著者
下村 泰彦 増田 昇 加我 宏之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、都道府県営の広域公園での指定管理者制度導入に関しては、財政負担の軽減を図る目的で、効率性が優先される傾向や、行政の外郭団体単体による指定管理から「産」や「民」の参画が進む中で、公園建設や管理運営に経験の無い団体が参入していること。また、環境負荷を与えないアダプティブマネジメント(順応型管理)に関しては、静的利用や動的利用等の利用目的に適した植生管理の手法が明らかとなった。
著者
広渡 俊哉/石井 実
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科学術報告 (ISSN:13461575)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.23-29, 2001-03-31

大阪府能勢町の「三草山ゼフィルスの森」において,1996年6月27日にゼフィルス類成虫の日周活動性ならびに摂食行動に関する調査を行った。ヒロオビミドリシジミは11時〜12時をピークとして10時から15時前まで活発に活動するのに対して,ウラジロミドリシジミはヒロオビミドリシジミが活動しない10時前と15時以降に活発に飛翔するのが観察された。ミズイロオナガシジミは6〜7時と14〜16時前後に,ウラナミアカシジミは16〜18時前後に活動するのが観察された。数種のゼフィルス類については,配偶行動が観察された。ゼフィルス類ばナラガシワ,クヌギなどの低・高木からなるさまざまな環境を活動場所としており,特にヒロオビミドリシジミはナラガシワ高木,ウラナミアカシジミはクヌギ低木周辺を飛翔する個体が多い傾向が認められた。また,ヒロオビミドリシジミ,ウラジロミドリシジミ,ウラナミアカシジミ,ミズイロオナガシジミなどのゼフィルス類では,土に活動性が低くなった時間帯にナラガシワの未熟果から吸汁する行動が観察された。
著者
窪田 祐一
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、アライアンス、アウトソーシング、M&Aといった事業再編のための管理会計の役割を調査した。アライアンスでは、組織内インターラクションが組織間成果に影響を与えることが明らかになった。また、アウトソーシングでは、日本企業のサプライチェーンの国際化、複雑化、抜本的見直しの観察から、学習や能力に関する理論的・実務的課題を明らかにした。加えて、被買収企業へのミニ・プロフィットセンターの導入ケースの研究では、マネジメント・コントロールのパッケージの存在を明らかにし、過去のコントロール・パッケージの導入・変更についての経験と知識が他の事業再編に役立つ可能性を見いだした。
著者
岩田 晃
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

肉離れ損傷の再発率の高さの要因が,損傷時の基底膜の変性にある,との仮説を立て,本研究を実施した。Wistar系ラットを用いて,電気刺激によって肉離れ損傷を誘発し,免疫組織染色法を用いて,基底膜の観察を行った。その結果,肉離れ損傷によって,基底膜の不整および肥厚が観察された。再生の主役である筋衛星細胞が,基底膜と形質膜の間に存在することを考慮すると,この基底膜の変性が不完全な再生につながり,再発率を高めている可能性が示唆された。
著者
青木 茂樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、公共施設などに設置された監視カメラ映像から、注視すべき映像を見落とさずに検出するための自動監視システムが注目されている。これまでの研究では、検出すべき行動やイベントなどのモデルデータを予め与え、モデルデータと合致する行動を検出する手法や、初めて観測された行動や観測頻度の低い行動を検出する手法が提案されている。これらの手法は特定の環境に依存した情報を学習しているため、学習結果を別の環境に適用できないことが課題となっていた。本研究課題では、複数の環境に共通の特徴に注目することによって、ある環境で学習した日常的な行動を基に、学習環境とは異なる環境で非日常状態を検出する手法を提案している。
著者
乾 善彦
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、日本語の文章の史的展開の中で、文字および表記体が文体に対してどのように関わってきたかを明らかにするものである。文字については、漢字専用時代の漢字の用法としての仮名が、諸文体の中でどのように機能していたかという点に関して、従来、対立的にとらえられていた記紀万葉集と木簡・正倉院文書との仮名に共通する基盤のあることを指摘し、共通する基盤からそれぞれの位相において、その文体に応じた字母が選択されることを明らかにした。表記体のついては、歌と散文との関係において、散文の表記体と歌の表記とのあいだに、それぞれのテキストに応じた選択意識が働いており、中国の仮借の用法からはじまる日本書紀歌謡の方法と、いわゆる変体漢文と仮名との対立による古事記歌謡の方法、割り書きという注補入形式という風土記歌謡の方法とが、古代において成立していること、その様式は、歌が定型か非定型かによって仮名書きになるか宣命書きになるかという対立へと展開し、やがて、文字としての仮名成立以降は、漢字対かなの対立へと展開する.ことを明らかにした。文字としての仮名(ひらがな・カタカナ)成立以降は、表記体の転換によって、表記体と文体とが微妙な差異を生じせしめる。その様子は、三宝絵、平家物語諸本の分析によって、明らかになった。つまり、三宝絵の場合は、成立時の表記体はひらがなであるが、原資料の漢文的な要素が色濃く出ているが、それでも漢字仮名交じりの伝本と比べると和文的要素が強く、それは真名本との対照によって知られる。また、平家物語の原体は漢字仮名交じりであったと推定されるが、そこには、漢文的要素がそのままの形で混入されることがあり、和漢混清の原初的な様相を示している。それは、表記体がひらがなへと移行しても、保存される傾向にあるが、やはり、和文的要素が入り込んでくることが指摘される。
著者
本多 克宏
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

