著者
斎藤 洋子 和泉 真喜子 大沢 章
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.468-473, 1981 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

The amount of dietary fiber (neutral detergent fiber, acid detergent fiber and lignin) in the edible portion; leaf, stalk and bud; of 53 species of wild plants was determined by Van Soest method and also the amounts of crude fiber, water, fat and ash of these plants were estimated. These plants were taken in Fukushima prefecture and belonged to Compositae, Liliaceae, Umbelliferae, Polypodiaceae, Araliaceae, Cruciferaeae, Uruticaceae, Polygonaceae, Caprifoliaceae, Equisetaceae, Rosaceae, Lardinabalaceae, Campanulaceae, Leguminosae, Chenopodiaceae, Saururaceae, Plantaginaceae, Berberidaceae, Saxifragaceae, Rutaceae, Gramineae, Actinidiaceae and Clethraceae.Takadiastase digestion of plant before analysis of neutral detergent fiber had little effect on the amount of neutral detergent fiber in leaf, stalk and bud of wild plants. The amounts of neutral detergent fiber, acid detergent fiber and crude fiber of these plants were 1.07 to 5.92%, 0.79 to 5.19% and 0.64 to 3.67% respectively. The correlation (r) of c ude fiber with neutral detergent fiber, acid detergent fiber and cellulose; the difference between acid detergent fiber and lignin; were 0.63, 0.65 and 0.77 respectively. Neutral detergent fiber had a little correlation with nitrogen free extract (r=-0.64) but no correlation with protein and ash (r=-0.24, 0.22).
著者
宮本 賢一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.137-149, 2011 (Released:2011-08-09)
参考文献数
91
被引用文献数
2 1

リンは生体に広く分布しており, 細胞内シグナル伝達, エネルギー代謝, 核酸合成および酸-塩基などに関与している。リン代謝調節機構は, その破綻が低リン血症や高リン血症から生じる病態によって明白なように生命維持に必須である。低リン血症はクル病および骨軟化症を引き起こす。一方で, 高リン血症は心血管疾患に深く関与している。血中リン濃度維持の中心臓器は腎臓であり, また腸管および骨の三つの臓器が協調してリン代謝を制御している。生体には3種類のナトリウム依存性リントランスポーター (SLC17, SLC20, SLC34) が, 腎臓に発現している。我々は, これらリントランスポーターの同定や機能解析, またノックアウトマウスを作製して, その役割を明らかにした。一方で, 低リン血症や高リン血症を示す疾患の解析から, 新しいリン代謝系 (FGF23/klotho) が明らかにされた。 FGF23/klothoの発見は, 慢性腎臓病に伴うリン代謝異常の病態を理解する上で重要な知見をもたらした。また, 早期慢性腎臓病における心血管障害と食餌性リン負荷との関係も明らかにされつつある。本総説では, 我々の知見をもとに, リントランスポーターの役割と新しいリン代謝系の発見について, 最近の進歩を概説した。
著者
奥 恒行 岡崎 光子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.201-207, 1999-08-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
19
被引用文献数
8 8

健康な女子学生17名 (延22名) について, ガラクトシルスクロースの1日総摂取量を同一にして一括摂取した場合と1日2-3回に分散して摂取した場合の下痢に対する最大無作用量への影響を観察した。ガラクトシルスクロース60gの一括摂取では被験者14人中9人 (64.2%) が下痢を生じ, 45g一括摂取では被験者8人中3人 (37.5%) が下痢を生じた。しかし, 1日2-3回に分割摂取した場合, 下痢はいずれの被験者にも観察されなかった。さらに, ガラクトシルスクロース60gの一括摂取で下痢を生じた被験者9人のうち5人に30gの3回摂取 (1日90g) させたところ, 3名は下痢を生じなかった。すなわち, ガラクトシルスクロースを分割摂取する場合の下痢に対する最大無作用量は同量の一括摂取よりもかなり高くなるととが明らかになった。ガラクトシルスクロースの一括摂取による最大無作用量は体重kg当り0.80gで, 他の難消化吸収性糖質のそれの2倍以上であった。また, 腹部症状のうち「吐き気」「上部腹痛」「悪心」は, 試験物質量が多い一括摂取にみられ,「グル音」は2-3回分割摂取に多かった。「違和感」「おなら」「おなかが張る」はいずれの摂取時にも観察された。
著者
大和 孝子 紀 麻有子 小畑 俊男 太田 英明 青峰 正裕
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.85-91, 2002-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

