- 著者
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疋田 輝雄
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.7, pp.728-735, 2008-07-15
コンピュータ科学カリキュラム標準J07-CSは,1997 年のJ97すなわち「大学の理工系学部情報系学科のためのコンピュータサイエンス教育カリキュラムJ97」の後継である.米国のコンピューティングカリキュラムコンピュータ科学CC2001CSを形式および内容の面から参考にし,これに多数の変更と追加を加えたものである.カリキュラム標準を規定するにはまず,コンピュータ科学知識体系CS-BOK-J 2007を規定する.知識体系は専門エリア,ユニット,トピックの3レベルからなる.専門エリア(area)は15分野からなり,さらに,エリアを構成する各ユニットは,トピックと,ユニットの学習成果からなる.エリアやユニットの内容は,米国案をもとにして,日本の技術および大学教育の実状と最新技術の動向を踏まえて多数の改変を加えた.個々の授業科目(course)はこの知識体系をもとにして,ユニットを組み合わせて構成する.今回のCS カリキュラム標準の目標は,J97の後継として,既存の理工系情報学科を想定することに加えて,国際的な整合性,日本の科学技術の特徴を活かすこと,および最新技術への考慮である.カリキュラム標準の提示形式の上でこれまでのJ97との違いは,米国版にならって,科目ではなく学問的な知識体系(Body of Knowledge)を最初に与えることと,コアユニットとして必修の項目を導入したことである.成果主義教育としての各ユニットにおける学習成果が設定されている.さらに,24の具体的な科目構成例が提示されている.