著者
青木 亮 谷川 浩隆 最上 祐二 柴田 俊一 狩野 修治 高梨 誠司 王子 嘉人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.157, 2010

[目的]精神疾患を併存する患者が外傷を受傷した場合、精神症状の評価、治療、管理等の不安要素から、一般病棟での受け入れ困難となる症例が多い。精神疾患を罹患した外傷患者2例について、その問題点など検討して報告する。[症例]症例1:48歳女性。精神科で統合失調症と診断され治療を受けていた。自殺企図でアパートから飛び降り、腰椎破裂骨折による腰髄麻痺、骨盤骨折、両踵骨骨折、左橈骨下端骨折を受傷した。他院救急部に搬送されて手術を受けたが、リハビリ目的のため、受傷後3週で30km以上の遠隔地である当院へ転院となった。腰髄損傷による下肢麻痺があり、車椅子への移乗も不可能であった。当初は精神科病棟に入院したが精神症状は落ち着いていたため整形外科病棟に移り、リハビリを中心とする治療を継続した。症例2:55歳男性。アルコール依存症とうつ病で治療を受けていた。自宅アパートの階段より転落し、外傷性くも膜下出血、頚髄損傷を受傷し、他院救急部に搬送され頚椎の手術を受けた。受傷後2週で当院に転院となった。下肢麻痺のため座位保持も困難であり、上肢も手指運動は大きく障害されていた。一般病棟でリハビリを中心とした治療を継続した。[考察]整形外科的治療を要する外傷を負いながら、精神疾患のため一般病棟での受け入れ困難な症例がある。その原因は患者側というよりも治療側、すなわち受け入れ側の精神疾患に対する先入観であることも事実である。当院は精神科と整形外科のある総合病院であり、精神疾患を抱える外傷患者を積極的に治療してきた。このため精神疾患のある外傷患者が、遠隔地より紹介され入院してきている。本発表2症例のように後遺症を残すような麻痺が生じた場合、退院、在宅支援への移行などの問題を抱えることが多く、これらに対応できる医療体制の確立は急務である。
著者
高谷 寿子 粂井 美起 畑中 幸世 吉村 清美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.154, 2010

1 はじめに<BR> 両親から離れてNICUで過ごす児にとって両親の面会は親子関係を育む重要な場となる。両親は面会において様々な不安や戸惑い・緊張感を感じている。A病院NICUでは面会者の不安や緊張の緩和を目的に音楽を流している。面会中の両親にアンケート調査を行った結果、音楽は両親の不安や緊張を和らげ安心した状態で親子関係を築くことに繋がったのでここに報告する。<BR><BR>2 研究方法<BR>(1)期間:平成22年1月~3月<BR>(2)対象:NICUに面会に来た児の両親17名<BR>(3)方法:(1)面会時間毎にジャンルの違う曲を流す<BR> (2)アンケート調査<BR>(4)倫理的配慮:無記名回答、研究の目的、目的以外には使用しないことを書面にて説明、同意を得た。<BR><BR>3 結果<BR> NICUでは機械のアラーム音が気になると75%が答えており、癒しの音楽が流れていることに全員が気付いていた。音楽により「気分転換になった」が83%であり、内容は「音楽に気が向き不安・緊張が和らいだ」、「リラックスできた」、「明るい優しい気分になった」が挙げられた。音楽は授乳や抱っこの時に感じるが67%で、全員が癒しとなる音楽を継続して流してほしいと答えている。音楽の好感度順はヒーリング曲44%、クラシック曲33%でオルゴール曲、歌謡曲と続いた。<BR><BR>4 考察<BR> 様々な不安や戸惑い・緊張を抱えて両親はNICUの面会に来る。モニターやアラームなどの機械音が面会者の不安や緊張を高めたと考えられる。筒井らは「BGMは無意識的に情感を揺する力をもち、緊張・不安の緩和を図るものだ」<SUP>1)</SUP>と述べている。音楽は両親の不安や緊張を和らげ、その結果児との関わりを深めることに繋がった。NICUで音楽を流すことは面会中の両親が安心して児と触れ合い親子関係を築いていく上で効果的であったと言える。<BR><BR>5 まとめ<BR>(1)NICUで音楽を流すことは面会者にリラクゼーション効果をもたらし、ストレス軽減に有効である。<BR>(2)音楽はNICUの面会環境づくりに効果的である。<BR><BR>(引用文献)<BR>1)筒井末春:心の健康と音楽、看護展望、12、1987
著者
鈴木 久史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.217, 2009

〈はじめに〉肺癌は国内における癌死亡原因の第1位であり,肺癌による死亡数は依然増加傾向にある。肺癌の根治治療には手術が不可欠であるが,肺癌は症状が出現してからの受診では診断時に進行癌であることが多く,手術不可能例も少なくない。当院では2年前に呼吸器外科を開設し,肺癌手術が行える体制を整えた。今回我々は,呼吸器外科開設以来,当院で行った肺癌切除症例を見直し,どのような経緯で切除可能肺癌が発見されたかについて検討した。<br>〈対象と方法〉呼吸器外科が開設された2007年4月より現在までの2年間で行われた肺癌手術症例42例を対象とし,受診経緯を中心に症例の比較検討を行った。<br>〈結果〉肺癌切除症例数は,男性33人,女性9人の計42人。平均年齢は男性71.1歳,女性63.4歳であった。受診経緯については,健診発見が18例(42.9%),他疾患フォロー中の発見が13例(31.0%),有症状受診が9例(21.4%),その他2例(4.7%)であった。他疾患フォロー中の症例については,一般消化器外科,泌尿器科,内科,脳外科,眼科など多方面からの紹介で発見された。発見時の腫瘍の大きさは各群で有意な差はなかったが,病理病期に関しては健診発見群で早期の割合が多かった。一方,有症状受診群では早期症例は少ない傾向にあった。<br>〈考察〉切除可能な肺癌症例を発見するためには,症状の出ないうちに早期発見することが重要であるが,今回の結果より健診の役割が高いことが改めて示された。さらに他疾患フォロー中に発見される例も多いため,呼吸器科以外で胸部異常影を確認した場合は,呼吸器科への速やかなコンサルテーションが望まれる。そのためにも各科間でスムーズな情報交換ができる院内環境も重要であると考えられた。
著者
塩田 明雄 松井 則明 藤澤 忠光 後藤 秀比古 小松 昭善 吹野 陽一 寺田 恵子 高柳 直巳 鹿島 信一 佐々木 和子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.193, 2005

