著者
平田 幸一 鈴木 圭輔 春山 康夫 小橋 元 佐伯 吉規 細井 昌子 福土 審 柳原 万理子 井上 雄一 西原 真理 西須 大徳 森岡 周 西上 智彦 團野 大介 竹島 多賀夫 端詰 勝敬 橋本 和明
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.166-179, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
51
被引用文献数
4

難治性の疾患における持続中枢神経感作と言われる病態の疫学,基礎・臨床的な位置付けさらには患者のケアにむけての研究をまとめた.本総説は厚生労働研究班の各員の研究結果を示したものなので,必ずしもまとまりがない点に限界があるが,今までは疾患縦断的に診断治療がおこなわれてきた難治性疾患における中枢神経感作の役割を横断的にみたという意味でもわれわれの研究の結果は一部ではあるが解明したものといえる.結果として,中枢神経感作は種々の疾患,特に難治性のもので明らかに何らかの役割を呈していることが示せた.さらにその治療法の解明には至らぬまでも,患者ケアに繋がる方略を示せたものと考えられ,今後の研究の基盤となることが望まれる.
著者
井上 雄吉
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.228-233, 2016 (Released:2016-08-10)
参考文献数
40

Repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS) has the potentials to change brain excitability, inducing plasticity. In recent years, the use of rTMS has been increased for basic research and clinical applications, such as post–stroke complicatons, including hemiparesis, aphasia or unilateral spatial neglect.rTMS is classified into inhibitory low–frequency (≦1Hz) and facilitatory high–frequency rTMS (≧5Hz), totally named as conventional rTMS (c–rTMS), in which stimulation pattern is regular. In contrast, patterned rTMS (p–rTMS) has irregularly modified stimulation pattern. The after–effect of rTMS, lasting beyond stimulation time, depends on the number, intensity and frequency of stimulation pulses, contributing to clinical efficacy of rTMS. Lastly, p–rTMS is used much often than c–rTMS, because the after–effect of the former is more than the latter in duration and magnitude of the effect. The author and collegue use theta burst stimulation (TBS) (Huang et al, 2005) among various p–rTMS. TBS is classified into inhibitory continuous TBS (cTBS) and facilitatory intermittent TBS (iTBS). In this report, in addition to c–rTMS, the efficacies of cTBS are described for unilateral spatial neglect (USN) or non–fluent aphasia, stimulating over posterior parietal cortex or Brodmann area 45 (BA45) on unaffected hemisphere, respectively. Also, in recent, we have reported the effect for post–stroke ataxia of hybrid therapy of iTBS over the motor cortex on affected hemisphere combined with integrated volitional control electrical stimulation (IVES).rTMS (in particular, TBS) is expected a promising useful therapy for rehabilitation.
著者
深見 武史 堤内 亮博 井上 雄太 吉田 幸弘 村川 知弘 中島 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.444-447, 2012-05-15 (Released:2012-06-18)
参考文献数
18

症例は62歳,男性.1953年(8歳時)に甲状腺腫で甲状腺右葉切除後,1955年に全肺野の粟粒状陰影と頚部リンパ節腫脹を指摘された.リンパ節生検と右肺S3部分切除術が施行され,甲状腺乳頭癌肺転移,リンパ節転移と診断された.化学療法と放射線外照射施行後も変化は乏しく,経過観察となった.2008年5月検診にて前立腺癌を疑われ,精査中,胸部X線にて左肺腫瘤影を認めた.前立腺生検にて前立腺癌は否定されたが,胸部CTにて左肺上葉に21 mm大の不整な結節と両肺に数mm大の小結節を多数認めた.原発性肺癌もしくは甲状腺癌肺転移を疑い,確定診断目的に胸腔鏡下左上葉部分切除を施行.甲状腺癌肺転移とその多発陳旧性病変との診断を得た.甲状腺癌術後30年以上経過して再発する症例は稀であり,本症例が最長であった.
著者
井上 雄吉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.246-256, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
46

