著者
中村 順子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.5-13, 2009 (Released:2018-12-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は訪問看護ステーション管理者が,新人訪問看護師に安心して訪問を任せられるようになるまでの関わりを探索し,構造を示すことである.Grounded Theory Approachを参考にして継続比較分析を行い,10人の熟練訪問看護ステーション管理者の関わりを分析した.その結果,管理者が安心して訪問を任せられるようになるまでの関わりとして【ゆらぎを乗り越え訪問看護師としての自信の回復を促す】【訪問看護師としての適性を探る】【看護師の個性を活かし訪問看護師としての能力の充実を図る】【ゆらぎを越えた先にある訪問看護のおもしろさへと導く】【事業所の力を維持するための働きかけにより看護師の成長を促す】の5つのカテゴリーが抽出され,【ゆらぎを乗り越え訪問看護師としての自信の回復を促す】を中核カテゴリーとした.病棟から在宅に移行してきた看護師の“ゆらぎ”を捉え,“ゆらぎ”に気づき乗り越えさせる管理者の支持的な関わりが示され,管理者は人を育てるスキルを効果的に用いていることが明らかになった.在宅看護における対象の文化を理解したケアの重要性と人材育成におけるOJT特に同行訪問の重要性が示唆された.
著者
森田 明雄 小西 茂毅 中村 順行 清水 絹恵 横田 博実
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-9, 2004 (Released:2004-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

日本で育成された緑茶用品種の中から29品種を選び,それぞれ一番茶生育期前(3月1日)の成葉と摘採適期の一番茶新芽を採取し,全窒素,全遊離アミノ酸,テアニン,タンニン,カフェイン,ビタミンC含量を近赤外分光法により測定した.その結果,一番茶では,育成年と茶の滋味に関係する全窒素,遊離アミノ酸並びにテアニン含量との間に正の相関が認められた.つまり,育成年が新しい品種ほどそれらの窒素成分含量が高かった.しかし,同じ窒素化合物でも,苦味成分であるカフェイン含量には育成年の新旧に応じた差はなく,また渋味成分であるタンニン含量は反対に育成年との間に負の相関が認められた.一方,一番茶生育期前に採取した成葉でも,一番茶と同様に育成年と全窒素,遊離アミノ酸,テアニン含量との間に正の相関が認められ,育成年の新しい品種ほどこれらの窒素成分含量が高かった.しかし,成葉においては,育成年とタンニン含量との間に有意な相関はみられなかった.また,一番茶と一番茶生育前の成葉の全遊離アミノ酸含量同士の間に正の相関が示された. 次に,上述の煎茶用品種の中から1960年以降に育成された10品種を選び,一番茶摘採前期,後期,終期に相当する5月4日,14日,17日の3回,一心五葉芽の一心三葉部分のみを採取し,全窒素含量と可溶性窒素(全遊離アミノ酸に相当)含量を分析した.その結果,いずれの収穫日においても,摘採適期に収穫した場合と同様に,育成年と全窒素並びに可溶性窒素含量との間に高い正の相関を示した. これらの結果から,チャの育種では,近年の栽培等の技術の進展を背景に,滋味成分である窒素成分含量が高く,渋味成分であるタンニン含量の少ない茶葉をもつ個体が選抜されたことが示された.また,摘採適期に収穫した一番茶以外でも,一番茶生育期前の成葉または摘採期前期から終期までの新芽の一心三葉部分のみを試料に用いた成分分析値も,チャの成分育種の効率化に有効な資料として活用できることが示された.
著者
中村 順
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.67-72, 2011-04-15
参考文献数
12

<p>警察は産業事故についても事実を明らかにし,原因を究明して安全を確保する責務がある.対象となる事故は,死傷者を伴う事故や,社会的に関心の高い事故となる.現場検証は裁判所の令状に基づく公式な事故を記録するものである.関係者の供述についても証拠化され,他の調査機関と異なり,人に関する事故に至る背景,事情までも含めて調査を行うことになる.事故原因を明らかにして,責任を明確にすることが求められている.責任者の処罰ではない.</p>
著者
森田 明雄 一家 崇志 國弘 彩 鈴木 利和 大石 哲也 小林 栄人 中村 順行
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.111, pp.63-72, 2011-06

日本で栽培されている4つの白葉茶('星野緑,きら香'の2品種と'諸子沢,やまぶき'の2系統)の一番茶新芽の葉色値,遊離アミノ酸,カテキン類,カフェイン,有機酸および無機元素含量を,緑葉品種である'やぶきた'と比較した。その結果,葉色値は'やぶきた.の32.7に対して,白葉茶が0.6~8.1と非常に低い値を示した。遊離アミノ酸含量は,4つの白葉茶とも'やぶきた'に比べ1.8倍以上と高い値を示した。カテキン類含量は,'諸子沢,星野緑,きら香'が'やぶきた'の約3/4と低かったが,'やまぶき'はほぼ同程度であった。その他の成分では,シュウ酸とクエン酸,硝酸イオン,アルミニウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム並びにマンガンの含量がいずれの白葉茶においても'やぶきた'より高い値を示した。これらのことから,供試した4つの白葉茶品種・系統は'やぶきた' と比べて,非常に高い遊離アミノ酸含量を有する特性を持つことが明らかとなった。また,いくつかの有機酸,無機元素含量が高いなど特異な化学成分組成を有している可能性が示唆された。
著者
山本 裕也 中村 順一 中山 祐治 日野 紘子 角城 靖子 宗 紗千子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1159-1162, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

