著者
植田 泰士 片平 真史 鈴木 新一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2016-CVIM-202, no.4, pp.1-6, 2016-05-05

人工衛星や探査機などの宇宙機システムは多くが非修理系であることから一発勝負の中での高い信頼性確保が必要となる.その信頼性を確保するための方策の一つとして,クリティカルな異常が発生した場合には自律的に故障を検知し,故障を分離し,正常状態へ回復させる耐故障設計が多くの宇宙機システムには導入されている.これまでそのような宇宙機システムの機能の実現,あるいは宇宙機システムの開発プロセスにおいて,コンピュータビジョン技術が直接的に活用される局面は少ないが,本稿では,コンピュータビジョン研究者による今後の宇宙機システムへのコンピュータビジョン技術応用検討の一助となることを期待し,陸域観測技術衛星 2 号 (ALOS-2) を主な題材として耐故障設計の考え方などを紹介する.
著者
下山 拓流 菅野 裕介
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2022-CVIM-229, no.2, pp.1-6, 2022-03-03

視線推定はアノテーションコストの高いタスクであリ,応用時と全く同じ撮影環境・方法のもとでデータを集めることは容易ではない.そのため応用時にはドメインギャップが課題となる.従来の教師無しドメイン適応手 法では主にアピアランスの異なるドメイン間での適応を行なっているが,視線推定においてはアピアランスの違いだ けでなく,頭部姿勢分布や視線方向分布の違いもドメインギャップの要因になる.そこで本研究では特徴分離と擬似 ラベルを組み合わせた手法を提案し,頭部姿勢分布や視線方向分布の異なるドメインに対する教師無し適応を行う.そして提案手法が未知の頭部姿勢を含むドメインへの適応に有効であることを実験を通して示す.
著者
史 宇華 松村 耕平 Roberto Lopez-Gulliver 野間 春生
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-205, no.16, pp.1-6, 2017-01-12

本論文では,マイクロソフト社の Kinect の深度画像から得られるユーザーのスケルトン情報に対して,Random Forest 分類器と AdaBoost を使用してユーザの姿勢をリアルタイムで自動認識するシステムを開発した.ここでは特に食事中の姿勢を対象とし,Kinect で深度データが含まれる悪い姿勢の学習データを録画する.これらの学習データから,ユーザーの Joint の特徴量を抽出し,悪い食事姿勢のデータベースを構築して学習し,五つの悪い姿勢を動画から自動認識できるシステムを開発した.悪い姿勢を食事中の映像から学習し,50 名の被験者に対して行った食事の映像から 93% の認識機能を実現した.本システムを応用し,将来はユーザーの悪い食事姿勢を検出した後,ユーザーにフィードバックを与え,食育トレーニングすることを目指している.
著者
中川 陽介 内山 英昭 長原 一 谷口 倫一郎
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2015-CVIM-197, no.20, pp.1-6, 2015-05-11

3 次元点群間の位置合わせは,点群内の点数が増加するほど計算コストが増加するため,3 次元点群を均一リサンプリングやランダムリサンプリングによって間引くことにより,位置合わせの高速化が行われてきた.しかし,リサンプリングによって点を削減した場合,疎な 3 次元点群となるため,位置合わせの精度が低下する.本稿では,3 次元形状を保ちつつ点を削減するために,3 次元点群の局所特徴に基づいてリサンプリングする手法を提案する.リサンプリング処理を高速化するために,3 次元点群から推定される法線と 2 次元距離画像の勾配の関係に着目した.距離画像の勾配は 2 次元画像処理によって高速に算出されるため,各点の法線を距離画像の勾配によって表現することで,距離画像から高速な法線推定を行うことが可能である.その後,3 次元形状が特徴的な領域であるほど点を残すように 3 次元点群を間引いてリサンプリングを行う.実験では,位置合わせの精度と処理時間に関する比較評価を行い,提案手法の有効性を示した.
著者
白川悠太 岡谷貴之
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013-CVIM-187, no.30, pp.1-6, 2013-05-23

