著者
黒岩 政之 阪井 茉有子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【はじめに】深部静脈血栓症予防としての電気的筋肉刺激(以下EMS)の効果を家庭用簡易式電気的筋肉刺激を用い検討した.【方法】健常ボランティア20人を対象にEMS装着前,装着2分後,装着10分後の膝窩静脈と大腿静脈の最高流速を測定した.【結果】EMS装着10分後で膝窩静脈と大腿静脈の最高流速が有意に増加した(p<0.01).【結論】EMSの装着により最高流速が増加し下肢血流が改善することが分かった.
著者
森田 真史 糸満 盛憲
出版者
北里大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.αーTCPとDCPDの配合比と練和液の粉液比と圧縮強度および硬化時間ここで用いた燐酸カルシウムセメントは三菱マテリアル(株)によって開発されたαーTCP・DCPD系水硬性セメントである.DCPD10%,粉液比P/L=2.6で効果時間6分,最大圧縮強度は練和後,3日目で57.0MPaに達し,その後徐々に強度は低下することが平野らによって明らかにされている.2.練和セメントの粘度人工関節の固定または骨欠損部への充填材として本骨セメントを用いる場合,セメントの操作性のうち特に練和時における粘性と硬化時間が重要である.そこで,DCPD10%セメント粉末に対する粉液比を1,2,3の割合で練和し,硬化前の粘度を測定した.粉液比2程度が最も操作性がよいことが分かった.3.TCP顆粒混入によるセメント強度の改善効果ハイドロオキシアパタイト粉末((1)粒度1.0ー0.5mm,(2)粒度0.5ー0.3mm,(3)粒度0.3ー0.15mm,1200℃焼結)をセメント粉に5,10,20%それぞれ混入し,同セメント粉末をポリエチレングルコ-ス(PEG)30%を含む水2gに対して3.2gの割合で練和し,直径6mm,深さ12mmの圧縮強度測定試験片を作成した.強度はいずれもアパタイト不含のセメントの強度の50%以下であり,強度の改善は観られなかった.その原因として,アパタイト粉末とαーTCPの界面接着性に乏しいことが強度改善に結び付かなかった原因と思われた.4.家兎によるセメントの生体適合性評価大腿骨遠位端から2cm骨腿空を掻爬し,セメントを注入し,親和性を経時的に観察した.長期経過は現在観察中であるが短期の組織像では特に拒絶反応は認められない.
著者
伊藤 直樹 花輪 壽彦 及川 哲郎
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、社会的ストレスで誘発されるマウスのネガティブ思考に対する香蘇散の改善効果は観察されなかったものの、うつ様行動に対して香蘇散は抑制効果を発揮し、その作用メカニズムに脳内炎症抑制作用が深く関与することを明らかにした。また、うつの再発防止に香蘇散が有効である可能性も示された。これらの成果は、社会的ストレスによるうつの発症や再発における香蘇散の有用性を示唆するものであり、またこの研究を通して脳内炎症がうつの病態に深く関与することが検証され、今後の創薬研究に役立てられることが期待できる。
著者
新開 淑子 小口 徹 岸野 洋久
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.467-478, 1998-12-31

質問紙法心理テストとして国際的に高く評価されていたMMPI-1が,1989年に大幅に改訂されMMPI-2が誕生した。MMPI-1より引き継がれた基礎尺度に関して,MMPI-2の評価を行うために,311名の女子学生にMMPI-1,あるいはMMPI-2を約1か月間隔で2回施行した。MMPI-1を2回施行した第1グループ,MMPI-2を2回施行した第2グループ,MMPI-1とMMPI-2を施行した第3グループの比較結果から,次のような結論を得た。1)第1,第2グループのtest-retest相関係数比較結果から,高い尺度scoreの再現性が認められ,測定値の安定性という意味において,MMPI-2はMMPI-1と同程度の信頼性があることがわかった。2)第3グループのtest-retest相関係数比較結果と,第1,第2グループの第1回目施行における各尺度の平均値の差の検定結果より,MMPI-1を基準テストと考えた場合,MMPI-2はMMPI-1と同一概念を保持し,妥当性があることがわかった。3)因子分析の結果,MMPI-1とMMPI-2の因子構造はほぼ同一であった。4)各尺度の同じraw scoreをlinear T-score,あるいはuniform T-scoreに変換した場合,MMPI-1とMMPI-2のプロフィール形態はMf尺度を除き,類似していた。MMPI-2における変化はこれまでMMPI-1で保証されていた心理学的測定道具としての特性を変えるものではなく,基礎尺度に関しては実質的に同一のものであると考えられた。
著者
後関 利明
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

