著者
牛久 智加良 曽雌 茂 井上 雄 篠原 光 篠原 恵 大川 杏里 梶原 隆義 中島 由晴 勝見 俊介 丸毛 啓史
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.51-55, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

はじめに:化膿性脊椎炎の保存的治療初期のCRP値改善率が治療期間と相関するか不明である.対象と方法:保存的治療で感染沈静化した41例を対象とし治療開始後1週目までのCRP値改善率を求め,その中央値(54.9%)から良好群と不良群に分け治療期間を比較した.結果:平均治療期間は,良好群37.9日,不良群69.7日であった(p<0.05).結語:1週目のCRP値改善率は治療期間に関連した.
著者
田内 亮吏 川上 紀明 小原 徹哉 齊藤 敏樹 馬場 聡史 森下 和明 山内 一平
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.1285-1290, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
9

側弯症矯正手術後におけるインプラント抜去に関する報告は散見されるが,主にフックを使用した症例の報告であり,近年のペディクルスクリューを主体とした矯正術後のインプラント抜去に関するまとまった報告はない.今回,特発性側弯症に対するインプラント抜去の手術成績およびアライメント変化の評価を行った.2005年から2018年までに抜釘術を施行した126例について手術成績を評価,術後2年以上経過しえた53例について冠状面および矢状面アライメントを評価した.合併症発生率は約11.9%で,1例に術中骨折,3例に術後骨折が発生した.抜釘術後の主カーブCobb角の矯正損失平均2.8度で,胸椎後弯角の増加は平均6.6度であった.頚椎前弯,T1 slope角,SVAも有意に変化していた.10度以上の主カーブCobb角の増加症例が3.8%に対し,胸椎後弯の増加は18.9%と,抜釘術は矢状面アライメントにより影響していたことが示唆された.こうした結果を踏まえ,本人および家族に抜釘術の問題点などを十分に説明した後に抜釘術を考慮する必要がある.
著者
原 毅 高橋 良介 尾原 裕康 岩室 宏一 下地 一彰 志村 有永 佐藤 達哉 宮川 慶 奥田 貴俊 野尻 英俊
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.926-932, 2021-07-20 (Released:2021-07-20)
参考文献数
9

DuragenⓇは多孔性のcollagen matrixにより形成されている吸収性の人工硬膜で,内部に血小板が浸潤することでフィブリン塊による膜を形成し,早期の髄液漏防止効果が得られる.DuragenⓇの脊椎脊髄手術における髄液漏防止効果について,後方視的に検討した.DuragenⓇを用いた脊椎脊髄手術34例中,髄液漏発生は2例であった.DuragenⓇは脊椎脊髄手術において髄液漏予防に有用と考えられる.水との親和性により様々な使用方法が期待できる素材と考える.
著者
藤由 崇之 北村 充広 小田切 琢磨 蓮江 文男 神谷 光史郎 牧 聡 古矢 丈雄 大鳥 精司 国府田 正雄 山崎 正志 小西 宏昭
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.1163-1168, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
9

K-line(+/-/+)型OPLL症例に対し,椎弓形成術(LMP)に局所固定を最大圧迫高位レベルに追加する術式(sPDF)は有用であるかどうか調査するためにLMP群とsPDF群の術後成績を傾向スコアマッチング法にて比較検討した.全29症例中,それぞれ7例ずつマッチングした.JOA改善率と獲得点数はsPDF群で有意に高く,術後成績は改善していた.K-line(+/-/+)症例に対し,椎弓形成術に局所固定を最大圧迫高位レベルに追加する方法は有用な術式であると思われる.
著者
岩沢 太司 小原 徹哉 田内 亮吏 瀧村 浩介 細川 佑太 竹市 陽介
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.1206-1211, 2022-11-20 (Released:2022-11-20)
参考文献数
4

思春期特発性側弯症(AIS)後方矯正固定術後に,大動脈に近接する椎体がどのように変化をきたしているかの検討を行った.2015年1月から2016年12月までにAISに対して当院で後方矯正固定術を施行した120例中,術前,術直後および術後2年目に骨癒合評価目的にCTを撮像されていた42例を調査した.平均年齢15.5歳(男性2例,女性40例),主カーブ平均Cobb角50.4°であった.手術直後は椎体変形を認めなかったが,手術2年後のCT水平断像で椎体前面に2 mm以上の陥凹を認めた症例を変形ありと定義した結果,変形を認めた症例は20例(47.6%,全例女性)であった.Lenkeタイプ5と6に関しては,全例椎体に変形を認めた.椎体変形有り群と無し群において,各種レントゲンパラメーターを比較すると,術前TLKが前弯傾向であり,術後TLKは有意に前弯を認めていた.AIS術後の椎体,特に胸腰椎移行部の椎体前面は大動脈に近接しているために,経時的に椎体が陥凹変形をきたす可能性がある.そのため,経過観察中に左側ペディクルスクリューの先端が結果的に突出する形となり,大動脈に接触する危険性があり,その長さや位置に注意を要する.
著者
伊藤 不二夫 伊藤 全哉 中村 周 柴山 元英 倉石 慶太 河合 将紀 山田 実 星 尚人 吉松 弘喜 三浦 恭志
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1.2, pp.22-31, 2021-01-20 (Released:2021-01-20)
参考文献数
10

