著者
日本産業衛生学会頸肩腕障害研究会
出版者
日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.A19-A21, 2007-03
被引用文献数
1
著者
永田 昌子 堤 明純 中野 和歌子 中村 純 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.29-29, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

職域における広汎性発達障害者の頻度と対応:産業医経験を有する精神科医を対象とした調査:永田昌子ほか.産業医科大学産業医実務研修センター―目的:近年,産業保健スタッフが対応するメンタルヘルス不調者の中に広汎性発達障害を抱える,もしくは疑い例に遭遇する事例が報告されている.本研究は,産業医経験を有する精神科医を対象に,職域で広汎性発達障害の事例対応に遭遇する頻度や広汎性発達障害を抱えるメンタルヘルス不調者に対して行われている就業上の配慮について,職域での実態調査を行った.対象と方法:産業医科大学精神医学教室員および同門医師122名に対して,記名式の郵送法調査を実施した.回答者の産業医経験,臨床経験,臨床場面での広汎性発達障害の経験,産業医活動のなかで広汎性発達障害の診断を受けているメンタルヘルス不調者の事例対応をした経験の有無,また,事例対応開始時に主治医より受けている診断名は広汎性発達障害ではないが,回答者自身が広汎性発達障害を疑った事例の経験の有無,事例対応の経験があるものには,職場で行った具体的な配慮,困難だった事例,成功した事例等について自由記述形式で回答を求めた.結果:56名から回答が得られた.そのうちメンタルヘルス不調者の職域での事例対応経験のある医師35名の回答を分析した.広汎性発達障害の「診断」を受けているメンタルヘルス不調者の経験を有するものは7人(20.0%),広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑ったメンタルヘルス不調者の経験を有するものは15人(42.9%),両方の経験を有するものが3人(8.6%)であり,どちらかの経験も有するものが19人(54.6%)であった.今回報告された40例のうち,事例対応開始時に診断名がついていたものが12例,回答者が疑った事例が28例,そのうち調査票回答時までに診断に至っていたものが7例であった.広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑った理由として多かったのは,職場での対人関係のトラブルを起こすというエピソードであった.「診断」を受けている事例は,産業医が疑った事例より具体的な配慮が行われていた.また,就業上の配慮として上司に対しての障害特性についての説明や業務内容の変更などが実施されていた.地域の社会資源の活用状況として,広汎性発達障害の診断を受けている,または疑った事例対応経験のある回答者19人のうち,発達障害支援センターや地域障害者職業センターの利用した経験を有する回答者は2人(10.5%)であった.考察:調査対象となった産業医経験のある精神科医の半数に広汎性発達障害の診断がついた,もしくは疑った事例の対応の経験があり,職域で広汎性発達障害を持つ労働者の事例対応をすることは稀ではないことが示唆された.産業保健スタッフは,広汎性発達障害の知識,職場での適切な配慮の仕方,利用できる社会資源についての理解を深める必要があると考えられた.
著者
堀田 裕司 大塚 泰正
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.B15001, (Released:2015-07-07)

目的:職場のソーシャルサポートを高める可能性のある要因として,組織市民行動における対人的援助がある.本研究の目的は,職場における対人的援助向上プログラムの実施により対人的援助が上昇すること,および,対人的援助の上昇により量的負担が増加するものの,ソーシャルサポートも増加し,心理的ストレス反応が低下することを検証することである.対象と方法:製造業A社に所属する労働者72名を調査対象とした.per-protocol解析を行うために,調査票への欠損回答者,退職者および研修の欠席者の24名を除いた介入群26名(男性22名,女性4名,B事業所所属)と統制群22名(男性19名,女性3名,C事業所所属)を最終的な分析対象とした.また,intention-to-treat解析(以下ITT解析)を行うために,pre-testでの欠損回答者10名を除いた介入群35名(男性30名,女性5名,B事業所所属)と統制群27名(男性23名,女性4名,C事業所所属)を分析対象とした.調査票は,日本版組織市民行動尺度の対人的援助,職業性ストレス簡易調査票の量的負担,心理的ストレス反応,ソーシャルサポートを使用した.介入群の参加者のみ心理教育とロールプレイ,4週間のホームワーク(以下HW)を実施した.両群の参加者に pre test(以下pre),post test(以下post),follow-up test(以下follow-up)を同一時期に実施した.プログラムの効果を検証するために,各効果評価指標を従属変数,時期(pre,post,follow-up)と群(介入群,統制群)を独立変数とし,per-protocol解析については2要因分散分析を,ITT解析については混合効果モデルによる分析を行った.結果:per-protocol解析では,対人的援助および同僚サポートにおける介入群のpost時,follow-up時の得点がpre時よりも有意に高かった.また,同僚サポートにおいて,post時に介入群の得点が統制群よりも有意に高かった.ITT解析では,対人的援助における介入群のpost時,follow-up時の得点がpre時よりも有意に高かった.また,同僚サポートにおける介入群のpost時の得点がpre時よりも有意に高かった.結論:対人的援助向上プログラムの実施の結果,介入群の対人的援助および同僚サポートが有意に増加することが明らかとなった.しかしながら,上司サポート,量的負担の有意な増加,および,心理的ストレス反応の有意な低下は認められなかった.対人的援助を上昇させることで,特に同僚からのサポートを向上させることができる可能性がある.
著者
清水 光栄 古井 景
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.173-180, 2004-09-20
被引用文献数
1 1

