著者
藤原 葉子 大塚 惠 渭原 博 伊藤 信吾 藤崎 誠 猪俣 美智子 苫米地 幸之助 小高 要 五十嵐 脩 奥田 邦雄 美濃 眞 千畑 一郎 橋詰 直孝 糸川 嘉則
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.41-44, 2001-02-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
4
被引用文献数
3 3

ビタミンC測定法, および血中の総ビタミンC値の基準値 (参考値) を検討した。健康な女子大生ボランティア54人に, 3日間の食事調査の後, 採血し, ビタミンCを1日200mg含む一定の試験食を3日間供した。3日後に再び採血を行い, 得られた血漿のビタミンC濃度を測定した。測定は3カ所の施設でHPLC法 (お茶の水女子大学, テイジンエスアールラボ) およびアスコルビン酸オキシダーゼ法 (東邦大学) を用いて行い, 各施設での測定値の比較も行った。総ビタミンC濃度の試験食摂取前値と後値では平均値に有意な差はみられないが, 後値ではばらつき (標準偏差) が小さくなり, ビタミンCの一定量摂取が, 血中濃度に影響を与えることが示唆された。前値でビタミンC濃度が低値にあった学生では, ビタミンCを1日200mg, 3日間摂取することで, 血中濃度は0.62mg/dL以上の範囲に入った。異なる測定方法による施設間差は認められず, 従って, 統計的に95%の信頼範囲から血中総ビタミンC濃度の基準値は0.70-1.38mg/dL (HPLC/ECD法) となった。この値は栄養所要量算出の際に基準とした値 (0.7mg/dL)とも一致した。
著者
広部 りう 高木 和男 増田 富江 望月 英男 小峰 みえ子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.180-184, 1956-12-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
1

(1) 前報に引続いて, はくさい, ほうれんそう, ねぎ, だいこん, にんじんについて, 貯蔵中の成分を追求した。(2) はくさいは, 長期貯蔵により, 緑葉部の損失が甚だしいため, カロチンの損失が大きく, 2週にして半減, 12週にして1/3に減少した。ビタミンB1およびB2はさしたる変化がみられなかつた。総ビタミンCは貯蔵により減少したが, 還元型についてはかえつて上昇を示した。(3) ほうれんそうは葉肉のみ測定したが, カロチンは貯蔵の初期に, ビタミンB1およびB2は中期以後に, ビタミンCは第4週から第5週の末期に損失が大きかつた。(4) ねぎは貯蔵後2週間で著しく可食部の減少をみたが, これは葉の一部の脱落であるため, その部分に多くふくまれるカロチンは, 極度に減少し, 2週間にして1/10を下廻つた。ビタミンB1は逆に増加の傾向を示したが, これはカロチンと逆の分布をしているのではないかと考えられる。(5) だいこんについては, 各ビタミン共大きな損失は見られず, あるものは逆に増加の傾向を示した。(6) にんじんは初期にスカシ箱貯蔵をしたため, 水分が急激に減少してしまつた。カロチンは貯蔵により大きな割合で減少しているが, 食用に耐えなくなつても, なお他の食品をはるかに上廻る含有量を示していた。他のビタミン類に対しては, 大きな波動を示しつつ, 貯蔵に従いわずかながら減少を示した。(7) きような等は貯蔵期間が余りに短かかつたため報告を省略した。
著者
永尾 晃治 柳田 晃良
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.105-109, 2004-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
34
被引用文献数
2 1

共役リノール酸 (CLA) は, 反芻動物由来の食肉や乳製品中に含有する微量脂質成分で, リノール酸の位置・幾何異性体の総称である。これまでにCLAには抗がん作用, 抗肥満作用, 抗動脈硬化作用, 抗糖尿病作用などの生理作用が報告されているが, ごく最近, 抗高血圧作用も見いだされている。すでにCLA異性体の違いによる生理作用の違いについても報告されており, 10t, 12c型は抗がん作用, 抗肥満作用, 抗糖尿病作用を, 9c, 11t型は抗がん作用をもつことが示唆されている。また動物種による応答の違いも一部認められている。ヒトにおけるCLAの生理作用に関しては, ポジティブな効果も報告されているが, 信頼のおける評価を得るにはさらなる臨床研究が望まれる。
著者
大宝 明
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.709-714, 1973-02-01 (Released:2010-03-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2

