著者
佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
巻号頁・発行日
2021-03-31

1. 岸川椿蔵書について 2. 近世日本の椿園芸 2.1 資料解説 2.2 その他、近世・近代の邦文資料 2.3 椿関連の浮世絵 2.4 戦後に復刻された古典文献 3. ヨーロッパにもたらされた椿 3.1 資料解説 3.2 その他19世紀の欧米主要椿関連資料 3.3 20世紀初頭の主要ツバキ関連書籍 4. 戦後椿ブーム以降の書籍 4.1 戦後の重要復刻書籍(海外) 4.2 戦後椿ブーム(1940年代)で発行された専門書(洋書) 4.3 その他のツバキ関連現代洋書 5. ツバキ関連現代和書 6. 椿研究会・同好会・学会の会報 7. 岸川氏が復刻した文献・資料
著者
浜田 信夫 馬場 孝 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.29-34, 2021-03-31

2020年 7 月に発生した豪雨による球磨川氾濫で被害を受けた熊本県の人吉城歴史館の植物標本 を,乾燥・クリーニングする過程で,汚染カビの種類や性質について,14サンプルを調べた.最も多 く繁殖していたカビは,Trichoderma で,その他に,Fusarium,Penicillium などが検出された.いずれ も貧栄養な土壌中に一般的に見られる好湿性のカビであった.保存した植物標本に生育するカビには 好乾性カビは見つからなかったことから,いずれも洪水に由来し,浸水と同時に発生したカビと思わ れる.これらの汚染カビは,十分な乾燥を数カ月行えば,消失すると思われる.あわせて,乾燥や酸 素遮断を優先するカビ被害への初期対処法の提言も行った.
著者
西澤 真樹子 高田 みちよ 渡部 哲也 平田 慎一郎 田中 良尚 松浦 宜弘 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 : Shizenshi-kenkyu, occasional papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.3, no.16, pp.273-292, 2016-03-22

2011 年3 月の東日本大震災による甚大な津波被害をうけ、南三陸町自然環境活用センター( 志津川ネイチャーセンター) 所蔵の標本を失った南三陸町域において、地域の生物相を記録することを目的に活動を行った「南三陸勝手に生物相調査隊」の採集標本記録をまとめた。調査地には震災直後に生じた環境や復興過程の工事により消失した生息場所が含まれており、そこで見出された希少種などの貴重な記録が含まれている。
著者
佐久間 大輔 石田 惣 石井 陽子 釋 知恵子 山中 亜希子 北村 美香
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.e1-e10, 2022 (Released:2022-04-04)
参考文献数
21

COVID-19 状況下で、博物館活動もネット上で゙の活動が多様性、量ともに大幅に増加した。デジ゙タルアーカイブ゙の活用も、各博物館で゙主に研究成果や所蔵品の公開を中心に進んで゙いる。ここでは、教育活動へのライブ配信の活用とそのアーカイブについて、大阪市立自然史博物館の活動を検討する。教育活動の類型に応じて、様々な配信手法を選択しているが、それぞれにオンライン上の活動に利点と限界があった。細かな工夫で魅力を補うことも試みた。また、教育映像コンテンツのアーカイブの効果についても言及した。
著者
佐久間 大 高石 哲巳 今井 智貴 長谷川 勝久 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.91-103, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26

本研究の目的は,模擬授業内の出来事や状況を,実際の授業の状況に近似させることである.上記の目的を達成するため,児童生徒役である大学生の演技を補助する児童生徒のイメージカードを用いた模擬授業をデザインした.(1)これを教職志望者が参加する授業に取り入れて実践し,臨場感に対する主観的評価を得た.(2)さらに本研究でデザインした模擬授業で起こる模擬状況が,実際の授業の状況とどの程度近似していたかについて現職教員8名の評価を得た.分析の結果,本研究でデザインした模擬授業で得られる臨場感が,中位校を想定した模擬授業においては,従来型の模擬授業のそれよりも高く,実際の授業に近いものであることがわかった.また,教師役,児童役の両者にイメージカードを配布する模擬授業デザインの臨場感が,中位校を想定した模擬授業においては,児童役のみにイメージカードを配布する模擬授業デザインのそれよりも実際の授業に近いことが明らかになった.
著者
浜田 信夫 田口 淳二 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
no.77, pp.29-36, 2023-03-31

博物館の乾燥菌類標本のカビ汚染について調査を行ったところ,カビはDNAとして検出されるが,現在生存していないことが明らかになった.そこで,過去に採集,乾燥,標本の作製,保存のどの段階で,どの程度カビ汚染が起きたかについて,博物館に収蔵されているAmanita属36標本のカサの部分を用いて検証した.手法としては,2種のカビの作成したプライマーを用いて,各検体のカビ数をリアルタイムPCRで測定し,その胞子数を調査した.得られた結果は次の通りであった.①両種の胞子数は標本ごとに桁違いのバラツキがあった.②検出されたA. penicillioidesの胞子数は,標本の乾重量100 mg当たり平均約1000個, Eurotium sp. は約7個であった.③結果は,採集時からの様々な過程で,湿り気が発生し,標本上にカビが一時的に発生したことを示唆している.なお,産出された胞子数は標本の古さ,あるいは目視でのカビの有無とは関係ないので,保存前の段階で汚染がしばしば起きたと推測される.
著者
佐久間 大輔
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.223-232, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
47

