著者
植村 和秀
出版者
京都産業大学
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-18, 2009-06
著者
井尻 香代子
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.315-331, 2012-03

本稿では,国際ハイクにおいて日本の俳句の主要な要素の一つである季語が,どのように受 容されて来たのかを取り上げ,アルゼンチンのスペイン語ハイクの作品分類をベースに考察し た。まず,日本の俳諧の連歌において季語がどのように理解され,発句に用いられたのかにつ いて,芭蕉のことばに着目して検証した。次に,近代俳句における季語観の変化を,無季容認 派と有季定型のホトトギス派の両者について概観した。その上で,アルゼンチン・ハイクの季 語および通年の語の分類を行い,作品における機能を分析した。その結果,アルゼンチン・ハ イクにおける季語および通年のトピックの用法は,近代俳句における季語ではなく,事象の変 化に着目する俳諧の季語のそれに近いことが明らかになった。現在の国際ハイクの詩学は,西 欧詩がロマン主義と前衛派によって詩的言語の変革を経験した際に受容した,日本の俳諧の連 歌の季語観に連なっているのである。
著者
堀内 俊洋
出版者
京都産業大学
雑誌
経済経営論叢 (ISSN:02873958)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-22, 1992-06
著者
Dorji Louisa
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.32, pp.122-132, 2004-03

The Kingdom of Bhutan, situated in the Eastern Himalayas and sandwiched between India and China, is relatively isolated and little-known internationally. It is visited by no more than 7,000 foreign tourists per year. A landlocked country with a mountainous terrain and a basic infrastructure, it has, nevertheless, undergone considerable development since the 1960s. The most significant developments in terms of infrastructure have been the building of two main roads to connect the main towns on an east-west axis and a north-south axis, the ongoing extension of the electricity supply to towns across the country and the provision of telephone connections nationwide. In terms of social and cultural developments, a modern, English-medium education system was introduced in the late 1950s and employment was provided for the graduates from this system in the growing bureaucracy. In recent years, efforts have been made to develop a private sector in order to create new employment opportunities for the growing number of educated youths. Modernization has brought little physical change to everyday life in the countryside. Subsistence farming is still the norm, modern machinery is almost completely absent and a cash economy is still in a rudimentary stage of development outside the towns. In the towns and the countryside alike,people are still guided by the moral wisdom and psychological support of the Buddhist monks, who hold a revered position in society. Traditional life is, therefore, still very much in evidence. However, nowhere is left completely untouched by the developments that have been taking place inside and outside the country. This article is based upon my own observations and interviews with people during the many times I have spent in Bhutan since 1993. It gives a very general overview of how tradi-tional and modern aspects of life are blended in contemporary Bhutanese society. It considers aspects of life and traditions that have scarcely changed in centuries as well as examining areas where modern developments clash with traditional ways of life and create issues that will need to be addressed into the future. The article also discusses the kind of policies a modern, developing nation implements in order to strengthen a sense of national identity based on traditional culture and values.
著者
塘 茂樹
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は、研究プロジェクトの三年目にあたり、前年度に引き続き、ネヴィル・ケインズの日記のマイクロフィルムのトランスクリプションを継続した。現段階で、すべてのトランスクリプションが完了していないものの、これまでに、ネヴィル・ケインズの主著『形式論理学』初版(1884)出版に至る経緯が明らかとなった。750部印刷された同著は、彼がケンブリッジ大学での講義録をまとめたものであったが、その受講生の少なさから、マクミランは当初、印刷費用の負担を要求した。ところが出版してみると、売れ行きはきわめて良好で、印刷費の負担は事実上消滅すると同時に、第二版出版が1887年に実現する。この改訂に際しては、教え子のWilliam Ernest Johnsonの助力を得た。彼は、ネヴィルの息子、John Maynard Keynes が、キングズ・コレッジに入寮した1902年から、同コレッジのフェローとなり、モラルサイエンスのシジウィック講師として、メイナードに大いに影響を与えることになる。今後、19世紀から20世紀への転換期におけるケインズ経済学形成前史を理解する上で不可欠の知見が蓄積されることとなった。
著者
川田 敬一
出版者
京都産業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2000