【背景・目的】スチール症候群の診断は自覚症状と他覚所見を統合して行うとされている. 重度の虚血症状は潰瘍や壊死または不可逆的な神経麻痺などを伴うため, 高い診断能力を有する客観的評価法が求められる. 下肢のperipheral arterial diseaseにおいて, 皮膚灌流圧 (SPP) の測定が有用であると報告されており, 治療方針の決定や予後の治癒能力の判断として臨床的に用いられている. 今回, 上肢におけるバスキュラーアクセス (VA) 関連スチール症候群に対して, SPPの診断能力を検討した. 【対象と方法】当院にて内シャントを有する患者106例を対象とした. VAの診察時にスチール症状の有無を問診し, Fontainの重症度分類によりStage I∼IVの4群に分類し, 症状なし群を加えて5群に分類した. SPPは第3指または最も症状の強い指にて測定した. 5群のSPPの平均値を算出した. また, 対象症例をスチール症状の有無により分類し, 累積相対度数によりカットオフ値を算出した. 【結果】対象症例の内訳は, スチール症状なし43例 (AVF : 24例, AVG : 19例), スチール症状あり63例 (AVF : 16例, AVG : 47例) であった. 各群の平均SPP値は, 症状なし群85.8±25.0mmHg (44例), Stage I群48.4±11.7mmHg (28例), Stage II群35.8±13.5mmHg (17例), Stage III群24.7±10.0mmHg (16例), Stage IV群17.3±2.4mmHg (3例) であった. 類積相対度数によるスチール症候群発生のカットオフ値は, 57.5mmHg (感度 : 87.1%, 特異度 : 95.3%, 陽性尤度比 : 18.2) であった. 【結語】SPPはスチール症候群の診断能力が高く, 同病態の客観的検査法として有用である.
著者
杉山 伊吹 古島 大資 野村 優月 海野 けい子 中村 順行 山田 浩
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第42回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
巻号頁・発行日
pp.3-P-U-3, 2021 (Released:2021-12-17)

【目的】緑茶の主要な遊離アミノ酸であるL-テアニンが、抗ストレス作用を示すことが動物実験ならびに臨床試験で報告されている。また、テアニンに次いで緑茶に多く含まれるアルギニンとの併用摂取によって、テアニンの抗ストレス作用が増強する可能性が動物実験で示されている。しかし、ヒトに対するテアニン・アルギニン併用時の影響については明らかにされていない。そこで本研究では、ヒトにおけるテアニン及びアルギニン併用摂取のストレスへの影響を、単盲検ランダム化比較試験により検討した。【方法】静岡県立大学の健康成人120名(平均年齢22.4歳、女性62.5%)を対象とし、十分なインフォームドコンセントによる文書同意を得た後、テアニン・アルギニン併用群(テアニン100 mg・アルギニン50 mg摂取)、テアニン単独群(テアニン100 mg摂取)、プラセボ群の3群にランダムに割り付けた。対象者へのストレス負荷として内田クレペリン精神検査法を、ストレス指標として唾液中アミラーゼ活性(salivary amylase activity: sAA)を採用した。sAAをストレス負荷前、直後、5、15、30分後に測定し、sAAの経時変化やストレス負荷前後のsAAの変化量を3群間で比較した。なお本研究は、静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】ストレス負荷前から、負荷15分後におけるsAA変化量の平均値(標準偏差)は、テアニン・アルギニン併用群で-2.75(11.2)KIU/L、テアニン単独群で-0.40(11.5)KIU/L、プラセボ群で6.95(18.6)KIU/Lであり、テアニン・アルギニン併用群とプラセボ群間(p=0.0053)およびテアニン単独群とプラセボ群間(p=0.0413)で統計学的有意差が認められた。以上のことから、テアニンとアルギニンの併用摂取は、ヒトにおいても短時間の抗ストレス作用があることが示唆された。テアニン・アルギニン併用群とテアニン単独群間でsAA変化量の統計学的有意差は認められなかったが、テアニン・アルギニン併用摂取時にsAA減少量が大きくなる傾向がみられた。【結論】テアニン単独摂取時と比較して、テアニン・アルギニンの併用摂取により抗ストレス作用が増強する可能性が示唆された。しかし本研究の被検者は20代を中心としているため、結果の一般化には幅広い年齢層を対象とした大規模臨床試験によって検討する必要がある。
著者
中村 順
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.514-517, 1996-08-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