ディープラーニングの方法は,画像認識の様々なベンチマークテストにおいてよい結果を残しているが,それらは主に畳込みニューラルネットワークを用いた教師あり学習によるものである.一方,画像を学習対象とした無教師学習,特に全結合型の多層ネットワークを用いたものは,必ずしもベンチマークテストで注目されるような結果は残していない.本論文では,ディープボルツマンマシンを用いた多層ネットワークの無教師学習により,線画の生成モデルを学習し線画の欠損修復を行う方法を述べる.その上で自由度を揃え単層のモデルと比較し,全結合型の多層ネットワークの有効性について比較実験を行う.
著者
大石 圭 斎藤 英雄 梶田 大樹 高詰 佳史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2019-CVIM-215, no.18, pp.1-6, 2019-01-10

手術のビデオ撮影による記録の有用性は以前から認識されてきた.すでに多くの手術室では固定式の術野カメラが設置されている.しかし,実際には外科医の頭部や体によって術野が隠れてしまいカメラによる手術の記録が困難である.我々はこの問題を解決するために,無影灯に複数のカメラを取り付け記録するシステムを提案した.また,術野を認識し自動的にカメラを切り替えることで,頭部の映り込みの少ない映像の生成を試みる.その際,一般的に頻繁なカメラの切り替えは,動画の視聴品質 (Quality of View,QoV) が低下する.そこで我々は,組み合わせ最適化の手法で,最短経路問題で広く用いられるダイクストラ法をこの問題に応用し,一定時間カメラの切り替えが行われず,動画全体で観測している術野領域が最大になるカメラスケジューリング手法を提案する.
著者
香川 椋平 和田 俊和
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2016-CVIM-203, no.24, pp.1-6, 2016-08-29

最近傍探索は,類似画像検索や,BoF 特徴ベクトルの生成,画像間の特徴の対応付けなど,多岐にわたって用いられている.手法としては Hash 型,木探索型,森探索,グラフ探索,など様々な手法があり,問題としては,1- 最近傍探索,k- 最近傍探索,Radius 探索,などがある.近年では格納データの分布の次元が上昇することによって探索速度が低下するという問題を回避するために,近似最近傍探索がよく使われている.これに対し,本稿では,クエリ側の分布を利用した検索の高速化問題を提案する.これを 「学習型最近傍探索問題」 と呼ぶことにする.この分布は逐次与えられるクエリ自身から学習することもできるため,近似最近傍探索と近似のない最近傍探索を並列動作させればオンライン学習もできる.本稿では,その一歩として,クエリに基づいて k-d tree を再構築し,木探索のみで最近傍探索を行う高速化手法を提案する.学習した k-d tree を用いた最近傍探索時間と精度の比較を行い,その活用法を論じる.
著者
廖 若辰 守脇 幸佑 槇原 靖 村松 大吾 武村 紀子 八木 康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2019-CVIM-218, no.17, pp.1-6, 2019-08-28

体組成は健康状況を把握するための重要な指標である.体脂肪率や体水分率,筋肉量などを把握することにより,肥満や生活習慣病の予防や改善が可能になり,現代社会における健康維持のためにその必要が増しつつある.市販の体組成計の多くは,生体電気インピーダンス分析法を用いるものが多く,正確な結果を出せる一方,設備が高価という問題点がある.また一人ずつしか計測できないため,多人数を効率よく計測するには不向きである.そこで,本研究では,多人数を効率よく計測するための,歩行映像解析による体組成推定を試みる.具体的には,歩行映像から抽出するシルエットに基づく特徴表現である歩容エネルギー画像 (Gait energy image, GEI) を入力,各体組成の値を出力とする畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional neural network,CNN) を構成し,被験者の歩行映像から抽出した GEI と市販の体組成計で計測した体組成の値の組を学習データとして,ネットワークパラメタを学習する.ここで,体組成を計測できる被験者数には限りがあることから,CNN を適切に学習することが困難となる.そこで,まず,大規模歩行映像データベースから抽出した GEI を入力,同データベースから抽出可能な,体組成と関連性のありそうな歩容個性 (腕振りの大きさや歩幅) を出力とする CNN を事前学習する.次に,事前学習されたパラメタを持つ中間層までのネットワークに対して,いくかの層を追加した,即ち,構造的に成長させたネットワークの出力に体組成値を設定し,ネットワークのファインチューニングを行うことで,限られた体組成の学習データからでも効果的に学習可能なことを示す.実験では,体組成の学習データのみを用いた,サポートベクター回帰や CNN による推定手法と比較して,提案手法が高い精度を得られることを確認した.
著者
山﨑 賢人 柴田 史久 木村 朝子 田村 秀行
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.34, pp.1-6, 2015-01-15

