著者
福井 裕輝
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

サイコパス群、比較対照群に対して、拡散テンソル画像;DTI)を撮像し、tract-based spatial statics(TBSS)を用いて全脳におけるfranctional anisotrophy(FA)値を調べた。サイコパス群では、前頭葉眼窩領域においてFA値の有意な低下を認めた。
著者
片岡 美華 玉村 公二彦 森下 勇 FADDEN Steve BRANDON Alicia
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

短期大学生・大学生が抱えている、講義内容の理解やレポート課題への取り組み、一人暮らしや対人関係などにおける困難さ、及びそれに対する支援ニーズを調査によって明らかにした。この結果と米国等の先進的な取組例を検討した上で、導入・初年次教育の充実、添削等の学習支援や学習方法への助言を行うコーチング、障害の自己認知やセルフ・アドボカシー・スキル形成に関する支援を含めた継続的かつ系統的な支援モデルを提案した。
著者
戸ヶ里 泰典 山崎 喜比古 小手森 麗華 佐藤 みほ 米倉 佑貴 横山 由香里 木村 美也子
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

2008年度、2009年度の、5月、11月、2月に、本調査対象校中央大学附属高等学校の2007年度、2006年度入学生を対象とし、6回の調査を実施した。そこで、2007年に実施したデータと合わせて、1年生の5月から3年生の2月まで計9回にわたり測定されたsense of coherence(SOC)スコア変動および、その変動に及ぼす要因の探索を行った。その結果、中学時代の課題に対する成果、成功経験や、高校生初期の教師との関係、あるいは、教師によって作り出される受容的な環境が、その後のSOCの上昇を大きく左右していること、学校に対する誇りや居場所感とも言えるような学校における所属感覚もまた、大きくSOCの変動を左右していることが明らかとなった。
著者
尹 芝惠
出版者
西南学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,岡山県に残された朝鮮通信使の足跡について,主に絵画作品を中心に調査研究してきた。岡山藩における通信使の宿館であった牛窓の本蓮寺には,多くの墨跡や調度品が残されている。このことは,従来から知られてきたことではあるが,本研究における聞き取り調査において,第二次大戦中に憲兵がその遺物を持ち去って破壊しようとしていた事実が明らかとなった。このことは逆説的に,通信使が先進文化を伝えたことが周知の事実であったことを物語っている。破壊をおそれて遺物を隠匿し,また通信使を話題にさえ出さなくなったために,同じく牛窓に伝わる「唐子踊り」はいまだに伝承経路さえ明らかにされ得ないのであろう。また,四宮家から船団図が発見された下津井,あるいは足守においてもフィールドワークを展開したが新たな成果を上げることはできなかった。本研究において特筆すべきは,倉敷市連島にある宝島寺における調査である。「米友仁を倣う」と但し書きされ「李金谷」の落款がある水墨山水画,王勃『滕王閣序』の一節を屏風に仕立てたものに関しては,寺に残された文献には通信使との関わりが示唆されているものの,真偽のほどは不明である。とりわけ後者は,詩の途中から書き始められていること,誤字脱字があること,詩の連の順番を間違えていることなどから,偽作の可能性が高いが,そうでなければ使臣の誰かが練習用に書したものを日本人がこっそり持ち帰り寺に寄進したのではないかと推測される。制作年代の特定が急がれる。また,第10回の朝鮮通信使の随行員朴敬行らと岡山藩士近藤篤との筆談集『停嵯邂逅録』,および「矢上山」の扁額が第10回の朝鮮通信使に随行した金啓升の手によるものであることも久しく忘れられていた(李元植による詳細な目録,「筆談唱和集総目録」や「通信使の遺墨」にも記載されていない)が,本研究において再び明るみに出された。
著者
妹尾 裕彦
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