1) コンニャクイモのアセトン粉末はポリフェノール酸化酵素を含み, o-ジフェノール類のドーパミン, DL-ドーパ, クロロゲン酸およびカテコールをすみやかに酸化し, とくにドーパミンやDL-ドーパの反応液を著しく褐変した。2) 酵素の最適pHはカテコールでは7.0付近, DL-ドーパでは6.0~7.0にあり, 最適温度は前者では25°~30℃, 後者では30℃付近にあった。3) 粗酵素液は熱安定性がかなり高かったが, 酸性側のpHで不安定であり, pH 5.8以下で徐々に失活し, pH 4.0以下でほとんど失活した。ミカェリス定数はカテコールに対して1.75×10-2M, DL-ドーパに対して0.90×10-2Mであった。4) 酵素は金属ポルフィリン阻害剤のシアン化カリウム, ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびチオ尿素によって強く阻害され, その褐変もこれら阻害剤で抑制された。また, 酵素作用はフッ化ナトリウム, 塩化第二水銀, フェリシアン化カリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムで阻害された。アスコルビン酸は酵素による酸化を見かけ上増大したが, 褐変を抑制した。5) コンニャクイモ中にはペーパークロマトグラフィーで数個のポリフェノール類が検出された。6) これらの実験結果から, コンニャクイモの切干し加工においてみられる褐変は, ポリフェノール酸化酵素による酵素反応によっておこると考えられた。
著者
松尾 達博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.379-387, 2003-12-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
32
被引用文献数
2 5

高飽和脂肪食 (牛脂食) が高多価不飽和脂肪食 (紅花油食) に比べて体脂肪蓄積を増大させるメカニズムを解明するために, 特に牛脂食摂取による交感神経活性の低下に着目し, ラットを用いて検討した。牛脂食摂取ラットは紅花油食摂取ラットに比べて, 食餌誘発性体熱産生 (DIT) が低く, 脂肪の合成・蓄積に作用する血清インスリン濃度が高い。これらのことに関して, DITの主要器官である褐色脂肪組織 (BAT) およびインスリンを分泌する膵臓について, 交感神経活性が紅花油食群に比べて牛脂食群で低下していることを示した。紅花油食群に比べて牛脂食群で, 血清中性脂肪濃度は1日を通じて高値であるが, その原因は血中中性脂肪の活性組織への取込み低下と肝臓の脂肪合成の増大による。これらのメカニズムについて, 心筋, 骨格筋, BATおよび肝臓の交感神経活性の低下が関与していることを明らかにした。また, 牛脂食群での末梢組織の交感神経活性低下の一因として, 視床下部機能の関与を示した。
著者
野村 誠 中島 泰子 阿部 裕
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.21-25, 1992-02-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
11
被引用文献数
4 17

難消化性デキストリンを実験動物ならびに高脂血症を伴った非インスリン依存型糖尿病患者にて長期間にわたり投与し, 血中脂質ならびに糖代謝に及ぼす影響について検討した。SD系ラットにおいては9週間にわたり5%の濃度で飼料中に混合し, 一方, 高脂血症症例においては各食事ごとに20gを内服し (1日量60g), それぞれ9週ならびに12週にわたり血中脂質ならびに空腹時血糖値の変動を追跡した。その結果, SD系ラットにおいては食物繊維投与後, 空腹時血糖値, 血中コレステロールならびに中性脂肪レベルの有意な低下を認めた。同時に非インスリン依存型糖尿病症例においても血中コレステロール値と空腹時血糖値の著明な低下を認めた。
著者
新井 千加子 宮田 学 吉實 知代 小出 一広 溝手 晶子 新井 紀恵 花谷 利春 新井 成之 福田 惠温
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.17-24, 2013 (Released:2013-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
4