【目的】当院では、診療報酬請求をより適正に行なうため各種対策を行なってきた。具体的には、請求漏れと保険査定減対策、当月分未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策である。<BR>【方法】(1).診療報酬請求漏れ対策は平成15年から医事入院係各自がそれぞれ各請求担当分野の請求漏れをあらためて検証した。<BR>(2).平成16年からは医事外来係まで拡大し、請求診療科ごとに同じように請求漏れを検証した。<BR>(3).(1)(2)の方法、結果はいずれも各自・各グループからパワーポイント資料を使った発表会を行い医事職員全員に周知した。<BR>(4).保険査定減対策は、査定事前対策として医師による請求時のレセプトチェック、対策委員会での再請求審査、委員会作成の医師用簡易レセプトチェックリスト周知などである。これら委員会の情報は院内情報システムで閲覧できる。<BR>また、医事知識を得る上でも病棟カンファレンスにも参加した。<BR>(5).当月保留レセ・月遅れ請求レセ管理対策も新たに開始した。<BR>【結果】請求漏れ対策では入院関係がH15年、H16年の検証テーマ数はそれぞれ13題、外来の検証テーマ数は16年12題である、テーマは豊富である。<BR> 保険査定減対策はH15年、H16年年間平均比較で保険査定率平均(1か月)で0.43%から0.30%に、保険査定金額では同様に5,543千円/月から3,953千円/月に減少した。<BR> 当月未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策では月毎に多少の凸凹はあるものの件数、点数共に減少傾向である。<BR>【考察】請求漏れ対策については、テーマが豊富であるということは漏れがないとはいえない。しかし職員がその請求漏れを掌握しつつあることは確かである。保険査定減対策は大幅に減少している。顕著な成果がでてきた。返戻レセまたは月遅れレセの早期提出も以前より停滞が減少した。管理が行き届いた成果と考える。<BR>【まとめ】診療報酬請求の適正化対策は、どの対策も結果は良好であった。今後も引き続き適正請求を積極的に展開したい。<BR>
著者
藤城 宏昭 益満 ゆかり 鈴木 政義 岡本 伸江 河合 初代 榊原 由美子 鈴木 宏 宮下 智子 天野 博子 渡邉 純子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.378, 2006

<b><はじめに></b> 現在当院には、平成14年6月に設置されたStar Office(NEC製)と呼ばれるグループソフトウエアがある。しかし、現在に至っても多くの職員が使用方法を知らず、その機能も認知されていない。メールや掲示板、ファイル保存機能等を使いこなせば日常業務や情報伝達に非常に役立つツールである。そこでStar Office機能を全職員に周知し活用促進していく為にいくつかの検討をした。以下にその取り組みと考察を述べる。<BR><b><方法></b> 全職員を対象に取り組んでいくのは難しい為、今回はまず事務職員を対象に活用促進を徹底していくこととした。現状把握の為、事務職員にStar Officeの基本機能15項目についてアンケートを実施した。その操作が「できる」なら1点とし、全機能操作ができれば15点満点とした。5点までを初級、10点までを中級、11点以上を上級者として集計したところ54%と半数以上の事務職員が初級・中級者であった。また、過去のメールの送受信状況を調査したところメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封した事務職員は全体の41%と半数以下であった。<BR> 以上のことを踏まえ、上級者を100%にすると言う目標値をたて、アンケートに書かれたコメントを参考に重要要因を3点にしぼった。(1)「使い方を調べる分かりやすいマニュアルが無い」、(2)「機械に対する苦手意識がある」、(3)「機能や便利さが周知されていない。また身近に質問できる人もいない」これらの問題点についてそれぞれ対応策を考え実施した。(1)については、自分達で必要最小限の機能に限定したマニュアルを作成した。初心者が見ても分かりやすいようにワンステップごとに実際の操作画面を取り込み、コメントを添えた。これをカラー印刷し各部署に一冊配布した。またStar Officeの掲示板に保存し、必要時に誰でも見られるようにした。(2)_についてはゲーム感覚で機械に慣れ親しんでもらう為、メール機能を利用した伝言ゲームと言う形で実施した。事務職員をいくつかのグループに分け、提示した「お題」を基に一人が1行のあいうえお作文を作り、次の職員にメールを転送してもらった。苦手意識も薄れ楽しく操作してもらう事ができた。(3)については、作成したマニュアルを基にメンバーが講師となり勉強会を開催した。あわせて啓蒙活動も行った。特に初級レベルの職員は、非常によく理解できたと好評であった。<BR><b><結果></b> (1)から(3)の取り組みが一通り終了した後に再度15項目のアンケートを実施したところ、上級者は46%から71%と25%も上昇した。結果、目標値の上級者を100%にすることはできなかったものの、初級・中級者のStar Officeに対する機能操作の理解が得られた。またメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封している事務職員の数は41%から70%と約30%も上昇した。このことから情報の伝達手段としてメールを活用することが定着してきた。<BR><b><考察とまとめ></b> 3つの取り組みがそれぞれ効果的に働き、目標である「Star Officeの機能を周知し活用促進していく」事の第一歩を踏み出すことができた。この成功を踏まえ、今後は医師も含め全職員へ徹底周知していくと言う目標へ向けて継続的に活動をして行きたい。また定期的にマニュアルの更新、勉強会の開催もおこなって行きたいと考えている。
著者
木村 幸恵
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.269, 2008

幼児が主体的に吸入に臨むための工夫人形を用いたプレパレーションを導入して木村幸恵・上岡めぐみ・吉宮倫子・川平民子〈緒言〉当病棟では喘息、肺炎などで吸入療法を必要とする患児が入院することが多い。しかし吸入を嫌がり、怖がって逃げようとする患児が多くみられる。保護者には吸入の方法・効果を説明していたが、患児には具体的に説明していなかったので吸入を怖がっていたのではないかと考えた。プレパレ-ションにより患児がこれから行う処置をその子なりに理解し、主体的に臨む行動がみられたとの報告があった。幼児には言語的説明で行うことより、年齢や発達段階に応じて視覚的、或いは体験を通したプレパレ-ションが有効であるといわれている。そこで当病棟でも幼児を対象とし、人形を用いた吸入のプレパレ-ションを行い、その子なりに吸入という治療を理解し、主体的に吸入に取り組めるよう援助しようと考えた。プレパレ-ションを行い、患児の吸入への取り組みを観察し、プレパレーションの効果を検証したので報告する。〈方法〉入院中の吸入療法を必要とする3~6歳の患児を対象に実施。プレパレーション実施方法1)場所:病室 2)ツール:ばい菌シール付きキワニスドール(キワニスドールはプレパレーション前に患児に自由に絵を描いてもらう)3)実施時期:入院して2回目の吸入時 4)実施時間:6分 5)プレパレーション実施にあたり、説明手順を作成し、実施中の言葉、時間を統一するようメンバーで練習を10回行った。プレパレーション実施前(付き添う親に吸入方法を説明し患児には説明していない)と実施中と実施後の患児の吸入への取り組みを独自の指標のチェックリストを用いて観察し、その行動を分析する。〈結果〉1.対象の属性A:3歳10ヶ月 男児吸入暦ありB:3歳 男児吸入暦ありC:3歳11ヶ月 女児吸入暦なしD:4歳4ヶ月 男児吸入暦なし2.疾患:肺炎2名、気管支喘息2名Cは1回目の吸入時、嫌がり泣いていたが、プレパレーション後実施できた。また、プレパレーション後、吸入の必要性を全員に質問したところその子なりの理解した言葉が聞かれ、必要性を理解できていた。B、Cは人形にも吸入を行い人形に「コンコンなくなるけえね。」「早く帰ろうね。」などと話しかけていた。プレパレーション後、全員嫌がることなく吸入を実施することができ、自分から吸入の電源を入れたり、吸入器を持ったり、「吸入する。」との言葉が聞かれ主体的に実施できた。人形を用いたごっこ遊びのプレパレーションを行い、患児は吸入を遊び感覚で日常的なものととらえることができた。遊び感覚で吸入を行い、主体的に取り組むことができた。またB、Cはプレパレーション後も、人形を使用しばい菌を剥がし「バイバイキーン!」と言って遊んだり、人形に吸入をしたりして何回も遊んでいた。Dもばい菌シールをつけたり剥いだりして遊んでいた。吸入後も、人形を用いて繰り返しごっこ遊びをすることで理解を深めていくことができた。
著者
丑山 奈津枝 丸山 やよい 松崎 吟子 宮崎 恭子 小林 聖子 永井 秀子 林 卓也 秋月 章
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.120, 2009