非構造的なテキストデータから有益な情報を抽出することを課題とし,線形ファジィクラスタリング(局所的主成分分析)に基づく標本や変量の分類,視覚化などを通して,分析者が潜在的な相関ルールを直感的に理解することができる分析手法の開発を目的に研究を行った.テキスト-単語マップ作成におけるキーワードの自動選別法や,ノイズ文書を無視しながら類似したテキストからなる群ごとに核となる文書を強調する手法などを開発した.
著者
黄瀬 浩一 岩田 基 岩村 雅一 内海 ゆづ子 クンツェ カイ デンゲル アンドレアス 外山 託海
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Knowledge Logとは,人が日々獲得している知識の記録である.従来から存在するライフログとの違いは,Knowledge Logが知識という高次記号情報をログの対象とするのに対して,ライフログは,信号情報あるいは記号であっても単純なもの(例えば人の座る,歩く,食べるなどの行動)を記述する点にある.人の知識の大半は,人の読むという行為によって獲得されていることに着目し,本研究では,読むことに関連した知識のログを中心に,その量や質について推定するための各種手法を構築した.また,その基礎となる特徴照合,文書画像検索,文字,顔,物体などの認識技術,大規模文字画像データベースについても開発した.
著者
沼倉 宏
出版者
大阪府立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ガラス固体では,熱的ガラス転移温度に近い温度において構成原子・分子が熱揺動することによる粘弾性的挙動(α緩和と呼ばれる)が観測されるが,それよりも低い温度領域(あるいは高い周波数領域)において,それとはやや異なるメカニズムによる可逆的な力学緩和が観測されることがある.これはβ緩和とよばれ,金属ガラスにおいても最近Pd_<43>Cu_<27>Ni_<10>P_<20>合金において報告されている(Pelletierら,2002).本研究代表者がこれまで調べた結果によればZr-Al-Ni-Cuガラスにおいてはこの緩和現象は観測されず,一方pd_<42.5>Cu_<30>Ni_<7.5>p_<20>ガラスにおいては明瞭に現れる.本研究では後者におけるβ緩和をサブレソナンス強制振動法による動的剪断弾性率測定により詳細に調べた.β緩和は温度150℃から240℃の範囲では振動数10^<-3>Hzから10^0Hzに現れ,振動数スペクトルは幅は広いが対称であり,著しい非対称性を示すa緩和とは様相が異なる.今回は粘弾性モデルではなく擬弾性(anelasticity)モデルを用いて緩和時間の分布を考慮に入れて緩和スペクトルを解析した.緩和時間の逆数はアレニウス則に従い,その熱活性化パラメターは,振動数因子10^<12±1>s^<-1>,活性化エネルギー1.11±0.06 evであった.これらは結晶中の原子の拡散素過程における値と同程度であり,固体結晶における点欠陥の応力誘起再配向(短距離拡散)と同様なメカニズムが推測される.
著者
中山 祐一郎 保田 謙太郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