極度の貧困を抱えているのみならず、ときに内戦下にある破綻国家(脆弱国家)の発生を如何に防ぐべきか。またこうした国々で進められている平和構築が後戻りせず持続可能となるためには、どのような条件が必要なのか。本研究では、破綻国家とは「開発の失敗」であり、またこの開発の失敗の一因が、熱帯産一次産品の価格低迷にあるという観点から、こうした価格低迷による国家の破綻の実態、ならびにこの国家の破綻を防ぎうる諸方策の可能性と射程について検討した。
著者
池側 隆之
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究においては、結果あるいは成果としての情報を如何にして共有するのか、という議論にとどまらずに、個人が抱くアイデアが他者に伝達されるプロセスそのものにおいてどのような工夫が成されているのかを中心に分析を行った。そして異分野をつなぐ情報共有の一つの手段として、視覚情報の連続的提示が有効であるという結論に至った。創造的プロセスの解析を足がかりとして、今後はアニメーションや映像によるシークエンシャル・デザイン(時系列を意識したデザイン手法)が情報共有において果たす役割を考察し、産業-教育-社会での応用を導き出す初期モデルの構築を行いたいと考えている。
著者
浅井 史敏
出版者
麻布大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

新規の糖尿病モデル動物であるWBN/Kob-Lepr^<fa>ラットを用いて病態の特性およびヒト糖尿病患者において血管リスクの大きな要因である血栓機構について検討した。このラットでは生後2~3ヶ月の早い時期から肥満・インスリン抵抗性・膵β細胞の傷害および血栓バイオマーカーの変動などヒトの2型糖尿病と類似性が高い病態が発現することが明らかとなった。WBN/Kob-Lepr^<fa>ラットは糖尿病研究に有用性が高いと期待される。
著者
RUGGERI Anna
出版者
京都外国語大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度において日本臨済宗中興の祖とされる白隠慧鶴の研究を深めることができた。特に研究計画の(3)(白隠禅の公案と言語の問題における研究)、(4)(白隠の書物をイタリア語に翻訳)と(5)(白隠禅と現代の教育問題をめぐる研究)という点に力を入れた。まず白隠の思想と教育問題の関連を示す禅における「大死」の概念を分析した。様々な禅の資料を通して中国禅と日本禅、特に白隠慧鶴の「大死」観とその実践を検討することによって、これらは現代の教育問題にヒントになれることが分かった。自の破棄および本来の自己の自覚に導く禅の「大死」とその実現への実践は、人間の成型に非常に役に立てるということを紹介できた。また、このような白隠禅による「大死」と実存哲学の代表者であるM.ハイデッガー(Martin Heidegger、1889-1976)の概念的な「無」と「死」の理解が大きく異なることが分かった。上記の研究は「禅の教育と体験の重要性(2)-「大死」を通して-」(京都外国語大学『研究論叢』第69号、平成19年7月31日)にまとめた。白隠の研究を深めた結果として、「菩提心」という概念の重要性が明らかになった。白隠の最も根本的な教義である「菩提心(bodhi・citta)」の二つの側而を表わす。それは、自己が救われると共に、他人や衆生もまた救われることを願う心を生じることである。心の自覚は個人的なものであるにもかかわらず、個人的な修行が終れば、今度は衆生済度という普遍的な修行の段階に入る必要がある。この側面を白隠は「菩提心」と説明している。この概念は現代の世界とその平和にとって必要な概念だと思われる。上記の研究は「白隠と菩提心思想」(花園大学国際禅学研究所『論叢』第3号、平成20年3月31日)にまとめた。最後に、白隠の思想の一部を引きついたモダンな禅思想家である久松真一(1889-1981)とその新たな禅の紹介(「久松真一の禅-新たなパラダイムの可能性-」、京都外国語大学『研究論叢』第70号、平成20年1日31日)と共に、白隠の作品『遠羅天釜』のイタリア語の翻訳を進めることができた。平成20年と21年の間に、完成し、イタリアで出版する予定です。
著者
太幡 英亮
出版者
東北文化学園大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、(1)既往研究を横断的にレビューする中で、環境の保全活用に効果を持つものとしての「物語」の働きが整理されたとともに、(2)具体的な「物語(アニメ作品)」を対象にした分析によって、永く愛される環境のもつ豊かな意味とそれをもたらす物語の構造について明らかにし、(3)具体的な「環境(保育園児の散歩環境)」を対象にして、物語が生み出されるための散歩環境との親密な関わり(ふれあい)を可能にする物理的空間の質を捉えた。以上、我々の持続可能で豊かな環境づくりのための、一つの強力なツールとなるであろう「物語」についての考察が深められた。
著者
清水 麻記
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

