著者
山本 政幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.266, 2019 (Released:2019-06-27)

明朝体とゴシック体の読みやすさについて、書体サイズ12Q(18H送り)、16Q(24H送り)、24Q(36H送り)における比較実験を行った上で、ゴシック体の本文(400字の本文横組み)への適性を検証することを目的とした。12Qと24Qでは明朝体の読了時間が短かったが、16Qではゴシック体がわずかに短かかった。
著者
金子 宜正
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1-10, 2004-03-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
26

バウハウスを退職した後、ヨハネス・イッテンは、独自の造形美術学校イッテン・シューレ(1926-1934)をベルリンに創設した。同校の教師陣には、日本人画家・水越松南、竹久夢二がおり、小原図芳は水越の授業を見学した。また、自由学園からの二人の留学生(山室光子・笹川[当時旧姓今井]和子)が同校で学んだ。本稿で筆者は、ベルリンにおけるイッテンと日本人との交流の詳細、日本人画家がイッテンの芸術論に与えた影響、イッテンと日本人画家を結びつけた長井亜歴山の活躍、日本に伝えられだイッテン教育にみられる日本画の影響を明らかにした。更に、山室・笹川が日本でイッテン教育を広め、イッテンと教育的交流を持ち続けたこと、二人の友人でイッテンの教え子エヴァ・プラウトが大智浩にイッテン教育を教え、彼が後にイッテンの色彩論を邦訳するに至ったことを明らかにし、イッテンと日本のデザイン教育との接点について論じた。
著者
大谷 周平 由田 徹 谷口 俊平 前川 正実 永井 由佳里
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.244-245, 2018 (Released:2018-06-21)

近年日本では個人がデジタル工作機械を用いて自分の作りたいものを作る「パーソナルファブリケーション」と呼ばれる文化が広がっており,その環境のサポートとしてFabLabやFab施設と呼ばれる場所,コミュニティの形成が盛んである.その反面,FabLab,Fab施設を運営している複数のオーナに話を伺ったところ,継続して利用する顧客が少なく,規模縮小している施設が多く存在することが判明した.本研究ではデザイン創造性の観点から未来のFab施設のデザインを考えるため,現状の課題を整理し解決の糸口を探ることが目的である.
著者
郭 庚熙 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_11-1_20, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
16

今日、急速な経済発展の傍らで、地域に根ざして形成されてきた地域固有の文化の衰退が危惧されている。その対策として、当該地域の文化や資源を活かした地域活性化が求められている。本稿は、千葉において誕生・発展した漁師の晴れ着「万祝」を対象としたものである。万祝の型紙のデジタル化に基づき、万祝の認知度向上や共有化に資する資源の活用方法を、実践を通して提示することを目的とした。具体的には、万祝の型紙の図柄のデジタルデータの取得・保存を行うとともに、それらを活用した生活用品の提案、展示・ワークショップの実施、職人との連携などを試みた。以上の取り組みの結果、万祝のデジタル化・活用による地域活性化への可能性について以下を抽出した。(1)地域住民とのコミュニケーションによる万祝の顕在化、(2)自律的な地域活性化への可能性、(3)地域社会での共有のためのプロセスの提示、(4)職人との協力による伝統的工芸の継続。
著者
長井 千春 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.77-86, 2007-05-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
34

ヨーロッパの後進国ドイツは、19世紀末には世界屈指の産業国家に成長していた。日本では、同じ頃、イギリスに代わる近代化の準拠国として新たにドイツに照準をあわせ、重要な輸出産業である陶磁器製造においてもドイツを模範とした。本稿は、マイセンでの磁器開発を起点に盛んとなるドイツ磁器産業の発祥から発展の経緯を検証するなかで、その特性を整理し考察を試みた。19世紀中葉のドイツ文化圏には4つの特徴ある磁器産業地帯が形成されていた。各産地ともに資源環境に恵まれ、量産技術の開発と合理的な経営に優れた工場が多く、これまで特権階級の所有物であった磁器を日用必需品として、幅広い生活層への普及に貢献した。そして、20世紀初頭には輸出量でアメリカ市場を制覇し、かつて粗悪で悪趣味と呼ばれた磁器製品は、国策としての工芸振興とデザイン運動との連動により、技術力とデザインで国際的に認知されるまでに力をつけ始めていた。
著者
高橋 正明 高山 英樹 山手 正彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.1-10, 1996-09-10 (Released:2017-07-25)
参考文献数
14

