著者
山下 修一 伊藤 英樹 柴田 道世
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.408-409, 2015

<p>本研究では,月の満ち欠けを科学的に説明させるために.従来モデルを改善し,モデルの操作を月の満ち欠けの理解に結びつけるための読み物を開発して,小学校教員(N=57)と理系学生(N=33)を対象にして試行した.そして,新たに開発したモデルと読み物で,中学生(N=256)でも科学的な月の満ち欠けの説明ができるようになるのかを検証した.その結果,小学校教員と理系学生の比較からは,事前調査では,小学校教員の49 名(86.0%),理系学生の21 名(63.6%) がLevel 0 となり,小学校教員や理系学生にとっても,月の満ち欠けの説明は困難であった.事後調査では,小学校教員の55 名(96.5%),理系学生の全員がLevel 1 以上の説明ができるようになり,地球の影・自転での説明は見られなくなった.中学生の試行からは,授業で月の満ち欠けの学習を終えたばかりなので,事前調査の段階でも地球の影は関係しないことを理解していたが,30%以上の生徒にとっては,科学的に月の満ち欠けを説明することが難しく,地球の自転で説明している生徒も10%以上いた.事後調査では,Level 1 以上が目安の80%を上回り,中学生にも月の満ち欠けを科学的に説明させることができた.</p>
著者
安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.169-170, 1993

植物群落の生産構造の学習に関して、実習を行う際の簡単な方法について紹介するとともに、畳の原料として日本人には馴染み深い工芸作物であるイグサをその学習材料としてとり上げた。イグサは、受光体制の面からみて、きわめて光合成能率の良い理想的な草型とされており、こうした生理的・生態的特徴は、植物の生産構造、また群落における光の透過性を学ぶ上での教材として十分利用できるものと思われる。
著者
野村 直洋 川村 康文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.498-499, 2013

本研究では円運動の実験を安価で手軽に行え、生徒の理解の手助けになるような実験教材の開発を目指した。1つは手作り綿菓子機で、もう1つはCDケース型加速度計を用いた円運動実験機である。
著者
池松 尭俊 川村 康文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.482-483, 2013

本研究では、「速度・加速度」に関してCDケースを用いて手軽に作製できる加速度計と、人が乗れる大型力学台車を作製し、理科大好き実験教室で実践した。
著者
内田 冴子 江藤 はるか 内川 義和 岡野 真弓 中村 伸江 澤田 惇
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.255-256, 2001
参考文献数
3

21世紀の医療は患者中心の医療といわれている。九州保健福祉大学 保健科学部 視機能療法学科が目指す視能訓練士は、視能訓練士法に基づいた国家資格を有するコ・メディカルであり、当然時代のニーズである患者中心の医療に対応できる教育を行わなければならない。このためのコンテンツは科学(専門知識)を自らの責任下に置く学習、相手の痛みをわかり、人(患者)を思いやる人間性の育成、インフォームド・コンセントに必要な感性と表現の研磨である。これらの背景に加え、本学建学の理念である「学生一人ひとりのもてる能力を最大限に引き出し引き伸ばす」を基盤に、KJ 法による独創的問題解決法を試みた。本稿ではその手法と結果などを報告する。
著者
大橋 匠 佐久間 大 鍋倉 翔陽 西田 あかね
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.395-396, 2016

<p>本研究の目的は,児童生徒の主体的な学習活動を支援することである.上記の目的を達成するため,学習者のファシリテーターとしての大学生を複数配置した学習環境をデザインし,それを実践した.分析の結果,ピタゴラスイッチワークショップ,およびロボットワークショップに対する教員の評価は高いことが明らかになった.</p>
著者
森畑 敏昭 木村 捨雄
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.333-334, 1996
参考文献数
4

文学的感動は, 現実認識を深め, 美的情操を高める教育的機能の側面から, 文学教育においてその重要性はかねてより指摘されてきた.しかし, その構造とプロセスの不明確さから, 直接的な指導の方針が得にくい現状がある.文学的感性を意味把握と生成感情を下位コンポーネントを持つものとしてとらえ, そのレベルとさらに下位のコンポーネントを探りながら, 子どもたちの文学的感動体験による自我の変用の実態に迫り, 文学教育における指導の指針を得る.
著者
塩澤 友樹 須藤 雄生
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1151-154, 2012