【はじめに】切迫早産妊婦の一般的な治療方法として安静があげられる.当病院では,切迫早産で入院した妊婦の清潔ケアは医師の指示のもと,安静が保てるようにストレッチャー上で臥床した体位でシャンプーを実施している.しかし,ストレッチャー上でのシャンプーの患者のとらえ方,また子宮収縮などの危険性の有無は明らかでない.本研究の目的は,ストレッチャーシャンプー時の子宮収縮の有無と,妊婦の状態を知ることである.<BR>【対象及び方法】 1.分娩監視装置を用いて,ストレッチャーシャンプー前・中の子宮収縮状態と胎児の心拍数の変化を見た.2.ストレッチャーシャンプー終了後,シャンプー方法に関して,5段階の間隔尺度を用いて切迫早産妊婦に聞き取り調査を行った.調査内容は,肩の張り感,背中の張り感,上腹部の張り感,下腹部の張り感,腰の痛み,臀部の痛み,足のつり感,爽快感,疲労感,緊張感,不安感,頭皮のかゆみ,頭皮のべたつきの13項目であり,またその他の要望(1週間のシャンプー希望回数,お湯の温度,シャンプー時間)の聞き取り調査をした.統計学的検討にはχ2検定を用い,危険率5%以下を有意とした.<BR>【結果】分娩監視装置による, ストレッチャーシャンプー前,シャンプー中の結果は子宮収縮状態・胎児心拍数異常はともに有意差はなかった.ストレッチャーシャンプー時の妊婦の症状に対する聞き取り調査結果は,妊娠週数と症状の出現に関連性は無く,症状を訴えた妊婦は,症状がなかった妊婦より平均年齢が高かった.<BR>【考察】 今回の研究で当病院でのストレッチャーシャンプーの方法は,安全性においておおむね問題はないと確認できた.妊婦の満足度も比較的高く,清潔面の援助を充実させることは切迫早産妊婦のストレス軽減につながる.今後も妊婦の状態や希望にあった看護をさらに提供する必要があると考える.
著者
山井 麻衣子 寺田 優 大野 公子 千葉 一美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.43, 2007

はじめに〉消化管手術後の腸管運動促進はイレウス予防に重要である。当科では初回排ガスが72~96時間と遅延傾向にある。私達は、ガム咀嚼が術後の腸管運動促進に効果があることを知り、当科の消化管手術後の患者にも検討が可能ではないかと考えこの研究に取り組んだ。(研究方法)目的:ガム咀嚼が消化管手術後患者の腸管運動促進に有効か明らかにする期間:平成18年8月1日~12月31日対象:誤飲する危険がない、理解力のある消化管手術を受けた患者方法:術前にガムを噛むことに対して説明・同意を得られた患者で、術後1日目より水分開始まで、1日3回5分以上ガムを噛んでもらい、初回排ガス・排便時知らせてもらう。その後アンケート調査。〈結果〉症例数13例のうち5例は調査途中での中断となった。8例の平均時間は76.8時間。アンケートでは咀嚼の回数、時間、味、共に適当で、爽快感が得られたと回答があった。他に、初めてガムを噛んだ、食事変わりになって時間の意識が出来て良かったなどの意見が寄せられた。(考察)現段階では、症例数も少なく、効果的か判断するには至らなかった。しかし、アンケートの中で、爽快感を得た人が87.5%いた。これはガム咀嚼による神経活動によるものと考える。石山は、「咀嚼を行うことで感覚入力し脳を刺激すると、一時的に交感神経を亢進させるが、運動を休止させると、自律神経の相反支配により副交感神経が優位に作用する。」と述べている。その結果、ガム咀嚼後は精神的にもリラックス状態になる。アンケートの中で爽快感を得た人が87.5%となったのはこのことからと考える。味についてはミント味レモン味で行ったがレモン味の方が好まれる傾向にあった。一般的には柑橘系の香りには、リラクゼーション効果があると言われている。一回の咀嚼時間はもともとガムを噛む習慣のある人には苦痛はなかったが、初めて噛む人・痛み・嘔気のある人には苦痛だったようだ。今回の取り組み以降、消化管手術後の腸管運動促進の援助にガムを取り入れているが、好みの味で苦痛のない範囲で行っている。術後の禁飲食の続く中、認知症のある患者には食事代わりで時間の意識が出来て良いなどの意見も聞かれた。術後は痛みの為に口腔内の清潔・離床も、ときには後回しになりがちである。咀嚼運動による唾液分泌は、口腔内の乾燥・感染予防にも繋がったと思われる。今回、ガム咀嚼を取り入れることで、ギャッチアップがスムーズに進む手ごたえがあった。これは早期離床への援助効果があったと考えられる。(まとめ)1.ガム咀嚼は排ガス促進に明らかな効果は認められなかった。2.ガム咀嚼は爽快感が得られる。3.早期離床への援助効果があった。(おわり)今回の研究では症例数も少なく、ガム咀嚼が腸管運動促進に効果があるかを判断できるまでに至らなかった。しかし、方法、対象などを検討し、今後も追跡していこうと思う。
著者
鷹津 久登
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.16, 2011

