著者
小川 勝
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.236-257, 2006-02-01
著者
中田 裕康
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、近年の大改正を経た新しい倒産法制の下で倒産手続が契約に及ぼす影響を検討した。まず、倒産法改正により直接的影響を受ける各種の契約(賃貸借契約、請負契約等)の検討をした。改正により多くの問題が解決されたが、なお残る問題は少なくない。特に、賃料債権の処分等の効力をどこまで認めるべきかについて、実体法上の検討が必要である。次に、双方未履行双務契約について検討した。今回の改正では、基本的には従来の規律が維持されているが、今後、破産法53条の原則とその例外のあり方についてなお検討する必要がある。根底には、倒産法と平時実体法との関係、及び、倒産手続開始後の契約の帰趨(更に、債務不履行における契約と債権の関係)という大きな問題がある。また、重要な現実的課題である知的財産権ライセンス契約の適切な規律について検討した。ここには、契約上の地位の法的評価という理論的問題と、特許法における登録制度及び通常実施権制度のあり方という制度的問題がある。更に、当初の研究計画から発展する問題として、否認権と契約、及び、新信託法制の下での信託と倒産の関係についても検討した。前者では、新制度の下での否認権と詐害行為取消権との関係を検討し、平常時から倒産時に移る段階での契約のあり方を考察した。後者は、信託財産破産等の新しい法制度の検討をした。本研究により、新しい倒産法制の下での倒産法と契約法の主な問題点を分析することができた。その結果、実体法の検討がなお必要な問題が少なくなく、それらはいずれも基礎的な問題に関わるものであることが確認できた。根本的には、平時実体法における私的自治及び自由競争の尊重の理念と倒産手続における債権者平等及び衡平の理念との接合、並びに、平時実体法自体の規律の問題がある。倒産手続の効率性及び平時及び倒産時の実体法の社会的影響も考慮しなければならない。なお研究を進めていきたい。
著者
福田 雅章
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、「事実上の死刑廃止国(州)」(DE FACTO ABOLITI0NIST COUNTORY/STATE)、すなわち刑法典上は死刑を存置している(いた)が現実には死刑を執行していない(いなかった)国(州)のそこに至るプロセスを探り、わが国の死刑執行停止(モラトリアム)へ向けての理論的・政策的提言を行うことにあった。上記目的を達成するため、調査研究を行い、次のような成果を得た。1.海外共同研究者であるRoger Hoodオックスフォード大学教授およびPeter Hodgkinsonウェストミンスター大学教授と調査票を作成し、関係諸国に送信し、回答を得た(成果報告書付録1、2)。事実上の死刑廃止は、実際には凶悪犯罪が発生しないために裁判所で死刑判決が下されないか、または立法府の決議によってもたらされており、わが国の状況に直接参考になるようなものではないことが判明した。2.ヨーロッパおよび東欧諸国の死刑廃止へ向けての動向は、国連のモラトリアム運動を踏まえて、上記Peter Hodgkinson教授と共同研究を行い、その成果を研究報告書に収録した。3.アメリカにおいては、1990年代半ば以降存続派と廃止派が共にモラトリアムへ向けて動いていたが、2000年1月31日にはイリノイ州知事が「今後すべての死刑執行命令書に署名しない」という行政権によるモラトリアムをはじめて実践し、「死刑存続or死刑廃止」というかつての対立構造に代えてモラトリアム運動が隆盛を極めている。このプロセスはわが国の状況に直接参考になるため、モラトリアム運動関係者への訪問インタビューおよび文献によって、論文「アメリカにおけるモラトリアム運動」を執筆し、成果報告書に収めた。4.上記成果を踏まえて、わが国との関連で、「死刑執行停止へ向けての提言」および「わが国の社会文化構造と死刑」の2論文を作成し、成果報告書に収めた。5.上記2、3および4の4論文は、1の具体的なデータ分析および「イギリスにおける死刑廃止のプロセス」を補充して、順次4月以降山梨学院大学法学論集に掲載し、一冊の書物にまとめる予定である。
著者
阿部 年晴
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, pp.616-631, 1983-11-01

論文タイプ||論説
著者
松園 万亀雄
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, pp.651-666, 1983-11-01

論文タイプ||論説
著者
五十嵐 泰正
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

2006年度は、年度内に発表した業績は非常に少ないが、本研究課題「重層的なヒトの移動と、都市コミュニティ・アイデンティティの再編成」の総まとめとしての単著『グローバル化時代の「下町」上野』(仮題)の執筆に専念した。同書は、2007年末に刊行予定であり、S書房からの出版企画が進行中である。その中で、国際シンポジウム「カルチュラル・タイフーン2006」において、「戦後の記憶、大衆の痕跡」という大規模なセッションを企画・コーディネイトし、自らも理論的な整理を提示する口頭報告を行った。同セッションは、昭和30年代を参照する近年のノスタルジー・ブームを批判的に検討しつつ、終戦後すぐの闇市の記憶を含む都市の歴史的重層性や、コミュニティの結節点としての大衆食堂・立ち飲み屋の視点から、労働や生活が切り離された消費的な都市空間が優越してゆく都市再開発の現状を再考するものであり、このセッションの準備過程(大阪市築港地区・世田谷区下北沢でのフィールドワークを含む)は、私の上野での実証研究の深化にきわめて重要な影響をもたらした。また、昨年度の米国出張における、シカゴに再移民した元在日不法就労パキスタン人への聞き取り調査をもとに、外国人支援NGOの機関紙に、「群馬経由、シカゴ行き」という研究ノートを寄せた。同小論は、まだ萌芽的なものではあるが、グローバルなエスニック・ネットワークに媒介された現代の移民現象を考える上で、今後の研究へと発展しうる重要な論点を提起した。
著者
佐藤 毅 佐藤 卓巳 川浦 康至 市川 孝一 津金沢 聡広
出版者
一橋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

