著者
金 孝卿
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.1-10, 1999-11-30 (Released:2017-07-21)
参考文献数
26

日本と韓国における卍字紋と巴紋(太極紋)は, 幾何学的紋様として, 装飾・紋様領域のなかで重要な位置を占めている。特に卍字紋と巴紋(太極紋)は釣り合いのとれたダイナミックな造形として知られている。両国における卍字紋は, 豊かなバリエーションがあり, 図(figure)と地(ground)の相互関連によって形成される構造をもっている。卍字紋の原型は, 四つ巴紋から変遷された十字形であり, 巴紋と太極紋の原型は, 波状や螺旋の変化形とも言える。巴紋・太極紋の形体は, ともに回転性をもち造形的に一見近似にみえる。巴紋は, 勾玉と勾玉の間に新しく生成されたパターンであり, 太極紋は, 勾玉と勾玉が逆対称した紋様として、基本的には異なる形体で形成されている。両国の卍字紋と巴紋(太極紋)は, それぞれ意味や形体が異なるものの, 回転のシンメトリー性をもった数理的造形である点は共通している。
著者
明土 真也
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.4_35-4_44, 2013-11-30 (Released:2014-01-25)
参考文献数
40

聴取音は、原音、音源、意味等を示し、心理、生理、活動等を誘引する。このような性質を「音の記号性」と呼ぶ。また、音の記号性が作用する場であるサウンドスケープの構成要素は、空間及び場所、音源、外界の音、聴取者、触媒、音の記号性が聴取者に作用した結果である。触媒とは、空間及び場所、音源、音、聴取者以外に、音の記号性に影響を及ぼす事物である。そして、サウンドスケープ・デザインとは、音に備わる種々の記号性が最適に作用することを目的として、これらの対象をデザインすることである。本論では、このサウンドスケープ・デザインの手法を報知音に適用することを試みた。その結果、触媒もデザインの対象であるという観点より、意味の触媒である文脈をデザインするという着想を得ることができたため、種々の文脈に応じたサウンドスケープ・デザインを提言した。
著者
明土 真也
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.65-74, 2011-07-31 (Released:2017-08-31)
参考文献数
30

音は記号であり、様々な事物を示し、種々の事象を誘引する。このような性質を「音の記号性」と呼ぶ。聴取音は、原音、音源、意味を示し、心理、生理、活動を誘引し、これらが多面的に作用して、時間や価値等の指示も行う。これに従い、本論文では、サウンドスケープ"場"を「音の記号性が作用する"場"」と定義する。サウンドスケープ"場"の構成要素は、空間及び場所、音源、外界の音、聴取者、触媒、音の記号性が聴取者に作用した結果である。触媒とは、空間及び場所、音源、音、聴取者以外に、音の記号性に影響を及ぼす事物である。また、サウンドスケープ・デザインとは、「サウンドスケープ"場"及びこれと交わりを持つ"場"のデザイン」である。そして、その目的は、記号性の最適化であり、直接のデザインの対象は、空間及び場所、音源、聴取者、触媒である。
著者
張 英裕 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.63-72, 2001-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
27

「剪黏」とは、割れた茶碗の破片や色ガラスなどを利用して必要な形に刻み、作品の表面に一つ一つ丁寧に貼ることによって制作される、寺廟建築の屋根装飾である。本稿では、文献調査ならびに中国南部沿岸地域および台湾における現地調査に基き、「剪黏」の起源・変遷・制作過程について考察した。その結果、次の諸点を明らかにした。(1)中国大陸における「剪黏」は、南部沿岸の泉州地域において、清時代1700年前後に生誕したと思われる。また、ほぼ同時代に、その制作方法が台湾に伝えられた。(2)「剪黏」制作の主たる素材は、かつては茶碗や花瓶などの破片であったが、最近では、専用陶片が使用されるようになっている。専用陶片の出現は、「剪(切る)」と「黏(貼る)」からなる本来の「剪黏」造形における「剪(切る)」の作業を不要にし、職人の即興的創作性を喪失させた。この傾向は、台湾において著しい。(3)「剪黏」の主たる制作過程は、針金による原形制作、筋肉材の原形への付着、外観材の粘着に分けられる。
著者
富田 誠 瀧 知惠美 夏川 真里奈 小出 瑠 南斉 規介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.104, 2022 (Released:2022-08-30)