コーヒーとその主要構成成分 (カフェイン, クロロゲン酸) のラットにおけるストレス緩和効果について調べた。ラットの脳海馬における神経伝達物質セロトニン (5-HT) とドーパミン (DA) 放出レベルを in vivo マイクロダイアリシス法を用いて調べ, ストレッサーとして拘束を採用し, 拘束ストレスの負荷前後と, コーヒーと構成成分投与後の拘束負荷前後の5-HTとDA放出レベルを比較した。投与量はヒトがコーヒー1杯を摂取する際の量を基準にラットの体重に換算した値を用いた。拘束ストレス (100分間)は脳海馬細胞外5-HTレベルを著しく上昇した。コントロール実験として2回目拘束の直前に生理的食塩水投与を行った。2回目拘束を行った場合の5-HTレベルの上昇は1回目に比べ約85%であった。コーヒー投与では2回目拘束で1回目の約37%と低下し, 生食水の場合と比べて有意 (p<0.05) であった。カフェイン投与でもほぼ同様 (約33%, p<0.05 vs 生食水) であったが, クロロゲン酸投与ではむしろ1回目より若干増加した。DAレベルに関しても同様な傾向はあったが, 5-HTレベルほど顕著ではなかった。以上のことから, コーヒーは, ラットにおいても, ストレスを緩和するのに貢献していることを示唆する。
著者
江崎 治 窄野 昌信 三宅 吉博 井藤 英喜
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-52, 2007-02-10
参考文献数
175
被引用文献数
1 1

日本人の飽和脂肪酸の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。飽和脂肪酸は摂取量が多いと肥満や心筋梗塞が増加し, 少ないと脳出血が増加する至適摂取範囲の狭い脂肪酸である。このため, 飽和脂肪酸の目標量は18歳以上で4.5%エネルギー以上, 7%エネルギー未満に設定された。飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 肥満度, 血中LDL-コレステロール値が増加し, 糖尿病, 心筋梗塞罹患が増加する。米国での飽和脂肪酸摂取量を10%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step I diet) または7%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step II diet) にした多くの介入研究で, LDL-コレステロール値低下, 体重減少が認められている。米国のコホート研究 (観察研究) でも, 飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 用量依存性に心筋梗塞や糖尿病罹患の増加が認められている。日本人の飽和脂肪酸摂取量のエネルギー比率の中央値 (50パーセンタイル値) は男性18歳以上で4.9-7.2%エネルギー, 女性18歳以上で5.4-7.9%エネルギーとなり, 平均では約6.3%エネルギーとなる。日本人の現状, あるいは伝統型食生活も考慮に入れて, 心筋梗塞, 肥満, 糖尿病の予防のため, 7%エネルギーが目標量 (上限) に設定された。日本人中年男女を対象にした観察研究では, 飽和脂肪酸の摂取量が少ないと, 血圧, 肥満度, コレステロール値, 喫煙, アルコール摂取量を考慮しても, 脳出血の発症頻度の増加が認められている。ハワイ在住中年男性日系人の観察研究でも, 飽和脂肪酸の摂取量が10g/day未満の人は, 10g/day以上の人に比べ, 約2倍の脳卒中による死亡数の増加を認めている。これらの研究結果から, 18歳以上で, 4.5%エネルギーが下限値に設定された。
著者
江崎 治 窄野 昌信 三宅 吉博 井藤 英喜
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-52, 2007-02-10 (Released:2009-01-30)
参考文献数
175
被引用文献数
2 1