眼圧以外の緑内障の発症メカニズム解明を目指し、形態的変化をMRIにて、血流変化をレーザースペック血流計にて計測する。両測定を右方視、左方視、注視時に施行し、注視時における視神経変化と血流変化を正面視の結果と比較する。その結果、側方視での変化が大きければ、緑内障進行を予防する手立てとして、側方注視を制限する手術が有効となる可能性がある。
著者
大村 智 供田 洋 乙黒 一彦 山田 陽城 宇井 英明 清原 寛章 塩見 和朗 林 正彦
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

我々は天然物由来の新規な構造の抗マラリア剤を発見するために探索研究を行った。4年間の研究期間で、天然物素材等12,832検体を北里研究所のスクリーニングセンターに提供し、in vitroでの抗マラリア活性の評価を行った。その結果、選択毒性の高い抗マラリア活性を有する天然物素材として18種を活性物質取得候補とした。微生物素材からの探索の過程で、放線菌K99-0413株、KP-4050株、K99-5147株、KP-4093株(後に、高生産株OM-0060株を選択)及び糸状菌FKI-0266株の生産する抗マラリア活性物質は各々既知抗生物質のX-206、K-41、polyketomycin、borrelidin及びleucinostatin Aであると同定された。また、抗生物質ライブラリーからは、既に当研究所で発見されたtakaokamycin (hormaomycinと同定)及びoctacyclomycinに抗マラリア活性があることが分かった。さらに、X-206、K-41及びborrelidinはin vivoで既存の抗マラリア剤(artemether, artesunate及びchloroquine)よりも優れた効果を示した。特に、K-41及びborrelidinは新規な骨格の抗マラリア剤としてのリード化合物の可能性があり、今後開発に向けて詳細を検討する必要がある。植物素材からの探索の過程では、ジンチョウゲ科植物根部に含まれる抗マラリア活性物質2種を精製し、既知のbiflavonoid誘導体のsikokianin B及びCあることを同定した。上記の化合物類の抗マラリア活性は新知見である。また、新たにな素材としての海洋生物素材、天然物由来の活性物質誘導体については、現在抗マラリア活性の評価中である。他の選択菌株及び和漢生薬からの抗マラリア活性物質についても現在検討中である。
著者
佐野 肇 荻原 敦子 鈴木 恵子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

補聴器を安定装用している難聴者25人40耳の補聴器増幅特性の研究において、下記の結果を得た。1)適合十分耳は34耳(85%)であった。2)適合十分耳の65dBの語音入力時の実耳挿入利得は1000、2000HzではDSLv5のターゲットにほぼ一致していた。それ以外の周波数ではそれより小さかった。3)適合不十分耳では2000Hz、4000zhzにおける実耳挿入利得が適合十分耳と比較して有意に小さかった。4)65dBと80dBの語音入力での利得の変化からとらえたコンプレッションの程度はDSL法に近似していた。NAL-NL2と比べてよりリニアに近い結果であった。以上の結果は第34回国際聴覚学会(ケープタウン)、第185回日本耳鼻咽喉科学会神奈川地方部会(横浜)にて発表した。NAL-NL2とDSLv5の比較検討についてはほぼ予定通り研究を実施している。これまでに10例が研究に参加し、4例が終了、6例が進行中である。これまでのところ脱落例はなく、研究計画を変更する必要はないと思われる。
著者
有田 悦子 鈴木 幸男 竹下 啓
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、医療者-患者間のコミュニケーションギャップに注目し、臨床現場での有意義なインフォームド・コンセントの実現に還元すると共に、医療スタッフや薬学部生を対象とした医療コミュニケーション能力養成のための教育プログラム構築にも寄与することを目的として「がん患者への医療者からの説明」について質的検討を行った。その結果、同じ内容の説明をしたとしても、個々の患者の治療に対する感じ方や理解度などにより受け取り方は異なり、医療者が患者の個別性を尊重する重要性が示唆された。
著者
朝野 晃
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p416-419, 1981-08
著者
長内 国臣 馬嶋 恒雄
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.127-138, 1977-06-30

1) During 5 years from July, 1971 through September, 1976, 204 patients of the age 15 or younger were seen at OB-GYN clinic. They are 0.75% of 27, 210 newly registered patients and are expected to increase further. 2) More frequent chief complaints were vaginal discharge (55.0%) and menstrual disorders (18.3%). The incidence of the former was the highest at the age of four and of the latter at puberty around the age of 12〜15.3) Infantile vulvovaginitis was the most popular disease, accounting for 120 cases (58.8%). The pathogens were Staphylococcus aureus in 4 cases, Streptococcus faecalis in 4, Streptococcus pyogenes in one, Candida in 5, and Gonococcus in only one. 4) Other disorders were 3 cases of synechia labialis, 2 of sexual precocity and 3 of vaginal atresia. 5) Ovarian tumor was found in four cases, one of which was embryonal carcinoma. All of them were operated upon with good results.
著者
小島 ひで子 小島 善和 林 美奈子 辻 佐恵子 内藤 茂幸 油谷 和子 児玉 美由紀 松野 時子 阿部 美和子 石下 育生
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