職域における抑うつと完全主義との関係について調査を行った. 対象は大手建設関連会社に勤務する380名で, ベック抑うつ尺度, 桜井, 大谷による新完全主義尺度などの質問紙調査を行った. 新完全主義尺度のうち「ミスを過度に気にする傾向(CM)」は年代を問わず抑うつと正の相関関係にあった. しかし「自分に高い目標を課する傾向(PS)」については若年群では抑うつと負の相関関係にあったが中高年群においては抑うつとの間に有意な相関関係が見られなかった. 抑うつに至る背景にはこのように年代間で差異があると考えられた. バブル経済崩壊以後, わが国の経済はいわゆる冬の時代, 平成不況が続いた. 雇用情勢が悪化する中で, 企業における「心の病」は増加傾向を示し, 心の病による長期休業の多くが「抑うつ」であると報告されている1). 抑うつに陥る要因は何であろうか.
著者
畑中 陽子 玉腰 暁子 津下 一代
出版者
Japan Society for Occupational Health
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.141-149, 2012
被引用文献数
11

<b>目的:</b>20歳代のBMIやその後の体重変化が,40歳代での高血圧・糖尿病の服薬率・有病率や医療費に及ぼす影響を検討する.<b>対象と方法:</b>1989年時点で20歳代の男性10,125人を対象とし,BMI区分別,およびBMI区分と20年間の体重増減の組み合わせ別に40歳代の高血圧・糖尿病の服薬率・有病率と医療費について分析した.BMI区分別の服薬率,有病率,受療率をロジスティック回帰分析により,平均医療費を共分散分析により,1989年時点の年齢,ならびに20年間の体重変化の程度を調整して検討した.<b>結果:</b>20歳代から40歳代にかけて20年間で平均7 kgの体重増加を認めた.40歳代の高血圧服薬率・有病率,糖尿病服薬率・有病率のいずれも20歳代のBMI区分が高くなるほど有意に上昇し,BMI 18.5–19.9の群に比べ25.0以上の群では高血圧有病率は6.81倍,糖尿病有病率は16.62倍であった.40歳代の外来医療費,総医療費も同様に20歳代のBMI区分が高くなるほど高額となり,1人当たり平均総医療費はBMI 18.5未満の群の818.7円から25.0以上群の5,311.5円に増加した.さらに,20歳代のBMIが20.0–21.9,22.0–24.9であっても20年間に体重が10㎏以上増加した場合には40歳代の高血圧・糖尿病のリスクが増加した.<b>考察:</b>20歳代のBMIが高い区分ほど40歳時の高血圧や糖尿病の有病率は上昇し,同様に医療費も増加した.20歳代でBMI 25.0未満の場合でも,20歳代のBMI区分とその後の体重増加に依存して有病率が高くなった. 終身雇用を基本とした日本企業における保健活動では,若年期からの肥満対策はもちろん,肥満でない人も含めて体重コントロールができるよう支援することが重要である.
著者
津野 香奈美 大島 一輝 窪田 和巳 川上 憲人
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.245-258, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
46
被引用文献数
2 15