爆弾事件や銃器使用の犯罪において, 使用された火薬類や銃器等を明らかにするために, 多くの検査が行われる。その中で, 現場の残留物の分析を, 火薬類を中心にまとめた。はじめに火薬類の基礎的事項について説明し, 実際の分析法について実験及び分析例を含めて解説した。また, 爆薬の探知についても紹介した。こうした爆弾事件, 銃器犯罪及び爆薬の探知等については, それぞれ目的, 試料の状態等異なるが, いずれも極微量の火薬類の分析が重要な課題である。
著者
中村 順一 大庭 美香 甲斐 郷子 吉田 將
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.79-80, 1992-02-24

自然言語では、一つの意味内容を表現するために様々な形式の表現を用いることが可能である。しかし、個々の発話状況においては、そのすベてが自然なものとは限らない。「太郎が花子を手伝った」は、太郎や花子が話者よりも目上であれば、「太郎さんが花子さんを手伝われた」の方が自然である。このような現象を扱い、機械翻訳システムや自然言語インタフェースなどの出力文をより自然なものにするためには、統語論・意味論上の処理だけではなく、語用論的な処理も必要である。本報告では、特に敬語などの待遇表現に注目し、話者、聴者、動作の関係者の間の関係に従って自然な待遇表現を用いた文を生成するモデルについて報告する。待遇表現としては、尊敬語・謙譲語・ていねい語を対象とし、登場人物間の身分的上下関係を与えることによりこれらを選択する。選択の対象は、「行く/参る/いらっしゃる」などの動詞、「φ/ます」の動詞語尾表現、「ぼく/わたし」、「太郎/太郎さん」などの人の呼び方、である。文生成には語彙機能文法(LFG)の考え方を用い、待遇表現の選択に関する規則性を個々の語彙記述中の制約として記述する。
著者
中村 順子 浦林 寛英 中島 育美 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.199-204, 2011-10

わが国における大学等の高等教育における発達障害傾向のある学生に対する支援は始まったばかりであり,また,これまでカウンセリングが中心となっている。平成23年度より,大学入試センター試験において,発達障害学生が受験する際の合理的配慮が公的に保障されるようになったため,今後の大学における発達障害学生への支援については,質的にも数的にもさらなる充実した取り組みが必要になると考えられる。本稿では,発達障害学生に対して,障害者支援に関する法的整備,医療との連携を踏まえた上での根拠のある支援を継続してきているアメリカ合衆国の例をもとに,わが国の高等教育における今後の発達障害学生への支援のあり方を検討した。
著者
松川 智義 中村 順一 長尾 真
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.40(1989-NL-072), pp.1-8, 1989-05-19

自然言語処理のシステムを構築する際に用いられる単語の分類を客観的なデータ解析から得る方法がいろいろと提案されている.その中には,単語の共起に関する実例データ(共起データ)を用いて単語を分類するというアプローチがある.ところが,それらの多くが前提としている単語間の「距離」(意味的な遠さ)だけで,多様な単語の意味を表現することには限界がある.また,実際の共起データには様々な「雑音」が混ざっている.本研究では,共起データに基づいた,「距離」という考え方を用いない,「雑音」に強い,単語のクラスタリング・アルゴリズムを作成した.
著者
甲斐 郷子 中村 順一 吉田 將
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.95, no.27, pp.79-84, 1995-03-09
参考文献数
10
被引用文献数
4

科学技術論文などの論理的文章にとって,論旨展開が明確であること,事実,主張,根拠などがバランスよく述べられていることは重要である.しかし初心者にとってこれらの適切さを認識することは容易ではない.本稿では,このような論文作成の初心者に論文改訂作業を支援するシステムの試作と改訂実験によるシステムの評価について述べる.本プロトタイプシステムでは,表層的な情報を基に改訂対象の文章構造を解析し,その結果を筆者に提示することにより支援を行う.改訂実験により明かになった本プロトタイプシステムの有効性と限界についても論じる.
著者
中村 順
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.67-72, 2011-04-15
参考文献数
12

<p>警察は産業事故についても事実を明らかにし,原因を究明して安全を確保する責務がある.対象となる事故は,死傷者を伴う事故や,社会的に関心の高い事故となる.現場検証は裁判所の令状に基づく公式な事故を記録するものである.関係者の供述についても証拠化され,他の調査機関と異なり,人に関する事故に至る背景,事情までも含めて調査を行うことになる.事故原因を明らかにして,責任を明確にすることが求められている.責任者の処罰ではない.</p>
著者
中村 順子 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.161-168, 2010
被引用文献数
1

本稿では,GT(GiftedandTalented)児に対する正しい認識と適切な支援を導くために,アメリカ合衆国におけるGT教育の実情に関する先行研究について俯瞰し,わが国における GT児への対応の問題点と今後の課題について検討した。アメリカ合衆国における先行研究では,才能開発にとどまらず,教育における経済格差,人種間格差を是正するために GT教育を活用している例が見られた。また特別支援教育として 2E(TwiceExceptional)児への積極的な支援が行われ,現在では,GT教育は,学習障害につぐ2番目に大きなグループになっている。これらの先行研究をふまえて,わが国における GT教育の可能性について考察した。

1 0 0 0 OA 切支丹の来歴

著者
中村順三 著
出版者
警醒社書店
巻号頁・発行日
1917