著者
中村 順
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.514-517, 1996-08-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

爆弾事件や銃器使用の犯罪において, 使用された火薬類や銃器等を明らかにするために, 多くの検査が行われる。その中で, 現場の残留物の分析を, 火薬類を中心にまとめた。はじめに火薬類の基礎的事項について説明し, 実際の分析法について実験及び分析例を含めて解説した。また, 爆薬の探知についても紹介した。こうした爆弾事件, 銃器犯罪及び爆薬の探知等については, それぞれ目的, 試料の状態等異なるが, いずれも極微量の火薬類の分析が重要な課題である。
著者
江島 清 湯浅 真 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.1846-1851, 1988-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24

2-[trans-2-[[L-[2-hexadecylcarbamqy1-1-[[3-(2-methyl-1-imidazoly1)propy1]carbamoyl]]ethyl]carbamoyl]ethenyl]-5,10,15,20-tetrakis(α,α,α,α-o-pivalamidophenyl)porphyrinatoiron(II)[1]は界面活性剤であるポリ(オキシエチレン)誘導体やリン脂質との相溶性がよく, 高い効率でミセルやリポソームに包埋され, 水溶液に可溶化した。ミセルまたはリポソームに包埋した [1] の水溶液中での酸素および一酸化炭素の結合親和性はそれぞれ 30~40mmHg, O.02mmHg で, 赤血球のそれらに類似した値であった。酸素および一酸化炭素の結合・解離速度定数も赤血球の値に近かった。
著者
江島 清 長谷川 悦雄 松下 洋一 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.1836-1845, 1988-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

3種類の 2-位置側鎖にイミダゾリル置換基をもつ 5, 10, 15, 20-tetrakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrinatoiron(II) 誘導体 [12], [14] および [15] を合成した。5, 10, 15, 20-tetrakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrin[1] の銅(II) 錯体 [2] は, Vilsmeier 試薬と反応して 2-ホルミルポルフィリナト銅(II) 誘導体 [3] を与えた。[3] を濃硫酸で処理して銅が脱離した [4] を得た。これは, Knoevenagel 反応で 2-(trans-カルボキシエテニル)ポルフィリン誘導体 [7] を, 水素化ホウ素ナトリウム還元で 2-(ヒドロキシメチル)ポルフィリン誘導体 [5] を与えた。[5] にホスゲン, 1-(3-アミノブロピル)イミダゾール, および臭化鉄(II) を順次反応させて [12] を得た。[7] の鉄(III) 錯体 [13] に2種のイミダゾール誘導体をアミド縮合させて, [14] および [15] を得た。[5] と比較して [14] と [15] は, 鉄(II) フリーの状態で不安定であり, 置換基の種類によってイミダゾリル基をもつ 5, 10, 15, 20-terakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrin の安定性に差が見られた。
著者
江島 清 長谷川 悦雄 松下 洋一 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.10, pp.1713-1718, 1988-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-[4-[[12-(1-imidazelyl)dodecyl]carbamoyl]-2,2-dimethylbutanamido]pheny1]porphyrinatoiron(II) [9] を合成した。5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-o-アミノフェニル)ポルフィリン [4] に 1.2当量の4-エトキシカルボニル-2,2-ジメチルブタノイルクロリド [3] および過剰量のピバロイルクロリドを順次反応させたのちエステルを加水分解し, 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-(4-carboxy-2,2-dimethylbutanamido)phenyl]porphyrin [7] を得た。これに 1-(12-アミノドデシル)イミダゾール [7'] を縮合させて, 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-[4-[[12-(1-imidazolyl)dodecyl]carbamonl]-2,2-dimethylbutanamido]Pheny1]Porphyrin [8] を得た。この化合物は化学的に安定であり, 対応する既報の 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[β-o-[5-(1-imidazolyl)pentanaido]phenyl]porphyrin が光と酸素の共存下で迅速に分解するのと対比される。[9]のとり得る立体配座をあわせ議論した。
著者
木村 純二 平 潔 後藤 伸治 泉水 裕二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.7, pp.1122-1123, 1988-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