はじめに:脊椎後方除圧術として観血法,顕微鏡下除圧術,内視鏡下除圧術,経皮的内視鏡下除圧術等を行ってきたが,今回導入した片側進入双穴内視鏡Unilateral Biportal Endoscopy(UBE)の臨床経験を報告する.対象と方法:脊柱管狭窄症56例,椎間孔狭窄症3例,ヘルニア5例の計64例を手術した.傍棘突起部で椎間板レベルの1 cm頭側に4 mm径の内視鏡ポータルを作成する.それより2 cm尾側の8 mm径作業用ポータルから,ラジオ波,4 mmダイアモンドバー,直・弯曲ケリソン,剥離子,鉗子等を使用する.結果:手術時間は初期2時間が,20例以降1時間に短縮した.下肢症状・腰痛VASは有意に減少した.Macnab評価の満足率は83%であった.術後血腫はなかった.硬膜損傷は2例にあり,fibrin patch法で修復した.結語:持続水灌流の鮮明視野下で,レンズ先端は組織に近接し毛細血管も拡大され,止血が丁寧にできるため,術後血腫が少ない.外筒は使用せず器具の作業範囲に制限がなく,骨掘削量が少なくて済む.
著者
峯玉 賢和 川上 守 寺口 真年 籠谷 良平 米良 好正 隅谷 政 中川 雅文 山本 義男 松尾 咲愛 左近 奈菜 中谷 友洋 北野 智子 中川 幸洋
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.798-807, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
16

はじめに:腰部脊柱管狭窄症に対する監視下での理学療法(PT)は,非監視下での運動療法よりも短期的には有効であるが,その効果が持続するかについては明らかとなっていない.本研究の目的は,監視下でのPTと非監視下での運動療法の1年後の治療成績を比較することである.対象と方法:43例がPT群(週2回6週間),43例がホームエクササイズ(HE)群に無作為に割り付けられた.PT群は,徒手療法,個人に合わせたストレッチと筋力増強,自転車エルゴメーター,体重免荷トレッドミル歩行を実施した.主要評価項目は,チューリッヒ跛行質問票(ZCQ)の重症度とし,1年後の患者立脚型アウトカムと手術移行率を2群で比較した.結果:PT群はHE群に比べ,1年後のZCQ重症度と身体機能,日本整形外科学会腰痛質問票の腰椎機能障害,SF-36体の痛みと全体的健康感のMinimum clinically important difference達成率が高く,手術移行率は低かった(P < 0.05).結語:監視下での理学療法は,非監視下での運動療法に比べ,1年後でも有効で,手術移行率も低かった.
著者
山本 祐樹 村越 太 成山 雅昭
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.132-136, 2022-02-20 (Released:2022-02-20)
参考文献数
7

はじめに:当院における骨粗鬆症性椎体骨折症例について調査すること.対象と方法:交通事故及び発症時年齢60歳未満を除き骨粗鬆症性椎体骨折の診断で入院した175例199椎体に対し,発症時年齢,性別,BMI,骨折椎体高位,発症機転,脆弱性骨折の既往,骨粗鬆症薬の使用,発症前の内科併診の有無,入退院時の生活環境について後ろ向きに調査した.結果:平均年齢は82.8歳,性別は男性37例,女性138例.平均BMIは21.5,骨折椎体高位はL1が51例で最多であった.非転倒は49%(86例),脆弱性骨折の既往は脊椎が114例で最多であった.骨粗鬆症薬の使用率は全体では26%(45/175例)で,初回骨折11%(6/56例),既存骨折は33%(39/119例)であった.内科併診ありは89%(156例)であった.生活環境は入院時が自宅87%,施設13%,退院時が自宅61%,施設30%,その他9%となった.結語:入院時の骨粗鬆症薬の使用率は26%であった.骨脆弱性を有する患者の受傷は歩行能力の低下を起こしやすく,受傷前からの骨粗鬆症対策を行う必要がある.
著者
高橋 弦 大鳥 精司
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.793-799, 2021-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
28

痛みの神経解剖学の知見にもとづき,腰痛が慢性化しやすい原因に関する新たな仮説を提示する.空間弁別能は皮膚,運動器,腰部脊柱管内部の順に低い.腰部脊柱管内部組織の侵害感覚は交感神経性求心性線維により脊髄後角深層に投射する.痛みは感覚面と情動面からなるが,情動は後角深層に発し大脳辺縁系で処理される.腰部脊柱管内部の痛みは空間弁別能が低く,情動系への投射が相対的に強く,ゆえに慢性化しやすいのではないだろうか.
著者
鈴木 伸幸 水谷 潤 加藤 賢治 近藤 章 八木 清
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.737-740, 2020-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
3

近年,Lateral Interbody Fusion(LIF)手技の発展により,脊椎手術の手術時間と出血量の軽減が実現されている.しかし,その合併症の1つとして分節動脈損傷がある.今まで椎体側面の分節動脈の走行は研究され,注意喚起がなされてきたが,椎体前方でも,前方レトラクターの設置やAnterior Column Realignment(ACR)手技の際には重要であり,L1/2では89.1%,L2/3では81.0%,L3/4では34.5%と高頻度に分節動脈が椎間板と交差しておりこれらの手技の際には注意が必要である.
著者
藤田 有紀 和田 簡一郎 浅利 享 田中 直 熊谷 玄太郎 石橋 恭之
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.1296-1302, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
14

思春期特発性側弯症(I群)62名,非特発性側弯症(N群)34名を対象に,Cobb角,骨密度,骨代謝マーカーを測定・比較しCobb角に関連する因子を検討した.Cobb角は両群ともに腰椎BMDと負の相関を,I群では骨代謝マーカーと正の相関を認めた.側弯症の進行に骨量減少・高回転型骨代謝の関与が示唆され,今後縦断研究によりこれらが進行予測に有用かを検討したい.
著者
森本 忠嗣
出版者
日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of spine research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.1299-1302, 2010-07-25