目的:東日本大震災は東北から関東にかけて甚大な被害をもたらしたが,津波の被害がなかった関東地方の労働者の心理的ストレスについてはあまり注目されていない.自身の被災に加え,震災によって仮庁舎への移動が必要となり,通常業務に加え震災対応に追われた関東地方の自治体職員における困難に立ち向かう力(レジリエンス)と心的外傷後ストレス症状との関連を検討した.対象と方法:関東地方のある自治体において,震災から半年後にあたる2011年9月に全職員2,069名を対象に質問紙調査を実施し,そのうち991名から回答を得た(回収率47.9%).分析対象者は,欠損値のなかった825名(男性607名,女性218名)とした.心的外傷後ストレス症状は出来事インパクト尺度改定版(Impact Event Scale-Revised),レジリエンスはConnor-Davidson Resilience Scaleを用いて測定し高中低の3群に区分した.震災による怪我の有無(家族を含む)と自宅被害の有無をそれぞれ1項目で調査し,いずれかに「はい」と回答した者を「被災あり群」,それ以外を「被災なし群」とした.多重ロジスティック回帰分析を用いて,被災あり群における心的外傷後ストレス症状の有無(IES-R得点25点以上)のオッズ比を,レジリエンス得点の高中低群別に算出した.結果:東日本大震災によって自分ないし家族が怪我をした者は回答者のうち4.6%,自宅に被害があった者は82.3%であり,いずれかの被害があった者は全体の83.3%であった.被災あり群,慢性疾患あり群で有意に心的外傷後ストレス症状を持つ割合が高かった.基本的属性および被災の有無を調整してもレジリエンスと心的外傷後ストレス症状との間に有意な負の関連が見られた(高群に対する低群のオッズ比2.00 [95%信頼区間 1.25–3.18],基本属性,職業特性で調整後).特に被災あり群で,レジリエンスと心的外傷後ストレス症状との間に有意な関係が見られた.結論:東日本大震災で自宅等への被災を受けた自治体職員の中で,レジリエンスが低いほど心的外傷後ストレス症状を持つリスクが高いことが明らかになった.このことから,震災などの自然災害という困難の際にも,レジリエンスが心的外傷後ストレス症状発症を抑える働きをすると考えられる.
著者
宮島 啓子 吉田 仁 熊谷 信二
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.74-74, 2010 (Released:2010-04-08)
参考文献数
17
被引用文献数
5 12

内視鏡消毒従事者におけるオルトフタルアルデヒドへの曝露状況:宮島啓子ほか.大阪府立公衆衛生研究所衛生化学部生活環境課―目的と方法:最近,内視鏡消毒剤として,グルタルアルデヒドの代替品としてオルトフタルアルデヒド(OPA)の使用が増えてきている.我々は,消毒従事者のOPA曝露状況と健康影響を明らかにするため,内視鏡洗浄室17ヶ所において作業環境調査と質問紙調査を行った.これらの内視鏡洗浄室には,スコープの消毒に浸漬槽を用いる9ヶ所の手動洗浄室と自動洗浄機を用いる8ヶ所の自動洗浄室がある. 結果:スコープ消毒時のOPA曝露濃度は,自動群(中央値:0.35 ppb,範囲:ND-0.69 ppb)と比較し,手動群(中央値:1.43 ppb,範囲:ND-5.37 ppb)で有意に高かった.同様に,消毒液交換時も,自動群(中央値:0.46ppb,範囲:ND-1.35 ppb)よりも手動群(中央値:2.58ppb,範囲:0.92-10.0 ppb)の方が有意に高かった.消毒従事者の勤務時間中の平均曝露濃度は,手動群では0.33-1.15ppb(中央値0.66ppb),自動群では0.13-1.28ppb(中央値0.33 ppb)であり,手動群でOPA曝露が高い傾向が見られた.OPA製剤のみを使用していた女性の消毒従事者80人における消毒作業に関連した自覚症状愁訴率は,皮膚症状10%,眼症状9%,呼吸器症状16%,頭痛3%であった. 考察と結論:これらの結果は,消毒従事者のOPA曝露レベルを低減するために,自動洗浄機導入が望ましいことを示唆している. (産衛誌2010; 52: 74-80)
著者
冨岡 公子 北原 照代 峠田 和史 辻村 裕次 西山 勝夫
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.45-54, 2004-03-20
被引用文献数
1

本実験の目的は,手話通訳者における音声言語に誘発された頸肩腕部の筋緊張の有無を確認することである.解析対象者は,インフォームドコンセントを得た「人の話を聞いていると頸・肩・腕が痛くなる」症状を訴えていた職業的手話通訳者8名(ケース群)と手話末学習者8名(コントロール群)である.コントロール群は,性・年齢・喫煙習慣を調整した.安静座位の間,左右の僧帽筋上部と上腕二頭筋から表面筋電図を記録した.この間,全被験者は,日本語の講演を聴くこと,および日本語が全く含まれていない音楽を聴くことの,2つの課題を与えられた.各課題終了直後に,自覚症状を尋ね質問した.表面筋電図の解析方法は,各課題ごとに,100 ms ごとの実効値を算出した.独自の判定基準として3.8μVの閾値を1秒以上超えている部分を筋緊張と判定し,筋緊張を確かめた.その結果,講演を聴いている時に上腕二頭筋や僧帽筋に筋緊張が認められたのは,ケース群では8名中5名,コントロール群では8名中1名であった.僧帽筋の筋緊張が講演を聴いている時に認められ,かつ音楽を聴いている時には認められなかった事例は,ケース群には3名,コントロール群ではみられなかった.これらの結果におけるケース・コントロール群問の差は有意ではなかった.手話通訳者で講演を聴いた際に認められた筋緊張は日本語の音声言語により引き起こされた可能性がある.筋緊張は,手話通訳によって形成された反応なのか,病的反応なのか,今後さらに検討する必要がある.手話通訳者にとっては,日本語の音声言語を聴くことが筋負担となる可能性があり,日本語の音声言語のない環境下で休憩することが筋肉を休息させるために必要と考えられる.(産衛誌2004; 46: 45-54)
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.183-194, 2005-07-20