高脂肪食負荷マウスに2.5%トレハロース(Tre)飲水を8週間行うと他の糖質[グルコース(Glc),マルトース(Mal), 異性化糖(HFCS), フラクトース(Fru)]に比べ,有意な腸間膜脂肪細胞の肥大化抑制,インスリン抵抗性改善が認められたため,今回はランゲルハンス氏島(ラ氏島)への作用を調べた。同試験マウスのラ氏島,α細胞領域,β細胞領域の平均面積を免疫染色を用いて形態計測した。Treは水,Mal,Fruに比べ,有意にラ氏島肥大を抑制した。また,Treは,他の糖質や水投与群に比べて有意にα細胞領域の増加を抑制した。糖質の飲水15週後の糖負荷試験では糖負荷30分後の血中グルカゴン値がMal群に比べ,Tre群で有意に低かった。これらの結果からトレハロースはラ氏島の代償性肥大やα細胞増加による過剰なグルカゴン分泌を抑制するため,メタボリックシンドロームにおいてラ氏島を保護する優れた食品となる可能性が示唆された。
著者
千葉 剛 佐藤 陽子 鈴木 祥菜 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.147-155, 2015 (Released:2015-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 5

以前に実施した調査において, 特定保健用食品 (特保) を治療目的で用い, 服用している医薬品と同様の保健機能を謳った特保の利用者がいることが示された。本調査では特保と医薬品との併用の実態を明らかとするためアンケート調査を行った。特保を疾病治療目的に利用している人の割合は利用者の年代が上がるにつれて増え, また, 受診なしに比較し受診あり (通院中・入院中) で有意に高かった。また, 医薬品を併用し, 中には服用医薬品と同じ用途で特保を利用しているにもかかわらず, 医師・薬剤師に相談している利用者は, 14.6%と低かった。この時, 特保と医薬品の併用者において体調不良 (下痢・便秘等) を感じている人は10.3%であった。多くの特保製品は通常の食品形態をしていることから, 適切に使用していれば医薬品と相互作用を起こす可能性は低いと思われるが, 医薬品を服用している際には, 医師・薬剤師に相談することが好ましいと考えられる。
著者
中埜 拓 島谷 雅治 村上 雄二 佐藤 則文 井戸田 正
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.195-201, 1994-06-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
13
被引用文献数
5 9

WPPの消化吸収性について, 消化酵素を用いた人工消化試験ラットを用いた消化性および腸管から血中へのアミノ酸移行速度等を素材であるWPCと比較した。ペプシン・パンクレアチン連続処理では, 両者ともほぼ同様な分子量分布に分解された。しかし, ペプシンまたはパンクレアチンのどちらか一方の酵素で処理した場合には, WPCは高分子画分の分解が不完全であった。胃ゾンデを用いたラットによる消化吸収試験では, WPP群は, 投与7分後で胃内容物が大きく減少し, これに対応して血漿遊離アミノ酸濃度も有意に上昇した。一方, WPC群の血漿遊離アミノ酸濃度は30分後にピークが現れた。このため, WPPは生体内での消化吸収性が優れていると考えられた。また, WPP投与時の血漿遊離アミノ酸濃度は, 投与後7分以降急激に減少することから, 吸収された遊離アミノ酸は血液から各組織へ速やかに移行し, 組織で利用されていると考えられた。
著者
平田 昌弘
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.291-293, 2002-10-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
8