失語症 (主に非流暢性失語症) に対する反復経頭蓋磁気刺激 (rTMS) 治療について自験例を含めて review を行い, その有用性や問題点, 今後の課題について報告した。両側大脳半球は健常では互いに抑制・拮抗し合って均衡した状態にあるが, 一側 (失語症では主に左) 半球に傷害が生じると, 脱抑制状態となった対側 (主に右) 半球の相同部位から過剰な抑制を受け, さらに機能障害が増強する。この過活動状態となった右半球を低頻度 rTMS で抑制し, 不均衡状態を是正しようというのが rTMS 治療の原理であり, paradoxical functional facilitation (PFF) の一つと考えられる。右半球の失語症の回復に対する作用は病巣の分布や部位による影響を受けるが, 失語症の回復に抑制的 (maladaptive) に働くこともある。半球間の不均衡は失語症の回復に大きく関係しており, その是正のための右半球の Broca 野相同部位 (BA 45) に対する低頻度 rTMS は失語症の安全で有用な補助療法の一つと考えられ, 今後の臨床応用が期待される。
著者
井上 雄吉
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.542-553, 2007-09-18 (Released:2007-10-09)
参考文献数
40
被引用文献数
5 3

半側空間無視(USN)に対する1 Hz反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の効果や,局所脳血流量(rCBF)の変化を調べてUSNの回復過程に関わる脳内機構について検討した.対象は,右大脳半球の血管障害22 例(脳梗塞19 例,脳出血3 例)で,発症からrTMS開始までが70~220 日(平均128.3 日)であった.rTMSは,左頭頂後部(P5)を運動閾値の90%の強度で,1 Hz,500発刺激を隔日で計7セッション施行した(2 例で2 クール施行).評価は,Behavioural inattention test(BIT)や視覚的探索課題-反応時間,Xe-CT(cold法)などを用いて行った.結果では,抹消試験や模写試験,視覚探索反応時間は,rTMS施行1 週~2 週後から改善を認め,その効果は終了2 週後も持続していた.rCBFでは,rTMS施行後に右小脳半球で有意の増加を認めた.以上より,健側半球への低頻度rTMSはUSNに対して有効と思われ,USNの回復には小脳を含む脳内機構の改善が重要と考えられた.
著者
田村 典久 田中 秀樹 駒田 陽子 成澤 元 井上 雄一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18045, (Released:2019-07-10)
参考文献数
43
被引用文献数
3 3

This cross-sectional study was conducted to assess sleep habits between students with/without a discrepancy of ≥2 hrs in wake-up time (WUT) on school days and free days, and to determine whether the discrepancy is associated with daytime sleepiness, lowered mental/physical health and poor academic performance. A total of 4,392 students in 13 junior high schools completed a self-administered questionnaire including demographic information, sleep-wake patterns, daytime sleepiness, irritability and academic performance. We classified the students into two groups: those with/without a discrepancy between school day and free day WUT. The discrepancy prevalence was 38.4%. More students with the discrepancy skipped breakfast and did not attend a school club activity compared to those without the discrepancy. They also went to bed 22 min later and slept 21 min less on school days than those without the discrepancy. In a generalized linear mixed model, the discrepancy was associated with daytime sleepiness, irritability and poor academic performance. The WUT discrepancy of ≥2 hrs with a delayed circadian rhythm can be associated with lower mental/physical health and poor academic performance among adolescents.
著者
井上 雄吉 荒木 一富 西田 勇人 藤田 明美 藤本 万理 青山 麗子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.496-509, 2010-12-31 (Released:2012-01-05)
参考文献数
41
被引用文献数
2

表出障害が主体の失語症に対する低頻度反復経頭蓋磁気刺激 (rTMS) の効果について検討した。対象は左大脳半球の主に慢性期脳血管障害 20 例 (梗塞 12 例,出血 8 例,全例右利き) で,発症から rTMS 開始までが 68~2793 日 (平均 591.6 日) であった。rTMS は健側右半球の Broca 野相同部位の Brodmann 45 野に,運動閾値の 90 %の強度で,1Hz,900 発刺激を計 10 セッション行った。評価は表出面を中心に,40 個の絵の呼称や短縮版 WAB,標準失語症検査 (SLTA) で行い,rTMS 前後の局所脳血流量 (rCBF) も調べた。結果は,絵の呼称では脳梗塞例全体で rTMS 施行 2 週後から有意の改善を認め,効果は終了 4 週後も持続し,SLTA でも有意の改善を認めた。脳出血例では有意の変化はなかった。脳梗塞例では rTMS 後に左基底核 rCBF の有意の増加を認めた。健側半球の低頻度 rTMS は,特に左基底核が保たれた慢性期脳梗塞に有効であり,失語症の改善に左基底核の関与が示唆された。
著者
井上 雄介
出版者
国立大学法人琉球大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