生態学が実学として社会の中で人間活動と生態学的諸問題の衝突の解決を目指す上で、生態学上の基本概念や専門知識を市民の間に広げ、対話を持ち、地域での合意を醸成するアウトリーチ活動と、それら実践の現場から得た課題を政策として立案し、政策決定者と対話を行うアドボカシー活動は重要な両輪である。これらの活動を担う生態学コミュニケーターの養成と、科学技術政策の中での位置づけ、生態学会との関わりや、社会の中で活動するための基礎的な条件を検討した。自然史系博物館は社会と学術界の両者にひらかれた施設として対話の場として、そして人材養成、NPO支援のプラットフォームとなりうる。自然史博物館自体の社会的機能を有効に活用するためにもコミュニケーターは重要である。博物館のみならず、生態学会も社会からのフィードバックを受け自らの知見と合意形成機能の有効活用をはかることにより新たな視座が開けるであろう。
著者
野村 千枝 昌山 敦 山口 瑞香 佐久間 大輔 梶村 計志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.132-142, 2017-06-25 (Released:2017-07-07)
参考文献数
34
被引用文献数
12

日本では毎年,有毒キノコの誤食による食中毒が数十件発生している.食中毒の原因究明のために行われるキノコの肉眼・顕微鏡観察による形態学的鑑別法は,高度な菌類学の専門知識を要するうえ,キノコが原形をとどめていない食中毒検体(喫食残品や患者吐物)には適用が困難である.そこで,種の同定に有用とされるDNAバーコーディング法(塩基配列解析による種同定)を応用した種特異的プライマーの設計によるキノコのスクリーニング法について検討した.日本で食中毒事例のあるキノコのうち,5種類のキノコ(オオワライタケ,オオシロカラカサタケ,ニガクリタケ,スギヒラタケ,カキシメジ)について種特異的なプライマーを作製した.本法は調理および人工胃液による処理の影響を受けず,湿試料100 mgのキノコ(DNA 10 ng)を,約2時間半で検出可能であった.キノコによる食中毒疑いが発生したとき,本法によるスクリーニング検査と同時に,ITS1領域の塩基配列解析による確認検査を行う.塩基配列解析には約9時間以上要することから,本法と塩基配列解析を併用することにより,検査精度を担保するとともに,保健所や衛生研究所等において,より迅速な食中毒対応が可能になると考える.
著者
野村 千枝 昌山 敦 佐久間 大輔 梶村 計志
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.56-62, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
5

In 2016, in the Osaka Prefecture (Japan), a food poisoning case occurred due to consumption of the fruiting bodies of Chlorophyllum molybdites (Ooshirokarakasatake in Japanese), a toxic species of mushroom. When food poisoning is suspected to have been caused by toxic mushrooms, it is necessary to quickly identify the causative species. If a sufficient amount of unconsumed, pre-cooked mushroom sample exists, identification of the species can performed via examination with an optical microscope; it is also possible to identify the species using DNA sequence analysis. However, when the remaining amount of unconsumed mushroom is small, or has been cooked or highly processed, species identification using these methods is difficult. Here, we describe a new method of mushroom species identification using real-time PCR based on previous PCR methods, and we demonstrate that this new method is effective at identifying samples that are very small, cooked, or highly processed.
著者
眞田 雅人 俵積田 裕紀 佐久間 大輔 本木下 亮 高橋 健吾 松山 金寛 前田 昌隆 東郷 泰久 小倉 雅 藤井 康成 永野 聡 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.661-663, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
3

今回我々は,巨大な痛風結節を生じ,手術加療を要した症例を経験したので報告する.症例は37歳男性.20歳の時に痛風と診断された.度々痛風発作があったが放置.今回全身の関節に腫脹疼痛があり,手指の把握困難,起立歩行困難のため入院となった.四肢関節,特に両肘,両膝,左母趾には巨大な皮下腫瘤を認めた.両膝の関節液より尿酸Na結晶が検出され痛風関節炎と診断した.約2週間保存的に加療し全身痛は改善したが,左肘・手指・膝・母趾の疼痛が持続するため,痛風結節の掻爬術を行った.術後症状の改善がみられた.痛風の治療は,薬物療法が確立されており,痛風結節を生じる症例は稀である.痛風結節に対しては薬物療法が基本であるが,抵抗性の場合は手術が必要となる.本症例は,薬物療法に抵抗し,疼痛・機能障害が改善しないため手術を行った.尿酸値は徐々に改善しており,手術が尿酸代謝の改善に好影響を与えたものと考える.
著者
佐久間 大介
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.425-453, 2007-05

