著者
長島 啓子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.80-85, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

本研究では,シカの食害環境下にある都市近郊のナラ枯れ被害林分の更新の可能性を把握するため,実生の発生とそれを規定する要因を防鹿ネットの有無やプロット位置などとの関係から把握した。防鹿ネットは個体数の増加に寄与していたが,種数や種組成には影響していなかった。種組成はプロットの位置や開空度に影響を受けており,斜面中部から下部に設置した方形区内の開空度が低い上部から中部のプロットでは,ソヨゴなどのマツ枯れ低質林と同様の植生が形成される可能性が示唆された。一方,明るい下部プロットには先駆種とともにコナラの実生が見られ,防鹿ネットを設置することでアベマキやコナラの再生を促進することが期待された。
著者
嶌田 知帆 長島 啓子 高田 研一 田中 和博
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.422-428, 2013 (Released:2014-12-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

本研究では,先駆種,遷移中・後期種の混植を用いた通称自然配植技術による植栽が行われた法面(奈良県岩井川ダム道路の採石場跡法面)において,先駆種が優占する初期緑化目標群落が形成されているか,及び階層構造が発達しつつあるかを確認するためのモニタリング調査を行った。現地調査はH18~H19 年にかけてヤマハゼ,エドヒガン,ハゼノキ,ヤマザクラ,ケヤキ,イロハモミジ,モミ,ヤブツバキ,モチノキ等の植栽が実施された防鹿柵内の全ての木本植物43 種を対象にH23 年に行った。H23 年調査時の生残率は66.1%であった。調査は過去にH21 年にも行われ,樹高階別本数分布をH21 年のモニタリングデータと比較すると先駆種と中期種は全体的に樹高階の高い方へ移行していた。一方,後期種は両年とも低い樹高階に分布していた。また,樹冠面積割合では先駆種が59.0% と最も大きく,中期種は36.1%,後期種は4.9% と,遷移段階の間に差がみられ,樹冠投影図では主に先駆種が林冠を占めていた。以上のことから,対象地が初期緑化目標群落を形成し,複層林化が進んでいることが示された。
著者
吉原 敬嗣 入山 義久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.614-619, 2018

<p>日本緑化工学会生態・環境緑化研究部会の「阿蘇小規模崩壊地復元プロジェクト」活動として2017年11月,熊本県熊本市波野にてススキの穂(種子)を採取した。本稿は採取作業,精選作業,性状調査の結果を一事例として報告するものである。一部時間の参加者を含む13 名が62 時間の合計作業時間で採取できたススキの穂は,土嚢袋60 袋分で約34 kgであり,採取効率は1人1時間当たり0.553 kgとなった。採取したススキの穂について脱穀機や篩を使い精選方法を検討した結果,篩選を採用し,歩留り67.0%で約23 kgの精選種子を得た。精選完了直後に先行して種子の性状調査を実施し,純度83.4%,1 g当たりの種子粒数1,486という結果が得られ,また,強精選により得られた頴果の発芽率については3つの温度条件で比較し,30℃明条件8 hr-20℃暗条件16 hrの変温区で最も高い87.0%の発芽率が記録された。約1か月後に種子品質証明書発行のための小穂の性状調査を行った。その結果,純度85.9%,1 g当たりの種子粒数1,653,および前述の発芽条件下で53.0%の発芽率が記録されたことから,証明書を発行した。また,小穂の中に穎果が入っていないシイナの割合は42.0%だった。別途行った面積当たりの採取効率の検討については,面積,人数,時間,ススキの穂の本数,各種重量を測定し,1 m2当たり40 本,1人1時間当たり約550 本が採取可能と計算できた。</p>
著者
山瀬 敬太郎 藤堂 千景 柴原 隆
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.265-268, 2014 (Released:2015-09-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