現在、日本には7000館近くの博物館・科学館が存在する。こうした既存のインフラは、施設の維持費が増大こそすれ、これまであまり地域の人々に活用されてこなかった。博物館の教育的役割の重要性がますます高まり、人々のニーズを読み取り、これまでにない教育プログラムの開発・実施や自己収入獲得の有効な方法を見出すことを迫られている博物館にとって、館の自己収入につながり教育プログラムを提供できるバースデー・プログラム(以下BDP)は有効である。このBDPに着目し、事例収集を行った上で、日本の現状に即した日本型のバースデー。プログラムを考案・実施した。得られた結果を以下に要約する。 ・欧米においては、BDPは館の自己収入に有効であり、得られた利益でコミュニティ・アウトリーチ事業を始めるなど、有効な結果も生み出している(家庭へのアウトリーチBDP、館からの招待状などでブランド化)。 ・日本では、個人の来館者のためのお誕生日企画は数例散見されるが、恒常的なプログラム提供にはいたっていない。その理由は、人材不足、館の運営・サービス内容がいまだ多くの通常の来館者へのサービスの充実で精一杯であるという事実に関連している。 ・日本では、公の性質をもつ館が多く、個人的なパーティーを博物館等でもつことが考えにくい傾向があるが、バースデー・コーディネーターの導入が可能になれば新規事業としてのお誕生日企画も可能である。 ・沖縄こどもの国ワンダーミュージアムにおけるプログラム開発・実施より、公共性の高い施設においても、大多数の来館者向けにBDPが可能であることを実証できた。また、お誕生日から連想される「いのち」の大切さをテーマとし、BDPをミュージアムで行う意義があることを核にした教育プログラムを開発し、動物園・水族館には汎用性の高い先行事例をつくることができた。今後も、日本のミュージアムでのお誕生日プログラムの開発に向けて、大人も子どもも含めた来館者がどのようなことを期待しているのか、館側は何ができるのかについて調査・研究していくことが重要である。これにより、博物館が人々の生活に意義のある存在であり続ける方策のひとつが見出せるのではないだろうか。平成4月より、沖縄こどもの国ワンダーミュージアムにおいてお誕生日ワークショップがズタートする。共同研究して頂いた館に、現場で研究成果が引き継がれさらに発展したお誕生日プログラムが開発されていくことは、本研究において最も嬉しい成果である。
著者
青柳 暁子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

小児歯科診療時の小児患者・保護者・歯科医師のストレス反応を同時に評価し、心理特性との関係を相互に検討することとした。非浸襲的な歯科治療において小児自身の歯科恐怖度、治療時間、来院回数は小児のストレスに影響を与えなかったが、特性不安が高い小児ほどストレスを感じていることが示唆された。また母親の歯科恐怖度、不安や歯科医師の不安は小児のストレスに影響しないことが示唆された。
著者
寺尾 隆吉
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、1990年代以降のラテンアメリカ小説に着目し、権威主義的政治体制をテーマとした小説の例としてニカラグアの作家セルヒオ・レミレスの『海がきれいだね、マルガリータ』(1998)と『ただ影だけ』(2002)や、グアテマラのロドリゴ・レイ・ロサの『聖域なし』(1998)、エル・サルバドルのオラシオ・カステジャーノス・モヤの『蛇とのダンス』(2003)と『崩壊』(2006)、メキシコのフアン・ビジョーロの『証人』(2004)などをとりあげて研究した。特に文学による想像力を駆使することで読者への行動を促し、独裁的政治体制の意味を問いただすという側面がいずれの作品にも共通する点に着目して、論文にまとめていった。前年度に引き続き、ベネズエラの作家エドノディオ・キンテロ氏の全面的な協力を得て、作家たちに直接インタビューができたことは大きな成果となった。ここにあげた作家の中では、レイ・ロサ氏とカステジャーノス・モヤ氏からは貴重な話を聞くことができた。今のところまだ論文業績にはしていないが、彼らとのインタビューはメキシコの出版社より近く出版する予定である。論文としては、「セルヒオ・ラミレス『海がきれいだね、マルガリータ』-ルベン・ダリオと独裁者象」を書き上げ、ベネズエラのメリダにおける国際学会で発表した。近くベネズエラの学術雑誌に出版されることが決定している。また、ラテンアメリカ文学特有の文学潮流とされる「魔術的リアリズム」と独裁者小説の関係についても考察を広げ、これまでの成果を集大成する形で『ラテンアメリカ文学の魔術的リアリズム』というタイトルの本を執筆し終えた。こちらも平成20年度中には日本で出版の予定。
著者
折山 早苗
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は,看護師が深夜勤務時間帯(午前0~9時)に2回の短時間仮眠をとることによる効果を明らかにすることである。対象は女子学生15人で,(1)午前2:30と(2)午前5:30に15分間の仮眠をとり,1時間毎に舌下温,脈拍,主観的評価(眠気,疲労感)などを測定した。さらに,看護師16人を「仮眠あり」条件と「仮眠なし」条件に分け,分析した。「仮眠あり」条件は,疲労感の有意な上昇はなかった。仮眠の効果として,夜間から朝方にかけて疲労感の低減効果が示唆された。
著者
南 陽介
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