(1)新たに調査・収集した国立国会図書館・国立公文書館・宮内庁の資料を利用し、日本国憲法の成立過程における皇室経済関係論議から、天皇の地位や皇室と国家との関係を明らかにした。憲法制定過程の日米交渉で、皇室財産の縮小を最大のねらいとした総司令部に対して、日本側は少しでも皇室に財産を残すための法的根拠を必要とした。特に、皇室の世襲財産の法的性格やそこからの収益、皇室財産の透明性について、活発に議論された。結局、私的な世襲財産のことを明文化せずに、全ての皇室財産を国家に帰属させ、天皇に若干の私的財産を残すことにより、将来に向けて私的財産の蓄積を可能にしたのである。(2)皇室経費は、毎年、国家予算に計上したうえで皇室に支弁されている。そこで、皇室経費と国家財政との関係を明らかにする第一歩として、国家財政の在り方について、法的側面から明確にした。財政は、国民の代表である国会のコントロールを受ける(財政民主主義)ことから、また政教分離との関係からも、国家・国民と皇室との関係を究明するために重要な要素である。(3)君主をめぐる政治と制度の観点から、明治維新から戦後の講和独立までの皇室財産について、従来の研究成果および英国で収集した資料・書籍を利用して考察を深めた。明治20年代までは、伊藤博文が中心となって皇室財産の基礎を構築したのであるが、これは、中央集権国家の構築を目指した新政府が、議会や世論に対抗するという側面もあった。ついで、元老、枢密院、宮内省等が皇室財産を充実させ、それを確固たるものにするために制度化し、優良な土地や証券などを皇室財産とした。しかし、戦後、巨大になった皇室財産は凍結・解体され、現在のように再編された。つまり、天皇の好むと好まざるとに関わらず、皇室財産には政治的な力学が働いたのである。なお、英国王室との比較も試みた。
著者
坪井 泰住 谷川 正幸
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

単一ドーパント発光材料による有機EL白色発光化のために、複合配位子分子、蛍光材料の燐光強度増大化、ホストの発光との共存、エキサイプレックス(EX)発光、青色発光用高効率ホスト材料、の研究を行った。複合配位子材料から緑色と赤色の発光、蛍光体の燐光体増感による緑色蛍光と赤色燐光の発光、赤色発光燐光材料を微量添加した青色蛍光体薄膜から白色発光、4つの蛍光分子材料の混合層で形成された4種類のEXによる超ブロードな白色光、を得た。
著者
川又 啓子 和田 充夫 澁谷 覚 小野 譲司
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

産業としては脇役的な存在であったマンガ、アニメ、映画、ゲーム、音楽などのいわゆる「コンテンツ」に、次代を担う産業としての注目が集まっている。経済産業省が2004年5月にとりまとめた「新産業創造戦略」の報告書の中では、「先端的な新産業4分野」の一つとして「コンテンツ産業」が取り上げられているものの、実際には、1990年代後半以降下降線をたどっているものも多い。このような現状を踏まえて、コンテンツ産業の競争優位の源泉とは何かと考えてみると、最終的にはコンテンツを創造する力にあるのではないだろうか。創造力の中でも、特に初期段階のコンセプトやストーリーの創造が重要であるといわれており、コンテンツ産業の競争優位の源泉はストーリーを産み出す力にあるともいえるのである。このような問題意識の下に、本研究では、コンテンツの創造プロセスに関する研究を行った。まず平成16年度にはコンテンツの供給側(劇団四季)に関する事例研究を実施し、地域におけるコンテンツ供給のプロセスを分析した。並行して需要側の研究として、音楽のヘビーユーザーである大学生(慶應義塾大学、新潟大学、京都産業大学)を対象とした音楽消費に関するアンケート調査を実施した。続く平成17年度には、コンテンツの創造プロセスの中でも、初期のアイデア創出段階におけるクリエーター(少女マンガ家)の認知戦略に焦点を当て、創造的認知の「ジェネプロアモデル(Geneplore model)」の枠組みを用いて分析を行った。分析対象としては、ストーリー展開に優れているといわれ、映画やドラマなどの原作として利用されるマンガを取り上げた。
著者
平石 裕実
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、百台規模のクラスタシステム上での実行に適した並列分散型の形式的設計検証アルゴリズムの研究を行い、以下の成果を得た。1.二分決定グラフ(BDD)の並列処理:論理関数処理を進めていく過程で、動的に真理値を固定する変数を選択していくことによりBDDを分割して並列処理を行うアルゴリズムを提案し、このアルゴリズムにより並列度以上の高速化(スーパーリニア効果)が達成できることを示した。また、クラスタシステム上でこのアルゴリズムを実行することにより、1台の計算機上での逐次アルゴリズムではメモリ不足のために解くことが出来ないような問題でも、並列化により解くことが可能になった。2.探索処理の並列アルゴリズム:設計検証で用いられる探索問題に対して、探索処理中に動的に部分問題に分割し、分割した部分問題を各マシンに動的に割り当てて並列に探索を行うアルゴリズムを提案し、最適順序付け問題でスーパーリニア効果を達成できることを示した。3.並列システムの設計検証:多数の並行プロセスからなるシステムの検証に適した記号モデル検査アルゴリズムとデッドロックフリー性の検証手法を提案し、従来手法に比べて100倍以上高速化できることを示した。4.並列ソーティングアルゴリズム:クラスタシステムで並列バイトニックソートの有効性を検証した。複数のスイッチングハブを用いたイーサーネットワークを使用したクラスタシステムでは、予想通りスイッチングハブ間の通信がボトルネックになることが判明した。一方で、VIA方式によるcLANのフルバンド幅構成のネットワークを採用することにより、このようなボトルネックを解消できることを示した。