ニホンジカの高密度生息域で,森林伐採後約 10年が経過した時点で,伐採区域と未伐採区域の埋土種子相を比較した。伐採区域の種子密度は,未伐採区域 (平均 29.2個/L) と比較して,植生残存箇所 (88.1個) は高かったものの,不嗜好性のナルトサワギクが大部分を占めていた。植生が成立していない表土堆積箇所 (6.0個) や表土流出箇所 ( 1.5個) は極端に低かった。伐採区域の種数は,植生残存箇所 (平均 5.7種) や表土堆積箇所 (2.0種) ,表土流出箇所 (1.7種) とも,未伐採区域 (13.3種) より少なかった。鹿排除柵の設置箇所では植生回復がみられたものの,ニホンジカを排除せずに伐採後 10年近くが経過すると,埋土種子相は貧弱となり,植生回復が遅れる可能性が示唆された。
著者
阿部 克也 古川 和弥 小野 擴邦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.423-430, 2010 (Released:2011-09-27)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

クラゲ由来混合タンパク質を用いた気生微細藻類による壁面緑化の基礎的研究を行った。まず,本学八王子キャンパス内において乾燥したコンクリート壁面,樹皮( スギ製棒杭),石像,スチール製看板塗装面などの表面から気生微細藻類の緑色コロニーを採集した結果,緑藻綱に属するElliptochloris reniformis(E. reniformis)を単離することができた。また,東京湾の夢の島付近から採取したミズクラゲからコラーゲンやムチンなどを含むタンパク質を抽出することができた。E. reniformis は,ミズクラゲ由来混合タンパク質(ムチンなど)を有機窒素源として取り込むことで増殖することが分かった。さらに,そのタンパク質が藻細胞による壁面緑化の初期段階において栄養の供給源の一つになったものと考えられる。したがって,クラゲの有効利用方法および抽出されたタンパク質が気生微細藻類による壁面緑化の助長材料として初期段階において利用可能であること,気生微細藻類の持つ基物着生能力に着目した壁面緑化が可能であることが分かった。
著者
益田 光 武井 理臣 橘 隆一 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.150-155, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19

長期に低温密封貯蔵した種子は種子含水率の低下によって休眠が深くなっているため播種前に休眠打破をすることが望まれる。本研究では,落葉広葉樹 13種を用いて冷温湿層処理および暖温湿層処理と冷温湿層処理の組み合わせ処理を行い休眠打破に必要な処理期間や処理温度を調べた。冷温湿層処理に対する反応は樹種によって異なったが,概ね 3ヶ月間以上の処理期間で休眠打破された。冷温湿層処理と暖温湿層処理を施した 5種は 20.0 % 以上の最終発芽率を示さなかった。暖温湿層処理と冷温湿層処理を組み合わせると冷温湿層処理のみでは発芽しなかったマユミとガマズミが発芽したが,冷温湿層処理のみで発芽がみられた樹種の最終発芽率は低下した。
著者
矢動丸 琴子 中村 勝 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.86-91, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
7
被引用文献数
2

近年,ストレスチェック制度が義務化され,職場におけるストレス対策が重要となってきている。その対策の1つとして,オフィス緑化が注目されている。そこで,本研究では,オフィス緑化が勤務者の心理に与える影響について,業種や職種の違いにより効果に差が見られるのか検証を試みた。その結果,業種や職種のみでは,効果に目立った差は見られなかったが,業種と職種を組み合わせた場合には一部で「仕事・職場に対する評価」や「気分・感情状態に対する評価」に異なる傾向が見られた。また,植物設置に対する反応も異なる傾向が見られた。その要因として,仕事内容に加え,植物に対する印象やストレスの種類等が考えられた。
著者
大島 潤一 江連 康弘 飯塚 和也 石栗 太 横田 信三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.93-98, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
19

宇都宮大学船生演習林内のスギ造林地(面積31.13 ha)を対象に,クマによる剥皮害を受けたスギの剥皮部の形態及び腐朽状況を調査し,スギ樹幹の腐朽の進行について考察した。幹周に対する剥皮幅の割合の分布は,100%(全周剥皮)が22.5%を占め,全周剥皮では,高い枯死率を示した。目視調査から,剥皮後の経過年数で高い腐朽度の個体割合が増加したことが判明した。ピロディン打ち込み深さは,経過年数とともに増加したが,応力波伝播速度は減少した。また,表面含水率は,剥皮後3 年目まで急速に減少した。クマによる剥皮害を受けたスギでは,剥皮形態により剥皮部表面及び樹幹内部での腐朽の進行が大きく異なった。
著者
津村 義彦 岩田 洋佳
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.470-475, 2003 (Released:2004-08-27)
参考文献数
41
被引用文献数
24 15
著者
村上 健太郎 松井 理恵 森本 幸裕 前中 久行
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.139-144, 2004-08-31
被引用文献数
4 7