Ph陽性白血病幹細胞の薬剤耐性検討のため、患者細胞を免疫不全NOGマウスに移植継代する系において、静止期CD34陽性分画は、BCR-ABL脱リン酸化にも関わらずABLキナーゼ阻害剤イマチニブ不応性を示し、mTOR阻害剤エベロリムスはそれらの分画を含めて細胞死を誘導し、T315I変異をもつ耐性細胞株に対しても有効であった。詳細なバイオマーカーの検討、in vivo効果を検討中であるが、Ph陽性白血病幹細胞とT315I変異によるイマチニブ耐性に対して、エベロリムスが有望な選択肢となることが示唆された。
著者
庄 建倉
出版者
統計数理研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、地震の発生時系列を例として、欠測事象がある場合の点過程に関する統計的推測手法を開発し、地震に関連したいくつかの経験則の性質を明らかにした。本研究は以下の成果生み出した。:1)統計モデルによる地震クラスタリングを生成することによって前震現象の経験則といわれているものが再現が出来た;2)本震と最大余震のマグニチュードの差に関するBath法則の理論的解釈を与えた;3)Neyman-Scott点過程の点配置データからクラスタの親点の推定する方法を与えた;4)一般に認知されていない方法や主観的要素を含む地震予測(ブラックボックス型予測法)に対する性能を実際の地震発生データに基づいて客観的に評価できるのギャンブリング評価法を考案した。
著者
堀江 佐知子 小玉 哲也 小野 栄夫 森 士朗
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しいワクチン接種法のためのドラッグデリバリーシステムを開発し、これまで治療が困難であった感染症などの予防や治療に貢献することである。これまで我々は、ナノバブルの体内分布の超音波画像でのモニタリングや生体細胞への遺伝子導入効率、さらには、超音波照射とナノバブル破砕時の組織障害の程度、それにともなう炎症性細胞浸潤の程度などを検討した。その結果、静脈注射によりナノバブルがリンパ節に流入し、リンパ節内の樹状細胞に抗原タンパクや遺伝子の導入が可能であること、ナノバブル破砕時の超音波の強さを調節することにより、照射部に適度な炎症性細胞の集簇を促し、ナノバブル破砕によるアジュバント効果が期待できること、ナノバブル表層への抗体の組み込みが可能なこと、バブル内への抗原タンパクや遺伝子、あるいはアジュバント分子の封入が可能であることなど、本研究を推進する上で極めて重要な知見を得ることができた。しかし、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法においては、導入効率の低さが問題になる可能性が考えられた。そこで、1回のトランスフェクションで100日以上もタンパク発現が可能な長期発現プラスミドDNAをナノバブルと超音波を用いて導入するシステムを開発し、従来の分子導入法の導入効率の低さの問題を解決することが可能となった。しかしその一方で、生体内での持続的なウイルス抗原の産生は、高グロブリン血症や免疫複合体病等の誘発の可能性も考えられることから、今後は、タンパク発現量の増大のみならず発現タンパクの制御法の検討も必要かと思われる。
著者
池田 聖
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,カメラが高速移動,高速回転する環境下において,画像処理により安定にカメラの位置・姿勢を推定する手法の開発である.上記の環境に対し,本研究では,予め多眼の全方位カメラで取得した全方位動画像から環境の三次元点群モデル生成し,加えてジャイロ等のセンサを併用してロバスト性を高めることが研究の目的であった.これら手法の開発にあたり,高速移動・高速回転する高解像度全方位動画像の正常取得を第1の課題として画像取得システムの構築を行った.平成19年7月に長島スパーランド・スチールドラゴン2000等の複数のアトラクションからの撮影に成功し,取得した全天球動画像は,平成19年8月25日から9月2日にかけて国立科学博物館で開催された『上野の山発旬の情報発信シリーズ第14回「バーチャル⇔リアリティ〜見て聴いてさわって冒険体験〜」』において一般公開され,加えて同施設内の全天球ディスプレイ『シアター360』で関係者のみの公開実験を行った.カメラの位置・姿勢推定では,カメラにジャイロセンサを併用することにより,画像に生じるモーションブラーの効果を予測し,モーションブラーが発生する状況においてもカメラの位置・姿勢を推定することが可能であることを確認した.また,三次元モデルの生成では,全方位カメラとGPSの併用により,都市レベルの広い範囲の環境を三次元モデル化することに成功し,16km/hで移動するカメラの画像を処理できることを確認した.
著者
櫻井 健志
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