家畜の乳利用を発見することにより一つの生業形態である牧畜が成立し, ユーラシア大陸全体に広まっていった。本稿では, ユーラシア大陸の乾燥地帯における乳文化圏を乳加工体系の視座から類型分類することを試みる。約50の民族の乳加工体系の事例研究の結果, 次の仮説が導きだせる。それは, 搾乳・乳利用は西南アジアに起原する。そして, 乳加工が未だ乳を酸乳にする, それを乾燥保存させるという段階で周辺に伝播してゆく。その後, 乳加工体系は大きく二つの地域, つまり, 北緯約40°, 年間平均気温約15℃を境に, 北方域と南方域とでは別々に乳加工体系が発達する。北方域の乳文化圏では, クリーム分離, 凝固剤として酸乳を用い, 乳酒つくりが発達する。一方, 南方域の乳文化圏では, 酸乳のチャーニングによる乳脂肪分の抽出, 凝固剤としてレンネットを用いる乳加工が発達したことが示唆される。以上が, ユーラシア大陸の乳加工体系を類型分類し, 類推され得る乳文化圏二元論である。
著者
森 治夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.254-257, 1959-11-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
9

One variety of barley and two of naked barley collected from several prefectures of Japan were analyzed on their phytic acid content by the McCance's method, in which the author adopted the colorimetric determination of phosphorus by Gomori.The phytic acid contents of pressed barley produced in various parts of Japan were also determined.Their values were very small, and almost the same as the values of polished rice.
著者
森 治夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.258-260, 1959-11-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

Three varieties of wheat produced in various parts of Japan, several brands of wheat flour made in two of the largest milling factories in Japan and several samples of bread made in Sendai and Tokyo were analyzed on their phytic acid content.The values of wheat flour were fairly different among different brands.The phytic acid contents of buckwheat and several kinds of noodle were also analyzed, indicating considerably high values.
著者
木村 友子 梅村 けい子 小川 安子 小川 政禧
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.655-659, 1969 (Released:2009-11-16)
参考文献数
5

以上述べたように蔬菜果実類に対する超音波洗滌処理は銅イナン含有農薬添付による残留銅イオンの除去に対し非常に有効であることが判る。しかし, 処理の条件によっては, 組織, 細胞を破壊し, 食用に供し難くなる怖れなしとしない。最初1分間の超音波処理による急激な第1次的洗滌効果に比し, 5分間, 10分間と処理時間を延長した時, 処理時間に比例してなされる銅イオンの除去は困難であって, 完全に除去しようと試みれば遂には組織, 細胞の破壊を招く。従って, 組織, 細胞を損傷することなく, 付着する銅イナンを除去するためには, 更に検討を要するものと思われる。本研究の要旨は昭和43年12月1日, 日本家政学会中部支部第15回例会においてこれを報告した。
著者
南 勝一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.239-241, 1958-03-05 (Released:2010-02-22)
参考文献数
26

昭和31年12月下旬~同32年1月上旬, および昭和32年7月下旬, 大学学生スポーツ選手を対照として, 激しいスポーツの累積疲労の防止に, グロンサンの効果を検討し, つぎの結果を得た。1. 馬術練習時における疲労軽減度は5.1%で2. 柔道練習時における疲労軽減度は79%であり3. 以上の成績は0.01以下の危険率で有意であつた。
著者
廣畑 富雄 富田 純史 柴田 彰
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-7, 1980-12-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1
著者
大武 由之 片山 智博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.447-451, 1970-09-20 (Released:2010-11-29)
参考文献数
15

馬肉の脂質の性質を明らかにする目的で, 食肉加工向けに輸入された馬肉について, その背最長筋, 上腕三頭筋および半膜様筋から抽出した遊離脂質と結合脂質の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーによって調査した。遊離脂質と結合脂質とは脂質成分が異なっていて, 遊離脂質は大部分が中性脂肪よりなり, 微量のリン脂質を含み, 一方, 結合脂質はほとんどがリン脂質よりなり, 少量の遊離脂肪酸, 遊離コレステロールを含んでいた。上腕三頭筋は背最長筋や半膜様筋よりも遊離脂質と全脂質含量が高かったが, リン脂質含量ではこれら筋肉間に有意差が見られなかった。一般に, 結合脂質は遊離脂質よりもC18: 2とC20: 4が多く, C16: 0, C16: 1およびC18: 1が少なかった。遊離脂質では背最長筋は上腕三頭筋や半膜様筋よりもC18: 0, C20: 4が多く, C14: 0, C16: 1が少なく, また上腕三頭筋は他の2筋よりもC16: 0が多く, C18: 0, C18: 2およびC20不飽和酸が少なかった。結合脂質にあっては, 背最長筋は上腕三頭筋や半膜様筋に比べてC16: 1が少なく, C20: 4が多かった。これらの結果, 上腕三頭筋は背最長筋や半膜様筋に比べて飽和酸含量が高かったし, 背最長筋の脂質は一番不飽和度が高かった。
著者
川口 真規子 丸山 剛平 山田 真
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.75-79, 2016