本研究の目的は,生徒自身が標本抽出におけるランダム性と標本サイズの重要性を実感できる教材を開発し,その教材を用いた授業実践を行うことで,標本調査の指導への示唆を得ることである。この目的に対して,本研究では,「標本調査のウソ」,「標本調査の仕組み〜視聴率調査の模擬実験〜」の2つの教材を開発し,その授業実践を行った。その結果,本教材を通して,生徒達は自分達なりに調査の問題点を議論し批判的に検討できること及び,実験を取り入れることで,実感を伴ってランダム性と標本サイズに対する理解を深めることができることの2つが示唆として得られた。
著者
山本 智一 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 坂本 美紀 大島 純 大島 律子 村山 功
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.423-424, 2004
参考文献数
2
被引用文献数
2

筆者らは, Knowledge Forum を利用して,遺伝子組み換え食品問題に対する社会的意思決定をテーマとした科学教育のためのCSCL環境を開発している.本研究では,遺伝子組み換え食品についての基礎的内容に対する学習者の理解度を検討した.その結果,多くの学習者は,遺伝子,遺伝子組み換えと品種改良,遺伝子組み換え食品の現在といった基礎的な内容をおおむね理解できていたが,他種間の品種改良や世界の表示状況についてはあまり理解できていなかったことがわかった.
著者
二宮 裕之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.259-262, 2004
参考文献数
10
被引用文献数
1

本稿は、アメリカの算数・数学教育における創造性の育成について、改革的なカリキュラムと伝統的なカリキュラムという視点から検討を行うものである。NCTMスタンダード以降の改革的なカリキュラムでは、創造性を育成するような算数・数学のプロジェクトや課題が設定されていた。一方、伝統的なカリキュラムを実施しているユタ州の「才能豊かな児童・生徒に対する特別な方策」の実践例の検討から、①小学校段階では習熟度別クラス編成が行われていない、②選抜クラス(Pulled out class)の授業は従来的な算数の授業とは別に設定されている、③選抜クラスの目的は創造性などの一般的能力の育成を図るところにある、などの知見が見いだされた。
著者
村井 護晏 田中 一定
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.171-172, 1996

生理反応を測定・分析を行うことで授業中の子供達の情動の変化を客観的にとらえることができないかを研究している.多くの授業場面における脈波と皮膚抵抗反応の対応関係の研究の中でみられた両者の特徴に有意な知見がえられた.
著者
土井 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.235-236, 2018

日本の小学校生活科の教科書にある学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記述について調査した。その結果,約 30 年の間に,記述なしあるいは野外への放逐を推奨する記述から,野外放逐と飼育継続を選択させる記述を経て,飼育継続を推奨する記述へと変遷していることが明らかとなった。
著者
橋本 裕子 高田 真希 坂巻 たみ 久保 暢宏 村嶋 恵 大堀 菜摘子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.293-294, 2011
参考文献数
1

東北大震災により引き起こされた原子力発電所の放射線漏れに対し,関東地方でも子育て中の母親を中心に不安が蔓延した.連日報道される科学情報の量は非常に多いことから,このような漠とした不安や被災者に対する風評被害の原因は,科学情報の量ではなく,それらに対する理解の不足であると仮定し,理解の深まりが不安の解消あるいは軽減につながることを目的に大人向けイベントを開発・実施した.本イベントでは,放射線の基礎知識を理解するために,放射線の観察や計測の体験,不安や疑問の質問時間を設けるなど,体験性と双方向性を重視したプログラムとなるよう工夫した.約一ヶ月間で,関東地方の児童館を中心に15回開催し,311名の参加者があった.そのうち約200名のアンケートを解析した.その結果,参加者の中心は20〜30代の女性であり,印象に残った内容は,会場の放射線量の測定,簡易実験,基礎講義,Q&Aの順に続き,観察や体験の重要性が示唆された.また,本イベントにより,放射線の基礎理解が進み,不安はある程度軽減されたものの,子どもを対象とした同様のイベントと比較すると,軽減量は少なく,大人に対する科学教育において,変化や影響を促すためには,知識習得以外にも必要な要素があることが,課題として明らかになった.
著者
野口 大介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.659-662, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
22