我々の研究グループでは,商品物流における仕分け作業への複合現実感 (MR) 技術の応用に取り組んできた.本取組みが目指すのは,いきなり仕分け作業を支援する既存の商用システムを置き換えることではなく,MR 化によるシステム設計の自由度向上や作業者が関与する他のシステムへの発展的な展開であり,まずは第 1 ステップとして,作業者への情報提示デバイスとして光学シースルー型 HMD を使用した試作システムを開発した.試作システムを評価・分析する過程で様々な問題点が顕在化したが,とりわけ,システムが提示する CG の奥行き方向の距離感が掴みにくいため,作業者が目標の商品に隣接する商品を誤って把持するという事象が頻発した.そこで本稿では,この問題を解決するために,光学シースルー型 HMD に適した注釈情報提示法を検討した結果を述べるとともに,システムの改良点についても述べる.
著者
井上 慶彦 岩村 雅一 黄瀬 浩一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2018-CVIM-212, no.20, pp.1-6, 2018-05-03

視覚障害者は,晴眼者 (視覚に障害を持たない人) と比べて視覚から得られる情報が限られている.それを補うために,スマートフォンのカメラを用いて物体情報を取得できるような補助アプリもあるが,そもそも知りたい物体の位置を把握すること自体が困難である場合が少なくない.全方位カメラは一度に全方向の情報を取得できることから,対象物にカメラを向ける必要がなく,視覚障害者支援に適していると考えられる.全方位カメラにより周辺画像を取得し,得られた画像に対して物体検出及び認識を行い,音声情報などで視覚障害者にどこに何があるのかを伝えることができるようなシステムが実現できれば,汎用性の高い視覚障害者支援システムとなる.このようなシステムを実現するためには,まず全方位画像に対する正確な物体検出及び認識と,動画において前後フレームで物体情報を保持するためのトラッキングを行う必要がある.全方位カメラから得られる画像は,通常のカメラから得られる画像とは異なった投影方法なので,通常の画像を対象とした物体検出アルゴリズムやトラッキング手法をそのまま適用することは難しい.本稿では物体検出とトラッキングを別々の投影方法で行い,結果を統合することで,全方位画像に対して高精度な物体検出とトラッキングを実現する手法を提案する.
著者
村松 大吾 橋本 侑樹 小方 博之
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-8, 2011-05-12

筆記をする際のペン持ち方に注目し,カメラで撮影したペン持ち方画像を用いて個人を認証する手法を検討する.ペンの持ち方は,手の大きさ等の人の身体的特徴に由来する個人性とともに,どのようにペンを持つのか,という人の癖に由来する個人性が存在すると考えられ,個人認証に有効なモダリティだと考えられる.本研究ではその有効性を確認するために,ペン持ち方を撮影した画像 (ペン持ち方データ) から多数の特徴を抽出し,各特徴から計算される非類似度を統合することで認証を行う.本研究では 33 個の特徴から計算される非類似度スコアを realAdaBoost を用いて統合し,ユーザ依存しきい値と比較することで認証を行った.30 人から取得したペン持ち方データを用いた評価実験では,他人の握り方を真似したなりすまし攻撃に対して等誤り率 4.1% という結果を得た.We focus on a biometric person authentication method using features of pen holding style. The manner of holding pen can be distinctive among persons and be useful modality for person authentication, because the manner is affected by both the physical features and habitual behavior. In order to evaluate the efficiency, we extract several features from the pen-holding image, and fuse them for verification. In this paper, realAdaBoost algorithm is used for the fusion, and user-dependent threshold is applied for a decision making. The developed algorithm is evaluated using the database collected dorm 30 persons. The algorithm achieved an EER of 4.0% against the impersonation attacks.
著者
井原 真一郎 金森 由博 佐々木 竜生 徳永 隆治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.13, pp.1-5, 2013-11-21

