著者
米田 千恵 粟津原 元子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-343, 2008-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13

冷凍メバチ肉の塊を,30℃ の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃ の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃ での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では, 解凍法1 で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。
著者
橋場 浩子 牛腸 ヒロミ 小見山 二郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.26-30, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
15

豚ロースブロック肉中の食塩の拡散挙動を調べた結果,大根,凝固卵白,豚肉,ジャガイモ中の食塩の拡散に比べ食塩が浸透しにくいという結果が得られた。そこで,浸透がしやすい豚ロースミンチ肉を調製し,SEM観察を行った。ミンチ肉の筋線維が破壊されており,拡散プロファイルは他の食材のそれに近づいた。二元収着拡散理論を適用して,NaClのラングミュアー型および分配型の熱力学的拡散係数,DT(L)とDT(p)を求めたところ,ミンチ肉はブロック肉の約2倍大きいことがわかった。これらの結果に基づいて,ミンチ肉とブロック肉の感覚に及ぼすミンチの影響を官能評価により比較した。これら2種の豚ロース肉の官能評価の結果,2点識別法ではミンチ肉はブロック肉に比べて,有意に色が明るく,塩味が強く,軟らかかった(p<0.01)。これらの結果は色度測定,塩分測定,テクスチャー測定の結果に対応していた。2点嗜好法では,軟らかさに対する好ましさでミンチ肉が有意に好まれた(p<0.01)。以上の結果から,組織構造が煮物の味やおいしさに関与することが示唆された。
著者
柴田(石渡) 奈緒美 向後 明里 松波 由奈
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.405-412, 2019

<p> 本研究では主要アレルゲンである鶏卵,小麦および牛乳を使用しないハンバーグの調理方法を検討した。</p><p> ハンバーグには鶏卵,パン粉および牛乳が使用されている。そこで鶏卵の代わりにすりおろした長芋と大和芋,パン粉と牛乳の代わりに豆腐とおからを使用した。その結果,卵,パン粉および牛乳の全てを1種類の食材で代替すると,焼成後ひき肉同士が接着されない,通常のハンバーグ(標準試料)と比較し有意に硬くなる等,同等な品質を担保できないことが明らかとなった。2種類の食材で代替すると,焼成後,ひき肉同士が接着されていた。また代替する豆腐の含水率を変化させることで,焼成後のハンバーグの硬さを調節できることが明らかとなった。これに対しておからを代替する食材として使用した場合,硬さを調節することは難しいことが示唆された。また大学生を対象とした官能評価より,長芋と30分水切りした豆腐を使用したハンバーグが,標準試料に近い品質であることが示唆された。</p>
著者
佐藤 幸子 数野 千恵子 西島 基弘
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.111-116, 2008-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

タイム(Thymus vulgaris L.)を加熱したときの香気成分の挙動を検討した。フレッシュタイムの香気中に,炭化水素類(α-thujene・α-pinene・camphene・β-myrcene・carene・limonene・γ-terpinene・cyrnene・caryophyllene),アルコール類(1-octen-3-ol・linalool・borneol)およびフェノール類(thymol)の14成分を確認した。GC-MSによる香気成分の構成割合は,加熱によってフェノール類のthyrnolが増加傾向を示し,加熱温度が香気成分の揮散に影響していることが推察された。GC-O分析によりフレッシュタイムの香気成分は,初めにα-thujeneとα-pinene,次いでlinaloolとborneol,最後にthymolを順次感じられることがわかった。タイムの香気成分を構成割合とFD-factorにより総合的に検討した結果オーブン加熱では樹木様の香り,電子レンジ加熱では青葉様の香り,真空加熱では甘い青葉様の香りが特徴的であり,加熱方法によりそれぞれの特徴的な香りを食材に賦香することできると考えた。
著者
根立 恵子 石井 幸江 米田 泰子 由比 ヨシ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.215-222, 2012 (Released:2014-02-28)
参考文献数
27
被引用文献数
4

食生活管理者を目指している女子大学生224名を対象として,魚類や肉類の利用状況と,食経験や居住環境がその利用状況にどのように影響するかを調べた。 育った環境が海から離れていても,新鮮な魚類を食べて育つという食経験が,魚類に対する嗜好を高めていた。調理技術の伝承は家庭が多くの役割を担い,魚料理では53.6%,肉料理は62.9%の学生が母・祖母から伝承されていた。学校教育の関与も見られ,魚料理は27.7%,肉料理は18.8%の学生が学校からと答えた。 魚類や肉類の摂取頻度に居住形態が影響し,1人暮らしの学生は豚肉と鶏肉を多く食べる傾向にあった。自宅生は比較的魚類,牛肉の利用が多かった。居住形態によって使われる調理操作も多少異なり,自宅生は魚類では生,牛肉では焼く,鶏肉では揚げる操作を比較的多く使っていた。1人暮らしの学生は魚類,肉類ともにフライパンがあれば調理が可能なソテーを多く使い,揚げる操作の利用は少なかった。
著者
三浦 加代子 坂本 薫 中谷 梢 作田 はるみ 橘 ゆかり 岩城 啓子 升井 洋至 森井 沙衣子 川西 正子 堀内 美和 片平 理子 白杉(片岡) 直子 井奥 加奈 横溝 佐衣子 岸田 恵津
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.44-52, 2020-02-05 (Released:2020-02-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

小学校家庭科での炊飯学習のあり方を検討することを目的に,近畿および関東の公立小学校の家庭科担当教員を対象に,教育現場での炊飯実習の実態を調査した。平成25年に近畿630校,平成26年に関東700校を無作為に抽出し,炊飯実習に関する調査票を郵送した。近畿306校,関東234校より回答が得られた。炊飯実習は約97%が5年生を対象に実施されていた。90%以上が鍋を用い,材質はガラスが85%を占めていた。炊飯実習の米の量,洗米,水加減,浸水時間,加熱の仕方などの指導は教科書の方法に従って行われていた。教員が実習で困っていることは,「火加減の調節の指導」,「焦げること」が多くあげられた。教員は,児童が自分でご飯が炊けた達成感を感じ,ご飯が炊けるまでの変化に興味をもっていたととらえていた。教員は炊飯実習を有意義な実習であると考えていた。「火加減の調節の指導」や「加熱時間の調整の指導」,「焦げることへの対応」は今後の検討課題である。

1 0 0 0 OA 納豆

著者
三星 沙織
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.33-37, 2019-02-05 (Released:2019-02-15)
参考文献数
39
著者
大坪 研一
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.393-398, 2002-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2