我が国の時刻表では、必要な情報をより得やすいものにすることと、新たな情報を収めるという相反する要求に対し、視覚伝達という視点から、様々なデザイン上の技術的回答が示された。ページ方式の採用と判型の定型化は、限られたスペースの中に情報を掲載するためのデザイン開発の誘因となった。ピクトグラムは、その代表的な例であり、我が国の時刻表では、限りある紙面の中で情報を速く分かりやすく伝達することを目的として早い時期から採用された。索引地図は、検索機能を優先した我が国独自の変形地図として、煩雑な文字情報だけでは得にくい細かな情報に、瞬時に到達させるという点において優れたデザイン上の工夫であった。また、視覚情報への置き換えが困難な文字による列車情報では、文字に微妙な変化を与えることによって見る情報としての要素が加えられた。この様に時刻表では、全体を通して「読む」から「見る」への一貫した提案が行われてきた。
著者
福本 塁
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.122, 2021 (Released:2022-02-23)

筆者は防災トランプWEB版を開発し、感染症予防に配慮した防災教育実践の実施方式についてInstructional Designの視点から考察した。結果、「実践の楽しさ」「ルールの理解」「学びの獲得」の各項目は、対面・オンラインに関わらず肯定的な評価結果が得られた。また、ARCSモデルに基づいて感染症リスクのないオンライン実施方式においても、世代をこえて防災について楽しく話し合う場づくりは学習意欲が高まる効果が見込めることが示唆された。
著者
町田 俊一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.79-84, 2003-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
5

これまでの伝統的工芸品産業が、デザインを取り入れることができなかったことについては、産地が形成されてきた経緯のなかで、高度な社会分業体制が構築され、新たな業務に対する柔軟性を失ったことが原因として考えられる。また、明治以来、製造業の社会的地位が低く見られるようになり、職人が手作業労働者に位置づけされたために、職入のなかからデザイナーを養成する余裕もなかったことも要因にあげられる。デザインを取り入れるためには、現在の製造システムを大幅に変革し、合理化する必要性があるが、その効果は大きいことが示唆された。それは、製品の価値を拡大するだけでなく、製造従事者の社会的地位や労働の魅力を向上し、伝統的工芸品産業自体を再生するものである。また、デザインを産地内に定着させるためには、産地の特性に適したカリキュラムを有する教育の場が必要であり、地方公設試験研究機関や大学などがその役割を担うことが期待される。
著者
中村 敏 久保 雅義
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.110, 2022 (Released:2022-08-30)

第3セクターのいすみ鉄道は、乗客、沿線地域の人々、行政などステークホルダーの価値を高めることを使命としています。観光客誘致のために、沿線住民、行政、ステークホルダーの価値を高めることを使命としています。地域の魅力を豊かな価値に変え、提供することにより、公共交通事業から公共交流事業へ転換しています。例えば、地元の支援者に菜種の種を配り、春に花が咲くように種を蒔いたり、線路に飾り付けをしたりしています。これは「菜の花が咲く鉄道」として全国に知られ、多くの鉄道ファンや観光客を集めています。本稿ではこれらの取り組みについて調査しました。
著者
菅野 鈴 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.378, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究では,「居心地の良い」場所を任意活動を促す場所とし,その構成要素を明らかにすることを目的として,フィールドワークとアンケート調査を行った.フィールドワークから,任意活動が行われる「居心地の良い」場所の存在が示された.また,それらは街並みや風景の眺めがよく,ベンチなどの着座できる環境のある場所であり,適度な交通量の場所であることが分かった.アンケート調査からも同様に,風景の良さや人通りに関する回答とともに開放感も要素として挙げられた.これらのことから,滞留者は眺めの良い開けた場所,すなわち「視点場」と「他者」の要素から「居心地が良いかどうか」を判断していると考察された.また,居心地の良い場所は,「視点場」であり,適度に「他者」が存在する場所といえる.
著者
樋口 孝之 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.45-54, 2008-01-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
49
被引用文献数
1

デザインを保護する制度の整備について,明治初期に,物品の「新形」の「発明」・「創製」を保護する,あるいは「形状模様」の「新按」を保護するものとして検討がなされていた。明治中期にデザインを保護する制度を日本へ導入する際,英国法におけるdesignは日本語の「意匠」へ訳出された。1888(明治21)年に発布された意匠条例は,高橋是清が尽力して制定したものである。高橋は,1年間にわたって欧米諸国のdesign保護制度の調査を行なった。帰国後,デザインを保護する必要を訴求する意見書において,日本の人民の技能の長所は専ら「意匠」にあると述べている。そして,「形状模様もしくは色彩」に関わる「意匠」を保護するものとして制度を制定した。意匠条例を制定する審議の際に,保護対象となるdesign概念を「人ノ意匠上ヨリ成レルモノ」ととらえて,designを「意匠」と訳出したと記録されている。1888年に発布された意匠条例において「意匠」の語は,主体(人)が客体(物品)をどのようなものとするか案出する思考行為,またはその思考行為から得られた成果を示す意味内容で用いられていた。
著者
後藤 吉郎 森 啓 横溝 健志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.93, 2008 (Released:2008-06-16)

