著者
大場 美穂 真田 弘美 須釜 淳子 松尾 淳子 飯坂 真司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

褥瘡保有者および褥瘡非保有者を対象に基礎代謝量を測定し、比較検討した。対象はI度、II度の部分層創傷(浅い褥瘡)保有者7名、III度、IV度の全層創傷(深い褥瘡)保有者9名、褥瘡非保有者23名であった。年齢66-97歳、男性7名、BMI18.5未満19名、日常生活自立度C30名、B9名であった。体重1kg あたりの基礎代謝量は褥瘡の面積や体積が大きいほど大きい傾向が見られた。実測した基礎代謝量はHarris-Benedictの予測式による基礎代謝量と比較して褥瘡保有の有無に関わらず有意に少なかった。
著者
鈴木 淳生
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

売り手と買い手の両者が権利行使可能な金融派生商品のペイオフを一般化し、定式化および価格評価を行った。さらにいくつかの例として転換社債、仕組債(ダブルバリア型エクイティリンク債、パワー・リバース・デュアルカレンシー債)などを取り上げ、売り手および買い手が権利行使をすべき閾値(最適行使境界)の解析的な性質を導いた。
著者
内田 善彦
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

第一に、解析的な価格式を持たないヨーロピアン・オプションを対象にした並列化コードを実装し、並列化による計算速度の向上を確認した。ここでは、漸近展開を用いた分散減少法付きモンテカルロ法のアルゴリズムとしてTakahashi and Uchida(2006)で提案済みのものをアルゴリズム利用した。漸近展開や分散減少法を用いない既存アルゴリズムとしてオイラー・丸山法によるモンテカルロ法のアルゴリズムを利用した。並列・分散処理にかかる制御手法はsocketをもちいたサーバー・クライント型とした。数値実験の結果として、並列化手法を用いれば、一般的なモンテカルロ法では計算時間が長くて現実的でない「実用的な精度のキャリブレーション」が低次の漸近展開式を得るだけで可能になる、と考察した。第二に、漸近展開法とモンテカルロ法を組み合わせたアルゴリズムの応用範囲を広げることを目的として、漸近展開法を用いてヨーロピアン・オプションの初期値微分(グリース)を計算する計算式を導出した(Matsuoka, Takahashi and Uchida(2006))。この計算式を上記の並列化手法を用いて並列化することは容易である。第三に、アメリカン・オプションを対象にした漸近展開を用いたモンテカルロ法の開発を目的として、Rogers(2002)の方法に漸近展開法を組み合わせたアルゴリズムについて、基本的な数値実験を行った。この結果、単純なペイオフをもつアメリカン・オプションに対してはマルチンゲール項としてヨーロピアン・オプションの漸近展開式が有効であることが分かった。さらに、一般的なペイオフを持っアメリカン・オプションに対して有効なマルチンゲール項の計算を統一的な方法で行うことは必ずしも容易でないことが分かった。
著者
三好 健文
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

プログラム中の様々な粒度の並列性を有効に活用し効率良く実行することを目的とし,(1)静的な細粒度自動並列化,(2)動的最適化のためのタスクスケジューラ実現手法,(3)タスク間の依存制約の静的解析とプロファイル情報に基づく動的解析を組み合わせた共有リソースの有効利用手法,および,(4)実行する演算に対する動的最適化の負荷と効果の評価方法についての研究を行った.また評価環境としてシミュレーション手法の研究を行った.
著者
副島 哲朗
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,これまでマクロなレベルでのみ認識されていた散逸構造という物理現象による自己集合現象が,ナノ・分子レベルといった極微の世界でも存在していることを証明した.また,単一のナノ結晶の構造形成において,結晶成長とエッチングを同時に適用することによって,それぞれの手法を単独で適用したときには得られない,ユニークな形状を有するナノ結晶が得られた.
著者
津田 憂子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

現行のロシア憲法制定過程で草案作成に関与した法律家、政府及び議会関係者に対するインタビューを現地で実施し、ソ連崩壊後のロシアでどのように制度が設計されてきたかに関する実証的研究を行った。実証的研究と並行して、制度設計に関する比較政治学の既存理論とロシアにおける理論研究を合わせた体系的な理論構築を行い、最終的には実証と理論という2つの視座から本研究の仮説を論証することを目指した。
著者
徳永 智春
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

材料の局所領域の構造をナノスケールで明らかにすることが可能な透過電子顕微鏡により有機材料を観察するための条件を調査した.その結果,加速電圧200kV,照射電流密度2pA/cm^2の条件を用いて短時間のうちに観察する必要があることが判明した.また,有機半導体からなるデバイスの薄膜加工には機械加工が適していることが明らかになった.
著者
権 力
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

法医鑑定では, 犯罪被害者の死因のみならず, 生存時間や受傷時の苦痛・身体的行動能力などについての医学的立証が求められることがある.ヒトの死の直前における神経伝達物質の中, 特にカテコラミンの測定を中心として, 致死的外傷(侵害刺激)が中枢神経系に及ぼす急性ストレス反応を生化学的に評価し, ヒト(法医剖検例)における脳組織, 脳脊髄液および血液内に残された痕跡を分子病理学, 分子生物学および神経化学・生理学的指標を用いて多元多角的に分析した.
著者
常田 夕美子
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は、インド地方都市における中間層女性の「理想の生き方」や「生きがい」についての考え方や価値観は、急速に変動する社会経済状況のなかで個々人によってそれぞれ独自に再検討され、自らがおかれている関係性のネットワークのありかたやそれまでの人生経験と密接にかかわっているのが明らかになったことである。グローバル化や近代化に対する希望を持つと同時に伝統的な宗教実践に新たな価値を見出す動きもみられた
著者
木林 美由紀
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

