著者
松田 賢 益岡 了 川合 康央
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会第70回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.414, 2023 (Released:2023-12-13)

旅客機が実用化されて以来、機内サービスはすべての航空旅客事業で必要不可欠なものとなっています。しかし航空機の旅行では、他の交通手段と比較して旅客空間内での移動や展望に制限があるなど特殊な環境に置かれます。私たちは旅客空間のデザインやサービスなどを調査し、その課題について検討した。そのために航空会社はさまざまなサービスを提供することで、乗客の利便を図ってきました。そこで私たちは、バーチャルリアリティを活用したサービスを提供することで、機内での乗客体験を向上させるためのさまざまな選択肢を検討しました。バーチャルリアリティを利用することで、より没入感のあるプライベートな体験を提供するサービスを提案した。
著者
面矢 慎介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.25-32, 2003-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
27

イギリスの電気ケトルを事例として、近代家庭機器の成立・発展過程およびそのデザイン変遷をめぐる諸要因について考察した。電気ケトルのイギリスでの発展・昔及は、この国の紅茶愛飲の習慣と密接な関係にあった。電気ケトルをはじめとする小型電気調理器具は、ダイニングテーブル上で簡単な食事の準備ができるという食事習慣の簡略化に沿うものであったが、なかでも電気ケトルは、非儀式的でカジュアルな飲茶習慣の成立を促進した。普及が本格化する1950年代には、沸騰した時点で発熱を止める自動機構が完成して利便性が高まり、それまで長らく普通型ケトルでの流行に追随するだけだった外形デザインでも、普通型ケトルとの差別化がはかられた。1980年代の耐熱プラスチックボディのジャグ型の出現は、素材転換による製造の効率化と紅茶をあまり飲まない大陸各国への市場拡大が意図されていたが、この形状が受け入れられた文化的背景として、コーヒーなどの飲用が増え紅茶愛飲の習慣がもはや絶対的でなくなったことが指摘できる。
著者
吉岡 聖美
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会第70回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.38, 2023 (Released:2023-12-13)

嚥下訓練に含まれる口・頬の運動と発声とを,口腔顔面運動による後出し顔ジャンケンに取り入れた「顔ジャンケン」プログラムを考案した。タブレット端末やPCを用いて,手軽に,嚥下機能および認知機能の維持向上に働きかけるリハビリテーションプログラムを実行することができる。更に,気分が改善する心理的効果が期待できるプログラムを開発するために,表情の異なる「顔ジャンケン」プログラムを実施した際の心理評価について調査したところ,「チョキ」の表情で舌を出すプログラムよりも,「チョキ」の表情で口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になるプログラムが有効であると考えられる結果が得られた。
著者
永盛 祐介 柳 亜里紗
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会第70回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.42, 2023 (Released:2023-12-13)

R.Willamsの「ノンデザイナーズ・デザインブック」には「良いデザイン」には「コントラスト,反復,整列,近接」という4つの基本原則が見られると記載されている.この4つの基本原則について,言葉としては理解出来るものの,はたしてこれらの原則の有無が具体的に人間に影響の違いをもたらしているのかは明確では無い.本研究ではこの基本原則の有無が人間に与える影響をの機能計測によって定量的に検討することを目的とする.脳機能計測の結果は,「良いグラフィックデザイン」と「悪いグラフィックデザイン」の9枚中4枚の有意差が認められた(p < 0.05).悪い例のグラフィックデザインは,ヘモグロビン濃度変化量が上昇しているものが多く,宣伝フライヤーの悪いグラフィックデザインでは,前頭葉前額部左右どちらもヘモグロビン濃度変化量が増加していた.反対に良い例のグラフィックデザインでは,ヘモグロビン濃度変化量は低下しているものが多く見られた.
著者
焦 文静 富田 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会第70回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.222, 2023 (Released:2023-12-13)

本研究は、太極拳の指導の際の指導者と学習者の身体知の感覚共有に関する研究である。特に「気」の伝達に焦点を当て、指導者に対するインタビュー調査や筆者の学習体験に基づき、そこにメタファー言語が重要な役割を担っていることを明らかにした。加えて、それらの言語を視覚化し、さらなる共有のあり方を考察した。
著者
伊豆 裕一 鈴木 美香
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1_48-1_53, 2019-03-31 (Released:2019-03-19)
参考文献数
5