1996年に造成後,8年が経過した都市内復元型ビオトープ「いのちの森」において,現段階でのシダ植物の種多様性の評価を試みた。種数一面積曲線を用いて,「いのちの森」の近郊にある孤立林39箇所との比較を行ったところ,「いのちの森」の種数は,高い水準にあることがわかった。また,「いのちの森」の木道下では,シダ植物の種数は他の孤立林比較調査区に比較して多かった。ただし,木道下以外の林床では,種数,対数逆Simpson指数ともに高い程度にあるとは言えなかった。よって,「いのちの森」は,他の孤立林に比べると,種数が多いと言えるが,これは木道下の適度に暗く湿った隙間環境が種数を増加させていると考えられた。
著者
稲垣 栄洋 栗山 由佳子 前島 固女 石上 恭平
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.235-238, 2007 (Released:2008-02-21)
参考文献数
9
被引用文献数
4 3

撹乱依存型絶滅危惧植物のミズアオイとオオアブノメの大規模な群落の保全を図るために,省力的な撹乱方法として湿地ブルドーザの活用を試みた。湿地ブルドーザの撹乱により,3月撹乱,6月撹乱ともに,ミズアオイとオオアブノメの発生が誘発される傾向が認められた。また,ミズアオイとオオアブノメの出現率は,湿地ブルドーザによる大規模な撹乱作業と,市民による手作業の撹乱作業とで差異が認められなかったことから,湿地ブルドーザの利用は,群落保全の手法として有効であると考えられた。ただし,夏季以降に3月撹乱区ではヒメガマ,6月撹乱区ではイヌビエが優占し,ミズアオイやオオアブノメの出現率は低下したことが問題点として残された。
著者
繁冨 剛 安里 俊則
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.228-231, 2016

新名神高速道路通過予定地の淀川河川敷には,「鵜殿ヨシ原」と呼ばれる雅楽に使用される良質なヨシの自生地がある。そのため,環境保全を目的に各種調査,検討を実施している。その一つとして,簡易動的コーン貫入試験を実施し,結果を長谷川式土壌貫入試験値に換算し,地下茎の確認状況や,土質構成から良質なヨシの生育環境を評価した。<BR>その結果,良質なヨシの生育場所は軟らかなシルト層が広がる箇所であることが確認された。
著者
平林 聡 徳江 義宏 伊藤 綾 ELLIS Alexis HOEHN Robert 今村 史子 森岡 千恵
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.44-49, 2016 (Released:2017-01-30)
参考文献数
42
被引用文献数
3 4

川崎市川崎区を事例に,都市樹林評価モデルi-Tree Ecoを試行し,その解析結果および都市樹林管理業務への活用について考察した。モデルの改変,パラメータの設定を行い,一般に公開されているデータを入力データとして用いることで,街路樹による炭素蓄積・固定量,住宅の冷暖房使用増減量,大気汚染物質除去量とそれによる健康被害軽減,雨水流出量の削減を推定した。また,それらの貨幣価値は,参考値であるが年間約530万円と推定された。
著者
那須 守 岩崎 寛 高岡 由紀子 金 侑映 石田 都
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-8, 2012 (Released:2013-04-16)
参考文献数
22
被引用文献数
9 9

都市における緑地とその利用行動が居住者の健康関連 QOL に及ぼす影響について把握するために,東京都区内の住宅地においてアンケート調査を実施した。調査データから,緑地環境を含む「地区環境」「利用行動」「健康関連 QOL」を構成概念とするパスモデルを構造方程式モデリング (SEM) によって構築した。その結果,地区環境と利用行動は健康関連 QOL の 20%を説明し,両者の影響は直接的には同程度であること,しかし地区環境は利用行動を通して間接的にも影響することが示唆された。よって健康関連 QOLを高めるためには物理的な緑地環境だけではなく,利用行動も合わせて検討することが重要であると考えられた。
著者
大澤 啓志 井上 剛 瀧 寛則 屋祢下 亮 天石 文 林 聡 横山 理英
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.87-92, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

