著者
和田 小依里 佐藤 健司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本食の発酵食品中に抗炎症効果を有する複数のピログルタミルペプチドが含まれていることを明らかにした。これらのペプチドは発酵の過程で生成されていると考えられるが、大腸炎誘発モデルマウスにおいて,微量で腸炎改善効果を示すことを示した。また、ピログルタミルペプチドは腸内細菌叢を正常化させることや抗酸化作用を有することも明らかとなった。一定の発酵条件下でこれらのペプチドを高濃度に含有する米発酵物サンプルを作成することができ、ヒト試験でも腸内細菌叢改善作用を示す可能性が示唆された。これらの結果から日本の伝統的な発酵食品の健康増進作用が期待される。
著者
松田 法子
出版者
京都府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本の歴史的集住体が津波や洪水、氾濫などの水害に見舞われながらも、水の把握と制御によってその恵みを享受してきた居住史を振り返り直し、その具体相を明らかにすることを目的とする。そこでは、技術-空間-社会が統合された「社会的技術」とでもいうべき日常的な治水・防水システムが造りあげられてきた。本研究では、氾濫原-沼-潟に形成された集住体である新潟県の近世都市・集落である蒲原・沼垂・新潟の事例研究から、〈水際〉の居住史の具体相を探る。本研究が定義する〈水際〉とは、土地と居住との間に常に存在する一定の緊張関係と受給関係という両義性と相互の応答性を考察するためのキー概念である。
著者
登谷 伸宏
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、織豊系城下町の形成過程と歴史的特質を明らかにするため、織豊政権が建設した城下町に注目し、その空間・社会構造について検討を進めている。平成30年度は、①昨年度から検討を進めていた小浜城下町の形成過程について、さらなる史料の収集を行うとともに、論文の執筆に着手すること、②織豊系城下町の空間・社会構造の特徴を見極めるため、戦国期末から近世初頭に各地で建設された構・惣構に囲繞された都市の空間・社会構造を明らかにすること、③織豊系城下町形成に関する研究支援データベースの構築を継続的に進めることを計画していた。以上の研究目的・計画にもとづき、当該年度は具体的につぎの2つの作業を行った。第1が、小浜城下町の形成過程をより具体的に検討し、大まかな流れを把握することである。具体的には、港町小浜が若狭武田氏の城下町として位置づけられた大永2年(1522)頃から慶長6年(1601)の京極氏による小浜城築城までに、いかなる都市形成が進められたのかを、先行研究でも注目されている「小路」名のつく街路、および寺社の移動という視点から改めて整理し直した。また、小浜城下町は、織田信長の重臣であった丹羽長秀により改変が行われたものの、長秀自身は近江国の佐和山城を拠点としており日常的に小浜にはいなかったという点を重視し、信長の家臣団の建設した城下町のうち、同様の条件を持つ事例との比較検討も行った。以上の結果については、論文として執筆し始めている。第2が、織豊系城下町の空間・社会構造の特徴を明らかにするため、構・惣構といった防御施設により囲繞された都市を比較対象としてえらび、その空間・社会構造を解明することである。具体的には、京都近郊の吉田社・醍醐寺という権門寺社を対象として分析を行い、いずれも境内・伽藍中心部を囲繞する構、門前集落全体を囲う構という二重の構を形成していたことを明らかにした。
著者
Mahmood Hassan 藤目 幸擴 松井 年行 奥田 幸延 鈴木 春雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-43, 2000-12-25

ワサビ'だるま-3号'について形態的観察を行った。ワサビは日本など温帯アジア原産植物で, アブラナ科に属し, 宿根性である。通常葉と茎の基部が可食部として収穫される。可食部は通常根茎と呼ばれることが多いが, 肥厚して短縮化した茎である。肥厚した茎は地中で成育することが多い。葉柄の基部も肥厚している。いくつかの子株が茎の基部から伸張して, 繁殖に用いられる。花には4枚の白色の花弁, 6本の雄ずいと1本の雌ずいがある。
著者
長野 和雄
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

