著者
田村 慶子
出版者
北九州市立大学法学会
雑誌
北九州市立大学法政論集 (ISSN:13472631)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3・4合併号, pp.127-162, 2020-03

シンガポール史跡巡りツアーの名物ガイドである顔夕子さんのライフヒストリーを、シンガポール・日本関係の変遷と重ねながら綴ったエッセイ。
著者
日下 渉 初鹿野 直美 伊賀 司 小島 敬裕 宮脇 聡史 今村 真央 日向 伸介 北村 由美 新ヶ江 章友 青山 薫 小田 なら 田村 慶子 岡本 正明
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

世界各地の国家と市民社会は、性的マイノリティに対して「黙認」「抑圧」「矯正」「支援」など多様な対応をとってきた。なぜ国家と市民社会による性的マイノリティへの対応は、かくも多様なのか。一般に西洋では、民主主義と自由な市民社会が性的マイノリティの権利拡大に寄与するとされる。しかし東南アジアでは、性的マイノリティの権利要求は、民主主義体制のもとで何十年も放置されたり(フィリピン)、暴力的な弾圧されたり(インドネシア)、一党独裁制や軍政の下で進展を見せたり(ベトナム、タイ)、権威主義体制下で限定的に認められることもある(シンガポール)。このように、性的マイノリティの権利拡大の異なる程度は、政治体制の違いや市民社会の自由度からでは説明できない。本研究では、諸国家と市民社会による性的マイノリティへの異なる対応は、国民国家の正統性を支える「象徴」として、彼女/彼らがどのように利用されているかによって説明できるのではないかと仮説を立てて研究してきた。本年度は、6月にアジア政経学会において「アジアにおける性的マイノリティの政治:家族・宗教・国家」と題したパネルを開き、田村慶子が台湾とシンガポールについて、伊賀司がマレーシアについて、宮脇聡史がフィリピンについて、それぞれの事例を報告した。10月中旬には合宿を行い、2日間にわたってメンバー全員が報告を行い、共通の課題について徹底的に議論した。10月末には、マレーシアからPang Khee Teik氏 、インドネシアからAbdul Muiz氏を招いて、国際ワークショップを開催した。翌年2月にも、マレーシアからtan beng hui氏、フィリピンからJohn Andrew G. Evangelista氏、オーストラリアからPeter A. Jackson氏、タイからAnjana Suvarananda氏を招聘して、国際ワークショップを開催した。
著者
望月 康恵 大形 里美 森谷 裕美子 田村 慶子 織田 由紀子
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、東南アジア地域におけるジェンダー主流化の動きとNGOの役割について考察したものである。望月康恵(研究代表者)は、東南アジアの国際機構・制度に着目し、ジェンダー主流化への対応と加盟国との関係について考察を行い、機構・制度の独自の取り組みについて検証した。また、職務権限上の制限、加盟国への影響、取り組みの評価の必要性や将来への課題についても検討した。田村慶子(研究分担者)は、マレーシアおよびシンガポールの女性政策とNGOの関わりについて現地調査と具体的な検討を行った。それぞれの政府の女性政策と女性の地位について歴史的に明らかにし、またNGOが政府や州の政策にどのような役割を果たしているのか、その協力および対抗関係について分析し、問題点と課題を明らかにした。森谷裕美子(研究分担者)は、フィリピン、パラワン社会におけるNGO活動の個別、具体的な調査を行った。その結果、少数民族社会におけるNGO活動にはジェンダー主流化の配慮が欠けている例が多く見られたため、さらに、少数民族社会に影響力の大きいNGOにどのような課題が残されているかを明らかにし、今後、少数民族社会とNGOにどのような関係が期待されるのかを検討した。大形里美(研究分担者)は、インドネシアの女性政策の流れ、そして女性組織(社会団体、及びNGO)の発展について、インドネシア政府による2000年以降のジェンダー主流化政策が女性NGOの活動とアドボカシー活動によって実現したものであることを確認した。また、ジェンダー主流化に関連する様々な分野で活動を展開している女性NGOに着目し、組織の発展、活動内容について検討した。織田由紀子(研究分担者)は、ジェンダー主流化政策の歴史的変遷を踏まえつつ、アジア地域においてジェンダー問題に関わるNGOについて現状分析を行い、NGOが国境を越えたネットワークを通じて多様な課題におけるジェンダーの主流化の推進に影響を及ぼしてきていることを研究した。なお、研究代表者および分担者は、研究会を定期的に開催し、報告および意見交換を行うことによって、研究の進捗状況および方向性を確認しながら分析を深めた。その成果を日本国際政治学会東南アジア分科会(2002年11月淡路夢舞台国際会議場)にて報告し、また成果の一部を『アジア女性研究』(12号、2003年)の特集「ジェンダー主流化におけるNGOの役割-東南アジアを中心に」に掲載した。
著者
竹中 千春 網谷 龍介 磯崎 典世 戸田 真紀子 田村 慶子 小川 有美 中田 瑞穂 津田 由美子 合場 敬子 森本 泉 小嶋 華津子 柄谷 利恵子 勝間 靖 浪岡 新太郎 中村 文子 河本 和子 木村 真希子 中村 唯 小倉 清子 サンギータ ラマ アニー ダンダヴァティ ウルバシ ブタリア パメラ フィリポーズ
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ジェンダー研究の提起した概念や理論を導入し、国際政治学・国際関係論の再構築をめざすプロジェクトである。グローバリゼーションの波を被る国家や社会、および「国際体制(International Regime)」の変動について、成熟社会・成長社会・危機社会における政治過程と政治現象の事例分析をもとに、現代世界における「ジェンダー・ダイナミクス(gender dynamics)」を分析した。
著者
田中 恭子 ヤフダ マイケル 趙 新民 (文 〓) イー タン・リォク・ キオン ン・チン・ 田村 慶子 リーファー マイケル リオクイー タン チンキオン ジ スリャディナータ レオ
出版者
南山大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