<B>〈背景〉</B>脳血管障害や虚血性心疾患などの心血管疾患(cardiovascular disease ; CVD)の発症には,生活習慣に関連する様々な危険因子が強く関連することが知られている。高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙が4大危険因子とされ,これらの治療が重要視され,また昨今は腹部肥満を特徴とするメタボリック症候群への介入が強く叫ばれている。一方,我が国のCVD 特に虚血性心疾患の発症は欧米より数段低く,その理由の1つとして我が国では魚食をふんだんにするため,これらに由来する不飽和脂肪酸の摂取が良い影響をもたらしているのではないかとされている。加えて,魚食を好むわれわれ日本人の中でも魚食の特に多い住民群ではそうでない群に比較して動脈硬化性疾患の発症が有意に低いことが近年の疫学調査で明らかにされつつある。<BR><B>〈目的〉</B>さて,われわれの診療フィールドの一部である岐阜県の農山村に目を移したとき,はたしてその食習慣や,血液中の不飽和脂肪酸濃度の実情がどのようであるかを明らかにすれば,食の面から農山村住民にアプローチする端緒になると考え以下の検討を行った。<BR><B>〈方法〉</B>対象として岐阜県関市上之保地区の住民の協力を得ることとした。この地域は濃尾平野の北端に存在する関市に最近編入された山間部にあり,住民人口は2,100人程度,農業,林業が中心であり,高齢化率も36%を超えている地域である(調査を行った2008年の統計)。また,「海なし県」の岐阜県の中でも歴史的に海からの食料の流通が少ないため,魚食習慣もあまり多くないことが予想された。そこで毎年行われる住民検診の際に,住民の協力を得て食習慣に関する簡単なアンケートと一般血液検査の際に血清中の脂肪酸分画の測定をさせていただくこととした。文書と口頭にて検査内容を説明し文書にて検査の同意を得られた男性118名,女性189名の計307名が対象で,年齢は平均64.3±13.2歳であった。食習慣のアンケートについては対面式の聞き取り調査を行ない,脂肪酸分画の測定は株式会社BML に依頼した。魚食に関連する不飽和脂肪酸の目安としてEPA/AA 比(エイコサペンタエン酸/アラキドン酸比)を求め,これらをJELIS 研究(Japan EPA lipid intervention study)で求められた全国平均値,および岐阜市平均値と比較検討した。<BR><B>〈結果と考案〉</B>週のうち魚食をする頻度を尋ねたところ2日と答えた人が最も多く,平均2.0日,肉食は平均2.3日であった。また,魚食による不飽和脂肪酸を反映するとされるEPA/AA 比は平均で0.42±0.23と全国平均0.61±0.20,岐阜市平均0.48±0.30に比べて低値であった。また,年齢別のEPA/AA 比は男性では70歳代,女性では80歳代が高く50歳代の方が低い傾向にあった。岐阜県内での脳血管疾患標準化死亡比をみると当地での男性の比が高く魚食の少なさが関与している可能性も否定できない結果であった。<BR><B>〈結論〉</B>海から遠く位置する農山村では魚食の頻度が低いと考えられ,これは血清中の不飽和脂肪酸の分析からも裏付けられた。いくつかの疫学からEPA は動脈硬化性疾患の予防効果が示されており,特にこのような集団ではその効用が期待できる。今後は特に若い世代への魚食の促進とともに必要に応じたサプリメントなどの摂取が推奨されると考えられた。
著者
永井 豪
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.11, 2011

岐阜県の県紙,岐阜新聞で長年,記者として県内各地を歩いてきた。「地域医療」に正面から取り組んだ体験はないが,地域と地域医療は切り離せない。地方新聞の一記者のささやかな体験にすぎないが,取材で出会った「地域医療」を振り返ってみた。<BR> 直近の地方勤務は下呂。名泉と下呂膏で名高い下呂温泉に太平洋戦争末期,旧陸軍傷病兵のための医療施設ができ,これを母体に戦後,県立に移管された下呂温泉病院は,一時は温泉を活用した独自の療法でも話題を呼んだ。自治体病院はどこも大概は経営難であることは承知していたが,ちょうど地方独立行政法人に移行する直前のころで,合併により市立となった金山病院とともに,老朽化した施設の整備改修が迫られる中,現場の医師や看護師らが懸命に日々の仕事をこなしていた。地域住民にとって,さまざまな健康や病気に対する不安に応え,診療や治療を受けられる総合病院はかけがえのない存在だったが,診療科も医師数も減り,患者だけでなく医師や職員が腹ごしらえをする食堂も閉鎖された。診る側も,診られる側もいらだちや漠然とした不安は募る一方のようだった。もう2年がたって,事態はもっと深刻化しているのではないかと危惧している。<BR> 出張先のJR 下呂駅構内で倒れ,心肺停止となった男性を,たまたま通りかかった18歳の娘さんが機敏な対応で救命した。この娘さんは高山の看護学校を卒業して下呂温泉病院に就職する直前の「看護師の卵」で,実習で学んだ通りの救命措置が役立った。大きな病院も,こうした一人一人の働く人の知恵と力と勇気によって成り立っているのだろう。<BR> 地域の「あかひげ先生」に贈られるノバルティス地域医療賞がかつてチバ地域医療賞といわれていたころ,美濃加茂の開業医,黒岩翠さんの受賞式を取材した。今から15年前,原因不明の川崎病の500症例を経験,診断,治療,後遺症予防に好成績を上げ,表彰を受けた黒岩さんは「医は仁術と思って励んできた」と話しておられた。5年前に86歳で他界されたが,その診療姿勢は患者と症状をよく診るという,医の原点ともいうべきもの。平成の大合併で今は恵那市所管となった国保上矢作病院の大島紀玖夫名誉所長も故郷の先年,同じ賞を受けている。「無医村の悲劇をなくしたい一心で」「病気を診るのではなく,人を診るのが医師」など,受賞に際し,語られた言葉は一つ一つ印象的だ。<BR> 岐阜,愛知県境に位置する笠松町の松波総合病院を,木曽川に雄姿を映す現在の病棟ができた1988年に取材した。まるでホテルのロビーのような広大なエントランスホールは,大規模災害時を想定し,ここでトリアージができることをも想定したものだ。分厚い堆積層の軟弱地盤を考慮した地震に強い耐震構造で,ハード,ソフトの両面において,県境にかかわらず,このビルが見える限りの広い地域の住民の健康と安心を平時も災害時も確保できる地域医療の拠点病院であろうとした志は高い。近くヘリポートを備えた施設も増築されるという。今後は医療の質をより高め,地域の信頼に応えてほしい。<BR> 最後に,これはそもそもの話だが,今は地域がさまざまな病気に苦しんでいるといってもいい。地域が元気でなければ,地域医療もよって立つ基盤を失ってしまう。長年,地域を取材してきた記者として,地域とともに歩む地域医療であってほしいと願っている。
著者
須田 秀俊 横山 孝子 松島 松翠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.103, 2010

