著者
酒井 昇
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.251-257, 2018 (Released:2018-10-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
石渡 奈緒美 堤 一磨 福岡 美香 渡部 賢一 田口 靖希 工藤 和幸 渡辺 至 酒井 昇
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.265-274, 2012 (Released:2014-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
3

IHクッキングヒーターを加熱源とし,フライパンでハンバーグを片面ずつ焼成する時の温度と水分移動を予測できる数学モデルを構築するため,モデル試料(シリコン,ボロニアソーセージ)を用いた解析を行った。蓋をしたフライパン内全体を調理空間とみなした伝熱モデルは,IH発熱層,フライパン伝熱層,フライパンと試料との接触層および試料から構成される伝導伝熱領域と,フライパン内の空気との熱伝達からなる。試料表面と空気との熱伝達とともに,フライパンから空気への放熱が,試料の温度上昇に影響をおよぼすことから,試料のないフライパン面と空気との熱伝達も考慮した。水分移動の計算では,試料表面とともに,試料内部も水分蒸発の計算領域とした。本モデルの妥当性を検証するため,調理中に形状が一定とみなせるボロニアソーセージを用い,中心温度50℃で一度反転させた際の温度と含水率変化を算出した。その結果,解析値は実験値と同様な傾向を再現可能であった。
著者
和泉 眞喜子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.362-367, 2005-08-05 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
3

Experiments were performed to investigate why the acridity of spinach boiled in salted water was weak, even though most of the oxalic acid, the bitter taste ingredient, remained. The influence on acridity of pectin and cellulose was also investigated, these being components of the cell wall and the main ingredients of vegetables.A sour taste was perceptible in an oxalic acid solution with a concentration of 0.5-1 mM, and a taste different from that of water was experienced from a potassium oxalate solution of less than 5 mM concentration. Acridity was apparent with a 2.5 mM oxalic acid solution, and strong acridity was present at 10 mM. There was slight acridity in 5-10 mM potassium oxalate, and this was clearly apparent at more than 50 mM. NaCl added to the oxalic acid solution tended to weaken the acridity at 50 mM, and there was a significant effect on the acridity at 100 mM NaCl.50 mM NaCl added to a 100 mM potassium oxalate solution significantly weakened the acridity. The acridity of a 5 mM oxalic acid solution was significantly reduced when pectin was added due to the viscosity of pectin. It is suggested that the weakened acridity by adding NaCl to spinach was due to inhibition by the salty taste and to the viscosity of pectin.
著者
肥後 温子 水上 和美 富永 暁子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.170-179, 2004-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

炭素鋼(Fe)製とフッ素樹脂加工アルミ(Al-F)製フライパンを用い,焼き加熱と妙め加熱による焦げ色の変化を調べたところ,加熱操作法,食品の含水率,鍋材質による焦げ速度と焦げ時間の差がみられ,多くの試験条件において次の傾向が得られた. (1) 初期から中期の焦げ速度はいずれも直線的に増加し,A1-F製フライパンの焦げ時間(JEO~40到達時間)の方が焼き加熱の場合には約2倍,妙め加熱の場合には約1.5倍長かった. (2)Fe製はAl-F製に比べて加熱むらが大きく黄色域が少なかった. (3) 高含水率食品は低含水率食品に比べて焦げ速度が約1/2倍小さく,焦げ時間が約2倍長かった. (4) 妙め加熱は焼き加熱に比べて焦げ速度が約1/2倍小さく,低含水率食品では焦げ時間が約2倍長かった.
著者
樋爪 彩子 八木 徹哉 青柳 守紘 原田 歩実 伏木 亨
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.215-223, 2021-10-05 (Released:2021-10-11)
参考文献数
27

未熟・完熟山椒エキスが,塩分を控えた食品の風味に対してどのような影響を及ぼすかをVAS法及びTI法による官能評価により検証した。未熟・完熟山椒エキスはともに,塩分が低いかつお出汁の味を強める効果があることがわかり,減塩に役立つ可能性が示唆された。特に,完熟山椒エキスは,水っぽさのなさ,満足度やおいしさの向上にも効果的であった。未熟・完熟山椒エキスでは,味の増強効果が異なり,先味を強める未熟山椒エキスに対し,完熟山椒エキスは,味の持続性を高めることがわかった。両エキスの有効成分を同定するために,山椒エキス分画物の味の増強効果をTI法により評価した。その結果,完熟山椒の有効成分は,サンショール類とは異なる,フラクション2に含まれる成分であると考えられた。その成分は,サンショール類の味の増強効果の持続性を高める効果がある可能性が示唆された。
著者
大喜多 祥子 花﨑 憲子 和田 淑子 倉賀野 妙子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-17, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
28
被引用文献数
2