衣替えや冷房の使用のような生活上の季節現象を生活季節という。 本研究の目的は、桜の開花時期を示す桜前線のように、衣替えの時期や冷房開始時期などを気象条件から予測し衣替え前線や空調開始前線として示すことである。京都市域の住民に対し、毎日の21行為の有無をウェブアンケートにより1年間尋ねた。同期間に、京都で総合気象観測を行い体感温度ETVOを算出した。これらから体感温度と各行為の関係を数量化し、これを全国836地点の気象データに適用し、各地における各行為の開始・終了時期を推定した。そして推定期日の分布を線図として表した。
著者
池田 葉月 窪田 好男
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 公共政策 (ISSN:18841740)
巻号頁・発行日
no.11, pp.77-97, 2019-12-25

行政では、何かの結果を報告したり説明したりする場合、文章中心の報告書を作成するのが一般的であり、それは地方自治体の公共政策の評価の制度である自治体評価においても同様である。しかし海外の先行研究では、文章中心の報告書以外にも様々な方法が紹介されており、それらの中には表やグラフ、イラストなどの視覚的な要素のように比較的容易に取り入れることができるものもある。公共政策の評価においては、評価の結果が利用されることが重要であり、そのためには、想定される利用者の目に止まり、よりよく理解されることが重要である。そのためには報告書に視覚的な工夫を凝らしたり、動画を用いたりすることが有効であるが、現状では一般的ではなく例も少ない。そのため、筆者ら(窪田・池田)が行った2 つの評価において試みた先行的な取組みを、評価結果の効果的な報告方法を実践した事例を紹介したい。
著者
大場 修 村上 しほり 砂本 文彦 玉田 浩之 長田 城治 角 哲 原戸 喜代里
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

・昨年度から継続して今年度も米国国立公文書館にて、RG111(米陸軍通信隊記録)とRG80G(米海軍記録)の継続調査及び収集を行った上で、他のレコードグループにも対象を広げ、RG243(米戦略爆撃調査団記録)やRG342(米空軍記録)も閲覧し、資料概要を把握した。あわせて、これまで収集した写真資料をデータべース化する手法を検討した。米文書館では、同時に佐世保と横須賀を中心に旧日本海軍施設の写真を収集し,全国にわたる接収住宅並びに接収施設、航空写真のスキャン作業も進めた(以上、玉田・砂本・角が担当)。・2015年より米国国立公文書館にて3年間にわたり継続的に収集したRG111とRG80Gに関する写真データについて、各写真リストとして編集し印刷した(大場担当)。・日本各地における文献複写については、中国地方を中心とした関連資料の収集を進め(砂本担当)、北海道立文書館の『北海道新聞』から占領期関連記事を,札幌市立公文書館の『札幌市勢要覧』から接収土地・建物の接収と解除の年月を把握し(角担当)、外交文書や地方公文書等と米公文書から占領期の兵庫県下に置かれた神戸基地の範囲と推移を検討した(村上担当)。・さらに、昭和20年の請負金額上位10社の建設業会社史から,戦後,建設技術の占領軍関連工事の影響を整理した(角担当)。また、占領下日本で接収されたホテルを対象に、ホテル接収の形態とその動向を整理して接収ホテルの全体像を把握しつつ、日光地区を取り上げて詳細調査を実施し、古写真や行政文書等からホテルの利用実態と建物の特徴を考察した(長田担当)。・研究成果発表については、米国国立公文書館と国立国会図書館憲政資料室所蔵の米公文書を基に「占領下日本における部隊配備と占領軍家族住宅の様相」を『建築学会計画系論文集』に投稿し、採録された。
著者
佐藤 健司 重村 泰毅
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究により新規の線維芽細胞増殖促進効果のある食事由来コラーゲンペプチドHyp-Glyを見いだすことができた。さらにマウス皮膚より遊走してきた線維芽細胞は、ペプチドトランスポーターPEPT-1,2を発現しているが、継代により急激にその発現が減少することを見いだした。これらの知見は初代培養線維芽細胞が継代細胞よりもコラーゲンペプチドの細胞増殖促進活性を受けやすいこととの関係が示唆される。