協働研究を行う研究者を対象に、研究者個人の内面、特に内的動機に当てた対話の場をデザインした。その特徴は、客観性や根拠の積み上げを重要視する研究発表の場では語られない、内的動機をなめらかに語り出すことにある。結果、語り出すことを許与する問い、語りを引き込む聞き手、共視される対象が主なアクターとなって研究者の語りを誘出することが示唆された。
著者
李 卓 中野 豪雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_31-1_40, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
37

「内景図」という人体図像が,中国に古代より伝わる多領域の印刷物に掲載されてきた。本稿は,現存する印刷物にある「内景図」を中心に,版式や図像要素の変化を分析することにより,「内景図」の視覚伝達デザインの特徴を検討したものである。古代の印刷物における「内景図」の変遷,印刷文化の背景,「内景図」に関連する印刷物の紙面的特徴を探究することにより,以下の諸点を明らかにした。(1)「内景図」は印刷文化の発展とともに,最初に道教の書物に掲載され,医学の書物と日用類書に普及した。(2)現存する「内景図」を載せた書物には,4つの版式が存在することを明確化した。なお,「内景図」が木版の半分即ち書物の1ページを占める掲載の版式が最も頻度が高い。(3)「内景図」を構成する情報要素は,文字,象徴記号,具象的な図像に分類される。道教の書物における「内景図」の図像要素が最も複雑であり,医学の書物と日用類書における「内景図」の図像要素は次第に簡略化されていった。
著者
髙城 光
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_1-1_10, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
39

本稿は,列国金文書体の一つである蔡侯盤書体の字形と書き手の書きぶり(身体の動き)の関係の考察である。 字形と書きぶりの相関は書芸術と書体デザインの両方において重要である。書芸術においては書き手の唯一性が書きぶりを通して文字に表れるとされ,字形のばらつきも尊重される。一方,書体デザインにおいては用筆や書きぶりは書き手個人と区別され,字形のばらつきを抑えながら書体の様式を解釈・表現するための手がかりである。書体デザイナーたちは一般的な用筆と書きぶりをイメージしながら書体を共同制作する。 蔡侯盤書体は用筆法の成立以前の書体であるため,書き手たちは用筆法から様式を解釈することができない。用筆に代わる手がかりを考察するため,拓本資料のトレースによって字形の書きぶりを観察した。結果,蔡侯盤書体においては手の自然な握り込みにともなう規則的な動きが,様式を解釈し書きぶりを統一するガイドとしてはたらいている可能性があることを確認した。
著者
望月 史郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 45
巻号頁・発行日
pp.224-225, 1998-10-30 (Released:2017-11-08)

In this report, I inspected the developments of rice cookers before they were controlled by microcomputer, based on newspaper advertisements. As a result, it becomes clear that; 1) Broadly speaking, rice cookers were improved in pursuit of convenience and good taste of rice. 2) Many improvements in convenience were carried out since early years, such as adding timer, function of various cooking, that of keeping heat in rice. 3) Improvements in taste were started from tightening cover lock to prevent leakage of steam and lowering of its pressure. In later years, the mechanisms of heating were improved, but it didn't go far enough.
著者
内藤 郁夫 昇 愛子 車 政弘
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.19-28, 2004-07-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
35

庄内地方(鶴岡と酒田)・会津若松市・長岡市は絵蝋燭の産地として知られている。これらの地域で絵蝋燭業者や技術者に聞き取り調査を行い、伝統的絵蝋燭の図案を中心にその歴史や製造における特徴や利用法を研究した。絵蝋燭は18世紀中頃に庄内地方と会津で開発された。会津若松には3つの絵蝋燭のタイプがあった。一つは、牡丹や菊の絵が描かれた日本画タイプ、一つは、筆・笥・巻物の形に似せた細工蝋燭、あと一つは蒔絵タイプである。庄内の伝統絵蝋燭は御所車の図柄で代表される日本画タイプである。ー方長岡の絵蝋燭は会津若松より伝播したといわれ、牡丹・菊・甕・台の図柄で特徴すけられる。この中で、甕と台は会津若松で忘れられた図柄である。いずれの産地の伝統的絵柄は花篭模様が多<、磁器の影響が示唆される。これらの地域では、江戸時代より仏事に絵蝋燭が使用される。これが絵蝋燭製造の統いた理由である。
著者
高 瑞禎 釜池 光夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.29-38, 2004-05-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
23

