著者
市橋 則明 武富 由雄 金子 翼 山口 三千夫
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.45-47, 1991-01-10 (Released:2018-10-25)
被引用文献数
4

12匹のウイスタ一系ラットの膝関節に屈曲拘縮を作成し,皮膚と筋がどの程度関節可動域(ROM)を制限しているかを検討した。その結果,30日間の固定により膝関節の伸展ROMは,-82.9 ± 16.0度と大きく制限された。皮膚を切除することによって9.6 ± 7.5度伸展可動域は拡大した。これは,全ROM制限中16.6%の拡大であった。次にハムストリングスを切除することによって18.8 ± 7.1度伸展可動域は拡大した。これは,全ROM制限中32.5%の拡大であった。さらに,腓腹筋を切除することによって5.5 ± 3.7度(9.5%)の拡大をみた。しかし,皮膚と筋を切除した後もROMは,伸展-49.1 ± 13.4度であり,41.4%のROM制限が残っていた。

2 0 0 0 OA 痛みの評価

著者
松原 貴子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.277-279, 2011-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
野添 匡史 間瀬 教史 杉浦 みどり 岡前 暁生 山本 健太 立栄 智恵 眞渕 敏 傳 秋光
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.254-259, 2007-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
24
被引用文献数
11

本研究の目的は,体幹前傾姿勢が肺気量位と呼吸運動に与える影響を調べることである。健常人20名を対象として,体幹前傾角度0°位(安静立位),30°位,60°位,90°位での肺気量位,胸腹部呼吸運動を測定し,体幹前傾角度の違いと各指標の変化について検討した。終末吸気肺気量位,終末呼気肺気量位は体幹前傾角度の増加に従い有意に増加したが,60°位,90°位の問では有意な差は認められなかった。終末吸気,終末呼気の胸部周囲径は体幹前傾角度の増加に従い有意に増加した。以上の結果より,体幹前傾姿勢では胸郭に対する重力の作用方向が変化し,胸郭が拡張位となることで高肺気量位での呼吸様式になると考えられた。
著者
吉岡 潔志 松本 智博 中村 晃大 土屋 吉史 瀬古 大暉 北嶋 康雄 沢田 雄一郎 小野 悠介
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11714, (Released:2020-07-10)
参考文献数
36

【目的】アンドロゲン低下による球海綿体筋・肛門挙筋の筋萎縮に対する自走運動の効果を検証し,併せて,アンドロゲン低下による筋萎縮が他の骨盤底の筋にも共通する特徴であるかを検証する。【方法】3 ヵ月齢雄性マウスを対象とし,去勢術を施す群,去勢術後に自走ケージで飼育する群,偽手術群に無作為に分けた。手術から8 週間後に,後肢筋および骨盤底筋の重量,筋線維直径を測定した。【結果】後肢筋の重量に3 群間で差はみられなかった。球海綿体筋と肛門挙筋は去勢により顕著に萎縮したが,自走運動による変化は認められなかった。長趾伸筋の筋線維直径は去勢の影響を受けず,尿道括約筋では有意に小さい値を示した。【結論】全身性の自走運動ではアンドロゲン低下による球海綿体筋,肛門挙筋の萎縮を抑制することができなかった。また,アンドロゲン低下による筋萎縮は,骨盤底筋に共通して見られる,身体部位単位での筋の特徴であることが示唆された。
著者
林 典雄 立木 敏和
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.8, pp.522-527, 1996-11-30 (Released:2018-09-25)
参考文献数
5

解剖実習用遺体7体(男性4体,女性3体)7肩(右側5肩,左側2肩)を対象とし,後方腱板(棘下筋,小円筋)と後方関節包との結合様式について肉眼的に観察した。棘下筋と後方関節包との間には,筋線維による直接的な連絡は認められず,関節包を裏打ちするがごとく疎性結合組織によって密着していた。小円筋と後方関節包との間には,小円筋の関節包側の筋線維が腋窩陥凹部後方から関節包後下方にかけて直接付着する所見が認められた。棘下筋の機能として,後方関節包の後方からの支持機能および,自身の収縮力を効率よく大結節へと伝達する支点形成機能が考えられた。小円筋の機能として,大結節へと停止する線維群による支点形成機能の他に,関節包側の筋線維群による肩関節外旋運動時の挟み込みの防止および肩関節挙上時における静的支持機構の補助機能が考えられた。
著者
植松 光俊 新垣 盛宏 梶原 史恵 酒井 美園 大森 圭貢 森岡 周
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.201-206, 2005-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
3