日本人の飽和脂肪酸の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。飽和脂肪酸は摂取量が多いと肥満や心筋梗塞が増加し, 少ないと脳出血が増加する至適摂取範囲の狭い脂肪酸である。このため, 飽和脂肪酸の目標量は18歳以上で4.5%エネルギー以上, 7%エネルギー未満に設定された。飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 肥満度, 血中LDL-コレステロール値が増加し, 糖尿病, 心筋梗塞罹患が増加する。米国での飽和脂肪酸摂取量を10%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step I diet) または7%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step II diet) にした多くの介入研究で, LDL-コレステロール値低下, 体重減少が認められている。米国のコホート研究 (観察研究) でも, 飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 用量依存性に心筋梗塞や糖尿病罹患の増加が認められている。日本人の飽和脂肪酸摂取量のエネルギー比率の中央値 (50パーセンタイル値) は男性18歳以上で4.9-7.2%エネルギー, 女性18歳以上で5.4-7.9%エネルギーとなり, 平均では約6.3%エネルギーとなる。日本人の現状, あるいは伝統型食生活も考慮に入れて, 心筋梗塞, 肥満, 糖尿病の予防のため, 7%エネルギーが目標量 (上限) に設定された。日本人中年男女を対象にした観察研究では, 飽和脂肪酸の摂取量が少ないと, 血圧, 肥満度, コレステロール値, 喫煙, アルコール摂取量を考慮しても, 脳出血の発症頻度の増加が認められている。ハワイ在住中年男性日系人の観察研究でも, 飽和脂肪酸の摂取量が10g/day未満の人は, 10g/day以上の人に比べ, 約2倍の脳卒中による死亡数の増加を認めている。これらの研究結果から, 18歳以上で, 4.5%エネルギーが下限値に設定された。
著者
太田 篤胤
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.387-395, 1999-12-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
50
被引用文献数
4 3

The importance of indigestible carbohydrates such as dietary fiber is well recognized. In recent years, the stimulatory effects of indigestible sugars such as fructooligosaccharides (FOS) on mineral absorption have been discovered and examined. This review provides an overview of current research work in this field. FOS are not digested by human enzymes. Dietary FOS are effective for increasing not only apparent but also true intestinal calcium (Ca) absorption in rats. Dietary FOS also stimulate magnesium (Mg) and iron (Fe) absorption. These effects show dose dependency and are long-lasting. FOS increase the absorption of Mg from natural foods such as cocoa and rice bran. The increase in Ca and Mg absorption is diminished by cecectomy. Ca and Mg disappear from the colorectal contents in the course of transit from the cecum to the anus. The absorption of cecally infused Ca and Mg is increased by dietary FOS. Moreover, dietary FOS increase large intestinal calbindin-D9k. These results suggest that the stimulatory action of FOS is exerted in the large intestine. FOS improve the bioavailability of these minerals in sever disease models rats. Dietary FOS prevent osteopenia in both ovariectomized rats and gastrectomized rats. In gastrectomized rats, FOS feeding also prevents anemia. Supplying a diet with a high Ca and high phosphorus content markedly decreases Mg absorption, and rats fed such a diet exhibit typical symptoms of Mg deficiency. However, these symptoms are suppressed by FOS feeding. The Ca absorption-promoting effect of FOS has been confirmed in humans by two different methods (balance study and double isotope method). Therefore, it is expected that many clinical applications of FOS will be established in the near future.
著者
萩原 清和 小篠 栄 矢野 友啓 市川 富夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-116, 1994-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害に対するγ-glutamylcysteine ethyl esterの投与効果を明らかにするため, リポフスチン生成および腎臓機能や組織障害を指標に検討を行った。1) γ-GC投与およびGly+γ-GC投与は腎臓内GSH量を増加させ, リポフスチン量の急激な上昇を抑制した。2) Gly+γ-GC投与は血清クレアチニン量の増加, LDH活性の上昇, および腎臓内酵素活性の低下を抑制した。3) γ-GC投与は近位尿細管上皮細胞壊死を完全には防御することはできなかったが, Gly+γ-GC投与は近位直尿細管上皮細胞の壊死が観察される程度に障害をとどめることができた。4) GSHは過酸化脂質からのリポフスチン生成を抑制し, 腎機能低下や腎障害の防御に関与する可能性が強く示唆された。
著者
森口 覚 村賀 民佳子 清水 英治
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.23-27, 2000-02-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
12

