著者
三島 徳雄 久保田 進也
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.27-31, 2001-03-20 (Released:2017-08-04)
参考文献数
17

産業医学では,リスナー教育は一次予防として行われるのが普通である.ここでは積極的傾聴法を中心とする研修という点から,リスナー教育の現状について報告した.傾聴は,Rogersの3条件(共感,無条件の肯定的関心,自己一致)に基づく人間尊重の態度をもって相手の話を聴くことを意味する.このような研修の必要性は幅広く解説されているが,学術的な研究論文は乏しい.このレビューでは,これまでに報告されてきたリスナー教育に関する報告について,一貫して3条件に基づいて行われる狭義のリスナー教育と,Rogersの理論とは異なる技法を組み合わせた広義のリスナー教育に分けて検討した.前者の例としては,池見らによる人間尊重の態度の重要性に関する研究があり,久保田ら,三島ら,および宮城は実際の研修について報告している.後者の例としては,森崎および浜口らは,交流分析等を含む彼等の研修を報告している.最後に,今後はリスナー教育の評価に関する研究が必要であるだけでなく,人材育成の視点から傾聴を考える必要があることも指摘した.
著者
廣 尚典
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-6, 2001-01-20 (Released:2017-08-04)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

本稿は, 職場のストレス対策において管理監督者が担うべき役割を論じた過去の文献を概観し, それを推進するための教育研修のあり方をまとめた.従来から職場で行われるストレス対策およびメンタルヘルス対策の多くで, 管理監督者教育は, 重要な活動のひとつとして位置付けられている.その効果についても, 職場のストレスの軽減や労働者の仕事に対する満足度の向上の面で, 高く評価する報告がみられる.しかしながら, その数はまだ多くなく, 前向きの介入研究により評価を行った研究報告は極めて少ない.さまざまな管理監督者教育プログラムの有用性に関する検討は今後の課題といえる.また, 最近多くの企業で組織や勤務形態などに変化がみられており, 従来型の上司-部下関係も徐々に変貌しつつある.それに伴って, ストレス対策において管理監督者に求められる役割も見直される余地があるであろう.
著者
小泉 直子 藤田 大輔 二宮 ルリ子 中元 信之
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.107-112, 1998
参考文献数
12
被引用文献数
3 9

State-Trait Anxiety Inventory(STAI)の統計学的検査項目減数化によるスクリーニングテスト:小泉直子ほか.兵庫医科大学公衆衛生学-本研究の目的は, 定期健診で身体的健診と平行して簡便に行い得る精神面の健診方法を見つけ出すことである.阪神淡路大震災の復興事業に携わる建設業の男性労働者264名を対象に, 定期健診時に行われたSTAIの状態不安(A-State)20項目, 特性不安(A-Trait)20項目, 計40項目の検査データとSDS検査データを基に重回帰分析を行い, 簡易スクリーニングテストとして活用しうる5項目を抽出した.この5項目の総得点に対する説明率は, 状態不安90.0%, 特性不安88.5%であり, 推計値と実測値の相関は, 状態不安r=0.949(p<0.01), 特性不安r=0.940(p<0.01)であった.また, この5項目の構成概念妥当性および信頼性についてもそれぞれ一定の評価が得られたことより, 対象者の精神健康の概要を把握するための簡易検査法として有用であり, 事業所におけるメンタルヘルス対策に活用しうると考えられる.
著者
辻 雅善 各務 竹康 早川 岳人 熊谷 智広 日髙 友郎 神田 秀幸 福島 哲仁
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.B12008, (Released:2013-02-05)
被引用文献数
3 8