台湾は何故、スクーターが特異に普及していているのであろうか。本研究の目的は、台湾におけるスクーターの利用実態を明らかにし、その要因を考察することにある。はじめに、スクーターの推移に関する文献調査を行い、産業保護政策が大きな影響を与えたことが明らかになった。さらに、使用状況の観察・インタビュー調査を行い、普及要因と思われる項目を整理した。この要因項目をベースに、台湾の代表的都市である高雄市において利用実態調査を実施した。アンケートデータおよび各要因項目間の関係性を分析し、考察を行った。その結果、国民所得の増加、通勤労働者の急増を背景とする人の生活の変化、スクーターの軽便性、経済性などの製品特性、公共交通機関の衰退、約10kmを範囲とする都市の地理条件、温暖な気象など環境要素が主な普及の要因であることがわかった。台湾は、「ひと-もの-環境」に係わる要因の相乗効果から発展、普及したことがあきらかとなった。
著者
関 博紀 梅澤 明日香 大里 玲奈 長田 怜也 小林 悠佳
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.258, 2022 (Released:2022-08-30)

本研究はMV独自の表現を確かめることを目的として、実際のMV60作品を対象に、楽曲と映像の組み合わせの特徴を、作品の長さ、登場人物、編集の3点に注目して分析した。その結果、MVには、作品の長さは楽曲の長さとほぼ合致すること、9割を超える作品で歌手が出演していること、多くの作品が100前後のカット数で成り立つことが分かった。また、各項目同士の関係から、作品の長さは楽曲の制約を強く受けること、MVにおいて歌手は9割を超える作品に出演しているものの、それだけでは成立しづらく、その他の演出が行われること、テンポとカット割については弱い正の相関があることが分かった。以上の結果を映像と楽曲の関係から考察した。
著者
田中 隆充 王 懿敏 阿部 裕之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.102, 2020 (Released:2020-08-27)

本稿は,岩手県の伝統的工芸である南部鉄器の鉄瓶の輸出用の造形について示したものである.近年,南部鉄瓶は海外での需要が高まり,従来の南部鉄瓶の典型的な造形や表面にデコレーションされる文様(多くはアラレ模様),色彩のバリエーションが増えた.国や地域によって鉄瓶の使い方や上述のデザインの好みの差異があるため,マーケタによってデザイン条件が示される.しかし,南部鉄瓶は工芸職人が一人でデザインを行い,手づくりで制作する場合もあれば,制作過程毎に分業化され機械を主体とした量産用の制作の2つのカテゴリに分けられる.南部鉄瓶を専門としたデザイナはほとんど皆無であるため,量産に適さない造形を見極めるのが難しい.本研究ではデザインプロセスの川上に位置する,発散的な造形のバリエーションをデザインし,その後,工芸の専門家に一品物の鉄瓶に適しているのか,または,量産性のある造形であるかを確認,整理し考察を行った.整理をすることで,多くのデザインバリエーションから量産できるデザインの要素と量産可能な造形の可能性を知ることできると考えた.そして,目標に対して的を射たデザインを提案できると推察する.
著者
松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.1, 2008 (Released:2008-06-16)

従来,デザイン学研究は対象に依存したデザイン方法や技術の研究が主流であり,デザイン対象に依存しない一般性を有するデザイン理論や方法論に関する研究は少ない.吉川らの一般設計学はその基盤をなすものであるが,デザイン科学の枠組み構築のためには,これにつづくさらなる研究が不可欠となる.本報では,今後のデザイン科学の枠組み構築の一助とすべく,デザイン理論の枠組みとしての多空間デザインモデルの概要を提示する.そして,同モデルのデザイン科学の枠組みにおける位置づけを示すとともに,同モデルに基づくデザイン推論の枠組みの構造を明示する.
著者
佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2008 (Released:2008-06-16)

デザイン過程を,概念デザインや基本デザインが含まれるデザイン上流過程と,詳細デザインなどを含むデザイン下流過程の2つに大別すると,それらは以下の異なる特徴を有している.まず,上流過程においては不明確なデザイン目標や制約条件のもと,デザイナーの経験に基づく知識や直観を用いて,試行錯誤的に広い解空間から多様なデザイン解の探索が行われる.そして,下流過程においては明確化されたデザイン目標や制約条件のもと,合目的に狭い解空間から唯一のデザイン解の探索が行われる.この下流過程は,デザイナーの直観に依存する部分はあるものの,最適化法やCADなどの活用によりデザイン行為に合理化がもたらされている.一方,上流過程は,いまだその多くをデザイナーの直観に依存しており,大域的な解探索を可能とする数理手法や,それを前提とした逆問題の解法を可能とする設計研究の進展が必要とされている.本報では,このようなデザイン上流過程およびデザイン下流過程に適用可能な人工物デザインである「創発デザイン」と「最適デザイン」の概念を示し,それぞれの適用条件や適用可能なデザイン問題について示した.
著者
蛭田 直 宮地 弘一郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.214, 2022 (Released:2022-08-30)