2D イラストなどの参考用に特定のポーズをとらせた 3D 人物モデルが用いられる。しかし 3D ツールに不慣れなユーザにとって 3D モデルのポージングは難しい。本研究では、作成済みの 3D ポーズデータセットから、簡単な入力によって所望の 3D ポースを検索できるシステムを提案する。様々な視点から見た 3D ポーズを検索できるように、視点ごとに主要な関節間の順序関係をビット列で表現し、特徴量とする。ユーザが 2D 上でポーズの骨格構造を入力すると特徴量が計算され、データセット内の特徴量とビット演算により高速に照合される。1 万程度のデータセットに対しリアルタイムに検索結果が得られることを示す。3D character models in specific poses are often used as reference when drawing 2D illustrations. However, posing a 3D model is difficult for users unfamiliar with 3D tools. In this study, we propose a system for searching for a pose from a preset database easily by querying a 2D stick figure as input. To support a pose viewed from any direction, our system calculates feature values for various views per 3D pose. Our feature value is a bit sequence that encodes the large-or-small relationship for each pair of major joints' 2D coordinates projected from a certain view. Every time the user specifies a part of as tick figure, t he system compares feature values very fast using bit operations. We demonstrate that our system shows the retrieval results in real time for a database with roughly ten thousand feature values.
著者
小吹 健太郎 上田 博唯
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-01-12

対話ロボットの振り向き停止方向を変化させ,ユーザが 「視線を感知する度合い」 と 「視線方向の正確さの度合い」 の評価実験を行い,明示的な目が付いていないロボットであっても,目が付いているロボットと同様に視線を感じること,視線のずれの許容限界値は 10°であること,水平方向の回転不足については甘くなる 「流し目効果」 があることを明らかにした.そこから得られた知見に基づいて,ユーザの視線を感知したときにロボットが振り向いて視線をあわせるシステムを開発し,対話ロボットへの話しかけやすさの向上の検証実験を行った結果について報告する.We conducted a experiment in which a conversational robot turns toward a subject. The subject evaluated "the degree of a gaze" and "the correctness of the gaze". The gaze of the robot without eyes clearly showed that it is felt the same as a robot with eyes, and that 10-degree error is permitted. Moreover, we discovered that the horizontal shortage of rotation, gave "sink eye effect". Based on the knowledge acquired from the experiment, we developed the system with which a robot turns and makes eye contact when a user's gaze had been perceived. This paper reports the result of the experiment which verifies whether a user speaking to a conversational robot easily by this system.
著者
Kosuke Takahashi Shohei Nobuhara
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2018-CVIM-212, no.39, pp.1-16, 2018-05-03

This paper addresses the use of mirror reflections for camera calibration. Camera calibration is an essential technique for analyzing the geometric and radiometric relationship between a 3D space and a 2D image. Most conventional camera calibration methods are based on a fundamental assumption: a camera can directly observe a reference object of known geometry. However, there are cases in which this assumption does not hold in practical scenarios. One approach to camera calibration in such cases is the use of a “mirror” as a supporting device. A mirror generates a virtual reference object that can be expressed using a small number of parameters. In addition, the 2D projection of the reflection object is equal to that of the known reference object from the virtual viewpoint. This paper utilizes these features and tackles two challenges of the geometric camera calibration; the first challenge is the intrinsic camera calibration when a known reference object is not available and the second challenge is the extrinsic camera calibration when the camera cannot directly observe a known reference object due to a physical constraint on the imaging system. The proposed algorithms introduce novel constraints, kaleidoscopic projection constraint and orthogonality constraint, which are hold with the mirror reflections for solving these problems. Evaluations with synthesized and real data demonstrates that the proposed algorithms can work properly and report the robustness of it in comparison with conventional methods.
著者
鎌田泰毅 竹内 義則 松本 哲也 工藤 博章 大西昇
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012-CVIM-181, no.16, pp.1-8, 2012-03-08