研究題材を豊富に提供してくれる造網性のクモを野外で観察したところ,クモの脱皮,網の形態,占座,および捕食に関して研究の題材になるかもしれない事例を見出した.図鑑や文献にはない生態を見出すことができた一方で,きちんとした研究へと深めていくには,さまざまな工夫が必要になるであろうとも感じられた.
著者
手塚 浩介 中原 久志 大津 春輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.257-258, 2020

<p>本研究では,高校生の持つ情報モラルに対する意識及びSNSの利用状況や意識,アカウントの捉え方等に関して探索的に調査を行った.調査の結果,情報モラルの意識に関しては学年間(1年生・二年生)や男女間で差異は見られなかった.しかし,一年生と二年生でSNSアカウントの非公開設定の認知や動画系SNSの利用時間に差があること,男女間でSNSでの投稿内容や公開範囲の意識に差があることなどが明らかとなり,情報リテラシー教育における示唆が得られた.</p>
著者
小野寺 翔汰
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.403-406, 2020

<p>近年,動物園ならびに水族館は生物多様性保全や環境問題などに関する科学教育へ有用な施設として,研究者の間で注目されつつある.しかし一方で動物園・水族館への社会的な関心の高まりには欠けるものがあり,生涯教育的な啓蒙には至っていないのが現状である.本研究では,一般市民への動物園・水族館に対する関心惹起の手段としてサブカルチャー作品を用いることを提案し,その一例としてメディアミックス作品「けものフレンズ」を取り上げ,アンケート調査により本作品が動物園・水族館ならびに科学教育へ与える効果を評価した.その結果,「けものフレンズ」が動物園・水族館への来園館頻度・リピーター率・園館の役割に対する理解度に寄与していることが分かり,サブカルチャー作品による動物園・水族館への関心惹起が十分可能であることが示された.</p>
著者
河野 俊哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.42-43, 2013

2010年度の発表「科学リテラシーの観点から「科学教育と科学史」を再考する」においては,『21世紀科学』をはじめとする近年の英米の代表的な教科書を検討し,従来型の「体系重視」から,「文脈・脈絡(コンテクスト)重視」への移行を指摘した.また、それ自体は英米の事例をもとに書かれていたため,日本独自の教科書やカリキュラム開発の必要性を主張した.その後東日本大震災を経験した日本は,本当の意味での科学への「信頼の危機」を経験し,現在では,とりわけ放射線教育において新たなる教材の試みが求められている.本発表では,福島視察と科学史の知見を活用した新たなる放射線教育の事例を提示するが,そのことにより科学史,STS,そして科学コミュニケーションを包含する「科学論」の知見が重要な役回りを果たすことを中等教育と高等教育,それぞれの事例を通して明らかにする.
著者
金森 千春
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.209-212, 2020

<p>本研究は,COVID-19による臨時休業下の2020年3-6月の4ヶ月間のオンライン授業の実践や使用した様々なツールを総括し,その特徴と効果をまとめる.また,学習者アンケートをもとに検証する.その結果から学習者の学びと確かな学力を保証するオンライン授業のあり方を提言する.</p>
著者
齊藤 智樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.235-238, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
5

本研究では,1)STEM教育における教育研究の成立を期し,一般科学の本質からの類推により,STEM教育の教授と学習の基礎理論を綿密化すること,2)NGSS が提案する3D ラーニングモデルにおいて,領域横断的な概念と科学とエンジニアリングの体験的・経験的活動がいかに関係づけられているかについて把握することを目的とし,次世代科学スタンダードにおける関連する記述を分析した.結果,示された関係はいわゆる「プロセススキルズ」と呼ばれている技能の行使によって関係づけられていることが示唆された.
著者
東原 貴志 佐藤 ゆかり 永井 克行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.617-618, 2020

<p>新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡大防止のために実施された小中学校の臨時休校や博物館等の社会教育施設の臨時休業の結果,子どもたちに対する科学教育の機会の喪失が社会問題となっている。そのため,上越科学館では子どもたちが大人と一緒に自宅で科学遊びや工作を楽しむことを目的として,「おうちでサイエンス」と題した科学実験の動画配信を2020 年5 月から行っている。これらの動画を教員養成系大学の学部生に視聴させた結果,自宅で科学遊びや工作を行う内容について評価する意見が多く,科学教育に寄与するのではないかと考えられた。</p>