著者
奥村 与志弘
出版者
(財)阪神・淡路大震災記念協会(人と防災未来センター)
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

今世紀前半にも東南海・南海地震の発生が確実視されている.本研究では,地震の規模の観点から,想定される将来の津波来襲特性の不確実性について明らかにした.また,地域性や長期的効果を考慮した津波防災対策のあり方について考察した.具体的には,海外の津波復興状況調査や東南海・南海地震時における関西・四国の被災社会シナリオの構築を試みた.
著者
鬼澤 陽子
出版者
日本女子体育大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,新学習指導要領で体育の学習内容として明示されることとなった「知識」の評価に寄与するものとして,バスケットボールの戦術的知識の理解度について測定できる「映像を用いた状況判断テスト」の開発を目指した.従前からの課題を克服するために,ハイビジョンのデジタルビデオカメラに広角レンズを装着するだけではなく,カメラクレーンシステムを導入した撮影技術やデジタル映像の加工技術を用いることによって,ゲーム状況を可能な限り忠実に提示できる「映像を用いた状況判断テスト」の開発をすることができた.
著者
菅村 玄二
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

抑うつ時に,直立または後屈の姿勢をとると,抑うつが低減するが,前屈の姿勢では低減しなかった。また姿勢は変えずに,視線のみを変えると,下向きは正面や上向きに比べて,抑うつ気分を増加させた。さらに,前屈は直立や後傾姿勢と比べて,感情状態もネガティブにさせるだけでなく,前頭前野の賦活度も低下させることが判明した。将来的にはうつ予防やうつに対する臨床的技法につながりうる成果であるといえる。
著者
東谷 護
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の遂行によって、日本での米軍クラブの音楽実践、すなわち進駐軍クラブと、韓国での米軍クラブの音楽実践、すなわち米8軍舞台とは、米軍クラブでの音楽実践そのものだけでなく、米軍クラブへの介入の方法、すなわち仲介業の存在と仲介方法、自国の音楽文化への影響などの点において、非常に似ていることが実証的に明らかになった。なお、インタヴューをした方々は、駐韓米軍クラブで音楽実践の経験のある8名であり、内訳は、バンドマン6名、歌手1名、バーテンダー・クラブマネージャー1名である。
著者
春日 純
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

カツラという樹木の木部組織には水の過冷却を促進するフラボノイドが存在する。本研究によって、このフラボノイドの木部組織における局在性と量的な季節変化が明らかになった。また、フラボノイドの過冷却促進効果はアグリコンと糖鎖の組み合わせにより大きく変化することを明らかにした。さらに、カツラ由来のcDNA ライブラリの調製など、フラボノイドの蓄積量を改変した形質転換樹木の作出の準備を進めた。
著者
浅香 あき
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究はボリビアの特別支援教育現職教員の持つ価値志向の検討を目指している。本年度は(1)ボリビアの教育制度および教員研修制度に関する情報・資料の収集(2)JICAの研修で来日した研修員が作成した資料の収集と分析、(3)本年度の研修員に対するインタビューによる情報収集と(4)アンケート調査を行った。(1)ボリビアの特別支援教育に関する情報は非常に少なく、JICAの協力隊や専門家の報告書とJICAの雑誌がそのほとんどであった。ボリビアの高等師範学校や教育大学では今まで障害児教育の専門家養成を行ったことがなく、障害児教育の位置づけは非常に低いことが分かった。非政府組織の障害児教育の専門養成の研修が存在するが、それを受けても専門家として政府に認可されないこともわかった。よって特別支援学校で働く90%以上の職員が何の資格も持たないで従事している。(2)2006年度から開始したJICAの課題劉地域研修障害児教育コースにおいてボリビアの研修員が作成した資料を収集した。特別支援教育現場に携わる研修員は研修後も、研修で立てたActinPlanの実行に意欲的に取り組んでいることが分かった。しかし、教員養成システムやカリキュラムの組織化に関する活動は難を示している。(3)(4)面接調査及びアンケート調査から、本年度の研修員は自主的に特別支援教育に携わることになったのは私立の専門学校を卒業した研修員一名だけであり、その他の研修員は上司の命令や、他に選択肢を与えられなかったことから携わることになったことがわかった。特別支援学校では通常学校の半分程度しか給料がでないため、他に仕事の選択肢がある場合には、やめる教員が多いこともわかった。しかし、JICAの研修に参加する現職教員は責任を持って特別支援教育の普及に今後も努め、学内での授業研究を通じて教員の質を上げていきたいという意欲を示していることと、帰国後も具体的な活動を進めていることがわかっている。
著者
岡村 美由規
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