卓球競技では,ボールの回転はボールの軌道やボールのインパクト後の反射角に大きな影響を与えるため,非常に重要な要素である.そこで我々は,卓球ボールの回転軸・回転数を自動で定量的に評価することを目的とし,高速度カメラ画像を入力とした回転推定システムを考案する.提案したシステムは,ボールの検出モジュールと回転推定モジュールの2つに大きく分けられる.ボールの検出モジュールでは,ソーベルフィルタを利用して得られたエッジ点に対して,円に対するHough変換を利用することで,ボールの候補となり得るエッジ点を探索する.その後,探索された円内の輝度値や中心点座標の軌跡情報を利用して,ボール候補の絞り込み検出を行う.回転推定モジュールは,ICPアルゴリズムを利用して隣接フレーム間の対応点を探索し,変換座標を特異値分解を利用して導出する.3DCGアニメーションに対して実験を行い,本システムの精度を測定した.回転軸の精度は平均誤差が約3°であり,選手に提示するのに十分な精度であった.回転数の精度は平均誤差が約6%であり,目視で計測したときの誤差3%には及ばなかった.練習を対象とした実測実験では,回転数の精度は誤差約6%であった.
著者
金子 卓弘 平松 薫 柏野 邦夫
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-208, no.36, pp.1-8, 2017-09-08

本稿では生成的属性制御と呼ぶ新しい問題に取り組む.生成的属性制御では,画像の生成または編集を,属性内多様性 (例えば,笑顔属性であれば微笑み,大笑い,にやり笑いなどの様々な笑い方) を直感的に制御しながら行えるようにすることを目指す.これを実現するためには,画像の表現空間があった時に,(1) 個人性と属性が分離され,さらに,属性に対して (2) 高い表現力と (3) 高い操作性が得られていることが必要になる.これらを満たすために,本稿では Conditional Filtered Generative Adversarial Networks (CFGAN) と呼ぶ Conditional GAN (CGAN) の新しい拡張モデルを提案する.CGAN は GAN を条件付き設定に拡張したもので,属性の観測変数を生成器と識別器の入力に組み込むことで,表現空間内で個人性と属性を分離することを可能にしている.一方で,表現力と操作性は観測変数に強く制約されており,例えば,観測変数が属性の有無を表すバイナリであればオン ・ オフの制御しかできなかった.これに対して,CFGAN では新たにフィルタリング構造と多次元の隠れ変数を導入し,属性の観測変数の値に応じて隠れ変数のフィルタリングを行う.これにより属性は多次元的に表現されるため表現力を高めることが可能であり,さらに,フィルタリング構造と隠れ変数の分布形状を工夫することで様々な制御を実現することが可能である.実験では,CFGAN を MNIST,CUB,CelebA データセットに適用し,様々なデータに対して属性内多様性を制御しながら画像を生成または編集できることを示す.さらに,本手法を属性転写と属性に基づく画像検索の二つのタスクに適用し,本手法が属性の表現学習にも有用であることを示す.
著者
加藤 直人 池辺 将之 本久 順一 下山 荘介
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012-CVIM-182, no.18, pp.1-6, 2012-05-16