硝酸イオンを吸着・除去する水質浄化装置の有無による,都市型ビオトープ池の水生昆虫相及び水質や藻類の繁茂状況の影響を検討した。4 年間のモニタリングの結果,15 科29 種の昆虫が確認された。浅場での水生昆虫相の種構成・個体数には大きな差は認められず,装置設置池の方が非設置池よりもトンボ目の多様度指数は高かった。装置を設置した池では,夏季のクロロフィルa 量の極端な増加は生じず,設置後3 年目からは藻類発生の抑制効果が確認された。また夏季の池底最深部の昆虫類群集の極度の貧弱化が抑えられるとともに,池底のヘドロ様の堆積泥厚にも顕著な差が認められた。本装置設置によって池底での夏季の過度の富栄養化が抑制されていた。
著者
小坂 凜 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.254-256, 2014 (Released:2015-09-18)
参考文献数
6
被引用文献数
3 6

近年,オフィスにおけるパソコン作業 (VDT作業) は増加しており,VDT作業による精神的な疲労が社会的問題となっている。そこで本研究では,作業机の上に植物を設置することによる VDT作業時の疲労緩和効果を主観的および客観的指標から検証した。その結果,植物の設置による生理的な変化は見られなかったが,作業における疲労に対する主観的評価が減少する傾向がみられた。これらの結果から,オフィスにおけるパソコン作業上のデスクに植物を設置することは心理的な側面から疲労緩和に有効であると考えられた。
著者
村上 健太郎 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.63-68, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1

近畿~中国地方の鉄道駅周辺の市街地におけるハードスケープ即ち人為的で硬質な景観構成要素からなるハビタット(壁,石垣,建造物間隙,路傍間隙)に生育するシダ植物群落4,473 箇所のデータを分析し,シダ植物のハードスケープハビタットの選好性に関する基礎資料を得るための研究を行った。分析の結果,4 種のハビタットの中で最も選好されていたのは石垣であった。もともと岩上や樹幹,崖に生育する種だけでなく,森林種も多くの種が石垣を選好していた。ただし,森林種の29.3%は建造物間隙選好種であった。さまざまなハードスケープにおける植物の選好性を理解することは,長期的な視野に立った都市の生物多様性保全手法の開発に役立つだろう。
著者
中嶋 佳貴 沖 陽子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.543-549, 2016 (Released:2017-09-01)
参考文献数
22

特定外来生物ブラジルチドメグサ (Hydrocotyle ranunculoides L. f.) の水流の有無に対する生育反応及び地表における削取処理の効果を検討した。さらに茎の切断片の生育特性を把握した。削取処理を施さなければ茎長は 2か月で約 10 m 伸長した。茎は水流 ( 0.23±0.01 m/s) があると切断片が自然発生し,水流がないと乾物重が有意に重かった。表層土削取区 (表層 1cm) は地表面削取区 (地表面) より総乾物重が重く,茎削取区では植物体の再生は認められなかった。一方,実験開始時に 2 節及び 3 節の茎切断片は頂芽が切断されると再生が優れた。実験開始 63日後には,実験開始時に 2節であった茎切断片は, 4 節であった茎切断片の 8 割以上に達し,節数はほぼ同等まで発達した。以上より,茎が削取時に一部切断もしくは損傷されて残存すると,むしろ旺盛に増殖することが認められた。
著者
中村 華子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.274-276, 2007 (Released:2008-02-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1

富士山国有林内のヒノキ人工林が風倒被害を受けたあとに植栽された広葉樹植林地において,下刈り条件の違い(年2回20cm 高/年1回20cm 高/年1回50cm 高/2年に1回50cm 高/放置区の5段階設置)による植栽木の生育状態と二次遷移の進行状況を3年間調査した。3年目までの調査結果から,樹高成長は年1回の下刈りを行っている調査区で最大であった。また,侵入種数の増加のためには放置するよりも年1回程度の下刈りが有効であること,食害防除のためには20cm 高での下刈りよりも50cm 高での下刈りが有効であった。放置区では3年目以降大きくなったススキ株が倒伏しシカの侵入・食害が見られた。