<緒言>若月俊一により確立された八千穂村の全村健康管理事業は、50年を経過している。その始まりを調査するなかで、これは戦前からの農村保健運動の成果をとりいれた経過が明らかになったので報告する。 <結果および考察>農村医学会が発足する以前の戦時下すでに、岩手県をはじめとして産業組合が組織をあげて農村保健運動を推進していた。この実行組織として全国協同組合保健協会では、病院建設、国民健康保険代行、保健婦養成の3点に重点をおき、病院建設は岩手県、保健婦養成は島根県や山形県をモデルに進めていた。佐久病院設立においても、そのモデルは岩手県の広域医療組合であった。そのほか、労働科学研究所の農村労働調査所の成果や、当時開設された農村保健館の事業、そして恩賜財団母子愛育会による愛育村の保健婦活動の成果をとりいれていた。そして対住民の現場においては、保健婦業務支援の保健補導員を下部組織におき、産業組合病院が保健指導を支援することを理想としていた。これは、戦後昭和30年代に若月俊一が、八千穂村をフィールドとした全村健康管理活動につながる前史である。 このほか、各地の産業組合病院では、症例研究会が開催されており、栃木県の足利病院や、秋田県の平鹿病院では特に盛んであった。また無医村対策として、保健婦を町村ごとに作られた、国民健康保険組合におくことを目的に保健婦養成に力を入れていた。 しかし昭和18年に、それまで国策の健民運動にそった農村保健運動は、治安維持法違反による指導幹部逮捕により活動停止状態となり、終戦を迎えた。戦時下における保健協会の指導幹部は黒川泰一 高橋新太郎 小宮山新一の3人であった。 昭和30年代に八千穂村の全村健康管理がはじまったころは、各地で数多くの同様な取り組みがなされていた。しかし現在も継続されているのは、八千穂村(現佐久穂町)と沢内村(現西和賀町)ほか数例しかない。農村医学の性質を見出すには、農村保健運動から現在に至る普遍性とは何かの検討が必要である。
著者
関口 芳恵 坂本 由美子 宮本 和典
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.271, 2010

<はじめに> 当院は病床数900床、職員数1200名の総合病院である。2003年のオーダリング開始時に、イントラネットのホームページ(以下HP)が開設され、診療録端末にて閲覧が可能な環境にある。臨床検査部も2003年6月よりHPを開設し、2週間毎の定期更新を行っている。<BR><方法> 今回HPのアクセス状況を確認し、どのような情報が必要とされ閲覧されているか解析を行った。<BR><結果> 2003年開設当初は、月平均のアクセス数が、140件/月であった。職員向け検査部見学ツアーを開始した2006年から2008年にかけて200件/月になり、2008年以降は院内端末起動時に表示されるグループボード内からHPへのアクセスが容易になったことと、新人看護師や研修医に向けた研修会で案内を行ったことで、認知度が高まり、500件/月に伸びた。月別に見ると、年度切り替えの4月が最も多かった。項目別に見ると、トピックス(項目情報・採血管の選択・所要時間など)、オーダリングマニュアル、検査部写真館(トップページに載せている写真履歴)、検査部の旅(各部署の紹介)、採血マニュアル、感染マーカー動向調査などが、アクセス数が多かった。<BR><まとめ> アクセス件数を見ると、基礎的な情報から新着情報までニーズは多様であった。アクセスが容易になったこと、研修会などでの案内、2週間毎の定期更新を続けることで、利用者が多くなったものと推測する。当院は職員数が多く、情報の伝達が難しいところもあるので、手軽に必要な情報を收集できる環境は、業務の効率化において重要であると思われる。閉鎖的に思われがちな検査部を身近に感じていただき、チーム医療を円滑にするため、各個人が臨床検査に対する情報を有効活用できるよう、今後も情報発信を続けていきたい。
著者
檀 瑠 影 松崎 淳 井関 治 和
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.88, 2008

蛸壺型心筋症は脳出血や外科侵襲のような強いストレスが心臓に加わることによりまれに発症する。心筋基底部以外の壁運動が極度に低下し左室拡大を伴うためあたかも蛸壺のようにみえる。心不全の急性期を乗り超えれば通常一週間から数週間で左室壁運度の改善を認める。今回蛸壺型心筋症2例を経験したので報告する。症例1: 84才女性、既往歴:高血圧・高脂血症。2007年12月12日に自宅で倒れ救急車搬送来院した。頭部CTにて右後頭皮質に小さな出血巣が認められ、心電図にてV1-2 ST上昇・陰性T波および心筋逸脱酵素上昇を認めたため急性心筋梗塞が疑われ循環器入院となった。心エコー上では心室基部収縮以外左心室は動かず、たこつぼ様運動ようにみえるため蛸壺型心筋症・心不全と診断された。入院後利尿・降圧などの対症治療を行い、入院1日目より心筋逸脱酵素は徐々に下降し、入院5日目より心エコー上、心室壁運動は改善した。入院3週間後 頭部CTにて右後頭部の出血巣は認められなくなった。その後ADLをUPするため他院へ転院した。症例2: 68才女性、既往歴:2007年10月に大腸癌手術、高血圧15年。2008年1月10日、呼吸苦が生じ当院外来受診した。血液検査上では、WBC 18100/μl AST 43 IU/l CK 286 IU/l トロポニンT1.9 ng/ ml、胸部Xpでは右胸側には少量胸水を認めた。ECG上では、全誘導ST上昇。心エコー上では蛸壺様な心室壁運動、緊急心カテーテルを施行し冠状動脈に有意な狭窄を認めず、蛸壺心筋症・心不全と診断された。入院後、心不全に対して利尿剤などの対症治療を行い、心機能を改善しつつあったが、入院1週間後施行した心エコーでは左心室心尖部に新たに心内血栓を認めたため、ワーファリンの内服を開始。入院3週間後、心エコー上では心内血栓消失し心壁運度も改善した。蛸壺型心筋症は男性より高齢女性に多く(男女比 1:7)、原因は精神的ストレスは一番多く30-40%、心臓以外疾患25-30%、肉体ストレス 10-15%、事故などの外傷 10-15%に発生することが多いと報告されている。息苦しい、全身だるい、持続胸痛などとの主訴。心電図上のST上昇および陰性T波、血液検査上心筋逸脱酵素の上昇などの急性心筋梗塞様変化が認められるが、冠動脈には狭窄や閉塞などの異常は認めない。心室心尖部を中心とする広汎なバルーン状拡張と心室基底部の過収縮はよく見るパターンである。不整脈による突然死、ショック死、心破裂死の症例が存在するが、心室収縮、心電図、心筋逸脱酵素などの所見はすみやかな正常化、再発はまれで、予後は良好な疾患である。
著者
岡本 歩 武山 直治 大沼 俊和 小林 加代子 上木 美智子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.255, 2006