本研究は情報化が大衆文化のありかたにどのような変容をもたらしつつあるかを明らかにしようとしたものである。この研究の初年度にあたる本年度は、先行研究の収集とその分析を試みつつ、研究の粋組づくりと、若干の個別研究にふみこんだ。研究に大別して二つに分れて行なわれた。その第1は、関東グル-プによって行われた「ヴィデオゲ-ム」を事例にとった研究である。ここではまず研究の粋組づくりが行われ、“人ーメディア相互行為"の位置づけを試みた。すなわち、メディア内世界での人々のメディア依存の深化と高度化が、同時に、そこでの経験の自在感や自律性を高めることを指摘した。次に先行研究を国内と国外に分けてレビュ-し、また新聞と雑誌の記事の分析を通じて、ヴィデオゲ-ムをとりまく、論調の分析を行った。そこでは新しいソフトの開発がきっかけで論調の量と内容に変化が生まれていることがわかった。さらに、来年度の継続研究として、事例調査とアンケ-ト調査に着手している。第2は、関西グル-プによる、「カラオケ」を事例とする研究である。ここではまず家庭における情報・メディア機器の利用実態調査をふまえて、カラオケ歌唱行動やカラオケ文化の変容と類型化の試み、そのメディア社会史の分析などを行った。ここでは、カラオケ文化が高度情報化時代の産業的=技術的基盤の上に成立した現象であること、テ-プ・カラオケからLDカラオケへの移行のなかで、ナイト文化、ボックス文化、ワゴン文化、ホ-ム文化と四つの類型に分けられるに至っていること、そしてそれぞれに人々の仮想の「生きがい」が発散されていることが見出された。なお、本研究の詳細は別冊「情報化と大衆文化ー実績報告書」を参照されたい。
著者
西口 敏宏 辻田 素子 辻田 素子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

自己組織化するトヨタ自動車のサプライチェーン、繁栄する中国・温州の「外出人」ネットワーク、さらに近年各地で成果を上げている「部門(機能)横断型プロジェクトチーム」などを、最新のスモールワールド・ネットワーク理論の枠組みで分析し、「遠距離交際」と「近所づきあい」の絶妙なバランスを有する頑健なシステムを構築した企業や地域が繁栄していることを明らかにした。理論家の描いた世界をはるかに超える複雑な現実社会について、豊富なオリジナルデータをもとに、「信頼」や「ソーシャル・キャピタル」の効用についても指摘した。
著者
三浦 良造 本多 俊毅 中村 信弘 大橋 和彦 長山 いづみ
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、電力・天候・保険事の新しいリスクの取引と管理を目標に、必要となる基礎理論の構築とその実務への応用のための基盤作りを行った。現在までに論文の形式とした成果は以下の通りである。第一の研究成果は、α-percentile barrier optionの一般化としての「江戸っ子オプション(Edokko Option)」の理論価格の導出である。(Fujita and Miura論文。)これは、基本的に一定の期間内において原資産の値がある閾値よりも小さくなる割合がα-percentile以下であるかどうかに依存してペイオフが定まるデリバティブの価格を求めるものであるが、ここで開発した理論を用いれば、例えばある一定期間に雨が降った日数(イベント日数)を原資産とする天候デリバティブの価格計算が可能になる。第二の成果は、ジャンプが加わった拡散過程に資産価格が従う非完備市場における、投資家の最適ポートフォリオ問題の解析である。(Nakamura論文)。スパイクと呼ばれるような不連続的な価格変化は電力価格の特徴であるので、この理論を用いれば、電力市場等における最適取引やリスク管理、それらのリスクをヘッジするための天候デリバティブや保険料の評価等を行うことができる。第三の成果は、取引の流動性の確保についての分析である。(Ohashi論文)ここでは保険デリバティブについて、情報の非対称性に基づく理論モデルを構築し保険デリバティブが取引される条件を分析したが、情報の非対称性による流動性の低下は、重要性を増しているMBSの取引においても重要な問題である。この他に天候や電力に関するデータを整えた。今後、これらの実データを利用して、以上の基礎理論を天候デリバティブの価格決定や、発電事業の価値評価、保険料率の決定等の分析を行う予定である。
著者
野間 幹晴
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は主に次の2つの研究を行った。第1の研究が多角化と株主資本コストに関連する実証研究であり、第2は経営者の業績予想と会計発生高に関する実証研究である。多角化と株主資本コストについては実証分析を行い、「証券アナリストジャーナル』に掲載した。本研究では、多角化戦略が株主資本コストに与える影響を実証的に検証した。多角化にともなう企業と投資家との情報格差の拡大によって、当該企業への投資に対するペイオフ推定のリスクが増大し、資本コストが上昇すると考えられる。先行研究の多くはコングロマリット・ディスカウントの要因として経営の非効率性を指摘するが、本稿では多角化戦略の採用自体がリスクプレミアムをもたらす要因となることを示した。実証分析から、多角化は資本コストに影響を与えるリスクファクターであり、その内容や実施形態に応じて資本コストに対して異なる影響を与えることが解明された。経営者の業績予想と会計発生高の関連についても日本企業のデータを用いて実証分析を行った。分析の結果、経営者予想の予測誤差と会計発生高、および経営者予想の予測誤差と正常会計発生高の間に統計的に有意な関連があることが明らかになった。また、経営者予想の改訂と会計発生高、および同改訂と正常会計発生高との間に関連があることを明らかにした。こうした分析結果は、経営者が発生主義会計を十分に理解していないことを示唆する。この研究については、マレーシアで開催された、"19^<th> Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues"において発表を行った。
著者
挽 文子 伊藤 克容
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