目的:福島原発事故発生以降,毎日約3,000人の作業員が事故収束のために従事している.通気性の悪い防護服を着用した作業員に熱中症の頻発が懸念された.今後の原発作業員における熱中症予防対策の一資料とすべく,原発事故以降に発生した熱中症について分析を行った.対象と方法:福島労働局で把握した福島原発事故収束作業員の2011年3月22日から9月16日までに発生した熱中症事案43例を対象とした.熱中症発生数を年齢,発生月,発生時刻,気温,湿度毎に検討し,また熱中症の重症度の検討も実施した.重症度をⅠ度とⅡ度以上の2群に分け,年齢,気温,湿度に対してMann-Whitney U検定を行い,さらに,年齢(<40歳,40歳≤),気温(<28℃,28℃≤),湿度(<75%,75%≤),クールベスト着用の有無に対してχ2検定およびロジスティック回帰分析を行った.検定は両側検定,有意水準5%とし,統計ソフトはSPSS statistics 17.0を用いた.結果:熱中症が最も多く発生した年齢は40代(30.2%),次いで30代(25.6%)であり,発生月は7月(46.5%),発生時刻は7時から12時(69.8%),気温は25℃以上(76.7%),湿度は70%から80%(39.5%)であった.重症度Ⅱ度以上の者は10例,内5例が6月に発生していた.統計解析の結果,全因子において重症度の違いに有意差は認められなかった.考察:一般労働者の熱中症の好発年齢は45歳から60歳であるが,原発事故収束作業員では30・40代に相当数が認められており,比較的若年齢層においても熱中症予防対策が重要であることが示唆された.また,厚生労働省により夏季の午後は原則作業を中止する措置がとられたが,原発作業員の熱中症の好発時刻は午前中に集中しているため午前中の予防対策も必要である.重症度Ⅱ度以上が10例中5例も6月に集中していることから,6月から熱中症予防対策を実施すべきであると考える.今回,発生因子において重症度の違いに有意差が認められなかったのは,他の要因が関与している可能性,あるいは例数が少なかったためと考える.本研究結果の特徴を踏まえ,今後,原発事故収束作業員の熱中症予防対策を実施することが必要である.
著者
谷口 敏代 高木 二郎 原野 かおり 廣川 空美 高橋 和巳 福岡 悦子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-1, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
37
被引用文献数
4 6

介護老人福祉施設に勤務する介護職員のいじめ,ハラスメントとストレス反応:谷口敏代ほか.岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科―目的:本研究は地方都市にある介護老人福祉施設に勤務する介護職員について,いじめ,ハラスメントの実態を明らかにし,それらが心身の不調(ストレス反応)を起こすという仮説を検証することを目的とした.方法:A県のB地区にある介護老人福祉35施設の医師を除く全従業員を対象とし,2009年8–9月,自己記入式質問紙による横断調査を行った.調査内容は,職業性ストレス簡易調査票のストレス反応29項目,個人的ないじめ,仕事上でのいじめ,性的ハラスメントで構成される日本語版Negative Acts Questionnaire(NAQ)12項目であった.調査項目のストレス反応・NAQに欠損値のない1,233名(有効回答率63.9%)のうち,介護職員897名を分析対象とした.心理的ストレス反応(活気の低下,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつ感)と身体的ストレス反応(身体愁訴)が,いじめの体験の有無によって異なるかをt検定や分散分析を用いて検定した.結果:男女ともに半数以上が仕事上のいじめを構成する「必要な情報を与えない人がいて仕事が困難になる」を体験していた.また,男女とも4割程度が個人的ないじめを構成している「あなたについての陰口,または,うわさ」を体験していた.女性介護職員においては,個人的ないじめを受けた体験のある人で,有意に(p<0.05)活気が低く,疲労が高かった.また,仕事上のいじめを体験した人の方がそうでない人に比べ有意に(p<0.05)うつ気分が高く,性的ハラスメントを体験した人の方がそうでない人に比べ有意に(p<0.05)不安感が高かった.一方,男性介護職員ではいじめを体験している人がそうでない人に比べ有意に(p<0.05)活気が高かった.結論:女性介護職員において,職場のいじめ,ハラスメントは精神的ストレス反応の一部と正の関連を示し,仮説と矛盾しなかった.一方,男性介護職員ではいじめと活気との正の関連がみられた.職場のメンタルヘルス対策においては性差に考慮する必要性が示唆された.
著者
松本 悠貴 石竹 達也 内村 直尚 石田 哲也 森松 嘉孝 星子 美智子 森 美穂子 久篠 奈苗
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.154-164, 2013 (Released:2013-10-23)
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