本研究は, 研究分野に応じた研究機関の研究力および研究業績の評価指標の確立を目的として実施した。具体的には, 主に人文社会科学系の研究分野(現在の科研費の「中区分」に相当する研究分野とする)における(1)研究力や研究業績と認められるエビデンスを明らかにすること, (2)それらのエビデンスの客観的な指標化をおこなうこと, の2点を目的とした。まず, 予備的な調査として, イギリスの研究評価制度であるResearch Excellence Frameworkに関する情報収集をおこなうと共に, オランダの評価基準および評価方法であるStandard Education Protocol(SEP)についても先行研究を含めた情報収集をおこなった。その結果, 双方とも, 論文などの客観的に数値化された情報に加え, 政策提言, 社会におけるインパクトなど, 数値化が困難な指標も含まれていることを確認した。しかしながら, 特に数値化が困難な指標をどのように客観的な評価に利用しているかについては明らかにできなかった。そこで, 調査研究事業があり, 研究者が所属しつつ, 標本資料の収集・保管および展示・学習支援事業において社会に対する貢献が必要とされている国立科学博物館の広報担当課長に対し, 博物館の評価において社会への貢献をどのように扱うかを聞き取り調査した。その結果は, 博物館の入館者数, 特別展・企画展の数, 学習支援事業参加者数など, 数値化可能なものでの前年度(あるいは前中期目標期間)との比較であった。次に, オランダの人文社会科学系の総合大学であるティルブルフ大学の評価およびSEP担当者への聞き取り調査をおこなう予定であったが, 都合上, この計画は実施できなかった。そのため, 研究計画を十分に遂行することができなかった。なお, 本研究の結果については, 琉球大学研究集会「日本版研究IRの発展を目指して一統計科学に基づく異分野融合指標を例に-」のパネルディスカッションにおいて一部発表したほか, 学会発表および雑誌投稿の準備中である。
著者
種子島 智彦 池田 信昭 井上 雄介 相原 道子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.207-210, 2014-03-01

要約 26歳,男性.5年前より口唇に疼痛を伴う水疱形成を繰り返していた.2008年8月中旬,左口唇に小水疱が出現した.近医にて口唇ヘルペスを疑われバラシクロビルを処方されたが改善しなかったため,当科を受診した.肛門,亀頭部にもびらんがみられTzanckテストを施行したが陰性であった.その後,自然軽快した.以後2回ほど同様の皮疹が出現し,下顎,両手背に有痛性の紅斑も出現するようになったが自然軽快した.2011年4月中旬,同症状が再度出現し,詳細な問診の結果,トニックウォーターを含むカクテルの摂取後に症状が出現していたことが明らかになった.ジントニック1杯に含まれるトニックウォーターの半量(60ml)による誘発試験を施行したところ,摂取2時間後に症状が出現し,トニックウォーターによる固定疹と診断した.薬剤内服歴のない若年者に同部位に繰り返す皮疹を認めた場合,トニックウォーターによる固定疹も鑑別に挙げることが重要であると考えた.
著者
井上 雄介 今井 幹浩 松原 由和 平出 亜
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.sp50-sp59, 2022 (Released:2022-12-09)
参考文献数
11

2019年4月より再エネ海域利用法が施行されたことにより,洋上風力発電施設に係る地盤調査市場は大幅に拡大している。洋上における地盤の支持層分布あるいは工学的基盤深度の把握に必要なS波速度の測定は,ボーリング孔を利用したサスペンションPS検層が一般的に行われてきた。しかしながら,洋上風力発電事業(着床式)は年間平均風速7 m/s以上,水深10~40 m程度の海域を対象としており,厳しい環境下でのボーリング作業は容易ではない。著者らはこのような厳しい環境下でもボーリング調査を必要とせず,短期間でS波速度構造を把握することができる海底微動アレイ探査システムを開発した。本稿では,当手法の開発について概説した後,適用事例及び海底微動の特徴について示した。これらの結果より,得られたS波速度構造はPS検層および音波探査と整合的な結果が得られたことから海底微動アレイ探査の有用性が示された。
著者
井上 雄一
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.26-31, 2015 (Released:2016-12-06)
参考文献数
21