障害を持った人の運動, 動作分析や評価のプロフェッショナルである理学療法士(PT)にとって, 日常生活動作のあらゆる動作について自立度判定を的確にできる能力を有していることは必要最低限の資質というべきである。自立度判定というと「ある動作について自立, 監視, 介助レベルの動作方法を特定し, 各段階での介助度, 条件および適応環境条件(使用する介助支持用具や福祉機器等の提示)を評価する」とある。しかし, 今回のワークショップでは, 「歩行自立」に限定して明らかにするための判定要因, 基準および手順を明確にすることに拘ることにした。歩行自立度序説 1. 歩行自立度判定の必要性 1)なぜ自立判定が必要か? 自立している動作, 自立可能な方法, 自立できる生活範囲をできるだけ正確に早期に把握し, その情報を生活に密着したリハビリチームスタッフである看護, 介護職に提供し, 実際に「自立生活」を日常的に取り入れることができると, 患者さんが理学療法(以下, PT)場面だけで得られる動作量よりはるかにその動作機会は多くなり, そのことによる全身調整能力, 他の体力指標の改善効果は大きいといえる。
著者
田舎中 真由美
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.212-215, 2008-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
20
被引用文献数
2
著者
長谷川 聡 市橋 則明 松村 葵 宮坂 淳介 伊藤 太祐 吉岡 佑二 新井 隆三 柿木 良介
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.86-87, 2014-04-20 (Released:2017-06-28)

本研究では健常者と肩関節拘縮症例における上肢拳上時の肩甲帯の運動パターンとリハビリテーションによる変化を検証した。健常肩においては,多少のばらつきはみられるものの,肩甲骨の運動パターン,肩甲骨周囲筋の筋活動パターンは一定の傾向が得られた。上肢拳上30°〜120°の区間では,肩甲骨の上方回旋運動はほぼ直線的な角度増大を示すことがわかった。そのスムーズな角度変化を導くためには,僧帽筋上部,僧帽筋下部,前鋸筋の筋活動量のバランスが必要で,上肢拳上初期から約110°付近までは3筋がパラレルに活動量を増加させ,拳上終盤においては僧帽筋上部の活動量増加が止まり,僧帽筋下部と前鋸筋の活動量を増加させる必要があることが明らかとなった。肩関節拘縮症例では,上肢拳上による肩甲骨の運動パターンは多様であり,一定の傾向はみられなかったため,代表的な症例の経過を示した。
著者
沖田 実 中居 和代 片岡 英樹 豊田 紀香 中野 治郎 折口 智樹 吉村 俊朗
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.63-69, 2004-02-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
26
被引用文献数
7

本研究の目的は,温熱負荷ならびに温熱負荷と持続的筋伸張運動を併用した場合の廃用性筋萎縮の進行抑制効果を明らかにすることである。実験動物は,7週齢のWistar系雄ラットで,1週間の後肢懸垂によってヒラメ筋に廃用性筋萎縮を惹起させるとともに,その過程で約42℃の温熱ならびに持続的筋伸張運動,両者を併用した方法を負荷し,筋湿重量とタイプI・II線維の筋線維直径の変化,Heat shock protein 70(Hsp70)の発現状況を検索した。温熱負荷によってHsp70の発現が増加し,タイプI・II線維とも廃用性筋萎縮の進行抑制効果を認めた。そして,これはHsp70の作用によってタンパク質の合成低下と分解亢進が抑制されたことが影響していると考えられた。一方,持続的筋伸張運動でも廃用性筋萎縮の進行抑制効果を認めたが,温熱負荷と併用した方法がより効果的であり,これはHsp70の作用と機械的伸張刺激の作用の相乗効果によるものと推察された。
著者
対馬 栄輝 尾田 敦
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.218-225, 1996-05-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5

変形性股関節症患者にみられる跛行の原因の一つとして歩行時股関節外転筋の反応が遅延,すなわち立脚期踵接地時における下肢筋の活動開始時期が遅延していると考えた。本稿の目的は変形性股関節症患者における歩行時下肢筋の活動開始時期を計測して,健常者と比較検討することである。変形性股関節症患者10名と健常者10名を対象として,自由歩行時の中殿筋と大腿直筋のEMG,並びにフットスイッチから信号を記録し,踵接地に対して股関節外転筋と膝伸展筋の活動が開始する時期を測定した。その結果,患者群は各筋における活動開始時期の間に有意な相関関係は認められず,各筋の活動開始時期に変調が起こっていると考えられた。また健常群と比較して各筋活動開始時期は有意に遅延しており,動作の予測制御(pre-activity)の遅延が生じていると考えられた。この結果から運動の協調性の改善を目的とした閉鎖運動連鎖での訓練を頻繁に取り入れていく必要性が予想された。
著者
渡邉 真 阿部 浩明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11687, (Released:2020-03-30)
参考文献数
20

【目的】随意運動機能と歩行能力に乖離がみられた前頭葉内側面損傷例に対し,本現象の背景に運動開始困難例があると推察し外的刺激を用いたアプローチを試み,症状の改善を認め屋内歩行自立を獲得したため報告する。【対象】右前大脳動脈閉塞により左下肢の随意運動が著しく困難となったものの,移乗動作や歩行時には明らかな支持性の低下がみられなかった70 歳代の女性である。【方法】視覚情報や聴覚情報を活用した外的刺激を用いた理学療法を実施した。【結果】外的刺激の提供によって運動開始困難には改善がみられ,各種起居動作時の随意運動障害は改善し,歩行時の運動開始困難の改善が図れ,退院時には屋内歩行自立までに至った。【結論】前頭葉内側面損傷後に随意運動機能と歩行能力に乖離が生じた症例に対して,外的刺激を用いた理学療法を実践することは,運動機能を改善させるうえで有効な一治療手段となる可能性があるものと思われた。