It is estimated that one fourth of Japan's population in the 21st century will be older than 65 years of age. Accompanying this increased percentage of elderly people will be an increased incidence of life-style-related diseases and infectious diseases associated with the reduced cellular immunity that occurs during aging. If this decrease of cellular immunity can be minimized, it might improve the health of older persons and prolong life expectancy. This paper summarizes the effect of nutrition and exercise on decreased cellular immunity in the aged. Obesity (BMI>30) in the aged induced marked decreases of T cell proliferation following in vitro activation with PHA or Con A and natural killer cell (NK) activity. In contrast, exercise training improved not only the decreased phagocytic activity but also the responsiveness to macrophage-activating factor (MAF) produced from activated T cells among alveolar macrophages (AM) in aged rats (24 months old). In addition, reduction in the activities of daily life (ADL) was closely associated with decreased NK activity in elderly people admitted to health service facilities for the aged. In conclusion, this study suggests that obesity is one of the risk factors for deteriorating health in the aged, and that maintenance of physical activity in the aged is important for retaining cellular immunity in this population group.
著者
吉野 芳夫 平松 芳子 寺戸 国昭
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.53-57, 1973-12-29 (Released:2010-02-19)
参考文献数
11

二クエン酸一第一鉄四ナトリウム塩は広いpH域で可溶性であり, 吸収可能な低分子キレートとして溶存する。中性溶液中ではその80%が酸化されても消化管吸収不可能な高分子ポリマーの形成はおこらない。この化合物のラット貧血回復効果について硫酸第一鉄と比較した。両鉄化合物は鉄として0.3mg/ratを11日間にわたり10回連続投与し (第1回目は59Feでラベル化合物を投与), 鉄の消化管吸収率, Hb値の回復, 貯蔵鉄の増加を測定した。その結果, 消化管吸収は両化合物とも貧血依存性で, 貧血の亢進に伴い5%から70%にまで吸収率の増加がみられた。Hb値の回復は, クエン酸第一鉄塩投与群がより早い傾向にあったが, 最終的なHb値には差異はなかった。一方, 肝臓非ヘミン鉄は硫酸第一鉄投与群がより高値をとる傾向にある。脾臓非ヘミン鉄では両化合物で差異はなかった。
著者
志村 二三夫 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.159-163, 1975-05-31 (Released:2009-11-16)
参考文献数
15

小腸のCa吸収に対するリジンならびにD3の影響を観察した。白ネズミはたん白質をアミノ酸混合物に置き換えたD欠乏飼料を用いて飼育した。白ネズミ体重の増加はリジン1.35%・D3投与群が比較的良く, これに続いてリジン1.35%・D欠乏群であり, リジン0.45%投与群の体重増加は比較的悪く, さらにD投与による差異は, ほとんどみられなかった。反転腸管を用いる45Ca輸送能は, D欠乏状態ではリジンの含有量による差異はみられなかったが, D3投与による増大効果は, リジン1.35%投与群はリジン0.45%投与群に比して大きかった。十二指腸粘膜のCaBPにも, 同様の傾向が認められた。小腸の45Ca吸収に対するリジンの促進効果は, Dを介して発揮されるものと考えられる。
著者
斉藤 芳枝 畑山 富子 細田 裕子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.139-141, 1974

温州みかん, レモン, グレープフルーツ, 夏みかん, いちご, びわ, もも, ぶどう, プリンスメロン, パインアップル, りんごおよびプラムの果汁を調製し, 5℃に3週間貯蔵してその間のビタミンC, 還元糖, 酸および窒素の量的変化を測定した。<BR>ビタミンC含量の多いプリンスメロンおよび柑橘果汁では3週間後も最初の量の40%以上のビタミンCが残存したが, もも, ぶどう, パインアップル, プラムらは含量も少なく, 残存量も10~20%と低かった。<BR>還元糖は3週間貯蔵後プリンスメロンとももの果汁では増加し, びわとりんごの果汁では最初と同じであったほかはいずれも減少する傾向を示した。<BR>酸は温州みかん, びわ, もも, プリンスメロンの果汁で増加したが他の果汁では大きな変化はなかった。<BR>可溶性窒素は減少するものが多く, それにもかかわらずアミノ態窒素の増加が認められる果汁があったが, これはアミノ酸やペプチドの生成によるものと思われた。
著者
海老原 清
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.3-9, 2008 (Released:2008-12-19)
参考文献数
40
被引用文献数
9 9