企業においては複数の管理会計システムが運用されているが、それらは環境、経営理念、経営哲学、組織風土および経営戦略などの要因と相互作用の中で機能している。そのため、個々の管理会計システムあるいはその総体からなるトータルシステムとしての管理会計の機能の仕方は同じではない。本研究は、北米進出日系企業を研究対象として、上述のような関係性のなかで管理会計がどのように進化してきたのか、その進化の過程を解明した。
著者
坂上 康博
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって、(1)武徳会役員のパージは、その方法や結果等から、従来イメージされているよりも合理性をもつものであった考えられること、(2)その戦後への影響も、組織面では大きくはなく、戦中との人的な連続性が強いこと、他方、(3)学校武道については、戦中との断絶が人的にも理念面でも強く、理念的な影響は武道組織にも及んだことが明らかになった。
著者
吉野 由利
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、「国民小説」においてイングランドの文化的他者として構築されるアイルランド像とオリエント像の交錯を検証した。特に、人物造形および語りの戦略における"auto-exoticism"の例に注目しながら、"auto-exoticism"は、「国民小説」のサブジャンルを確立したEdgeworthやOwensonらがアングロ=アイリッシュ系女性作家としてのアイデンティティと、連合王国の中での自分たちの文化的な立場を正当化することを可能にしていることを指摘した。また、リアリズムを模範とする19世紀イギリス・アイルランド小説史観の見直しも試みた。
著者
常盤 敏太
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.212-216, 1940-08-01

論文タイプ||消息
著者
大林 太良
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.199-207, 1962-08-01

論文タイプ||研究ノート
著者
尹 秀麗
出版者
一橋大学
雑誌
一橋社会科学 (ISSN:18814956)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.151-181, 2008-06

本論文では、大連市の行政区域をAブロックとBブロックに分けて、Aブロックの主要市部を中心に、生活ごみの処理現状を明らかにし、ごみ処理の有料化政策やごみの焼却処理を導入する是非を検討した。大連市では生活ごみの処理は埋立法を中心として行なわれており、ごみには生ごみや埋立ごみ(無機物質)は大半を占めているため、「高水分・低カロリー」という性格を持っている。ごみ分別が普及しないため、資源物の混入率が高く、地域ごとにごみ組成の相異が存在している。ごみ処理の有料化を、ハルビン市及び日本の日野市との比較を通して考察した。大連市ではごみ処理有料化の導入はごみの減量化を図るというよりは、ごみ処理にかかるコストの住民負担を意図したものである。大連市の現状では、ごみの焼却処理やごみ処理の有料化を安易に導入するよりも、ごみ分別の徹底、生ごみのリサイクル、リサイクル資源の回収などを優先して実施する必要性を指摘した。
著者
只野 雅人
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.75-99, 1990-07-31

論文タイプ||論説
著者
只野 雅人
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.53-64, 1990-10-31

論文タイプ||論説
著者
加藤 博 柏木 健一 松本 弘 岩崎 えり奈 斎藤 修 北澤 義之
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

社会調査での世帯単位でのミクロデータの収集とそれのパネル化を中心に、エジプトとヨルダンを中心としたアラブ諸国が現在直面している社会経済問題を多角的かつ実証的に明らかにするための基礎データ・情報を収集し、そのデータベース化を計った。なかでも、世帯単位のマクロデータのパネル化を重視し、そのために、過去に世帯調査を行った村や町において追跡世帯調査を実施した。現在、それらのデータ・情報の解析を進め、その成果の一部はすでに学会報告や学術雑誌への投稿などで公表しているが、その結果、世帯を静学的な経済行動において分析するほか、異時点間の変動の解明によって動学的に分析する基礎が築かれた。