19世紀中葉、上海美華書館においてWilliam Gambleは近代活版印刷技術を確立し、中国と日本の文化に多大な貢献をしたが、彼自身の記録は曖昧なままである。本研究は、W. Gambleの生い立ちから没するまで、その生涯を解き明かし、その間に起きた特記すべき点を織り込みながら印刷家としての功績をさらに浮き彫りにしたい。このための調査は、当時の資料がそのままの状態で保管されている米国議会図書館の協力で行われた。 この調査の結果、当時の種字(木活字)や活字さらにはGambleの肖像写真、その他多くのマニュスクリプトが発見され内容が精査された。 したがって、これまで実在しないと思われてきた電胎法にかかわる当時の資材について、さらには肖像写真等についても、初の公開となる。 本研究では、近代活版印刷の基礎を築いたGambleの印刷家としての実像に迫るとともに、近代活版印刷史の原点と潮流を解明することを目的としている。
著者
小澤 直明 八馬 智
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.268, 2017 (Released:2017-06-29)

近年、「カープ女子」や「プロレス女子」といった、「○○女子」というネーミングが増えてきている。このような性別を含む特定の「キャラ」を示す表現は、次々と生み出され、次々と消えている。 それらは、流行現象を後から定義づけた言葉もあれば、マーケティング的な狙いから生み出された言葉もあるだろう。 もしかすると、他人を「キャラ」の枠に当てはめることで、その人や社会の動きをわかったつもりになろうとしているのではないか。 そこで、「経済成長の推移」や「女性の社会進出」などを手がかりに戦後の社会環境の変遷を概観しながら、「○○女子」という表現の成立過程を捉え直す試みを行った。 接尾辞の変化には、女性の社会進出の変遷が影響していると思われ、現在の「○○女子」は女性のライフスタイルが多様化していることの象徴であった。 社会は男女の差が少なくなっていく方向にシフトしており、その断片が「○○女子」に反映されていると考えられるが、実際はまだ男性中心の社会であり、男性と女性の機会の差は、均等ではないと考えられる。
著者
横井 聖宏 中島 瑞季
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.3_49-3_56, 2021-01-31 (Released:2021-02-20)
参考文献数
29

本研究では,無彩色の平面で表現された写真,絵画などの作品の印象や季節感を演出する要素として,作品を照らす展示照明の活用可能性を検討するため,照明の色温度と照射位置を要因として取り上げて,これらがモノクロ写真作品の印象と季節感に与える影響を評価実験によって確かめた.実験では,20枚のモノクロ写真作品を1枚ずつ無作為な順番で壁に展示した状態で実験参加者に呈示し,5枚ごとに作品を照らす展示照明の色温度と照射位置の組み合わせを変更したうえで,それぞれの作品に対して7段階SD 法による印象評価と5段階評定尺度法による季節感評価を求めた.その結果,展示照明の色温度や照射位置によって,作品の印象や季節感に有意な差が認められた.また,照射位置は季節感に直接的な影響を与え,色温度は明るさ感の印象を変化させることで間接的に季節感に影響を与えるという有意な因果関係が認められた.ただし,これらの影響は小さく,作品に対する評価や解釈をまったく異なる方向に変化させるようなものではないと考えられる.
著者
中山 真太朗 清水 太杜 小早川 真衣子 飯田 一博
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.416, 2022 (Released:2022-08-30)

一側性難聴者とは片方の耳に聴覚障害がある人のことである。一側性難聴者は日常生活に困難を感じているがそのことを周囲に理解してもらえずに苦しんでいる。健聴者が一側性難聴を理解するための方法の一つとして、一側性難聴状態を体験する方法がある。本稿では、健聴者が一側性難聴者の聴こえを理解するためのwebサイトを作成した。
著者
岩嵜 博論
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.148, 2022 (Released:2022-08-30)

行政課題の複雑化や行政サービスのデジタル化に伴って行政組織においてデザイン方法論の活用が進展している。本研究は,日本の行政組織におけるデザイン方法論の実践として,ペルソナがどのように作成され,どのように政策に反映されたかを明らかにすることを目的とする。本研究では,滋賀県庁において2020年度に行われた「ポストコロナにおける滋賀県の姿を考える」ワーキンググループ(WG)で作成されたペルソナとその成果を活用した政策立案の過程を対象に事例研究を行った。事例分析を通じて,行政組織におけるペルソナ活用のメリットとして,1)住民への共感醸成,2)組織内コミュニケーション,3)未来視点での政策立案の3点が挙げられることがわかった。
著者
劒持 和貴 渡邉 慎二
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.444, 2022 (Released:2022-08-30)

近年、HMD型MRデバイスを用いた新しいスポーツ観戦体験が研究されているが、過去の試合をサマライズしたデータの表示や選手のプレーの結果を表示している点で共通している。一方、スポーツ選手は未来を予測しながらプレーを行っているが、競技観戦者にはそれらは分からないのが現状である。そこで本研究の目的を、過去の事実ではなく予測される未来をリアルタイムに現実空間に可視化するMR表現の制作、及び体験デモを通してその観戦体験の可能性を示すことにした。