Conformational analyses of 2′, 3′-O-methylene- [1], 2′, 3′-O-isopropylidene- [2], 2′, 3′-O-isobutylmethylene- [3], 2′, 3′-O-diheptylmethylene- [4], and 2′, 3′-O-diphenylmethyleneuridine [5] are examined by interpretation of proton magnetic resonance coupling constants and quantitative application of the nuclear overhauser effect (NOE). Dihedral anglesφ 1′, 2′ and φ 3′, 4′ in DMSO-d6 at 22±1°C are slightly broadened in the order [1]>[2]>[3]≅[4]≅[5] because of the effect of steric barrier of alkylidene group. Under the same conditions, these compounds are found to exist primary in the syn-like conformation from NOE measurement. It is clarified that the population of the anti-conformation such as 2, 2′- and 2, 3′-anhydro nucleosides increases ([4]>[5]≅[3]>[2]>[1]) with the increase of bulkiness of the substituent of 2′, 3′-O-alkylidene group.
著者
田代 田鶴子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.684-690, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

cis-ジクロロジアンミン白金(II),(シスプラチン)を凌駕することを目的に合成された白金錯体の抗腫瘍活性をまとめてみた。担体配位子は制がん活性の強さおよび抗腫瘍スペクトラムをかなり限定している。一方,脱離基は水溶性や安定性に影響し,錯体の毒性を規定し,その種類により約30倍の差も見られた。
著者
山本 陽介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.216-219, 2006

5本の結合をもつ炭素化合物について,CH_5^+のような3中心2電子結合系化合物とS_N2反応の遷移状態にあたる超原子価3中心4電子系炭素化合物の違いについて解説した。我々が合成に成功した超原子価3中心4電子系5配位炭素化合物の構築の考え方について解説し,その構造についても述べた。また,研究の結果,同じ配位子系を用いても置換基の違いなどにより,5配位構造をとる系と4配位構造を好む系に分かれることがわかったが,今後の展開へのステップとして,その原因についても考察した。
著者
中垣 良一 福吉 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.206-207, 2011-04-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

すべての生き物は,食べることにより生命を維持している。生体を構成する諸元素中に微量ながら含まれる安定重同位体(^<13>C,^<15>N,^<18>O)を通して生体成分を眺めると,食物の生産地や動物の食生態などが見えてくる。安定重同位体がどれくらい生体成分中に含まれているかは,生き物の生活歴を反映している。微量の安定同位体の含有量を調べることにより,食品生産地の偽装などを見破ることができる。
著者
菅原 享 宮下 晃 三田村 孝 飯田 武揚
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.597-603, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23

cis-ジクロロジアンミン白金(II)錯体(以下cis-DDPと略記する)には制がん作用があり,現在各種がんの臨床治療に広く使用されている。このcis-DDPは生体内において特異的にがん細胞のDNAと結合し,そのDNAの複製を阻害することが知られている。このような事実を踏まえて,白金錯体の配位子を種々変えた新規の白金錯体の報告が数多くだされているが,担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金族錯体についての研究は,ほとんどなされていない。そこで担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金族錯体であるジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)白金(II)錯体およびジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)パラジウム(II)錯体を新規に合成し,UV,UV差スペクトル,解離塩化物イオンなどの測定から,これらの白金族錯体のがん細胞障害性,DNAおよびDNA構成ヌクレオシドとの相互作用を研究した。その結果,がん細胞増殖抑制・障害性では,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体ではアドリアマイシン耐性マウス白血病細胞に,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)パラジウム(II)錯体ではマウスメラノーマ細胞に対してそれぞれがん細胞障害性を示すことがわかった。また,DNAおよびヌクレオシドとの相互作用では,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体とジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)パラジウム(II)錯体との結合様式に差異があることが示唆された。
著者
福島 一嘉 高橋 誠 長野 裕友 小山内 州一 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.585-590, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
7

各種N-アルキル置換アルキレンジアミンを合成し,それらを配位子とするビス(ジアミン)ニッケル錯体を用いて,D-グルコース,D-マンノースのC-2エピマー間において,それぞれのC-2エピマー化反応を行なった。その結果,N,N'-ジアルキルエチレンジアミンを配位子とした場合によくC-2エピマー化反応が起こり,平衡まで達することがわかった。さらに,置換基と,して長鎖アルキル基を導入すると,アルキル鎖長が長いほど平衡点がグルコース側に偏り,エピマー間に優位差が生じることがわかった。これは遷移中間体である含糖錯体の,糖とジアミンの結合部分の立体化学によると考えられる。また,糖のエピマー化反応において,ジアミンニッケル錯体は触媒として働き,糖の1/10程度の濃度でも活性が落ちないことがわかった。さらに,カルシウムとモノアミンを用いた系でC-2エピマー化を検討した。この場合,エピマー化と同時にエンジオール転移によると考えられるフルクトースの生成も見られた。
著者
花木 昭 伊古田 暢夫 本野 和彦 山内 脩
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.578-584, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
34