目的: 睡眠は単に睡眠時間のみで良好か不良かを判断できるものではなく,睡眠の導入や維持といった睡眠の質,就寝時刻や起床時刻といった規則性まで考慮しなければならない.しかしながら,それらすべてを一度に評価できる指標は現在のところ存在しない.本研究は睡眠の規則性・質・量の3要素を評価するための質問票を独自に開発し,その信頼性と妥当性の検証を行うことを目的とした. 対象と方法: 対象は製造業およびサービス業に従事する日勤労働者563名(男性370名,女性193名)で,平均年齢は40.4歳であった.先行研究および専門家との討議を参考に,規則性・質・量それぞれ7項目,計21項目からなる質問紙を作成・編集した.まず項目分析を行い,その後因子分析にかけて構成概念妥当性を検証した.信頼性はクロンバックα信頼性係数を算出して求めた.また,主成分分析およびクラスター分析にて標準化・分類を行い,生活習慣や日中の眠気,ストレス,持病の有無などを比較することにより,判別的妥当性の検証を行った. 結果: 項目分析および因子分析にて,21項目中6項目が除外対象となったが,予測通り規則性・質・量の3因子構造が得られた.α信頼性係数はそれぞれ0.744,0.757,0.548であった.量因子として作成した2項目が規則性因子として抽出されていたが,それ以外は予測通りの因子として抽出された.入眠困難,熟眠障害,中途覚醒,早朝覚醒はすべて質因子として一定の負荷量を示していた.判別的妥当性については,最も点数の高いグループで健康意識が高くストレスや日中の眠気を感じていない者の割合が有意に高かった.一方で,最も点数の低いグループではストレスや持病などの睡眠障害リスクファクターを有している者の割合が有意に高かった. 考察: 今回我々が開発した質問票にて,睡眠の規則性・質・量における構成概念妥当性が示された.しかしながら,分析過程にて不適切と判断され除外された項目や,予測していた因子とは異なる因子として抽出された項目が存在し,信頼性および内容的妥当性については課題が残った.今後これらの質問項目について再度編集・改訂し,より信頼性・妥当性を高めていく必要がある.また,年齢や性等による影響を除いたより詳細な判別的妥当性の検討も要する.
著者
廣 尚典
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.329-340, 2023-11-20 (Released:2023-11-25)
参考文献数
87

わが国において,職場のメンタルヘルスに関する研究は,労働者のメンタルヘルス不調の第三次予防から,第二次予防,さらには第一次予防にまで,その主題を広げてきた.最近では,産業保健以外の領域の議論も取り込む動きがみられ,労働生活の質の向上や,組織の活性化といった,ゼロ次予防とも呼ばれる範疇の視点を持つものも散見される.こうした流れを踏まえて,拙論では,まず第三次予防,第二次予防に関する議論の成果であるとともに,研究や実践の基盤にもなってきたメンタルヘルス不調に係る用語,概念をまとめた.次に,1990年代以降の数々の研究で用いられてきた,仕事関連のストレスとそれがもたらす影響に関する主要なモデル,精神健康(不調)の指標などを紹介した.これらは,本領域の研究の拡がりに多大な貢献をしたと言える.他方,仕事関連のストレス要因と健康問題との関係に介在する影響因子は多数存在し,社会,文化的なものも少なくない.そのため,わが国で汎用性の高いメンタルヘルス対策の手がかりを得るためには,対象を国内に限定した大規模研究やメタ分析などを含む系統的なレビューが必要である.そうしたことから,第三に,わが国における本領域の代表的な大規模研究を,それらの推進に対する期待を込めて拾い上げた.もっとも,それらがいかに推進されても,その結果を現場での実践にどのように活用するかという課題がなくなることはないであろう.産業保健従事者が自らの担当する職場の実情を把握し,実践に落とし込む努力は重要であり続けるはずである.
著者
黒木 直美 宮下 奈々 日野 義之 茅嶋 康太郎 藤野 善久 高田 幹夫 永田 智久 山瀧 一 櫻木 園子 菅 裕彦 森田 哲也 伊藤 昭好 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.49-59, 2009 (Released:2009-10-08)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