突然心停止を起こした人を救うために必要な措置である心臓マッサージを、小中学生から高齢者までが興味を持って正しく習得できる学習教材としての、心臓マッサージ練習キットを開発した。 心臓マッサージの実地練習には、従来、人体マネキンが使用されるものの、心臓の圧迫により血液を送り出す仕組みを理解しにくく、また、参加者全員の実習機会が作りにくいとの課題が指摘されてきた。Dock-kun(ドックン)と名付けた本練習キットは、ポンプと透明な浮き輪形状のバルーンを組み合わせることで、水を使った血液の流れや空気の出入りによる、呼吸との連動による心臓マッサージの仕組みの見える化を図った(図1)。さらに、親しみやすい外観デザインと比較的安価な価格を実現することで、指摘されてきた課題を解決した。
著者
稲垣 行一郎 加城 貴美子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 46
巻号頁・発行日
pp.172-173, 1999-10-15 (Released:2017-11-08)

Students are increasing they study creativities, however their mind are poor and weak for consideration of their problem. That can make it up through communication with physical experience and appreciate the feeling. Above these less experience make students immature for self-formation also undevelopping creativities. Their family drawing indicate less consciousness to their father. In 17% of their answer of SCT also indicate similar result. It has become clear that because of less communication between father and children, the study of human relationship through family could not be real. Apply for creativity study.
著者
深澤 琴絵 植田 憲 朴 燦一 宮崎 清 樋口 孝之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.47-56, 2007-11-30 (Released:2017-07-11)
参考文献数
32

本稿は、「風呂敷」の語が定着するようになる以前の飛鳥時代から平安時代初期にかけての「包み」の文化の様態、すなわち、「包み」の素材・仕立て方・「包むもの」と「包まれるもの」との関連などを、聖徳太子遺品、正倉院御物、古書などを通して調査・解析したものである。その結果、次の諸点が明らかになった。(1)日本における現存する最古の「包み」は、飛鳥時代の仏教合戦に用いられた聖徳太子遺品で、それが今日の「風呂敷」の原初形態といえる。(2)奈良時代には、さまざまな正倉院御物を保護するための「包み」が出現する。御物はまず「包み」に包まれ、その後、袋や櫃に入れられて保存された。租庸調の産物を利用して「包み」に仕立てたものや舶来品の布を用いて「包み」の制作がなされた。(3)奈良時代から平安時代にかけての「包み」の平均寸法は約1mである。また、「包み」の仕立て・寸法・使い方は、「包まれるもの」との関係性によって工夫されていた。(4)「包み」を表す漢字はすでにAD100年頃の『説文解字』にみられ、魂に活力を付与して再生する意味が込められて「包み」が使用されていた。(5)『延喜式』には、渤海国や新羅との交易に「包み」が積極的に用いられたことが記されている。
著者
天貝 義教
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.31-40, 1996-09-10 (Released:2017-07-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

アルバースの用語法によれば、色彩は芸術において最も相対的な媒体となる。アルバースの色彩教育に対するアプローチと絵画制作の中心にはこうした概念があり、アルバースの教育と芸術との最も直接的な結び付きは、色彩の分野において認めることができる。アルバースの色彩教育は、1933年の合衆国への移住後、まずブラック・マウンテン・カレッジで始まり、後にイェール大学において行われた。また、アルバースはこの色彩教育に加えて、多数の抽象絵画の制作を試みており、1950年には『正方形讃歌』の連作が着手されることとなった。この連作はアルバースが1976年にその生涯を閉じるまで描き続けられたのである。本稿の目的は、アルバースの色彩教育の発展過程を跡づけるとともに、その色彩教育の内容とアルバースの代表作に位置づけられる『正方形讃歌』の連作との相互関係を検討することによって、アルバースの教育と芸術における色彩の意味を考察することにある。
著者
木平 崇之 金 美英 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P19, 2010 (Released:2010-06-15)

本研究では,SD方法を用いて,歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの表記の相違による単語の印象の変化を分析し,定量的に評価した.被験者には,評価対象となる単語について15組の形容詞対によって印象評価を求めた.印象評価結果に対して因子分析を行った結果,安定性因子,力量性因子,感受性因子の3つの因子が抽出された.また,因子得点を用いて数量化_I_を行ったところ,仮名遣い全体としては安定性因子に大きく影響を与えていることがわかった.また仮名遣いの中でいくつかに分類することで,力量性因子,感受性因子にも影響を与えていることが判明した.
著者
林 依蓉 三橋 俊雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.3_23-3_32, 2019-01-31 (Released:2019-03-25)
参考文献数
29