【要旨】高齢者層においては、睡眠障害の頻度があり高いが、認知症性疾患ではその頻度はさらに一層高くなる。各認知症性疾患で、睡眠の浅化・分断が認められる点は共通しているが、アルツハイマー型認知症では睡眠覚醒リズムが不規則化しやすい点、レビー小体型認知症ではREM睡眠期の筋緊張抑制が失われて夜間REM睡眠期に行動異常を生じやすくなる点が異なっている。不眠症状の抑制は、認知症の発症予防・進行抑制に貢献すると考えられるが、安易な睡眠薬の使用はせん妄発現、転倒による骨折リスクの増加に加えて認知症状を顕在化させることもあるので、慎重を期したい。高齢者は高頻度に閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有するが、本症候群重症例では脳血管障害リスクを高めるだけでなく、前頭前野の機能低下、および認知症状進行リスク要因になりうるので、治療的な対応を図ることが必要である。
著者
和田 正義 井上 雄介 平間 貴大
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.591-598, 2013 (Released:2013-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

This paper presents a new wheel mechanism for the active-caster drive system. The active-caster provides omnidirectional mobility with no using free rolling mechanism. The original active-caster equips with an absolute encoder to detect a wheel orientation and two motors for driving wheel and steering axis independently. A computer system needs to detect an absolute wheel orientation and coordinate velocity components for wheel and steering drive to provide wheel motion in an arbitrary direction. To simplify the wheel control system, a new active-caster mechanism is proposed. A proposed active-caster system includes a ball transmission to distribute a traction velocity to wheel and steering axis mechanically without using an angle sensor or coordinated motor control. In this paper, kinematics of the proposed wheel mechanism is analyzed and mechanical condition for realizing the caster motion is derived. A kinematic model of the proposed active-caster mechanism with a ball transmission is analyzed and a mechanical condition for realizing caster motion is derived. Based on the kinematic model and the mechanical condition, computer simulations of the mechanism are performed. In the simulations, the active-caster shows successful caster motions with no sensor or computer system.
著者
駒田 陽子 井上 雄一
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.785-791, 2007-09-01
被引用文献数
1

多くの疫学研究により,睡眠障害が非常に頻度の高い疾患であることが明らかにされている.近年,睡眠障害の診断にあたって,睡眠の量や質だけでなく日中の生活機能障害が重視されており,その社会生活への悪影響を数量化した研究が散見される.本稿では,睡眠障害の中で頻度の高い不眠症および日常生活で経験することの多い睡眠不足が社会生活に及ぼす影響について概説した.不眠は,耐糖能障害や免疫機能低下など,系統的に身体機能に影響を及ぼすことがわかっている.また精神生理機能への影響も大きく,慢性不眠症者では一般人に比べて産業事故リスクが7倍と報告されている.不眠によって集中力・記憶・日常の仕事をやり遂げる能力・他人との関わりを楽しむ能力が低下し,QOL (quality of life)水準は悪化する.さらに,不眠はうつ病の前駆症状として考えられてきたが,近年うつ病発症リスクの有意な要因としても重要視されている.睡眠不足症候群は先進諸国ではかなり多く,無視できない睡眠障害の一つである.睡眠不足症候群での眠気水準は他の一般的な過眠性疾患と同水準であるが,運転事故既往者では眠気重症度が有意に高い.睡眠不足は,身体的,精神生理的機能に影響を及ぼし,睡眠の充足感が低いほど抑うつ得点が高くなることが示されている.睡眠障害に対しては,十分な治療を行うことにより症状が改善し,社会生活への悪影響も抑制される.国民のQOLを向上し健康な社会生活を送るために,睡眠障害の早期発見・早期治療と睡眠健康に関する啓発活動が今後必要である.
著者
阿部 裕輔 磯山 隆 小野 稔 斎藤 逸郎 三浦 英和 鎮西 恒雄 望月 修一 磯山 隆 小野 稔 鎮西 恒雄 斎藤 逸郎 三浦 英和 川崎 和男 望月 修一 井街 宏 バスク ジャロミル ドブザク ペーター 中川 英元 光宗 倫彦 河野 明正 小野 俊哉 時 偉 杉野 礼佳 井上 雄介 岸 亜由美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