<b>〈緒言〉</B>検診効果を高めるためには、検診及び精検受診率の向上を図り、検診及び精検機関の精度を一定以上に維持する必要がある。そのためには地域の関係機関が連携し取り組む必要がある。旧高山市住民の胃がん検診は、H11より当検診センターで実施しているが、胃がん発見率が徐々に低下傾向にあった。そこで関係機関に胃がん検診検討会への参加を呼びかけ、共にこの地域における胃がん検診の現状を分析したので報告する。<BR><b>〈検討会開催方法〉</B>内容:(1)飛騨地域胃がん登録状況(2)検診と精度管理方法、(3)検診実績、(4)検診・精検受診勧奨の方法、(5)X線写真による症例説明を、各機関が発表し意見交換した。参加機関:飛騨地域保健所、高山市保健センター。精検医療機関(市内のT病院、開業医、当院)。<BR><b>〈結果〉</B>1.胃がん登録状況の分析:表1、2より飛騨地域の胃がん罹患率は全国とほぼ同じであるが、死亡率はやや高く近年上昇している。有効な検診に向けて取り組む必要がある。<BR>2.検診結果の分析:要精検率は年々低下し、消化器集検全国集計(H15)の10.8%と比較しても低い。また胃がん発見率はH14より低下傾向で全国集計の0.15%を下回っていた(表3)。この要因の一つに、初回受診率が低いことが考えられた。検診対象者の拡大に向けて申し込み方法の検討や啓蒙活動が必要である。<BR>3.精検精度の分析:(1)精検方法はほとんどが胃カメラであったがUGIの実施もあった(図1)。精検としてUGIを実施してよいか討論した。その結果、精検の場合は検診よりきれいな写真を撮る必要があるとの意見が出された。この意見を反映し、市で配布する「胃精密検査実施医療機関一覧」は、きちんと精検を行える機関であるか検討する方向性が出された。(2)精検機関の割合は開業医が半数、残り半数が当院とT病院であった(図2)。また胃がん発見割合は、当院が半数以上、開業医3割、T病院1割以下であった(図3)。精検実施数に比例した胃がん発見数が求められ、役割を果たすために、精度を高める努力が必要である。数値より分析することで問題が明確化し方向性を見出すことができた。今回の検討会により、関係機関が胃がん検診の現状を認識し問題点を共有することができた。この会を継続し、有効な胃がん検診の実施に向けて取り組みたい。
著者
四戸 隆基 佐藤 正夫 馬場 岳士 角田 恒
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1, 2007

【目的】高齢者大腿骨近位部骨折において医療費高騰の要因とされる「社会的入院」の実態を知る.【対象】2003~2005年に加療した60歳以上の大腿骨近位部骨折症例のうち解析可能であった75例(男24,女51例)を対象とした.年齢は平均81.2歳(60~97歳).骨折型の内訳は頚部骨折39例,転子部骨折36例.治療法は保存治療1例,人工骨頭置換29例,骨接合(頚部骨折)11例,骨接合(compression hip screw,以下CHS)21例,骨接合(ネイルタイプ)13例.在院日数は平均57.3日(15~163日).【方法】主治医より本人,家族に退院勧告した日以降の入院日数を「社会的入院日数」と定義し,社会的入院日数が2週間を越える「長期群」(46例),2週間以内の「標準群」(29例)に群別し各項目を比較した.【結果】1)年齢:長期群81.7歳(60~97歳),標準群83.4歳(64~94歳).有意な差は認めず.2)歩行能力:当施設のGrade分類を用い歩行能力をGrade1からGrade4までの4段階に分けた.退院時の歩行能力は,長期群でGrade1が21例(45.7%),Grade2が11例(23.9%),Grade3が14例(30.4%).標準群でGrade1が11例(37.9%)Grade2が4例(13.8%)Grade3が13例(44.9%),Grade4が1例(3.4%).長期群で退院時歩行能力が高い傾向にあった.3)治療:長期群は人工骨頭15例(32.6%),CHS15例(32.6%),ネイル9例(19.6%),骨接合(内側)7例(15.2%),標準群は人工骨頭14例(48.3%),CHS7例(24.1%),ネイル4例(13.8%),骨接合(内側)3例(10.3%),保存治療1例(3.4%)で治療されていた.治療による差は明らかでなかった.3)退院後の生活環境:長期群で,退院後自宅生活者35例(76.1%),施設入所11例(23.9%).標準群で自宅16例(55.2%),施設13例(44.8%).長期群で自宅退院が多かった.4)社会的入院日数と在院日数:社会的入院日数と在院日数は有意な強い正の相関を示した.5)社会的入院の理由:長期群46例の退院できない主因は, 疼痛の残存と日常生活動作の不安が入院継続希望の理由である「本人の希望」が15例(32.6%), 経済的な理由や家族関係の問題を理由とした「家族の希望」が9例(19.6%), 手すり増設や段差解消等の「自宅整備のため」12例(26.1%),「施設の空き待ち」10例(21.7%).であった.中には,永久的な入院を家族が希望する例や,本人と家族の施設入所に対する意志の相違が著しく紛糾した症例もあった.【考察】当院においては,高齢者の大腿骨近位部骨折症例の在院日数は社会的入院により長期化していた.社会的入院の長期化の要因としては,実際の歩行能力や治療法,骨折型等の純粋な医学的問題よりも本人や家族の意識の問題や経済的事情,後方施設との連携の方がより重要であった.入院が長期化することは国民医療費の増大に繋がり,病床稼働率の低下に伴う病院経営の悪化や空床不足による地域医療への悪影響といった弊害をも生み出す.社会的入院長期化の改善のため医療スタッフが適切な治療や効果的なリハビリ等の「狭義の医療」に力を注ぐのは当然だが,ソーシャルワーカーと本人および家族との相互理解を深め後方施設との風通しを良くするなど「広義の医療」を実践するべく大きな視野を持つ事が望ましい.また経済的な問題も決して少なくない.介護保険の適用や診療報酬の問題など行政の対応に依存する部分については,現場の状況を最もよく知る我々が声を発信し理解を求めていくことが必要であると改めて認識した.
著者
長 純一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.75, 2008