キシレン C_6H_4(CH_3)_2 [CAS No. 67-66-3] 尿中総メチル馬尿酸 800mg/l (o-, m-, p-三異性体の総和)試料採取時期 : 週の後半の作業終了時 この数値は気中キシレンの許容濃度50ppmに対応する値として設定されている. 1. 別名 ジメチルベンゼン. 特に工業用キシレン(本来の成分としてエチルベンゼンを含んでいる)をキシロールと呼ぶことがある. 2. 用途 化学品合成原料(例えばo-キシレンからは無水フタル酸等, p-キシレンからはテレフタル酸等. m-キシレンは相対的に用途が少なかったが, m-キシレンから合成されるイソフタル酸の用途が広まっている)に用いられるほか, 塗料などの溶剤としてトルエンとともに広範囲に使用される. 溶剤としてのキシレンはm-キシレンを最多成分(約40%)とし, 次いでo-キシレンおよびp-キシレン(それぞれ約20%弱)を含むほか, エチルベンゼンをo-およびp-キシレンと同じ程度に含むことが多し、. 3. 物理化学的性質 分子量106.17. 融点および沸点をCAS番号とともに表1に示す. 4. 吸収, 代謝, 排泄およびその修飾要因 蒸気は速やかに肺から吸収される.
著者
坪井 信二 森田 一三 中垣 晴男 内堀 典保 安田 淳 久米 弘 高田 勇夫 渡邊 正臣 小澤 晃
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.222-234, 2003 (Released:2004-09-10)
参考文献数
43
被引用文献数
1

歯 · 口腔の健康を介入維持によりライフスタイルや全身の健康, 精神的健康度が変わるかを知るために本研究を行った. 調査は1998年から3年間の追跡を行った. 対象はA製薬会社の従業員のうち本研究に同意した265名 (男性 : 201名, 女性 : 64名, 平均年齢±S.E. 35.6±0.7歳)で, 口腔状態, 2種類の質問票による質問調査 : The Social Adjustment Scale (以降SASと略す), The Medical Outcomes Study (以降MOSと略す)および栄養調査の3種類について調査を行った. その後層別抽出法により介入群と対照群の2群に分け, 介入群には年2回のスケーリング(歯石除去)および歯科保健指導を, 他方を対照群として3年間追跡した. そして開始年と3年後の状況について, MOS, SAS, 口腔状況, 精神的健康度および栄養状況の結果を比較した. その結果, 1) 歯の状態については, 介入群では, 未処置歯数の減少がみられ, 対照群では処置歯数の増加および未処置歯数の減少がみられた. 歯肉の状態 (CPI)においては, 介入群の方が対照群に比べて健全者の割合 (CPI=0)が高い傾向にあった (p < 0.10). 2) 栄養調査結果では対照群においてエネルギー充足率, 蛋白質充足率, 脂質充足率及び肉 · 魚類充足率の上昇 (p < 0.05)が, また糖質充足率, カリウム充足率, カルシウム充足率, 鉄分充足率も増加する傾向 (p < 0.10)にあったが, その他の栄養素食品群ならびに介入群の全ての充足率には有意な差が認められなかった. 3) MOS中の健康観については調査開始1年後に介入群の方が対照群よりも改善者の増加率が高い, もしくは減少率が低かった. 身体的機能は1年後では大差ない, もしくは介入群の方が若干よくない傾向にあったが, 3年後では介入群の方が対照群よりも改善者の増加率が高い, もしくは減少率が低かった. 身体の痛みについては1年後で介入群の方が減少率が低かった. 社会的尺度については1年後および3年後とも対照群の方が介入群よりも改善者の減少率が低かった. 精神的尺度についても1年後および3年後とも対照群の方が介入群よりも改善者の増加率が高い, もしくは減少率が低かったが, 神経質的な傾向があった. 4) SASについては仕事場での社会的健康度および家庭での社会的健康度とも介入調査1年後には介入群の方が対照群に比較して良好であった. 以上より産業従業員に対してスケーリングや歯科保健指導を行うことにより口腔内が改善され, それが個人のライフスタイルに影響し, 社会的役割達成指標は向上, 健康に対する価値観も向上し, 健康的な社会生活をおくることができるものと結論される.