日本国内で流通しているバナナであるキャベンディッシュ種 (CA) , ラカタン種 (LA) およびセニョリータ種 (SE) の成熟果の糖度, 滴定酸度, クエン酸量およびカロテン量を測定した。LAおよびSEの糖度の平均±標準偏差はそれぞれ23.7±1.2, 25.4±0.7 Brix %であり, CA (20.3±1.1 Brix %) に対して有意に高値を示した。滴定酸度およびクエン酸量はCAに対してLAが有意に高値を示した。α-カロテン量はCAが26±8, LAが167±62, SEが108±10 μg/100 gであった。β-カロテン量はCAが26±6, LAが236±53, SEが205±22 μg/100 gであった。α-, β-カロテン共LA, SEはCAに対し有意に高値を示した。LAのα-およびβ-カロテン量は, 4月と6月に低く, 8, 9月に高値を示す傾向が見られたが, 月間における値の違いに有意差は認められなかった。
著者
川口 真規子 丸山 剛平 山田 真
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.75-79, 2016 (Released:2016-04-15)
参考文献数
9

日本国内で流通しているバナナであるキャベンディッシュ種 (CA) , ラカタン種 (LA) およびセニョリータ種 (SE) の成熟果の糖度, 滴定酸度, クエン酸量およびカロテン量を測定した。LAおよびSEの糖度の平均±標準偏差はそれぞれ23.7±1.2, 25.4±0.7 Brix %であり, CA (20.3±1.1 Brix %) に対して有意に高値を示した。滴定酸度およびクエン酸量はCAに対してLAが有意に高値を示した。α-カロテン量はCAが26±8, LAが167±62, SEが108±10 μg/100 gであった。β-カロテン量はCAが26±6, LAが236±53, SEが205±22 μg/100 gであった。α-, β-カロテン共LA, SEはCAに対し有意に高値を示した。LAのα-およびβ-カロテン量は, 4月と6月に低く, 8, 9月に高値を示す傾向が見られたが, 月間における値の違いに有意差は認められなかった。
著者
浜田 重遠 小林 和義
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.64-66, 1968 (Released:2009-11-16)
参考文献数
20

非芳香族化合物であるところのMethane arsonic acidのdisodium塩を飼料に混じてブロイラー雄雛の初生から微量を給与し, その量を順増して8週令まで飼育した。1) Methane arsonic acid disodium塩をAs2O5として5ppm添加の飼料を初生雛から与え数週間後に10ppm, 15ppmと順増して8週令まで飼育すると, 雛の発育がよく, その増体量は無添加の対照雛に比して有意的に大であった。2) このヒ素剤をAs2O5として10ppm添加して初生雛から与えたところ初期の成長に効果がなかった。3) このヒ素剤を添加して飼育した場合, 飼料要求率を改善した。4) このヒ素剤を添加して飼育した場合, 増体量の標準偏差が小さく, すなわちブロイラー雛のつぶがそろった。
著者
川端 晶子 澤山 茂
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.241-244, 1976-07-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

8種の果実ペクチン質および4種の市販ペクチンを試料とし, 臭化カリウム錠剤法による赤外線吸収スペクトル分析を行なうとともに, 中和滴定法によって, 試料中の遊離のカルボキシル基と, エステル形カルボキシル基を定量し, また, 原子吸光分析法によってカルシウムとマグネシウムを定量した結果, 赤外線吸収スペクトル特性が, エステル化度, 無機イオンおよび前報のメトキシル基の定量値とほぼ一致することが認められた。