〈緒言〉<BR> 長野県は男性1位、女性3位と長寿ながら、老人医療費が全国平均の約8割と最低であり、見習うべきモデルとされてきた。97年には厚生省が国保中央会に委託し、全国の統計調査と長野の調査がおこなわれ「市町村における医療費の背景要因に関する報告書」にまとめられた。報告書を一般書にした「PPKのすすめ」(水野肇・青山英康編・紀伊国屋書店)でも分析されているが、病床数など医療供給体制以上に医療費が抑制されているのが最大の特徴である。その要因分析では、ベッド数が少ない・平均在院日数が短い・在宅死が多い・保健師の数が多い・などから、地域医療が充実している・医療従事者の専門職としての自立性が高いなどがあげられている。しかしこの報告書は統計上の数値のみに注目し、いわば現象論のみの分析で、長野に特徴的な活動の歴史的社会的分析が科欠けている。またここ数年長野においても、『医療崩壊』とも表現される状況は深刻になっており、上記の報告書で分析された時点から大きく状況が変化している。これらの点をふまえ、新しい『健康長寿・低医療費の長野』の解釈を提示する。<BR>〈方法〉<BR> 97年の報告書と書籍を再検証すると共に、そこで取り上げられなかった長野県の医療特性を確認する。現状と医療史をたどると『厚生連農村医療』と『国保地域医療』が長野県医療の特徴と考えられるため、この活動を文献等から検証する。特に報告書等で低医療費の要因とされ『長野県は在宅医療・地域医療が充実しており、在宅死が多く、そのために医療費が低い』との在宅医療・死の神話ついて再検証する。<BR>〈結果〉<BR> 医療供給体制では民間医療機関が全国45位と少なく、県立や国立も少なく、一方公的医療機関(厚生連が病床数で18%強)が多い。これは厚生連が故若月俊一氏の下、戦後まもなくの時期に殆ど県立などに移管しなかったためと考えられる。また国保医療機関も多く、全国の国保地域医療を牽引してきた。厚生連と国保の活動は、保健活動や生活環境や食生活の改善等、病院の中での治療医学だけではなく、地域活動・予防医学を重視するなどの点で共通点を持つ。このような地域・患者にとって必要な活動は不採算でも積極的に取り組んできた事が、低医療費で健康長寿に貢献した可能性が高い。この姿勢と、それを公的及び公立医療機関が提供してきた事から、長野では高邁な理念のもと医療を『社会的共通資本』として捉え、実践してきた医療者の姿が読み取れる。この結果の一つが、高い在宅死率であったと考えられるが、近年極端に減少している。92年には32.4%と全国平均19.9%を大きく上回って全国一であったが、06年には13.7%と全国の12.2%と大差がないところまで低下した。特に94年以降極端に低下している。これは医療の機能分けが進められ、診療所が在宅医療を担い、一方で特に地方病院を窮地に追いやった医療政策が展開された時期に一致する。長野の在宅医療は実は国の描くような診療所ではなく、地域医療を実践する病院が不採算でも支えていたことが推定される。病院に厳しい医療情勢の上、在宅は診療所という方針により、長野の在宅死は激減した可能性が高い。このように長野を見習えと言ってきた国により、長野の医療神話は崩壊の危機に瀕している可能性が高く、再度長野の医療特性を検証し、歴史を踏まえた上で実情にあった医療政策を提言する必要がある。
著者
黒崎 瞳 小島 慶子 山本 貴子 山口 佳奈江 関田 洋子 田内川 明美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.301, 2011

<はじめに><BR>脳疾患患者は呼吸筋の麻痺や委縮・咳嗽反射の低下、長期臥床により肺合併症発生リスクが高くなる。<BR>A病棟は2010年1年間で脳疾患患者のうち意識レベルJCS_III_桁・挿管患者の40%が肺合併症を発症していた。そこで、スタッフの呼吸ケアに対する意識の向上が必要だと感じ勉強会・チェックリスト表を用いた結果、呼吸ケアに対する意識向上につながったので報告する。<BR><研究方法><BR>1 期間:2011年1月~4月<BR>2 対象者:病棟看護師23名<BR>3 方法:<BR>(1)呼吸理学療法の勉強会<BR>(2)呼吸ケアチェックリストの作成・活用<BR>(3)勉強会・チェックリスト使用前後でのアンケート調査<BR><倫理的配慮><BR>アンケートは個人が特定できないように無記名とし、知りえた情報は研究以外に使用しないことを説明した。<BR><結果><BR>勉強会への出席率は52%。欠席したスタッフにも勉強会のプリントを配布した。<BR>呼吸ケアはチェックリストを用い清潔ケア時・検温時に観察した。<BR>アンケート回収率は勉強会前後ともに95%であり、チェックリスト使用率は78%だった。<BR>アンケート結果では背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフは勉強会前0%、勉強会後95%であった。<BR>またチェックリスト活用後はステートを持ち歩くようになったと100%回答し、チェックリスト以外でも肺音を聞くようになったスタッフ90%であった。<BR><考察><BR>勉強会後に背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフが増加した事から、実施不十分だった背景には知識不足や意識が低かった事、が考えられる。また、一人では体動不能な患者の背部聴取が困難であったが2人で実施することで統一が図れた。このことから多忙な業務の中でも日常業務の1つとして根拠をもって呼吸ケア実施することで、意識付けにつながったと考えられる。<BR><まとめ><BR>肺ケアに対する看護師の意識向上には、観察やケアの根拠や必要性を理解し、日常業務の中にとりこみ継続していく事が有効である。
著者
張 自寛
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.3, 2010

はじめに中国は総人口のうち8億人が農民で占め、改革開放以来30年間、一貫して「三農(農民、農村、農業)」問題を最も重視し、農村の改革と発展を推進し、農村地域に大きな変化をもたらしてきた。1)人民公社を廃止し、農家が農業経営を請負う体制を確立した。2)二千年以上存続してきた農業税を廃止し、農家に食糧生産補助金を支給し、農民の負担を大きく軽減した。3)食糧生産は順調に伸び、農産物の供給が豊かになり、13億人口の食糧問題を中国独自の力で解決した。4)農村地域(郷鎮)に企業が続出し、農村の労働力は都市へ大規模に移動・就業し、億単位の農民が産業労働力の重要な構成部分となった。5)農民の生活は改善し、貧困から抜け出して小康状態までに転換しつつある。<BR><BR>中国農村経済社会の発展改革開放以来30年間、中国農村経済の発展は速かったが、2003年におけるSARSとの闘いの過程で多くの啓発を得た。その中で最も重要なことは、経済社会の発展が一方に偏ることなく全般にわたって計画し、経済社会の発展に見られるアンバランスの問題解決を早めなければならない。ここ数年、中国は農村経済を発展させると同時に、社会事業の発展および国民の生活改善をより一層重視し、以下のような民意が得られた幾つかの重要な事業を実施してきた。<BR> 1)2005年から9年制義務教育は全て無料とし、9年制義務教育に対する経費保障システムを国の財政によって賄い、授業料や雑費の免除と教科書の無料提供、同時に貧困家庭の寄宿生に対する生活補助政策を実施した。また経済社会発展に伴う技術者の需要に適応するため、中・高度の技術教育を大いに発展し、農村の貧困家庭出身者および農業を専門とする学生については無料化を図る。これらの事業は中国の教育体制において歴史的変革である。<BR>2)2003年から新型農村合作医療制度が創設された。先ず一人当たりの保険料が年間30元からスタートし、現在は120元になった。保険料の内訳は、国と地方政府の財政補助が2/3を占め、個人は1/3を納める。2009年末現在、加入者総数は8.15億人で、基本的には農村人口の全てをカバーすることができた。この制度は重病への保障を主とし、特に非感染性疾患、例えば、悪性腫瘍、心疾患、脳血管疾患等に対して重点的に保障する。農業税の廃止と9年制義務教育の無料、また新型農村合作医療の実施等により、「農業税を納めなくてよいこと、無料で学校へ行けること、受診料が高くないこと」といった8億の農民が待ち望んでいた夢を、いまや実現することができた。<BR>3)2007年から全国の農村において最低生活保障制度が創立された。現在、約5千万の農村人口がこの制度に組み入れられ、一人当たり月80元の政府補助金が交付されている。衣食不足の農民にとっては、まさに「雪中に炭を送る」こととなった。<BR>4)経済が発展した沿海部の幾つかの省・市において、農民基本養老保険制度を先ず試行し、その上で2009年から新型農村養老保険制度の試行を全国的に展開した。昔から中国農民の間では、「子を養って老を防ぐ」という考えを持っていた。現在、養老保険制度の試行県では60歳以上の農民全員が、国の財政による最低標準の基礎養老年金を全額享受し、農民も社会保障を受けられて老後への不安が取り除かれた。従って、前述した「農業税を納めなくてよいこと、無料で学校へ行けること、受診料が高くないこと」に、「老後への不安がないこと」を加えるべきであろう。<BR>これらの制度は、いずれも農民に大きな利益を与え、現実的、歴史的意義が深い。しかし、現段階では国の財政に限りがあり、中国における社会保障水準は比較的低いが、今後、経済の発展に伴い、社会保障水準も更なる向上が期待されよう。<BR><BR>農村医療の新しい進展最近の中国における農村衛生事業は著しい進展をみせた。2003年のSARS発生後、政府は農村事業を重要な議事に位置づけ、国務院は常務会議を毎年開き、農村衛生事業について討議を重ねてきた。中央政府および地方政府は、ともに農村衛生への財政投入を年々増大することによって、農村医療ネットワークの建設、医療衛生サービスに、以下のような新たな進展がみられた。
著者
小松崎 哲也 青木 正彦 市村 正明 平井 正幸
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.326, 2009