2個のロイシン(Leu)残基と,1個のグリシン(Gly)残基をもつトリペプチドジアステレマーの銅(II)錯体生成における立体選択を電位差滴定で,錯体における側鎖の相互作用を円偏光二色(CD)法を用いて研究した。側鎖をもつアミノ酸残基が隣りあうペプチド,Leu-Leu-Gly,Gly-Leu-Leuの錯体の安定度定数は,側鎖の相互配置によって異なる。側鎖がキレート平面の同じ側にくるL,L-錯体の方が側鎖が反対側にあるL,D-(およびD,L-)錯体より安定度(錯体形成の選択性)が高い。Leu-Gly-LeuではL,L-錯体とL,D-(およびD,L-)錯体の安定度定数は等しかった。側鎖の相互作用はCD強度(Δ ε)の相加牲から検討した。側鎖の相互配置の差が錯形成能に影響しないLeu-Gly-Leuでは,L,L-錯体のΔ εはL-Leu-Gly-Gly錯体とGly-Gly-L-Leu錯体のΔ ε の和に等しく,L,D-錯体ではL-Leu-Gly-Gly,Gly-Gly-D-Leu錯体のΔ ε の和に等しかった。その他のペプチドでは,L,L-異性体を配位子とした錯体においてのみ相加性は成立した。Δ ε 相加性の基本条件は錯体の基本骨格(平面性)の保持である。L,D-錯体で相加性が成立しない理由として,側鎖同志,または側鎖と配位水との相互作用による錯体の基本構造のひずみが考えられる。
著者
江島 清 松下 洋一 長谷川 悦雄 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.518-521, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

シクロデキストリンをかぶせた構造のヘム誘導体(以下CD結合ヘムと略記する)を,鉄(II)プロのなトポルフィリンIX(ヘム)の6-,7-位プロピオン酸とα-シクロデキストリン(以下CDと略記する)の第一級ヒドロキシル基をエステル結合またはウレタン結合により結び付ける反応から合成した。CD結合ヘムへ軸配位したイミダゾールの配位平衡定数はヘムの約1/100に低下,,CD結合側からの軸配位がCDの立体障害によって妨げられることを観測した。高分子2一メチルイミダゾールが配位したCD結合ヘムは,-30℃ の水中で寿命の長い酸素錯体を生成した。これらの結果は,CDがヘム面上にかぶさった立体構造を支持する。CD結合ヘムを生体内酸素輸送の目的でラットに静脈内投与した場合,急性毒性はヘムに比較していちじるしく低下する。
著者
西長 明継 杉本 岩雄 松浦 輝男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.495-499, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
6

反応場の変化に応じてジオキシゲナーゼ型およびモノオキシゲナーゼ型反応の触媒活性を示すコバルト(II)シップ塩基錯体が,酸化剤としてt-ブチルヒドロペルオキシドを用いると置換ベンジルアルコールの脱水素反応を触媒し,高選択的に対応する置換ベンズアルデヒドを生成する。生体内酸化反応におけるヘム錯体の示す多様な触媒活性によく似ていて興味深い。この脱水素反応の活性種はt-ブチルペルオキソコバルト(III)錯体種であって,配位不飽和の状態で強い活性を示すが,ジクロロメタン中では溶媒の関与する自己分解が競争的に起こる。配位飽和状態では活性は低下するが脱水素の選択性は増大する。ベンジルアルコールの脱水素反応に活性なt-ブチルペルオキソコバルト(III)錯体は同様の反応条件下ジベンジルエーテルから脱水素しないので,脱水素反応に対しては基質のアルコール性ヒドロキシル基の関与する機構を含むものと考えられる。
著者
村上 幸人 久枝 良雄 尾崎 俊章 横野 照尚 谷 祐太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.445-451, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
27