食育支援を目指して、咀嚼力と食行動および運動能力との関連について検討した.小学6年生171名を対象に、直接的咀嚼力(チューインガム法)と自記式質問紙調査票から得られた食行動および新体力テストから得られた運動能力との関連性について検討した.その結果、咀嚼力の高い者は、食への期待感および野菜の摂取頻度が有意に高く、運動能力を構成する握力平均、上体起こし、長座体前屈、反復横とびおよびボール投げの基本的な体力要素との関連性が示され、咀嚼力と食行動および運動能力との関連性が示唆された.
著者
大澤 武司
出版者
熊本学園大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近年公開が進む中華人民共和国外交部档案(公文書)の体系的な調査・収集を行い、人道を大義名分として行われた日中間における民間経由の戦後処理、すなわち「戦後日中民間人道外交」に込められた建国初期中国の冷戦外交戦略の一端を明らかにしたものである。従来、「戦後日中民間人道外交」は戦後日中友好運動史の文脈において肯定的に語られることが多かったが、本研究はかかる評価の描き直しを試みるものである。
著者
野村 智幸
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

匂いを感じ取る嗅神経細胞は、定期的に死と再生を繰り返す珍しい細胞であることが知られている。しかし、その元となる再生母細胞やその細胞が再生後に成長していく様子は、不明な点が多い。本研究では、マウスの嗅球(嗅神経細胞の線維が入力される脳組織)を除去したり、アルカリで標本を処理するなどの工夫を凝らすことによって、嗅神経細胞の変性・消失(死んでいく過程)と成長の様子を光学顕微鏡や走査電子顕微鏡を用いて詳細に観察することができた。
著者
吉田 紀子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

1920~30年代のフランスで発展したアール・デコ様式のポスター・デザインをめぐり、当時のポスター・デザイナー、美術批評家、広告産業家は、19世紀にさかのぼるポスターと絵画芸術の交流、およびポスター収集・批評の歴史を参照しながら、フランスの広告表現の独自性や優秀性を立証する理論的基盤を構築しようとした。こうしたフランス広告の芸術的伝統を前景化する言説「広告芸術論」は、広告産業界の社会的評価を高める助力になるとともに、競合する英米圏の広告に対するフランス広告の優越を証明するという戦略的な役割を担った。
著者
竹久 妃奈子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

申請者は、世界で初めて塩害水田において選抜された耐塩性系統6-99Lの耐性に浸透圧ストレス耐性機構が関与していること、その原因遺伝子が1遺伝子であり、第6染色体に座上している可能性を示した。さらに申請者は、その遺伝子が、塩害水田におけるイネの草丈や千粒重、整粒歩合を高く維持する能力を有することを示唆した。本研究の結果、この1原因遺伝子を調節することによって、野外の塩害水田におけるイネ育種が可能となる可能性を示した。
著者
奥野 達也
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

病態時における細胞においては、疾患関連タンパク質の分泌およびプロテアーゼなどの分解により、さまざまに代謝・分解された代謝産物が生成される。このような疾患特異的な低分子量代謝産物を網羅的、包括的に解析した研究は、さまざまな問題から十分に成果を達成していない。申請者は、消化器がんに発現、生成が認められる低分子代謝産物を中心に網羅的に解析してがんバイオマーカーを同定し、将来の臨床応用をめざす。
著者
堀 知行
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

近年、実環境での微生物代謝生理を決定する同位体追跡技術の進展・適用により、陸上地下圏においてメタンの産生抑制や分解に関与する微生物の存在が明らかになってきている。本研究では、嫌気土壌圏メタンフラックスに中心的に関わる未知細菌群を分子生態学的手法によって探索し、さらに分離培養することを目的とした。まず初めに、分離培養の微生物接種源である美唄湿原土壌の分子生態解析を行った。pmoA,mcrA,16S rRNA遺伝子のクローンライブラリ解析の結果、美唄湿原ではType Iメタン酸化細菌やFen clusterに分類される新規なメタン生成古細菌群が優占化していることが明らかとなった。現在、水素資化性メタン生成菌の基質競合細菌(還元的酢酸生成菌)に関する生態学的知見を得ることを目的として、アセチルCoA経路の鍵酵素遺伝子,fhsを標的としたクローン解析を進めている。また酢酸資化性メタン生成菌と基質競合する鉄還元細菌を分離培養すべく、難分解性の結晶性酸化鉄(GoethiteやHematiteなど)を電子受容体とした集積培養実験を開始した。しかし、これまでのところ新規な鉄還元細菌の純粋分離には至っていない。さらに嫌気環境のメタン動態に直接的に関与する嫌気メタン酸化微生物の取得を目指したバイオリアクターを考案・設計した。今後は、本連続培養システムを用いて目的微生物群の集積培養を行う予定である。