ビスケットの品質・嗜好性に及ぼすパラチノースの影響を検討するために,砂糖と置換するパラチノースの代替率を様々に変えたビスケットを調製し,生地の物性,焼成品の形状・官能評価,保存時の吸湿性を比較した。その結果,パラチノース溶液で調製した湿グルテンは砂糖に比べて圧縮時の応力値,エネルギー値ともに大きかった。ビスケット生地でも同様であった。したがって,生地調製時に形成されるグルテンの性状の相違が,生地物性に反映したと推察した。パラチノースは生地焼成時に垂直方向に大きく膨張させるため,焼成品は直径が小さく,厚さが大であった。パラチノースのみのビスケットは甘味が弱く,硬く,外観・甘味・風味が好まれず,総合的に好ましくないと評価された。パラチノースの代替率を60%にすると嗜好性が顕著に改善し,50%にすると砂糖のみの製品と変わらない嗜好性評価を得た。パラチノースのビスケットは,砂糖のビスケットに比べ水分活性が低いことから,保存性や物性変化の面で利用効果が期待できた。
著者
高橋 節子 近堂 知子 平尾 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.100-106, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
21
被引用文献数
5

生米粉および α化もち米粉の和菓子用米粉7種の特性は,ラピッドビスコアナライザーによる加熱・冷却時の粘度および糊液のテクスチャー測定より求め,ショ糖添加の場合と比較した。また練りきり,ういろう生地の調製法の違いが物性に及ぼす影響についても検討した。その結果,白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉はそれぞれ近似の粘度および糊液のテクスチャーを示した。白玉粉の粘度は上新粉に比べて低いが,最高粘度を示す温度は75℃と上新粉よりも低く,低温で糊化しやすいことを示した。α化もち米粉の上南粉は白玉粉,もち粉に近似のテクスチャーを示し,寒梅粉は粘度が低く,軟らかい糊液であった。練りきりは練りあんにぎゅうひを加えることにより,硬さ,凝集性が大となり成形性を増し,保型性を高める効果を示した。ういろう生地は,熱いうちに混捏したものが,また副材料は小麦澱粉に比べてくず澱粉を使用したものが,破断応力,破断エネルギーはともに大きい値を示し,こしのある生地が得られた。

1 0 0 0 OA ゆずごしょう

著者
神谷 禎恵
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.201-205, 2021-08-05 (Released:2021-08-06)
参考文献数
2
著者
奥谷 香 坂本 薫
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.335-343, 2020-10-05 (Released:2020-10-12)
参考文献数
17

近年,行事食や伝統料理,郷土料理などを若年層へ受け継ぎにくいことが報告されている。若い世代へこれらを伝えていくためには,世代や居住地域による嗜好の違い等を把握し,地域の食を伝承していく課題を見出す必要があると考えられる。そこで,行事食や伝統料理,郷土料理として日本人に受け継がれてきた寿司(早ズシ)の摂取状況調査とすし飯の官能評価を行い,寿司の摂取状況やすし飯の味付けの評価に世代や居住地域の違いがどのように関連するかについて検討した。その結果,食べることが最も多い寿司の種類は,どの世代も「にぎり寿司」であり,入手方法は若い世代は「回転寿司」が最も多かった。さらに,若い世代は普段の食事として寿司を食べており,すし飯の嗜好は世代や居住地域の違いで異なっていることが明らかとなった。地域の食を伝承していくためには,特徴をいかしつつ,文化的背景を知らせたり,味付けの一部をアレンジしたりし,興味を持ち,食べてみたいと思う取組を行うなどの工夫が必要であると考えられた。
著者
大羽,和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, 1999-05-20