本稿では、アルプスの南北にまたがり、多数派のドイツ語系と少数派のイタリア語系住民から構成されるティロールにおいて、ドイツ語系エリートがどのように「地域」や「境界」を認識していたかを考察した。分析対象としたのは、ティロールでは一七世紀に出現し、一八世紀に活況を呈した領邦に関する地誌、すなわち領邦誌である。 一七世紀における領邦誌の成立は、ティロールを他とは異なる一つの「祖国」とする見方を前提としていた。だが、当時の領邦誌作者は、独立した聖界領であったトリエント司教領、ブリクセン司教領とティロール伯領の国制上の栢違を無視できなかった。一八世紀には、ティロール伯領とトリエント、ブリクセン司教領の区別が重視されなくなり、かわって、新たな「境界」設定の基準が浮上する。ここで、ティロール内部の言語や「民族」性の違いへの言及があらわれたことは確かである。だが、ドイツ語系エリートは、産業・農業の正確な把握をより重視し、気候や植生におけるアルプスの南北の相違を、「地域」区分のもっとも重要な指標としていた。 ティロールが、外部から完全に切り離された空間とされていたわけではないことも重要である。一七・一八世紀の領邦誌作者は、ティロールが神聖ローマ帝国に属していることを当然視し、「ドイツ」の一部としてティロールを捉える認識も共有していた。一八世紀の領邦誌では、これに加え、ハプスブルク帝国という枠組みの存在感も高まったが、中央集権化に抵抗する諸身分の議論も反映された。地理的位置の特殊性を指摘することで、ハプスブルク帝国におけるティロールの重要性を強調するようになったのである。 一九世紀以降に強まったドイツ語系とイタリア語系住民の対立や、第一次大戦後の分割の歴史を持つティロールでは、その「一体性」が常に強調されてきた。しかし、本稿で明らかにしたように、一つの固有の空間として領邦を把握する領邦誌においても、「地域」の複合的性格や「境界」の流動性を見てとることができるのである。
著者
黒沢 顕三 内田 直樹 岩瀬 万里子 保田 国伸 江花 莉華 平嶋 勇人 石垣 征一郎 松田 和弘 矢野 怜 佐久間 大 安原 一
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.283-290, 2006-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

Drewell ® (diphenhydramine: DPH) is a histamine H1 receptor antagonist and the first OTC sleep aid in Japan. There are few studies which objectively evaluate the sedative effects in elderly subjects. The aim of present study was to evaluate the sedative effects of Drewell ® in healthy elderly and to compare the results with data from young subjects on which we reported previously.A placebo controlled, double-blind, crossover clinical pharmacological study was performed. Eight Japanese healthy elderly male volunteers received 2 tablets of Drewell ®, containing 50mg DPH, or matched placebo orally. Plasma levels of DPH after administration were measured hourly up to 4 hours and every 2 hours up to 8 hours. The sedative effects after the dose were measured by using the saccadic eye movement analyzing system for objective assessment and visual analogue scale (VAS) for subjective assessment.After Drewell ® administration the saccadic peak velocity (SPV) was decreased and saccade inaccuracy (IAC) was increased compared with placebo. There were no significant differences in saccade latency and VAS. The onset of significant decrease of SPV in elderly was delayed compared to young subjects (90 min in elderly vs 30 min in young) although pharmacokinetic parameters were similar in elderly and young subjects. However, the available data of both pharmacokinetic and pharmacodynamic at the same time point until sedation onset was only 60 min. Therefore further investigation is necessary to precisely determine the differences of onset of the sedative effect up to 90 min after Drewell ® administration.
著者
佐久間 大 吉井 拓弥 室田 真男
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.57-74, 2016-09-20 (Released:2016-09-15)
参考文献数
24

本研究では,総合的な学習の時間における教師の形成的FBの分類を検討することを目的とする.上記の目的を達成するため,観点Ⅰ:「技量の異なる教師間で用いる形成的FBの種類と与え方に違いがあるか」,観点Ⅱ:「児童の学習への取り組み具合と形成的FBの関係はどのようなものか」の2つの観点に基づき,小学校5年生の総合的な学習の時間における教師と児童間のインタラクションの発話分析を行った.また,児童作成ルーブリックを用いた評価データを用いて,数量分析を行った.分析の結果,熟達教師が児童の学習の取り組みタイプに応じて,35種類の形成的FBを使い分けていることが明らかになった.熟達教師は中堅教師よりも児童の取り組みタイプに応じて,形成的FBを使い分けていることが明らかになった.その一方,中堅教師は児童の取り組みタイプに関わらず,特定の形成的FBを繰り返し選んで用いることが明らかになった.また,主体的に取り組んでいる学習者に対して,学習における課題意識を持たせる形成的FBや,児童自身の内面から『解』を具象化しようとする形成的FBなどを与えることによって,児童を充実した学習活動へと導く可能性が示唆された.