我機能の測定は,自我という概念の扱いの難しさから困難さを指摘されてきた。大山による一連の自我境界研究から,各種自我機能が異なる自我境界領域で働くことが推察された。本研究において,各々の自我機能がどの自我境界領域で機能するのか,それぞれの測定法がどの自我領域を対象にしているかを検討することにより,より妥当性の高い自我機能研究の可能性が示唆された。
著者
大原 慧美 大塚 泰正
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.245-255, 2010

職場において受動喫煙防止対策が講じられ, 職場の喫煙環境が急速に変化しつつある現在, 非喫煙者は受動喫煙に曝される機会が減った。しかし, 職場における受動喫煙問題とは別に, 新たな喫煙者・非喫煙者間の問題が生じつつあり, 非喫煙者の中には喫煙者に対して否定的なイメージを持つ者も少なからず存在する。本研究では, 職場において非喫煙者が喫煙者に対して持つイメージに影響を及ぼす要因について, 全国の非喫煙者211名(男性55名, 女性156名)を対象に, 職業性ストレスや喫煙に対する態度等を指標として探索的に検討した。重回帰分析の結果, 非喫煙者の外在的な報酬の低さは, 喫煙者に対する否定的な外見イメージや周囲への配慮不足イメージ, そして反社会的イメージの高さと関連することが明らかとなった。また, 非喫煙者の仕事の要求度の高さは, 喫煙者に対する肯定的イメージの低さと関連することが明らかとなった。以上のことから, 外在的な報酬が高く, 仕事の要求度が低い場合には, 非喫煙者の喫煙者に対する否定的なイメージが改善される可能性が示唆された。
著者
光元 麻世 岡本 祐子
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.217-228, 2010

個人化が進むと同時に, 家族の親密さ, 絆の希薄さが指摘されている現代家族にとって, 家族の絆, つまり家族としてのアイデンティティは重要な意味を持つと考えられる。林・岡本(2003, 2005)は, 家族アイデンティティを「自分は家族の一員であるという感覚が, 斉一性と連続性を持って自分自身の中に存在し, またそれが他の家族成員にも承認されているという認識」であると定義している。本研究では青年が青年期前期に体験した家族内葛藤について調査し, 青年期前期の家族内葛藤と青年期後期の家族アイデンティティの発達レベルの関連性を明らかにすることを目的とした。その結果, 青年期における家族アイデンティティは, 青年期前期からの家族内葛藤を乗り越えることにより, 形成されることが示唆された。また, 家族内葛藤の収束と家族アイデンティティ発達にとって, 現在, 青年が親の対応についてどのように捉えているかが重要であることが示唆された。
著者
中台 佐喜子 金山 元春 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.2, pp.151-157, 2003-03-28
被引用文献数
1

本研究では,76名の年長幼児を対象に,仲間集団における同性仲間および異性仲間からの人気度と社会的スキルとの関係について男女別に検討した.相関分析の結果,社会的スキルの高さは男児では同性仲間からの人気度と,女児では異性仲間からの人気度と関係していることがわかった.この結果を指名する方の立場から整理してみると,男児は相手の性にかかわらず社会的スキルに優れているかどうかが遊び仲間の選択に影響するのに対して,女児は相手が同性仲間であっても異性仲間であっても男児ほど社会的スキルを選択の基準としていないことが示唆された.本研究の結果は,幼児の仲間集団における人気度と社会的スキルとの関係を検討する際に性別の要因を考慮することの重要性を示している.
著者
水口 啓吾 里見 有紀子 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.101-109, 2010

本研究では, 発達障害児が在籍する通常学級の中から, 発達障害児と接触頻度の高い健常児である接触頻度高群(16名), その他の健常児である接触頻度低群(129名), および発達障害児群(10名)を選出し, 架空の物語場面を用いて健常児と発達障害児の交流態度について比較検討した。架空の物語場面では, 問題の原因が健常児側にある場面と発達障害児側にある場面の2場面を呈示し, その後で登場人物の発達障害児に対する印象評定と行動評定を求め, 3群間で比較した。その結果, 印象評定では2つの場面とも, 3群間に有意差は見られなかった。しかし, 行動評定では接触頻度高群が最も好意的態度を示した。発達障害児と日頃接触している接触頻度高群でも, 発達障害児の唐突な言動に対しては好意的印象を持たないこと, しかし発達障害児と一緒に勉強する・遊ぶなどの交流行動では寛容的であることが明らかになった。
著者
塚脇 涼太 深田 博己 樋口 匡貴 蔵永 瞳 濱田 良祐
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.9, pp.355-370, 2009

本研究の目的は, 様々な環境配慮行動の種類と諸認知および行動意思との関係を検討することであった。298名の大学生に対する調査データに関して, 独立変数を環境配慮行動の種類(流し台ゴミ除去行動, 油拭き取り行動, 風呂排水ゴミ除去行動, 節水行動, 節電行動, リサイクル行動, 再生紙製品購買行動, 使い捨て商品不買行動, トレー回収行動)と調査対象者の性(男性, 女性)とし, 従属変数を集合的防護動機モデルで仮定されている8つの認知, 利便性認知, 利得性認知, 行動意思の合計11変数とする9×2の分散分析を行った。分析の結果, 9種類の環境配慮行動の中で, 最も多くの種類の認知が高い行動は節電行動であり, 反対に, 最も多くの種類の認知が低い行動は, 風呂排水ゴミ除去行動であることが判明した。また, 9種類の環境配慮行動の中で最も行動意思が高い行動は, 流し台ゴミ除去行動, 節水行動, 節電行動であることが明らかとなった。
著者
越中 康治 江村 理奈 目久田 純一 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.5, pp.161-167, 2005

本研究では,幼児の自由な集団編成に及ぼす仲間からの人気度と社会的行動特徴の影響を検討するために,保育園における整列場面(幼児が自由に2人組あるいは3人組を編成する場面)の観察と,人気度及び社会的行動特徴の測定を行った。結果として,男児では,集団編成に人気度の影響は認められず,攻撃性の高い者ほど3人組で中央の位置を占めていることが示された。女児では,2入組を編成する際には,仲間から人気がある者及び社会的コンビタンスが高いとされる者ほど容易に集団編成を行うことが示された。また,3人組を編成する際には,攻撃性の高い者ほど容易に集団編成を行うこと,引っ込み思案で非攻撃的な者ほど3人組で中央の位置を占めていることが示された。幼児の自由な集団編成に及ぼす仲間からの人気度と社会的行動特徴の影響は,性別や編成する集団の人数によって異なることが示された。
著者
児玉 真樹子 深田 博己
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.6, pp.19-25, 2006

本研究は,生産性に関連する態度,行動・行動意図に及ぼす職業的アイデンティティの影響を検討することを目的とした.企業就業者約600名を対象とし,調査を行った(有効回答者数353名).第1ステップに職業的アイデンティティを,第2ステップに生産性に関連する態度(職務満足,仕事への内発的動機づけ,キャリア形成に対する積極性)を,第3ステップに生産性に関連する行動・行動意図(離転職意志,出社拒否による突発的な休み,残業の頻度)を設定し,パス解析を行った.その結果, 職業的アイデンティティは,生産性に関連する行動・行動意図に対して直接的に,もしくは生産性に関連する態度を介して間接的に影響を及ぼすことが確認された.