本研究では,台湾原住民タロマク族が現在も暮らしの中で実践している狩猟について,自然を利用するだけの活動にとどまらず,精神的・文化的な意味で自然と深く関わってきた「遊び仕事」の観点から考察する。 調査では,タロマク族の30〜70代の猟師経験者から,狩りの技術やプロセス,禁忌・儀礼,自然観など,狩猟活動の諸側面について聞き取りを実施し,伝統的狩猟文化の実相について探求した。その結果,彼らの狩猟文化には,身体的活動を通して得られる生きがいや誇りはもとより,彼らが目指す真正な猟師像,'agamocoやSangaなどに見られる象徴性,共同体的規範としての分享の精神など,部族内における誇りや喜びの源泉となり得る「遊び仕事」の社会的・精神的な価値が内包されており,彼らが守り次世代に伝えようとしている狩猟という「遊び仕事」の特質を示すことができた。また,そこには,民族の誇りや民族自立に繋がる彼らの強い想いを見て取ることができた。
著者
面矢 慎介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.17-24, 2003-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
35

19世紀末から20世紀末までの英国の庶民家庭における据え置き型風呂を対象として、その発展・普及の過程、デザイン変遷の経緯を探り、その背景となった諸要因について考察した。庶民家庭に風呂を設けることは、国民の健康向上をめざす政府主導の住宅改善の動きに端を発し、第1次大戦後の公共住宅の多くには給湯式風呂が設置された。20世紀初頭から1960年代までの間、給湯設備として、その場で沸かす直火型、キッチンレンジ接続のバックボイラー、衣類用煮洗い釜、瞬間ガス湯沸かし機などが併存しつつ推移した。風呂の急速な普及の要因としては、板金・陶製から鋳物への浴槽の材質転換によるコストダウン効果があげられるが、より大きな社会背景として衛生観念の変化があった。労働者住宅にも独立した浴室が設置されていく1930年代になると中産階級住宅において「モダンスタイル」の浴室が現れ新たな差別化がはかられた。このような風呂の社会的・文化的位置づけの変化が各時代の風呂のデザインに反映されてきた。
著者
原 葉月 水谷 元
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.510-511, 2018 (Released:2018-06-21)

類似するものの中から目的の対象を選び取る際、私たちはラベルを用いることでその行為を容易にすることができる。しかしデザインを学んだ事のない人にとって、目的によって何に配慮して要素を選択すれば良いか判断することは困難である。そこで、キーホルダーを題材に差別化機能の側面を取り柄げ、人が対象をどのように識別しているか、また差別化する際の知覚情報の優位性がどのように認知に影響するかを考察した。これにより、目的に応じた要素の優位性を提示できるようなデザイン指針の作成を試み、ラベルを作成利用する際に制作者の経験不足を補うことを目的とした。
著者
奥山 健二 岩本 康治 河合 はるか
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 47
巻号頁・発行日
pp.192-193, 2000-10-16 (Released:2017-11-08)

The some of large city in the world have the Mall park in their hart of the city, for example The Mall in London, The Mall in Washington D.C , the Mall park in Sapporo, Hisaya Mall park in Nagoya. The objective of this study is to research and analyze the role and function of the Mall park in the city. this paper begin with obtaining the data of the shape and scale of the Mall park in Sapporo city and Nagoya city. As a result the shape and scale of the Mall park in Sapporo and Nagoya are almost same size, but the date of plan and construction was seventy years difference period. The Mall park in Sapporo is rather flat in shape and scale because of small number of large planted tree and structure existing. And also the place is used for the snow sculpture festival every winter seasons. The Mall park in Nagoya is three-dimensional shape and use because of planted large scale of trees and constructed pedestrian bridge and sculpture monument.
著者
横山 稔 小田 敬子 中野 直
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_2-1_7, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
6

この「五感のデザインワークブック」は、約20年にわたり日米の大学で教えてきた五感を刺激する一連の空間に関わるデザイン演習を体系的なシステムにまとめたものである。デザインに必要な感性には体験力・直感力・創造力・イメージ力などがある。全身を通じ、そのカタチの無い感覚的なものをカタチに出来る力をつける演習に仕立てた。読者が気にもとめなかった日常のささいな出来事や生活空間を、五感を研ぎ澄ませて臨むこの12種類の演習を通じて、新たな発見を楽しみ、好奇心を持ってデザイン制作、活動の素地を養える様、工夫した。また近年、幅広い領域で求められている独創性やクリエイティブマインド、デザインを思考する力も意識して、この教育システムをデザインし、本にまとめた。