本稿では局所ヒストグラム平坦化を基にしたダイナミックレンジ圧縮技術の自動制御手法を提案する.局所ヒストグラム平坦化ではフィルタカーネル毎のヒストグラムを用いて補正関数を生成する.フィルタカーネル内の輝度値に偏りが大きい場合,補正関数の勾配が急になり不自然なコントラスト強調を招く.我々は今までに,補正関数の変動域に対して上限値と下限値を設定し,変動域を制限する手法を提案してきた.本研究は,画像の情報を利用して上限値と下限値を自動的に決定することを目的とする.特に今回の報告では,夜景画像を対象とし,その補正において影響が大きい上限値を決定した.夜景画像の補正指針として,主に,暗い領域を良好に認識できるように補正すること,光源等の比較的明るい領域を適切な明るさに補正することを考慮した.指針を基に上限値を手動で決定したところ,画像のヒストグラムとエッジ量が上限値の決定に寄与しているという知見を得た.提案手法では,この知見に基づいて上限値の自動化を行なった.主観評価を行ったところ,提案手法は既存手法に比べ,画像補正が適切であるいう結果が得られた.
著者
岩間晴之 村松大吾 槇原靖 八木康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-10, 2013-03-07

近年,歩容に基づく人物認証技術の犯罪捜査応用が注目を集め,実際に活用されはじめている.監視カメラ映像で観測された犯人の歩容特徴から対象人物を鑑定するためには,当該分野の専門的知識及びスキルが必要となるため,従来の犯罪捜査においては,歩容認証を専門とする研究者などの歩容の専門家にそれを依頼してきた.しかし,より迅速かつ効率的な犯罪捜査を行うためには,歩容の専門家ではない犯罪捜査員が,手元で即時に人物鑑定結果を得ることが望ましい.そこで本研究では,そのような歩容の非専門家による使用を前提とした,世界初の歩容に基づく人物鑑定システムを構築した.本システムは,最先端の歩容認証技術が実装されているだけでなく,GUIに基づく簡易な操作インタフェースを備え,非専門家であっても,専門家と同様の人物鑑定結果を,簡易な操作手順によって得ることができるよう設計されている.実験では,一人の歩容の専門家及び10人の非専門家を被験者とし,本システムによる模擬鑑定実験を行った.結果として,非専門家が行った合計50組の鑑定のうち,46組の鑑定で専門家と同様の結果を得ることができ,本システムの有用性を確認することができた.
著者
黒沢健至 黒木健郎 土屋兼一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.25, pp.1-1, 2013-03-07

街頭防犯カメラや携帯カメラ等の増加に伴い,犯罪捜査などの警察活動における画像(映像)分析の重要性が増している.近年では,画像分析は基本的な捜査手法の一つと位置付けられているが,現場捜査員からの期待も大きく,新しい解析技術の開発も求められ業務が拡大している分野である.本報では,科学警察研究所の物理研究室でこれまでに扱った各種画像解析について,実例を交えながら概説する.特に,撮像素子の固定パターン雑音(FPN)の固有性を利用した撮影カメラの個体識別法について,その識別原理や効果的事例,さらに画像改ざんの検出へ応用できることを示す.また,マルチフレーム超解像などの画質改善処理や,幾何解析等についても我々の取り組みを紹介する.最後に,画像分析に関する警察活動の現場での問題点や,CVIM研究会等の画像工学研究者への期待を述べる.
著者
森田 拓也 土橋 宜典 山本 強
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-6, 2012-11-26

近年,流体シミュレーションを利用した映像生成が盛んに行われている.本稿ではとくに爆発現象の映像生成に着目する.流体シミュレーションを利用した爆発現象の映像生成を行う手法はいくつか開発されているが,いずれにおいても多くのシミュレーションパラメータを設定する必要があり,所望する形状を持つ爆発の生成は困難である.そこで本研究では,所望の爆発アニメーションを容易に生成することができる制御システムを提案する.提案手法では,爆発規模最適化ステップと爆発形状編集ステップの 2 段階による制御を行う.提案システムを適用することで,ユーザが所望する形状に従って制御された爆発アニメーションを生成することができる.Recently, many methods for creating fluid animation based on fluid simulation have been proposed. We focus on the simulation of explosions. Some methods for simulating explosion were already developed. Although these methods can create realistic shapes and movement of explosions, the resulting shapes and motion depend on many simulation parameters. Therefore, it is very difficult to create the explosions with desired shapes. In this paper, we propose a system for controlling explosion shapes towards desired shapes. Our system consists of the following two steps: scale-optimization step and shape-editing step. Using the proposed system, the animation of explosions controlled into specified shapes can be generated.