小規模事業場において良好実践を行っている事業者の産業保健ニーズに関する質的調査:黒木直美ほか.産業医科大学医学部公衆衛生学―本研究では,小規模事業場における事業者の産業保健ニーズあるいは良好実践の動機を把握することを目的とした.これまでの調査では小規模事業場における産業保健活動の遅れが報告されている.これらの知見は主に質問紙調査から得られたものである.しかし,小規模事業場には事業者の意識が直接反映されるという特徴があり,積極的に産業保健活動に取り組んでいる事業場も存在している.このような小規模事業場の良好実践例において,事業者のニーズを分析した研究はこれまでにない.産業保健に対する事業者の動機を明らかにすることは小規模事業場間に良好実践を水平展開する一助となると考えられる.そこで,我々は産業保健活動の良好実践が行われている小規模事業場10社の事業者と半構造化面接を行い,その逐語録をKJ法を用いた質的手法で分析した.その結果,事業者はもっぱら「よい会社」,「よい経営」を強く意識していることが明らかになった.「よい経営」のための要素には「人材確保」,「取引先の信用」,「社会的信用」,「社長自身の健康」という4つがあった.事業者はこれらの要素を達成するため職場の安全,従業員の健康に関する活動は当たり前であると考えていた.さらに,具体的な活動には「コストの問題」,「担当者の問題」,「時間がない」,「外部資源」という既知の制約があった.調査結果から,経営と安全衛生活動を関連づけることが小規模事業場における安全衛生活動の向上に寄与すると考えられた. (産衛誌2009; 51: 49-59)
著者
岩切 一幸 佐々木 毅 三木 圭一
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.354-366, 2022-11-20 (Released:2022-11-25)
参考文献数
9

目的:休業4日以上の労働者死傷病報告における業務上腰痛は,業務上疾病の約6割を占めており,安全衛生上の重要な問題となっている.しかし,最近において業務上腰痛の発生状況に関する分析は行われていない.そこで本研究では,近年の業務上腰痛の特徴を抽出することを目的として,2018年及び2019年の労働者死傷病報告(休業4日以上)における業務上腰痛の発生状況について解析した.対象と方法:対象は,労働者死傷病報告(休業4日以上)における業務上腰痛10,208件(2018年:5,043件,2019年:5,165件)とした.解析項目は,提出局(都道府県),災害発生日時,事業場の労働者数,被災者の年齢,性別,休業見込期間,業種(大分類,中分類)とした.解析では,単純集計及びクロス集計を行った.結果:業種大分類別の業務上腰痛件数は保健衛生業が31.3%と最も多く,次いで商業,製造業,運輸交通業であった.保健衛生業を業種中分類別にみると,社会福祉施設は全体の24.3%を占めており,介護労働者の腰痛が多発していた.都道府県別では寒い地方に件数が多くなる傾向はみられず,発生月別でも気温が低くなる11月~1月に件数が少なかった.発生曜日別では休日明けの月曜日に件数が多く,発生時刻別では午前9時~12時の時間帯において約4割の件数が発生していた.事業場規模別では労働者数10–49人が最も多く,業種中分類ごとにみると社会福祉施設では同10–49人,医療保健業では同300人以上が最も多かった.被災者数は,就業者10万人あたりに調整すると,女性の方が男性に比べて若干多く,30代及び20代が多かった.休業見込日数別では,2週間以内が全体の約6割を占めていた.考察と結論:2018~2019年の業務上腰痛は,社会福祉施設にて多く発生しており,なかでも労働者10–49人の事業場にて多かった.また,女性の件数が多く,休業見込日数2週間以内の腰痛が多かった.業務上腰痛件数を減らすには,これらの属性の発生状況を勘案した対策を検討し,実施していく必要がある.
著者
川又 華代 金森 悟 甲斐 裕子 楠本 真理 佐藤 さとみ 陣内 裕成
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.260-267, 2023-09-20 (Released:2023-09-25)
参考文献数
16

