著者
小松 謙
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人文 (ISSN:18841732)
巻号頁・発行日
no.68, pp.55-91, 2016-12
著者
齋藤 秀樹 今井 英行 中口 努 久後 地平 川瀬 博隆 竹岡 政治
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.46-58, 1989-11-18
被引用文献数
8

林分1ha当りの生殖器官各部分の生産量(乾重と個数)について, ミズナラの若齢Y林分と老齢O林分とを比較し, 種子生産に関係する要因を考察した。各部分の生産量はトラップ法で測定し, 花粉については開花前の雄花序試料に含まれる花粉量と林分の開花雄花序数を掛けて求めた。調査は若齢林が3年間, 老齢林は5年間行った。主な知見は次の通りである。(1) 落果は多く, 8月末で80&acd;90%に達した。これは同化物質の節約になる。(2) 雄花序1個当りに含まれる花粉量は年によって9.3&acd;16mgと0.8&acd;1.2×(10)^6個の範囲にあった。(3) 乾物生産量(kg/ha・yr)は次の通りである(左側が若齢林, 右が老齢林。括弧内は平均値)。開花雄花序(花粉なし) : 7.7&acd;38.5(20.1);17.8&acd;55.9(42.2)。花粉だけ : 11&acd;43(26);24&acd;78(61)。雌性部分 : 81.7&acd;544.4(244.2);25.7&acd;256.4(158.8)。生殖器官合計 : 100&acd;625(291);68.0&acd;379(262)。(4) 各部分の乾物生産量の年次変動は3&acd;10倍(最大値/最小値)であった。しかし老齢林では, 連続4年間の雄花生産の変動は小さく(1.3倍), これはアカマツ林の場合に似ていた。(5) 雄性部分の乾物生産量が生殖器官全体に占める割合は, 若齢林が20%前後, 老齢林では種子豊作年に30&acd;40%で, 凶作年には60%前後を示した。(6) 花粉の乾物生産量は, 開花雄花序(花粉をのぞいた残り)より数%&acd;10%多い。(7) 花粉粒の生産量(個/ha・yr)を求めると若齢林が1.2&acd;5.3(平均2.9)×(10)^<12>, 老齢林2.8&acd;7.9(同5.2)×(10)^<12>となった。この最大値はスギ, ヒノキのそれより少ない。しかし, ミズナラの年次変動はこの2樹種より小さい。老齢林の値はアカマツ林にほぼ一致している。(8) 雄花序, 花粉粒, (総)雄花の個数生産量の年次変動は大きかったが, 雌花に対する雄花序及び花粉粒の数比は2倍以内の小さな変化であった。雌花1個に対して放出された花粉粒は若齢林が1.3&acd;2.4×(10)^6個, 老齢林1.9&acd;4.3×(10)^6個である。既報の2老齢林を加えた比較から, 林分によって雄花対雌花の比率に著しい偏りがあり, これは林齢と無関係であった。(9) 種子の豊作年には結実率が高かった。結実率の上昇は, 巨視的には放出される花粉粒の多少に関係がありそうである。これは将来, 解明しなければならない問題である。
著者
西谷 美乃理 森 理恵
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.33-41, 2005-12-25
被引用文献数
1

陸軍被服本廠内の被服協会の機関誌『被服』と,上村六郎『戦時の本染』により,十五年戦争下における染色をめぐる状況を見た。その結果は次のようにまとめられる。植物染料による「本染」(草木染)の振興は,第一に,化学染料の輸入の途絶と国内染料工場の化学兵器工場への転用とによる染料不足,第二に,本土空襲による迷彩色を身につける必要性の高まり,というふたつの要因から企図された。ところが一方,「本染」は,先に民芸関係者により,化学染料にはない美をもつものとして評価しようという動きが開始されていた。これが「本染」振興の第三の要因である。その普及に当たっては,染料不足の解消と迷彩色の獲得という差し迫った目的よりも,これは日本古来の美なのである,という美的精神的側面が強調される。「本染」(草木染)は戦時下の国粋意識と結びつき,戦後にはこの第三の要因によって,支持されることとなった。
著者
畑 明美 南光 美子 長谷川 明子 南出 隆久
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35-41, 1988-11-18

