著者
銭谷 武平
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.375-381, 1952-09

The present investigation was undertaken with a two-fold purpose: 1) to obtain the synopsis of yeasts for the taxonomic studies, and 2) to determine the specific features of "Shiokara" yeasts. In this report the description of morphological and cultural characteristics of true yeasts (23 strains isolated from 15 samples) was made. The summarized characteristics are as follows: almost all of the species of Zygosaccharomyces have around cell while those of Debaryomyces have a round, egg-Shaped or ellipsoid cell containing one or two oil drops (Table 1). Most fi1m- or ring-forming yeasts belong to Debaryomyces(Table2). The fermentable strains of "Shiokara" ?yeasts belong almost all to Zygosac-charomyces and their fermentability is continuous, though not vigorous. The streak culture is shown in Table 3 and photograph. In gelatin stab cultures the liquefaction could not be observed except in some rare cases (Table4). The giant colony of Debaryomyces sp. C_2 is different from any of Debaryomyces already described, the former showing many characteristic concentric rings (Table 5 and photograph).塩辛類の酵母に就いては喜多及び本村・小谷両氏の研究があり, いづれもTorula属とした.著者は第1報に於て各種塩辛類から多数の真正酵母菌を分離しその主要なものはZygosaccharomyces属及びDebaryomyces属に入ることを確めた.本邦に於ける?酵食品のうち味噌・醤油の酵母に就ては諸氏の報告あり高橋・湯川両氏は醤油酵母の,茂木氏は味噌酵母の菌学的性質一般を審かにし其の特性をも明らかにされた.尚叉此等食品の風味の醸成に役立つもの並に有害な菌種をも醒めた.塩辛及び其類似品は動物蛋白乃至其分解物を主とし糖質に比較的乏しく前記農産?酵食品とは其組成に著しい差異があり叉味噌・醤油類は絲状菌酵素の作用が顕著なるに比し塩辛類は概ね自己消化酵素に依存する.従つて塩辛酵母(塩辛中の酵母類を総指して塩辛酵母と呼ぶととにする) は味噌・醤油酵母とは其趣を異にすると想像されDebaryomyces属酵母の非常に多いことも一つの特色と推定し得る.著者は塩辛酵母の特性を明かにし且分類学的位置を定めるために15試料から分離した真正酵母菌の23菌株に就て形態学的並に生理学的性質一般に関する研究を行つたので報告する. 本報では形態的並に培養町性質に就て記載する.
著者
関 文恭
出版者
九州大学
雑誌
九州大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:02862484)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-29, 1991-03

いわゆる荒れた中学校において,アクション・リサーチによる,学校の本来的機能回復をめざした。教師,父兄の一丸となった3年間の実践により,問題行動が78件から9件へ激減し,学力も平均点で30点上昇し郡内1位となった。運動部の優勝旗も4部から9部へと増えた。
著者
中野 武彦
出版者
九州大学
雑誌
九州大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13482319)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.85-89, 2004-02-20

Running has a good effect on maintaining a man's health. The aim of this study is to explain a safe running prescription by comparison of the deviation value of the heart rate with the record of the early running. We had ten months with no difference between the records and the deviation value of the prompt heart rates after running. Correlation was high, but the record has one periodicity and the heart rate another. An interaction of the record with the heart rate causes it. It was important to grasp physical condition with a deviation value to continue running safely.
著者
須藤 信行 古賀 泰裕 吉原 一文 山下 真 波夛 伴和
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近年、宿主と細菌との情報伝達、いわゆる“インターキングダム・シグナリング(IKS)”が注目を集めている。本研究にて、次の事実は明らかになった。①炎症性腸疾患モデルにおいて、カテコラミン(CA)を介したIKSをブロックする化合物であるLED209は腸炎を改善した。②腸管管腔内には生理活性を有するセロトニンが存在しており、一部はグルクロン酸抱合などを受け不活化されていた。以上の結果は、CAを介したIKSが炎症性腸疾患の病態形成において重要や役割を担っている可能性を示している。また管腔内に5-HTの生成や代謝には腸内細菌が深く関わっていることが明らかとなった。
著者
須藤 信行 吉原 一文 古賀 泰裕 古川 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、オープンフィールド法とビー玉埋没テストを用いて、人工菌叢マウスの行動特性を、アイソレーター内測定法を用いて厳密に測定した。無菌マウス(GF)は、SPFマウスの糞便を移植した無菌マウス(EX-GF)と比較し、多動で不安レベルが高かった。GFマウスにBifidobacterium infantisを移植すると運動能が、Blautia coccoidesの移植によって不安関連行動が減弱した。このように腸内微生物は宿主の行動特性やストレス応答の発現に関わっていることがわかった。
著者
須藤 信行 服部 正平 三上 克央 吉原 一文 高倉 修 波夛 伴和 古賀 泰裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

極端なやせを追求する神経性やせ症(anorexia nervosa: 以下ANと略)患者においては、体重を恒常的に増加させることが極めて困難であり、種々の治療に抵抗性を示し、重篤な感染症や肝機能障害を併発して死の転機をとることも珍しくない。ANの早期診断、治療、予防法を開発することは喫緊の課題であるが、未だその取り組みは十分な成果を上げていない。本研究では、AN患者群の糞便中腸内細菌叢を次世代シークエンサーによって解析し、健常者と比較することでその詳細な特徴を明らかにするとともにAN患者の腸内細菌叢を移植した“AN型人工菌叢マウス”を用いて、AN患者に見られる腸内細菌叢の異常が、実際の体重変動や行動特性の発現に関与しているかについて検討している。平成29年度は、AN患者の腸内細菌を無菌マウスに移植して作製した“AN型人工菌叢マウス”を用いてAN患者の腸内細菌が体重制御や行動特性の発現にどのように影響しているかについて検討した。その結果、“AN型人工菌叢マウス”では、健常女性の糞便を移植して作製した人工菌叢マウスと比較し、体重増加が不良であった。しかしながらどちらの人工菌叢マウスもエサの摂取量は同程度であった。この結果は、“AN型人工菌叢マウス”では、摂取した食事成分から栄養を抽出する効率、いわゆる栄養効率が低下していることを示唆している。次に人工菌叢マウスの行動特性について、我々のグループが開発した“アイソレーター内行動解析法”にて検討を進めている。
著者
久保 千春 高倉 修 古賀 泰裕 須藤 信行 河合 啓介 森田 千尋 古川 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、定量的PCR法に基づいたYakult Intestinal Flora-Scanを用いて、神経性食欲不振症(AN)女性患者の腸内細菌叢を年齢を一致させた健常女性と比較した。AN患者では健常群と比較し、総細菌数、Clostridium coccoides group、Clostridium leptum subgroup、Bacteroides fragilis group、およびStreptococcusの細菌数が有意に減少していた。AN群では健常者と比べ糞便中の酢酸、プロピオン酸濃度が有意に低かった。以上の結果は、AN患者では腸内細菌叢の異常が存在することを示している。