目的:身体活動の効果のエビデンスは集積されているが,事業場では身体活動促進事業は十分に行われておらず,「エビデンス・プラクティスギャップ」が存在する.このギャップを埋めるために,本研究では,わが国の事業場における身体活動促進事業に関連する組織要因を明らかにすることを目的とした.対象と方法:全国の上場企業(従業員数50人以上)3,266社を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を行った.調査項目は,身体活動促進事業の有無,組織要因29項目とした.組織要因は,事業場の健康管理担当者へのインタビューから抽出し,実装研究のためのフレームワークCFIR(the Consolidated Framework For Implementation Research)に沿って概念整理を行った.目的変数を身体活動促進事業の有無,説明変数を組織要因該当総数の各四分位群(Q1~Q4),共変量を事業場の基本属性とした多重ロジスティック回帰分析を行った.最後に,各組織要因の該当率と身体活動促進事業の有無との関連について多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:解析対象となった事業所は301社であり,98社(32.6%)が身体活動促進事業を行っていた.Q1を基準とした各群の身体活動促進事業の調整オッズ比は,Q2で1.88(0.62–5.70),Q3で3.38(1.21–9.43),Q4で29.69(9.95–88.59)であった(傾向p値 < .001).各組織要因と身体活動促進事業との関連については,CFIRの構成概念のうち「内的セッティング」に高オッズ比の項目が多く,上位から「身体活動促進事業の前例がある」12.50(6.42–24.34),「健康管理部門の予算がある」10.36(5.24–20.47),「健康管理部門責任者の理解」8.41(4.43–15.99)「職場管理者の理解」7.63(4.16–14.02),「従業員からの要望」7.31(3.42–15.64)であった.考察と結論:組織要因該当数と身体活動促進事業の有無に量反応関連が認められ,組織要因の拡充が身体活動促進事業につながる可能性が示唆された.特に,社内の風土づくりや関係者の理解の促進が有用であると推察された.
著者
小林 直紀 笹原 信一朗 友常 祐介 道喜 将太郎 商 真哲 大井 雄一 羽岡 健史 梅田 忠敬 吉野 聡 松崎 一葉
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.286-293, 2012-12-20 (Released:2012-12-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

目的:休業に関する規則や職場復帰支援制度と,メンタルヘルス不全による休業者の発生状況から,両者の関連性を検討することを目的に本調査を行った.対象と方法:某県産業保健推進センター利用歴のある150ヶ所の事業場を対象に,休復職に関する規則とメンタルヘルス不全による休業者の発生状況に関する調査用紙を配布した.結果:常勤職員数と最大休業期間(r=0.489, p<0.001),常勤職員数と休業中の金銭補償期間(r=0.315, p=0.031)との間に有意な相関を認めた.また,常勤職員数1,000人以上の9事業場においては,金銭補償期間と休業者率(r=0.670, p=0.048),金銭補償期間と平均休業日数(r=0.866, p<0.001)との間に有意な相関を認めた.考察:メンタルヘルス不全による休復職の判断においては,金銭補償期間が影響を与えている可能性が示唆された.今後は,メンタルヘルス不全者の支援体制の改善を考える上で金銭補償期間の影響を考慮した制度の見直しが必要と考えられた.