京都府及び福井県産らっきょうを供試し, 試料重量の1%食塩を用いて1週間下漬を行った後, 食酢1ιに対して砂糖200gを添加した漬け酢を, らっきょう1kgにつき漬け酢1250mιの割合で本漬したものについて, ヘクチン及び無機成分の経時的変化を調査した。その結果, ヘクチン, 特に水溶性ヘクチン, 及び無機成分(Ca, Mg, K)は, 漬け日数の経過とともに減少した。次に, らっきょうのテクスチャー改善の試みとしてCaCl_2 (0.5,1,3%)を漬け酢に添加したところ, 総ヘクチン及び水溶性ヘクチン含量は増加し, また, 硬度も増大した。同様にMgCl_2を添加した結果, ヘクチン及びMgを除いた他の無機成分含量には大きな変化はみられなかったが, 硬度は多少増大した。
著者
富田 道男 斉藤 学 春山 洋一 南出 隆久 畑 明美
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度科学研究費補助金では、アルミ鍋からのアルミニウム溶出に及ぼす溶液の影響について調べ、溶出量は酸性溶液で多くなり、酸の種類にも影響されることを明らかにした。2%の酢酸、リンゴ酸、及びクエン酸のそれぞれの溶出量は、100cm^2当たり4.2mgと酢酸が最も多く、リンゴ酸、クエン酸では少なかった。また、酢酸の場合、溶出量は試料温度とともに指数関数的に増えることがわかった。さらに、標準的な食物の調理にアルミ鍋を使用した場合に、鍋から溶出する量も含めて、1人1食分に含まれるアルミニウムの量を調べた。その結果、米飯185g、ポ-クビーンズ163g及び五目豆244gを1食分とした場合、3.4mgのアルミニウムを摂取することになることがわかった。また、食品原材料の中には、鶏の手羽肉のように、100g当たり1.3mgものアルミニウムを含んでいるものがあることも明らかになった。このことを踏まえて、平成8年度科学研究費補助金では、食物の他にも、日常の食物によく使用される食品に含まれるアルミニウムの量の測定に重点をおいた。食品30種について測定した100g当たりのアルミニウム含量を畜肉、魚類、農産物それぞれに分けて平均すると、畜肉の平均アルミニウム含量は2.2mg、魚類では2.4mg、農産物では、葉菜類の平均含量が5.3mgと最も多く、次いで大豆の4.5mg、果菜類0.93mg、根茎菜類0.63mgであった。
著者
国松 豊 川勝 剛
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.81-85, 1959-09-01

最近養鶏家の間で冬季特に厳寒期に卵黄が硬化し, 卵白との混和が不可能となる卵黄硬化卵(所謂スポンヂ卵)が多数発見されている。筆者等は卵黄硬化卵に関係があると思われるカポツク粕20%添加配合飼料と実際に卵黄硬化卵の産出が見られたと云う配合飼料を用いて卵黄硬化卵の産出試験を行い, 得た卵黄硬化卵についての一般所見, 卵黄の一般化学組成, 卵黄脂肪の特性について調査したのでその結果を報告する。(1) 0°&acd;3℃で貯蔵した場合, 正常卵の卵黄は硬化しなかつたが, 卵黄硬化卵は明らかに同温度で卵黄が硬化し, 卵白との混和も不可能であつた。又卵黄色も卵黄硬化卵の方が色が濃く橙色を帯びていた。但し温度が上昇すれば除々に軟化し, 間もなく正常卵と同様の性状・色沢を示すに至る。(2)卵黄の一般成分の内水分含量は卵黄硬化卵が正常卵のそれに比してやや低い値を示している。(3)卵黄硬化卵より抽出した卵黄脂肪の沃素価は正常卵のそれに比して低い値を示した。この点恐らく飼料中の飽和脂肪酸を含む油粕類が卵黄脂肪に影響を与えて沃素価を低めたものと思はれる。卵黄脂肪については更に燐脂質或は不鹸化物についての調査が必要であるが, 恐らく飽和脂肪酸を多く含む油粕類が飼料中に添加されると卵黄脂肪中の飽和脂肪酸の割合が多くなり, その結果沃素価の低い, 融点及び凝点の高い脂肪となるため0°&acd;3℃で卵黄が硬化したものと想像される。
著者
森 理恵
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.19-28, 2006-12-25

1889年の創刊以来現在まで日本美術史研究の権威とされる,美術誌『国華』において,その研究を支えた思想の変遷と戦争との関係を明らかにすることを目的とし,日露戦争期,第一次世界大戦期,日中戦争期・太平洋戦争期における,誌上の論説の分析をおこなった。その結果,『国華』の思想は,戦争と深くかかわり,戦争を賛美し,戦争の進展にともなってその思想を発展さ,常に日本帝国主義と歩調を合わせて展開してきたことが明らかになった。
著者
南出 隆久 饗庭 照美 畑 明美
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.51-57, 1992-11-25
被引用文献数
2

枝豆のテクスチャーならびに色調におよぼす調理操作について, 緑大豆(品種 : 井手町在来)の未熟種子を用いて調べた。枝豆の破断曲線は, ゆで操作10分で生のものと明らかに異なり, 組織はもろさがなくなり粘着性を示した。また, 加熱操作として, ゆで操作, 蒸し操作, 電子レンジ操作をおこなったが, ゆで操作が枝豆のテクスチャーに好ましいことがわかった。1%食塩水や塩揉み等の食塩処理は, 枝豆のテクスチャーには明かな影響はみられなかった。枝豆の莢の緑色は子葉に比べ熱安定性は劣っていた。ゆで操作した枝豆は, 蒸し操作や電子レンジ操作に比べ緑色は安定していたが, 枝豆は食塩処理しても緑色にはそれはどの効果はみられなかった。これらの結果から, 枝豆として受け入れられる限界のテクスチャーと色調は, 破断荷重で0.7&acd;1.0kgf, CIEa^*値は-7.5&acd;-8.0を指標として比較できるものと考える。