初等教育の完全普及は、人権としても経済・社会発展の土台としても今日広くその意義が国際社会で認められている一方で、その道程はまだ険しい。そこで本研究は、開発途上国における教育政策の成否のメカニズムとその要因について、ボリビア・チリ・ペルーを対象に、教育関係当事者に注目して、彼らが持つ思想、それに基づく教育政策への活動関与、それを支える行動原理、そして当事者間の相互作用について、当事者の認識というミクロの視点から教育社会学的に明らかにした。
著者
飯野 裕明
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は(1)加熱スピンコートによる多結晶薄膜作製の詳細な検討(2)平成18年度に検討した棒状液晶系(チオフェン系)、円盤状液晶(フタロシアニン系)の多結晶薄膜を用いた有機トランジスタの作製および評価(3)新規な液晶材料(チオフェン、ペリレン系)の多結晶薄膜の電荷輸送評価および有機トランジスタの作製および評価を行った。(1)液晶相を示す温度における加熱スピンコートを行った際のみ、均一な薄膜作製が可能であった。従って、液晶相においてスピンコートをすることが均一な薄膜作製には重要であることが示唆された。(2)棒状液晶においては良好なトランジスタ特性を示し、移動度(>10^<-2>cm^2/Vs)が過渡光電流測定法で求まる移動度(粒界の影響を受けていない移動度)と一致したのに対し、円盤状液晶においては良好なトランジスタ特性は示さなかった(移動度<10^<-5>cm^2/Vs)。これは配向制御が容易な棒状液晶においては粒界方向を制御でき粒界の影響を受けない電荷輸送特性になったのに対し、円盤状液晶は分子配向制御ができず、粒界の影響を強く受けたためと示唆された。(3)過渡光電流測定法により高移動度(>0.1cm^2/Vs)を示すターチオフェン液晶、およびペリレン液晶を上記と同様な方法でトランジスタを作製したところ、それぞれ、pチャネル、nチャネルで動作し、移動度が0.1cm^2/Vsを超えることを見出した。このように液晶性物質の多結晶薄膜は、(1)液晶相を用いることで通常では困難なウエットプロセスによる均一な多結晶薄膜の作製が可能、(2)液晶相を経由することで分子配向制御させた多結晶薄膜作製が可能、(3)粒界方向を制御でき電荷輸送方向には粒界の影響が少ない、といった特徴を有することが明らかになった。その結果、通常の多結晶材料の真空蒸着法で示されるような高移動度(>0.1cm^2/Vs)を示すpチャネル、nチャネルのトランジスタをウエットプロセスで実現させることに成功した。
著者
丹羽 健 長谷川 正 草場 啓治 八木 健彦 大砂 哲
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,数万気圧・数千度の酸素超臨界中でのゲルマニウムおよびシリカの二酸化物(GeO_2,SiO_2)の溶融・急冷回収実験から中空角柱状の非常に特異な形態を有する単結晶の育成に成功した.高密度ガラスを合成することは難しかったが,超高圧下におけるガラス形成能や結晶成長機構の解明,新規機能性材料開発に対する幅広い知見を得ることができた.
著者
梶原 健佑
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

表現の自由との緊張関係を孕むにもかかわらず、これまで十分に考究されてこなかった「名誉感情侵害」不法行為に焦点を当て、アメリカ不法行為法のIntentional Infliction of Emotional Distressとの比較から、「感情」という主観的法益の保護と表現の自由保障との調整法理を検討した。他のTortious Speechと同様に、表現の対象者と表現のテーマの両面からのアプローチが効果的と考えられる。また、調整にさいしては、結論を準則のかたちで得ることが望ましい。
著者
森 京子
出版者
三重県立看護大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、終末期がん患者が在宅緩和ケアへ移行する際のアドボケイトとしての看護実践とは何かを明らかにすることである。本研究は、病院看護師への参加観察および半構成的面接による質的記述的研究である。結果、従来の抽象的な議論を超えて、在宅緩和ケアへ移行する終末期がん患者に対するアドボケイトとしての看護実践のテーマとして、【選択できるように支える】、【患者が望む過ごし方を具現化する】、【スムーズな療養場所への移行を図る】が生成された。
著者
堀田 隆一
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