昆虫の超高感度な性フェロモン受容の分子機構の解明を目的とし、カイコガを対象として性フェロモン受容に関与することが報告されている性フェロモン受容体、フェロモン結合タンパク質、Sensory neuron membrane protein-1(SNMP1)の解析を行った。その結果、性フェロモン受容細胞の匂い応答特異性はフェロモン受容体のみによって決定していることを明らかにした。また、アフリカツメガエル卵母細胞発現系においてSNMP1がフェロモンへの応答を上昇させる作用があることを見出した。
著者
谷本 道哉
出版者
独立行政法人国立健康・栄養研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、比較的軽負荷強度で行う筋発揮張力維持法(Low-intensity resistance exercise with slow movementand tonic force generation:LST)を用いたレジスタンストレーニングの動脈・血管系に与える影響について調べることであった。以下の横断研究と運動介入から以上の検証を行った。横断研究結果30歳-50歳の男性中年者層の、(1)主にLSTに近い形態でのレジスタンストレーニングを十年以上続けている競技ボディビルダー(BB群)、(2)主に高負荷を用いたレジスタンストレーニングを十年以上続けている競技パワーリフター(PL群)、(3)定期的な運動習慣のない対象群(CON群)の3グループにおける動脈硬化度等の測定を行った。動脈硬化度を示す動脈スティッフネスはBB群、PL群においてCON群よりも有意に高かった。運動介入研究結果定期的な運動習慣・喫煙習慣のない男子大学生を用いて、(1)LST法を用いた全身のレジスタンストレーニングプログラムを行う群(LST群)、(2)高負荷を用いた通常の全身のレジスタンストレーニングプログラムを行う群(HN群)、(3)運動を行わない対象群(CON群)の3群を用いて週2回・3ケ月間の運動介入を行った。LST群においてHN群と同等の有意な筋肥大と筋力増強効果を認めた。動脈硬化度の指標である脈波伝播速度(PWV)はLST群においてのみ有意な低下(硬化度の改善)が認められた。CON群においてはいずれの測定指標においても実験期間前後に有意な変化は見られなかった。以上より、運動介入実験から、LSTでは通常の高負荷を用いたHNと同等の筋肥大・筋力増強を達成しながら、動脈硬化度に望ましくない影響を与えないことが確認された。横断研究において、LST的なトレーニングを主に行うBB群において動脈硬化度が高かったことは、BB群がLST的なトレーニング以外のトレーニングにもこ高負荷重量を用いたトレーニングも行っているためと考えられる。
著者
松浦 直己
出版者
東京福祉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy ; CBT)を応用し、通常の小中学校で適応させることを目的とした。以下、特別支援教育でCBTを応用した事例を報告する。その際、対象児の情緒と行動の問題をCBCL-TRFで評価した。対象児は9歳の男児。選択性緘黙及び学習障害を有していた。対象児の認知・行動特性として、(1)自罰的認知、(2)原因帰属の歪み、(3)恣意的で極端な行動様式が挙げられた。約2年後のCBCL-TRFの結果、いくつかの下位尺度で改善が認められた。"不安抑うつ"及び"社会性の問題"では大幅な改善が認められた一方で、"ひきこもり""思考の問題"では臨床域のままであった。本事例ではCBTの技法を4つの構造に分けて適用した。通常学級におけるCBT適用の有効性や、タイミングについて考察した。