医療者育成システムを目指し、その基盤となる基礎教育プログラムの継続評価として、子どもに対するグリーフケアへの関心や実践への意欲は向上し、プログラムの有効性が明らかとなった。また対象者から、より実践に即したプログラムの要望があり、実践教育プログラム案を作成し、有効性を調査した。必要と考える知識は3ヶ月後も定着し、介入必要事例への関心は向上していたが、介入実践例は半数程度であり、事例検討会などの継続支援の必要性が示唆された。定期的に基礎・実践教育プログラムを継続し、事例検討会を定着していくことが、がん患者を親に持つ子どものグリーフケアを支える医療者の育成につながることが期待できる。
著者
張 斌 田辺 聡 加藤 恵美 佐々木 徹 樋口 勝彦 小泉 和三郎 西元寺 克禮 三富 弘之 田辺 由美
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.151-155, 2002-04-30
被引用文献数
1

症例は53歳女性。平成13年8月,検診にて異常を指摘され上部消化管内視鏡検査を施行。十二指腸第2部に山田IV型のポリープを認めたため当院紹介受診となった。上部消化管造影検査では十二指腸第2部に長い茎を有する表面は平滑な山田IV型のポリープを認めた。上部消化管内視鏡検査にても同様の所見を認め,平成13年12月5日ポリペクトミーを施行した。組織学的には十二指腸粘膜固有層から粘膜下層浅層にかけてBrunner腺の増生が見られた。また,粘膜下層を主体に成熟した異型のない脂肪細胞と小血管の増生がみられ,平滑筋線維も錯綜して走行していたが,平滑筋芽細胞は見られず,過誤腫と診断した。十二指腸の過誤腫は非常に稀であり,文献的考察を含めて報告する。
著者
小倉 しおり
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.467-480, 1983-12-31

従来から用いられてきた各種の血痕予備試験法は,必ずしも鋭敏度と特異性が平行しているとは限らず,むしろ表裏一体となっているようである。私は今回 MBTH 試薬を用いて,両者共に利点とする新しい血痕予備試験の開発を試みた。その結果,第1試薬としては MBTH と組み合わせた53種類の試薬の中から,2-Amino-4-chlorophenol と o-Toluidine の2種現について,発色(赤紫,紫),鋭敏度(26000倍),偽陽性数(3)といずれも優れていた。組成は第1試薬として,0.8%MBTH水溶液と同濃度の前記2種の試薬各々との等量混合から成るもので,呈色反応は第1試薬の次に第2試薬(3%HP溶液)を各々1滴滴下する2液法で,1分以内に判定した。また予備試験施行後の血痕について,本試験・種属試験および凝集素吸収試験などを行なったところ,本法の2種類の試薬についてはほとんど影響がないことが認められ,血痕予備試験の試薬として利用価値の高いものであることが証明された。
著者
森山 俊介 高橋 明義 天野 勝文 内田 勝久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、成長ホルモン遺伝子が無脊椎動物に起源する仮説およびサケ成長ホルモンがエゾアワビ稚貝の成長を促進する発見に基づいて、軟骨魚類と無顎類の成長促進に関与するホルモン受容体を同定した。また、アワビの脳神経節にサケの成長ホルモン抗体に対する免疫反応陽性細胞群を検出し、その組織から成長促進因子および遺伝子を単離するとともに成長促進因子受容体を探索した
著者
堀口 兵剛 大森 由紀 松川 岳久 小松田 敦
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

秋田県のカドミウム(Cd)土壌汚染地域において自家産米摂取により過剰なCd曝露を受けた農業従事者を中心に住民健康調査を実施する。調査は集落毎に地元自治会館において健康診断形式で実施する。受診者から末梢血と尿を採取し、骨密度測定を行う。腎機能、骨代謝、造血能などに関する検査及び血液中、尿中のCd濃度の測定を行う。一方、当該地域の医療機関において腎機能低下を示す患者を対象にCd腎症スクリーニングを補完的に実施する。これらにより、秋田県のCd汚染地域の全体像解明及びCd腎症・イ病患者の効率的探索と保健指導・診療の実施を図る。さらに富山県でもCd腎症スクリーニングの実施を試みる。