1)キタアカリ(VC高含有品種)および男爵薯の生育に伴って,塊茎の重量,デンプン価,ビタミンC(VC)量が増大し,7月下旬に最大になり以後減少した。2)ジャガイモ(7品種)塊茎を冷却(4℃)貯蔵するとVC量も(GLDHase活性も1ヶ月後に顕著に減少し,1〜2ヶ月の間は変が少なく,2〜3ヶ月後に再び減少した。3ヶ月後のVC量が著しく減少する時期および貯蔵2ヶ月以降のVC含量の低い時期に高くなった。3)収穫直後に塊茎を4℃に移すとその2〜3日後にVC量およびGLDHase活性が増大し,以後減少した。4)ジャガイモ塊茎を15℃に貯蔵した方が,4℃に貯蔵した場合よりもVC量の減少が小さく,GLDHase活性は低く保たれた。
著者
河野,一世
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, 2005-12-20

The uses and styles of serving bonito during the first, middle and latter Edo periods were studied in cookery books written during those periods. Bonito cuisine was categorized into raw and heated, and processed bonito was also classified as dried bonito and dried bonito soup stocks. It has been reported that bonito has been eaten since the Jyoumon period, and this study, confirmed that eating raw bonito remained popular through the Edo period. The main cooking method used was boiling rather than roasting. Dried bonito was widely used as garnishing for sashimi, in fish and shellfish soup, and for cooked rice during the Edo period. The use of dried bonito in soup stock was believed to have started in the 16th century, although, the findings from this study show that it could be traced back to the 13^<th> century, long before the Edo period. Dried bonito soup stock was added to "iri-sake" which was used as a sauce for serving raw fish and also used to enhance the taste of many other dishes during the Edo period.
著者
高橋 敦子 伊藤 喜誠 奥嶋 佐知子 吉田 企世子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.232-238, 1997-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12

Pimpkin is a green-yellow vegetable rich in β-carotene and has been attracting attention recently as a healthy food. We measured the flesh components of the Japanese variety (cv. Hayato) and western varieties (cv. Ebisu, cv. Miyako and cv. Akazukin)to determine the characteristics of each variety, and examined the effect of the difference in composition on taste. The pumpkin was cooked in three different ways: steamed, boiled with seasoning and made into potage. Taste characteristics and preferences obtained from sensory tests were correlated with physical properties.The following results were obtained:1. Cv. Hayato had, comparatively high water content, low β-carotene, starch and ascorbic acid content, and high fructose content, a sweetening component. Taste assessment of steamed and boiled dishes was unfavorable but that of potage was favorable.2. Among the western varieties, cv. Miyalco had low water content and high starch content and β-carotene and ascorbic acid content were intermediate. Taste assessment of the steamed dish and potage was unfavorable because of the low water content, but that of the boiled dish was favorable because of the high starch content which gave good monthfeel.3. Cv. Ebisu had the highest water, starch and ascorbic acid content among the western varieties.. The contents of β-carotene and non-reducing suger were intermediate. Taste assessment of the boiled dish and potage was favorable.4. Cv. Akazukin had the highest β-carotene content among the four varietis, and intermediate starch, total ascorbic acid and non-reducing sugar content. The water content ranked second among the western varieties. Taste assessments were favorable for all cooking methods..
著者
中町 敦子 中村 恵子 四宮 陽子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.151-158, 2004-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2

デュラム小麦のセモリナ粉100%使用,標準ゆで時間11分のスパゲティを用いて,ゆで時間を5~20分まで変えて試料を調製し,アルデンテについての官能評価,水分含量・ゆで歩留測定,拡大写真撮影,糊化度測定,破断試験を行い,以下の結果を得た. 1)官能検査の結果,9,10,11分ゆでが「アルデンテである」と評価され,10,11分ゆでが「少し芯がある」,「好ましい」と評価されたので,好ましいアルデンテは10,11分ゆでであった. 2)日本人のアルデンテの10,11分ゆでは,ゆで歩留2.3~2.4,水分含量63~64%に相当し,これらは中心の白い芯がなくなった状態で,糊化度は90%以上であった. イタリア人のアルデンテはゆで歩留2.1~2.2とすると,ゆで時問8~9分,水分含量約60%に相当し,中心にまだら状に白い芯が残り,糊化度は約80%であった. 3)破断曲線を微分すると,ゆで時間の違いによってダブルピーク,肩,シングルピークの3つに分類された. 日本人が好む10,11分ゆではシングルピークの形で,イタリア人が好む8,9分ゆでは肩がある形であった. 破断曲線の微分はスパゲティの芯のゆで状態の指標になった. 4)20分放置により,拡大写真撮影では中心部への水分移動が見られたが,糊化度はゆで直後と差が認められなかった. また破断曲線の肩はシングルピークになり,破断特性値は全体的に低下した.