食物繊維は難消化性のために,栄養素中心の栄養学では注目されることはなかった。しかし,食物繊維には栄養素では達することのできない種類の栄養・生理機能があり,健康を維持する上で必須な食品成分であることが明らかにされた。現在,食物繊維の定義,分類,分析法については,まだ意見の一致をみていない。食物繊維の研究が進む中で,小腸で消化されないでんぷんの存在が明らかになり,それらはレジスタントスターチとよばれ,食物繊維と同様の栄養・生理機能を有することが明らかになった。食物繊維の栄養・生理機能は粘性やかさ形成能などの物理・化学的特性によって影響された。食物繊維やレジスタントスターチは生活習慣病予防を目的とした食品の開発に応用されている。
著者
大武 由之
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.37-42, 1983
被引用文献数
2

食肉工場で原料肉処理の際, 輸入めん羊枝肉から得られた3頭分の上腕骨, 大腿骨, 肩甲骨および肋骨から, それぞれ骨髄脂質を抽出し, それらの脂肪酸組成と, 骨髄脂質のトリアシルグリセロール (TG) 内の脂肪酸分布を調べた。ついで, めん羊骨髄脂質をアセトン分別結晶法によって分画し, 製取した画分についても脂肪酸組成と脂肪酸分布を調ベた。<BR>めん羊の骨髄脂質は, 融点が40℃近くで, 飽和脂肪酸に富み, C<SUB>18: 0</SUB>が比較的多かった。骨髄脂質はほとんど大部分が中性脂質から成っていたが, そのリン脂質画分は全脂質に比べてC<SUB>16: 0</SUB>やC<SUB>18: 1</SUB>が少なく, 多価不飽和脂肪酸に富んでいた。<BR>骨髄脂質のTG内の脂肪酸分布では, C<SUB>16: 0</SUB>は1-位置に多く, C<SUB>18: 0</SUB>は1-および3-位置に多く結合していて, これに反してC<SUB>18: 1</SUB>とC<SUB>18: 2</SUB>はTGの1-位置と3-位置よりも, 2-位置に多く結合していた。<BR>アセトン分別結晶法によって骨髄脂質から, 飽和脂肪酸含量が多くて融点の高い2画分と, 軟質な脂肪の画分と, 室温では淡黄色の液状油の画分とを分取した。画分の融点が低くなるにつれて飽和脂肪酸が減少し, 不飽和脂肪酸は増したが, Frac. 1はその90%近くが飽和酸から成り, 液状油ではその70%近くが不飽和酸から成っていた。<BR>分別した画分にあっても, C<SUB>18: 0</SUB>はTGの1-位置と3-位置に多く, C<SUB>18: 1</SUB>とC<SUB>18: 2</SUB>は2-位置に多く結合していて, 1-および3-位置は2-位置に比ベて飽和脂肪酸含量が多かった。
著者
福与 真弓 原 征彦 村松 敬一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.495-500, 1986
被引用文献数
10 42

先にわれわれは緑茶より抽出した茶葉粗カテキン (タンニン) は血中コレステロール濃度を低下させる作用を持つことを観察したも。<BR>この事実をさらに調べるために, われわれは緑茶カテキンの主成分である (一) エピガロカテキンガレート (EGCg) を分離し, 15%ラードと1%コレステロール含有25%カゼイン食 (高脂コレステロール含有食) 投与ラットの脂質代謝に対する効果を調べた。EGCgは0.5%, 1.0%濃度で添加した。飼育期間は全実験で4週間とした。EGCgの添加は成長および飼料摂取に対して影響を与えなかった。高脂コレステロール含有食を与えたラットでは, 25%カゼイン食 (正常食) を与えたラットに比べて血漿および肝臓コレステロール濃度は増加した。EGCg投与で血漿総コレステロールとLDL-コレステロール濃度は減少し, HDL-コレステロール濃度は増加した。肝臓全脂質, 全コレステロールおよびトリグリセリド濃度は高脂コレステロール含有食投与ラットで増加したが, EGCg添加群ではこれらの濃度は減少した。さらに, EGCg投与は糞中への全脂質およびコレステロールの排泄量を増加させた。25%カゼイン食への1.0%EGCg添加では, 血漿および肝臓コレステロール濃度に影響を与えなかった。<BR>これらの結果は, EGCgはコレステロール投与ラットの血漿コレステロール低下作用を持つことを示している。
著者
水上 久枝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.171-173, 1959-09-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
6