〈目的〉当院は第三次救急病院であり,緊急を要すること<BR>が多いので放射線情報システム(以下RIS)の使用上,不<BR>適切な処理をしてしまうことがみうけられた。今後フィル<BR>ムレスを迎えるにあたり,医療ミスを未然に防ぐために各<BR>技師がRIS を適切に使用・修正できることが必須とな<BR>る。よって,2009年2月より新たにRIS データ修正作業<BR>を業務として開始した。開始後から現在までの間で,RIS<BR>データ修正業務担当技師8名のRIS の使用・修正方法に<BR>対する理解度を調査し,今後の教育体制を図る。<BR>〈方法〉<BR>1.RIS データ修正業務担当技師8名が,2008年7月から<BR>12月にかけての不適切な処理をしたデータを収集・分類<BR>し作成したマニュアルをもとにRIS データ修正作業業<BR>務を行った。<BR>2.画像情報管理担当技師2名が過去の事例をもとにRIS<BR>の使用方法に対する問題10問,RIS データ修正方法に関<BR>する問題10問の記述式テストを作成した。<BR>3.RIS の使用が可能またはRIS データ修正が可能な回<BR>答を○,誤った回答を×とし,○を1点,×を0点とし<BR>た。<BR>4.作成した記述式テストをRIS データ修正業務担当技<BR>師8名に行ってもらった。<BR>5.画像情報管理担当技師2名が回答した技師の理解度を<BR>調査し,教育体制を図った。<BR>〈結果〉現在におけるRIS データ修正業務担当者8名中<BR>6名は17点以上だった。残りの2名は12点を以下だった。<BR>全問正解者はいなかった。<BR>〈考察〉全問正解者はいなかったが大半の技師は十分な知<BR>識を有していると判断できた。しかし,残りの技師は理解<BR>不足によるものや知識として蓄えられていないものであっ<BR>たため,従来のマニュアルの簡易化に加え,RIS のテキス<BR>ト作成による習熟を図るべきである。また,定期的なテス<BR>トによる個人の理解度を管理していくことも必要である。<BR>〈結語〉新たに始める教育体制の結果については学会当日<BR>に報告する。<BR>
著者
山本 祐美子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.299, 2008

【はじめに】<BR>当病棟は、循環器・血液内科の急性期病棟であり、緊急の処置を要する患者が多い。特に循環器内科においては、昼夜を問わず緊急入院が多く多忙を極める。また入院患者も高齢化している。このような状況の中で、頻回なナースコールも多く看護師はどのような思いでいるのかを知る目的で調査を行った。その結果、頻回なナースコールに対し看護師は感情をコントロールし対応している事が分かったので報告する。<BR>【研究】<BR>期間:平成20年3月1日~21日<BR>対象:病棟看護師23名(卒1~2年5名、3~5年5名、6~9年8名、10年以上6名)<BR>看護体制:チームナーシング、受け持ち看護師制<BR>【方法】<BR>頻回なナースコールへの対応に対する思いをアンケート調査により明らかにする。<BR>【結果】<BR>アンケート回収率は100%であった。<BR>(1)「1時間にナースコールが何回なると頻回だと感じますか?」3~4回12名(52.1%)5回以上10名(30.4%)2回1名(8.7%)<BR>(2)「頻回と感じる時間帯は?」深夜帯16名(69.5%)準夜帯7名(30.4%)<BR>(3)「頻回だと感じた時、仕事は忙しいですか?」忙しい12名(52.2%)とても忙しい6名(26.1%)少し忙しい4名(17.4%)忙しくない1名(8.7%)<BR>(4)「ナースコールを頻回に押してくる患者の気持ちが理解できましたか?」よくできた1名 (8.7%)できた9名(39.1%)少しできた12名(52.1%)できない1名(8.7%)<BR>(5)「頻回にナースコールが鳴ってもにこやかに対応できましたか?」よくできた3名(13.0%)できた12名(52.1%)少しできた7名(30.4%)できない1名(8.7%)<BR>(6)「イライラする感情がどのくらい持続しますか?」5分~10分16名(69.5%)1時間以上5名(21.7%)15分~30分2名(8.6%)<BR>(7)「イライラしている時の気持ちの切り替え方法は?」(自由記載)深呼吸をする3名、患者の立場に立って考える6名、その他、仕事と割り切る、楽しい事を考える、気持ちの切り替えができないなどであった。<BR>(8)「患者に対する感情は?」(自由記載)何かあったのか?8名、イライラ4名、不安なのかな?、また?、ため息、一度に用件を言ってほしいなどであった。<BR>(9)「患者の話をきちんと聞けましたか?」については、聞けた23名(100%)<BR>【考察】<BR>アンケート結果から、ナースコールが頻回と感じる時間帯が深夜帯という回答が最も多く、頻回と感じるナースコールの回数は1時間に3~4回であったが、深夜帯はCCU への緊急入院や重症患者の頻回な観察にもかかわらず、頻回のナースコールにも自分なりの工夫で感情をコントロールして看護を行っていると考えられる。さらに、夜勤での身体的疲労に加え精神的緊張も重なるため少数意見ではあるが、イライラする感情が1時間以上持続する看護師や、気持ちの切り替えができない看護師もいた。忙しい中では当然の事だと考えるが、患者の立場を考えると、今後もいかに忙しい状況の中でも思いやりを持ってよりよい看護を実践してくかが今後の課題であると考える。また、頻回なコールの内容を検討し、対策をしていくことも重要である。<BR>【まとめ】<BR>(1)頻回なナースコールに対し看護師は、感情をコントロールし対応している事が明確になった。<BR>(2)ナースコールが頻回と感じる時間帯は深夜帯であった。