近年、3Dスキャナを使用した形状のデジタル化と、そのデジタル化した形状データを活用したデザインが多く見られるようになった。しかし、頭部形状の3次元スキャナによる計測は毛髪が障害となり形状データが取得できない。また、最適な頭部形状を得ることができない問題がある。この問題に対して、パターン光投影方式とフォトグラメトリのどちらでも毛髪の影響を極力抑えて3Dスキャナによる頭部形状のデジタル化ができる計測用キャップの開発を行い良好な結果を得たので、開発プロセスと成果について述べる。
著者
西村 宏紀 田中 みなみ 曽和 具之 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 47
巻号頁・発行日
pp.424-425, 2000-10-16 (Released:2017-11-08)

This study focuses on the effect of symbols in MANGA expression. There are several techniques adding symbols on the face to express the certain emotions. This study aims to grasp 1) the effect of symbols in expression of emotions and 2) difference of acception between MANGA familiar group and unfamiliar group. As the result, the following assertions can be made : (1) There are several symbols that can express the certain emotions by adding symbols to the expressionless face. (2) Besides these are not effective for MANGA unfamiliar group, these are effective for MANGA familiar group in some case. We should be careful in adding MANGA symbols to aim the effect for the MANGA unfamiliar group.
著者
増成 和敏 石村 眞一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.33-42, 2009-07-31 (Released:2017-06-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本論は,家具調テレビのデザイン成立過程を明らかにすることを目的として,テレビ受像機「嵯峨」に関し,主として文献史料調査より,以下の内容を明らかにした。1)広告記述で使用された「家具調」の表現が「家具調テレビ」のデザインを誘発する要因のひとつとなった。2)家具調の意味は,使われ始めた当初,和風,日本調と必ずしも一致するものではなかった。3)「嵯峨」は,特徴的なデザインと和風ネーミングの大量広告により,家具調テレビの典型となった。4)「嵯峨」の特徴は,張り出した天板,スピーカーグリル桟,本体と一体感のある脚,天然木の木質感表現である。5)「嵯峨」は,シリーズ展開されており,初代「嵯峨」とは差別化された多様なデザインが展開されている。
著者
中村 泰之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.284, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は「ご当地萌えキャラ」のデザインについて調査と分析を行う.地方そのものが主体となってキャラクターを創作し,地域振興に繋げようという活動が活発になっている.本研究の目的は主に創出プロセスの中でも特にキャラクターデザインに焦点を当て,地域振興において有用なデザイン手法を明らかにすること、ご当地萌えキャラの活動をアーカイブすることである. ここでは2019年3月2日〜4月21日まで宮城県白石市で行われた「第10回東北ずん子スタンプラリー」の事例について報告する.
著者
林原 泰子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.B05, 2007 (Released:2007-06-09)

本報告では,史料調査により戦後の「Solar」ラインナップを明らかとし,戦前・戦後を通した「Solar」シリーズの変遷について考察を行うことを目的とする。 戦後の「Solar」ラインナップとして,納入型,K型,F型,FW型,P型を確認した。戦前の形状を継承した納入型はF型,FW型,簡素化されたK型はP型へと発展しており,新規のデザインや技術を取り入れながら積極的に改良が重ねられていった様子が認められる。 1953(昭和28)年頃には,20社以上の国内企業が電気洗濯機の製造を行っており,その半数以上が撹拌式を手掛けていた。これら撹拌式の製造にあたり,外国機と共に「Solar」が参照されたことは間違いないと考えられる。「Solar」は,戦前より特許や実用新案の取得を含めた積極的な製品展開を行っていた。更に,戦後のFW型,P型においては意匠面についてもいち早く注意が向けられるなど,戦前戦後を通して日本の家庭用電気洗濯機市場を牽引する存在であったといえよう。
著者
久保 雅義 中村 敏
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.108, 2022 (Released:2022-08-30)

観光急行「雪月花」は、赤い外観と大きな窓が屋根迄伸びた外観をもち、ミシュランシェフの監修のもと地元の食材を使った上質な食事サービスを提供し、山側と海側の風景を車窓を通して変化を楽しむオペレーションサービスを提供する優れた観光車両です。感染症の厳しい条件にも関わらず乗客数を増やすことができました。鉄道を愛する真の鉄道員の想いや努力の賜物であり、お客様のニーズをしっかりと捉え、これは鉄道を観光資源と捉え地域に貢献することに成功しています。