The content of hemoglobin and myoglobin in meat-beef, horse and whale-as estimated simultaneously by the spectrophotometry on the extract saturated with carbon monoxide. Hemoglobin and myoglobin were extracted from the homogenized meat with acetate buffer pH 4.5 as described by de Duve. The absorption spectra of the mixtures of carboxyhemoglobin and carboxymyoglobin were plotted by Beckman DK self-recording spectrophotometer or Hitachi EP U-1 spectrophotometer. The content of hemoglobin and myoglobin was obtained from the absorbancy at 560, 570, 576 and 580mμ by the nomograph made by Tsushima and Okazaki.The rate of hemoglobin and myoglobin was also calculated by other methods such as that of de Duve and that of Poel. The sum of these proteins was also checked by cyanide-methemoglobin method.The rate of hemoglobin and myoglobin as observed to remain constant in spite of the difference of the animal species and the localization in the body, accordingly in spite of the difference in the total content of the extractable heme-proteins. The content of hemoglobin was estimated to be approximately 10% of the total heme. No remarkable difference in the hemoglobin content was observed between whale and the other meat, although some difficulties in removing the blood might be conceivable in the former.The hemin content of dark muscles of bonito and tuna was also determined.
著者
香川 綾 小池 五郎 木村 広子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.216-219, 1963

Main protein source of Japanese breakfast is rice and soybean, sometimes with fish, andth at of Western countries bread and milk, sometimes with meat.<BR>To compare the nutritive value of these mixed proteins, forty-eight male albino rats weredi vided into six groups and fed the following diets as protein source;<BR>Group A, rice protein; Group B, rice and soybean protein; Group C, rice, bean andf ish protein; Group D, wheat protein; Group E, wheat and milk protein; Group F, wheat, milk and meat protein.<BR>After 5 weeks-feeding following results were obtained:<BR>1) An effect on growth (increase of weight) was in the order of group F, E, C and B, butthe differe nces were not statistically significant. Group A and D showed significantly lower results.<BR>2) The weights of liver of groups A and D were lower than those of the other four groups, and among latters there were no differences. The activity of liver xanthine oxidase wash ighest in group F, followed by E, C and B. Group A and D showed lowest activity. Theactivity of liver transaminase was highest in group F, followed by C, and that of group Aand D was the lowest.<BR>3) There were no differences in hemogl obin content of blood among five groups except group D, which showed an anemic state.
著者
土田 隆 益子 研土 山田 勝彦 平塚 秀雄 島田 孝男 板垣 雪絵 藤沼 秀光 鮫島 浩二 中村 寿雄 長谷川 節 松林 恒夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.97-102, 2003-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
15 18

γ-アミノ酪酸 (GABA) 高含有クロレラ (以下GABAクロレラ) の血圧降下作用およびその有効摂取量を調べるため, 成人で血圧が高めの健常者および軽症高血圧者に対して, プラセボを用いた多施設群間比較試験を実施した。被験者 (平均年齢47.8±10.0歳, 収縮期血圧145.3±5.9mmHg, 拡張期血圧87.7±6.5mmHg) を15名ずつの4群に分け, GABAクロレラ (2g, 4g, 6g/day) およびプラセボ (乳糖4g/day) をおのおの8週間摂取させたとき, GABAクロレラ摂取群すべてに, 摂取後2週目から収縮期血圧の低下が認められた。GABAクロレラ群とプラセボ群との比較では, GABAクロレラ4g/dayおよび6g/day摂取群の収縮期血圧で, 摂取開始6週後および8週後に統計学的な有意差を認めた (4g/day摂取群: 8週後p<0.05, 6g/day摂取群: 8週後p<0.01)。しかし, 拡張期血圧では低下傾向がみられたものの, GABAクロレラ群とプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められなかった。また, GABAクロレラ摂取群では, 摂取終了後, 収縮期血圧の復帰傾向がみられたが, プラセボ群では変化を認めなかった。すべての試験対象者について, 自覚症状, 他覚所見ともに異常は認められず, 副作用もなかった。以上の結果から, GABAクロレラの摂取は血圧が高めの健常者および軽症高血圧者の血圧を, 副作用を伴わずに改善させることが示唆された。