英語の名詞複数形の-sが現代英語にみられるように圧倒的に優勢となる傾向が現れたのは,初期中英語期(1100~1300年)である.本研究では,電子コーパスや語彙拡散理論を援用しながら,なぜ(WHY)どのようにして(HOW)この時期に-sの拡大が進行したかを明らかにしようとした.結論として,初期中英語期における名詞複数形態の発展は,種々の言語内的・外的要因により,およそ語彙拡散理論が予想する型に従って進行したことが判明した.
著者
山岸 敬和
出版者
南山大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、アメリカ合衆国の医療保険が1950年代から1960年代にかけて医療保険分野で、どのように政治的ダイナミズムが変化し、1960年代にメディケア(高齢者向け公的保険)とメディケイド(貧困層向け公的保険)が成立したのかを明らかにすることである。より具体的には、退役軍人向けの医療プログラムと、福祉政策の発展がどのように利益集団政治を変容させていったのかに焦点を当てる。平成20年度は国内外で主に資料の収集を行った。特にワシントンDCでの資料調査では退役軍人団体であるAmerican Legionに関する古い資料を入手することができた。本研究の最終年度に当たる平成21年度は主に前年度に収集した資料を使いながら論文執筆を行い三本の論文を執筆した。
著者
日高 優
出版者
群馬県立女子大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の二年目に当たる平成19年度は、研究計画に基づき、前年度の基礎的作業によって取り上げるべき事例として選定された各々の内容を、「パフォーマティヴィティ」概念を手掛かりにして調査、分析した。本研究の目的は「デモクラシーの価値を動態的に生成してくるつねに可変的な価値として分析する」というものであり、「パフォーマティヴィティ」概念はこの目的にとって根幹にある概念であった。デモクラシーの価値とポジティヴに、あるいはネガティヴに切り結ぶ事例として取り上げたのは、冷戦構造下アメリカ文化が世界に急速に波及していった50年代の<ファミリー・オヴ・マン>展、60年代の公民権運動やヴェトナム戦争などにおける写真実践、ポピュラーカルチャーの浸透を背景にした70年代のニューカラー・フォトグラフィのインパクトなどである。<観者>-<メディア>-<写真行為者>というデモクラシーの意味・価値生成連関においてこうした事例を分析することが目指され、おこなうことができた。(具体的な成果は、現在青弓社からの刊行のために執筆中の著書にて公表予定される)。ワシントンD.C.の議会図書館やナショナル・ギャラリー・オブ・アートのアーカイヴ、ボストン美術館図書館に直接赴き、本研究の一次資料の調査、収集をおこなった。西部開拓期の初期写真から60年代のカウンターカルチャーの下に撮影されたゲイリー・ウィノグランドのポートフォリオなどの一資料、研究論文など文献調査をおこなうことができた。特に、デモクラシーと写真という観点からの文献資料、トラウマという観点を導入した展覧会カタログや文献などを収集したことは、新しい視角へと本研究テーマを広げて探るのに有効であった。
著者
湯之上 英雄
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、少子高齢時代を迎えたわが国の公共政策、特に公共政策の主要な担い手である地方財政に注目して分析を行った。また、高齢人口の増加に伴い、介護保険費の増加が予想されており、どのように介護保険を提供するのかを分析した。
著者
中野 昌弘
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、不動点帰納法による検証能力の向上、適用可能規模の向上のため、テストに基づく発見的手法により帰納法の仮定を求め(補題発見)、従来手法では自動検証できなかった問題に対しても、自動的な検証を行えるようにすることを目的とする。SMTソルバとしてCVC3を利用して最弱事前条件計算を実装し、補題発見機能と不動点帰納法による不変性自動検証器を実装した。SMTを用いたことや補題の発見、各種手続きの効率化を図ることで、証明力の向上と数十倍程度の高速化を実現し、より規模の大きな問題であっても、自動で証明できるようになった。
著者
小野瀬 善行
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

1980年代にオルタナティブな教員資格認定制度(alternative routes to teacher certification、以下ARTC)を導入すべきと述べたマーティン・ハバーマン(Martin Haberman)の主張やテキサス州における議論を分析することにより、導入当初、ARTCは、大都市部を抱える学校区において、臨時免許状や無資格の教員を減らすという、社会的公正の達成という観点が含まれていることを確認した。
著者
野々村 美宗
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

皮膚の構造と機能を模倣した表面を持つマイクロカプセルおよび皮膚モデルを開発し、皮膚が外部刺激や乾燥から体内の臓器を保護する機構を物理化学的視点から解明することを日的として研究を行った。その結果、羊毛を粉砕して得たケラチンパウダーによって被覆されたエマルション及びマイクロカプセルの調製に成功した。このマイクロカプセルは皮膚のモデルとして有用なだけでなく、生体への安全性や皮膚親和性の高い化粧品1医薬品用製剤に有用であることが予想される。また、固体粒子とモデル細胞間脂質混合膜で寒天ゲルを被覆した皮膚モデルを調製し、寒天ゲルからの水分蒸散量を測定した。その結果、コレステロールと脂肪酸を適量添加することにより、寒天ゲルからの水分の蒸散が効果的に防止されることを見出した。この成果は角質層内における脂質の存在の重要性を示すものであり、化粧品などの開発に有川な知見である。
著者
鈴木 香織
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

3次元複素Q-Fano多様体に対し、その射影モデルを記述するというアプローチにより考察をおこなった。特にFano指数が2よりも大きい場合に、重み付き射影空間への埋め込みの余次元が3よりも大きい場合について研究を進め、特異点の情報を利用することで今まで得られていた分類の「候補達」の数を更に減らすことに成功した。また、ある種の反射影を用いて具体的な例の構成が可能だと予想されることもわかった。この構成にはまだ取り除くべき仮定が存在する。今後引き続き考察を進める予定である。
著者
大屋 多詠子
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

読本演劇化作品について調査をすすめ、特に山東京伝の読本の演劇化作品の分析とその上演状況、またこの上演が曲亭馬琴に与えた影響について考察した論文を発表した。また馬琴と交流のあった上方の版元河内屋太助の出版活動について、特に読本と根本(歌舞伎台帳を出版したもの)の出版に注目し、その活動が読本作者に与えた影響を考察し、口頭発表を行った。