ビタミンB12誘導体の反応性に関するアキシアル配位塩基の効果を明らかにするために,α-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(α-Im)6C1ester]ClO4,β-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(β-Im)6C2ester]ClO4,配位塩基でキャップした疎本性ビタミンB12[Cob(II)(Im:cap)5C1ester]CIO4,を合成した。電子スピン共鳴(以下ESRと略記する)スペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーによる検討から,これらの錯体はほぼ完全なbase-on型で存在し,分子内配位塩基をもたない疎水性ビタミンB12[Cob(II)7C1ester]ClO4に50倍モルのN-ひメチルイミダゾールを添加した状態に匹敵することを明らかにした。アルキル化反応においては,コバルト+1価は四配位構造のためアキシアル配位塩基の影響は小さいが,アルキル錯体の光開裂反応におヘセいては,アキシアル配位塩基の立体的および電子的効果により反応はいちじるしく促進された。また,β-配位面側に分子内配位塩基が導入された錯体では,コパルト-炭素結合生成反応が抑制された。
著者
山内 脩 小谷 明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.369-382, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
68
被引用文献数
11

生体系の金属イオンにはタンパグ質に組み込まれて存在するものや低分子錯体として存在するものなどがあり,それぞれなんらかの存在理由をもっている。モデル低分子錯体の挙動を明らかにすることは,生体系低分子錯体の挙動はもとより金属イオンと一般の生体物質との相互作用の様式と役割を理解する基本となるとともに,未知の錯体の存在やその機能を示唆することにもなるであろう。アミノ酸,ペプチドの錯形成反応より,低分子混合配位子錯体に鞍いて静電的相互作用,水素結合,あるいは芳香環スタッキングという弱い相互作用が配位子間に起こりうることが明らかとなった。また,DNAインターカレーターであるいくつかの芳香環含有白金(II)錯体とモノヌクレオチドとの間で希薄水溶液中安定な会合体が形成されることから,これをモデルとして核酸の関与する非共有結合性相互作用のエネルギーに関する知見を得た。
著者
長尾 幸徳 大山 司 阿部 芳首 御園生 堯久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.1, pp.90-96, 1988-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合反応により10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を合成し,酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルにおよ蔭す置換基の効果を検討し,PPPMO(Pariser-Parr-PoPle molecular orbital)法などを用いてその発色機溝を考察した。10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体(9-(p-Y置換フェニル)-X置換体)のうち,X=H,2-NMe2:Y=NMe2,NEt2の化合物は塩化ホスホリルを縮合剤として即いる方法,X=H,2-NMe2:Y=H,Cl,OCH3の化合物はGrignard反応を用いる方法,X=3-NMe2:Y=Hの化合物はフェニルリチウムを用いる方法で,相当する10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合によりそれぞれ合成した。このようにして合成した9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルを測定し置換基の効果を検討した。またその発色状態のPPPMO法計算から求めた励起のさいのπ電子密度の変化から,置換基の種類,置換位置による発色機構の違いが吸収スペクトルに大きな影響をおよぼしていることがわかった。
著者
北嶋 英彦 高橋 俊章 堂下 豊史 毛海 敬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.2, pp.239-242, 1988-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The palladium-catalyzed alkynylation of 4, 6-disubstituted 2-iodo-1, 3, 5-triazines [1] (substituent a, NMe2; b, Ph; c, OMe) with monosubstituted acetylenes [2] (substituent a, Ph; b, COOMe; c, CMe2OH) afforded the corresponding cross-coupling products [3] in moderate yields except for the case of [2 c]. The cross-product [3 ac] reacted with [1 a] to give bis [4, 6-bis(dimethylamino)-1, 3, 5-triazin-2-yl]acetylene.
著者
卯西 昭信 高橋 裕宣 下村 与治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.2, pp.236-238, 1988-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
4

2-Chloro-4-(2-chloroethyl amino)-6-alkoxy-1, 3, 5-triazine reacted with p-toluidine at 120-130°C to give 4-(p-toluidino)-2, 6, 7, 8-tetrahydroimidazo[1, 2-a][1, 3, 5]triazin-2-one [5] in a good yield. But when the reaction was carried out at 80°C, the product was 2-(p-toluidino)4-(2-chloroethyl amino)-6-alkoxy-1, 3, 5-triazine [4]. Reaction of [4] with p-toluidine at 120-130°C did not give [5].