「改革開放」の20年間に、中国と華人世界(主として東南アジア)は、急速に結びつきを強めているが、この両者の関係の実態を明らかにすることが、本研究の目的である。最終年度である本年度は、昨年度の調査研究に基づき、(1) 東南アジア華人のアイデンティティの現状について研究を続行すると同時に、成果の一部を発表し、(2) 中国福建省・広東省の僑郷における聞き取り等の調査を続行した。本革度はとくに、「アジア経済危機」のインパクトに注意を払った。(1)については、田中(研究代表者)、荒井(研究協力者)を中国・香港に派遣し、福建省で開催された国際シンポジウムにおける研究報告、北京・上海の僑務関係者のインタビュー調査および香港の研究者との交流を行った。また、共同研究者ホァン・ジェンリー(シンガポール国立大学)助教授を招聘し、シンガポールを中心に東南アジア諸国の華人について研究報告、討論、および打合せを行った。(2)については、田中・荒井を中国福建省・広東省に派遣し、文献およびインタビュー調査を行うとともに、厦門大学南洋研究院の庄国土教授・趙文留教授らと共同で行っている僑郷社会経済調査を続行した。同時に、昨年度來の調査データの整理を行った。また、この調査に携わってきた2人の共同研究者、趙文留教授・李一平講師を招聘し、研究報告、討論、打合せを行った。なお、田中を英国・オランダに派遣し、共同研究者と本研究全体の総括を行い、評価を聞くとともに、今後の研究の展開などについて、情報・意見の交換を行った。
著者
荒井 茂夫 田村 慶子 加納 寛 福田 和展 田中 恭子 レオ スリヤディナタ 賢 強
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

調査表回収率は全体で5割ほどであった。458部は十分とは言えないが、丁寧な聞き取り調査によって数値を補うことができた。インドシナ諸国華僑華人の移動は政治的混乱と戦争が最大の要因で新概念による分類が必要となった。従来は旧華僑・華人、新華僑の2分類であったが、難民華僑という分類である。彼らは受け入れ国、脱出国、中華文化の三者に濃淡差のあるアイデンティティを持つ点が他地域の華人と異なる点である。また欧米の難民華僑社会は民族・文化的共通の通信回路を持つエクスターナル・チャイナ的領域の拡大と見ることもでき、ワン・ガンウの理論は合致するが、移動に関して華僑大衆は生活次第で定住する傾向があり、難民華僑成功者も受け入れ国に資産を置きながらだ出国に帰国投資するもので、一族挙げて戻ることはない。この点ワン氏の理論は問題はあるが、都市間の移動という点では当てはまる。
著者
岩下 明裕 宇山 智彦 帯谷 知可 吉田 修 荒井 幸康 石井 明 中野 潤三 金 成浩 荒井 信雄 田村 慶子 前田 弘毅
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の実践的な成果は、第1に中国とロシアの国境問題解決法、「フィフティ・フィフティ(係争地をわけあう)」が、日本とロシアなど他の国境問題へ応用できるかどうかを検証し、その可能性を具体的に提言したこと、第2に中国とロシアの国境地域の協力組織として生まれた上海協力機構が中央アジアのみならず、南アジアや西アジアといったユーラシア全体の広がりのなかで発展し、日米欧との協力により、これがユーラシアの新しい秩序形成の一翼を担いうることを検証したことにある。また本研究の理論的な成果は、第1にロシアや中国といった多くの国と国境を共有している「国境大国」は、米国など国境によってその政策が規定されることの少ない大国と異なる対外指向をもつことを析出し、第2に国境ファクターに大きく規定される中ロ関係が、そうではない米ロ関係や米中関係とは異なっており、米ロ中印などの四角形のなかで、構成される三角形が国境を共有するかどうかで異なる機能を果たすことを実証したことにある。