無拍動流完全人工心臓の可能性を検討するために、体内埋込式無拍動流完全人工心臓を開発し、成獣ヤギに埋め込んで研究を行った結果、無拍動流でも生理的制御(正常な状態に維持するための制御)が可能で、ヤギの一般状態、血行動態、肝機能、腎機能や自律神経機能を正常に保つことができることを明らかにした。しかし、無拍動流では人工心臓への十分な血液流入を維持できないことがあったため、体内埋込式完全人工心臓に生理的制御を適応する場合には、ある程度の拍動性が必要であると考えられた。
著者
深見 武史 堤内 亮博 井上 雄太 吉田 幸弘 村川 知弘 中島 淳
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.444-447, 2012-05-15
被引用文献数
1

症例は62歳,男性.1953年(8歳時)に甲状腺腫で甲状腺右葉切除後,1955年に全肺野の粟粒状陰影と頚部リンパ節腫脹を指摘された.リンパ節生検と右肺S<sup>3</sup>部分切除術が施行され,甲状腺乳頭癌肺転移,リンパ節転移と診断された.化学療法と放射線外照射施行後も変化は乏しく,経過観察となった.2008年5月検診にて前立腺癌を疑われ,精査中,胸部X線にて左肺腫瘤影を認めた.前立腺生検にて前立腺癌は否定されたが,胸部CTにて左肺上葉に21 mm大の不整な結節と両肺に数mm大の小結節を多数認めた.原発性肺癌もしくは甲状腺癌肺転移を疑い,確定診断目的に胸腔鏡下左上葉部分切除を施行.甲状腺癌肺転移とその多発陳旧性病変との診断を得た.甲状腺癌術後30年以上経過して再発する症例は稀であり,本症例が最長であった.
著者
阿部 誠 山田 正人 井上 雄三
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.350, 2006 (Released:2006-10-20)

ミミズの忌避行動に着目した浸出水試料の環境影響評価試験の開発を行った。オオミジンコの急性毒性試験の結果と比較したところパラレルな応答が得られた。また、浸出水に含まれる塩分を考慮し、NaCl水溶液を対照区とした試験を行った結果、塩分以外の要因による忌避性を検出することができた。
著者
牛久 智加良 曽雌 茂 井上 雄 篠原 光 篠原 恵 大川 杏里 梶原 隆義 中島 由晴 勝見 俊介 丸毛 啓史
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.51-55, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

はじめに:化膿性脊椎炎の保存的治療初期のCRP値改善率が治療期間と相関するか不明である.対象と方法:保存的治療で感染沈静化した41例を対象とし治療開始後1週目までのCRP値改善率を求め,その中央値(54.9%)から良好群と不良群に分け治療期間を比較した.結果:平均治療期間は,良好群37.9日,不良群69.7日であった(p<0.05).結語:1週目のCRP値改善率は治療期間に関連した.
著者
田村 典久 田中 秀樹 笹井 妙子 井上 雄一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.39-50, 2016-01-31 (Released:2019-04-27)
被引用文献数
3

本研究の目的は、睡眠促進行動チェックリストを併用した睡眠教育プログラムの実施が、中学生の睡眠促進行動や睡眠習慣、日中の眠気に与える効果を検証することである。対象とした中学校2校の1年生229名を、睡眠教育群(n=118)と待機群(n=111)に振り分けた後に、睡眠教育群に対してのみ睡眠知識教育を実施し、適切な睡眠促進行動を提示してその中から達成目標とする行動を一つ選択させ、目標行動を2週間自己調整させた。その結果、睡眠教育群では睡眠知識や睡眠促進行動が向上し、就床時刻や入眠潜時、睡眠時間が有意に改善した。また、日中の眠気の改善も認められた。一方、待機群ではこれらの改善は認められなかった。本研究結果より、われわれの開発した睡眠教育プログラムは、中学生の睡眠促進行動を向上させ、実際の睡眠習慣や日中の眠気の改善に有効であると考えられた。