アブラナ属植物の河川における分布を、西日本の45の一級水系について調査したところ、ほとんどの河川において生育が認められたが、分布の密度や種構成は河川によって異なっていた。大阪府の大和川では、アブラナ属のカラシナが堤防法面と中水敷に生育していた。外来植物を除去する実験の結果から、カラシナは、堤防法面では秋の草刈後に出来た裸地にすばやく侵入して優占しているが、中水敷では在来種を競争によって排除して優占していると考えられた。また、野生系統と栽培系統との比較栽培実験の結果から、アブラナ属植物は、競争環境と攪乱環境で有利に働く性質をあわせもつことによって、河川の様々な環境で生育が可能であると考えられた。
著者
大江 真道
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

不時の豪雨いわゆるゲリラ豪雨による冠水がイネ生育へ及ぼす影響を明らかにするために1、2、4、8日の冠水処理を生育時期別に行った。生育初期に生じた影響は生育とともに回復し、収量への影響は小さかった。生育後期では、籾の分化期、花粉の形成期、稔の前期の処理で影響が大きく、2日以上の冠水で収量が減少した。収量の減少は弱勢の籾の退化に因る籾数の減少に起因した。生育後期の長期冠水(8日)は通常出現しない遅発分げつ(分枝)を促進した。見かけの茎数は増えるが穂を形成することは無かった。このような分げつの出現は重心を高め、倒伏に弱い姿勢に導いた。以上の障害は水温が高い場合ほど顕著であった。
著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満モデルマウス(KK-Ayマウス)に高スクロース食もしくは高フルクトース食を摂取させると、盲腸内の細菌叢に変化が起こり、特にビフィズス菌の減少が見られた。このような変化は高脂肪食でも見られるものであり、フルクトース過剰摂取に起因した脂肪性肝炎の発症に関係していると考えられる。ユーカリ抽出物を摂取させると腸管におけるフルクトース吸収が抑制され、高フルクトース食に起因した脂肪肝が抑制されるが、その活性成分としてテリマグランジンIを見いだした。また、ユーカリ抽出物以外に、バナバ、グァバ、オリーブ抽出物にもフルクトース吸収阻害活性があり、高フルクトース食に起因した脂肪肝の抑制に有効であった。
著者
村田 京子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

まず、バルザック、ジョルジュ・サンド、マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモール、テオフィル・ゴーチエ、スタール夫人の小説を取り上げ、文学と絵画の相関性を分析し、絵画が小説構造に果たす象徴的な意味を明らかにした。次に、上記の作家の作品の登場人物のポルトレを抽出し、それぞれラファエロ、ジロデ、ルーベンス、ホルバイン、ドメニキーノなどの絵画的表象と関連づけ、19世紀当時の「女らしさ」「男らしさ」の概念と比較対照しながら、ジェンダーの視点から検証した。最後に、女性作家と男性作家の小説における女性の芸術家像を比較することで、女性作家独自の芸術家像を浮き彫りにした。
著者
川本 真由子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学紀要 人文・社会科学 (ISSN:04734645)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p47-54, 1992

『アセンズのタイモン』は、E.K.チェインバーズの推定によればシェイクスピアの悲劇の最後のもの(1607-8)である。そしてこの劇が、先行するとされている二つの悲劇『リア王』(1605-6)と『コリオレーナス』(1607-8)に、それぞれ非常に類似した要素を含んでいることは、容易に見てとることができる。しかし、劇全体として『アセンズのタイモン』は、『リア王』が我々に与える感動も、また『コリオレーナス』が与える種類の感動も我々に与えない。この小論では、これらの作品との類似点に注目しつつ、『アセンズのタイモン』が、真に悲劇的感動を引き起しそこねている理由について考察してみたい。
著者
辰己砂 昌弘 松田 厚範 忠永 清治 南 努
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、メカニカルミリング(MM)法により得られる非晶質微粒子を熱処理することにより、高イオン伝導性結晶を析出させた新しいタイプの固体電解質ガラスセラミックス材料を創製することを目的としている。2年間で得られた主な成果は以下の通りである。(1)MMによるLi_2S-P_2S_5系、Li_2S-P_2S_5-SiS_2系およびLi_2S-P_2S_5-GeS_2系非晶質固体電解質材料の合成を試みた。その結果、何れの系でも広い組成域でガラスが得られた。これらのガラスは室温において10^<-4>Scm<-1>程度の高い導電率を示した。(2)上記(1)で作製したガラスを様々な条件で熱処理することにより、室温での導電率が10^<-3>Scm^<-1>付近の極めて高い導電率を有するガラスセラミックスが得られた。(3)上記(2)で得られたガラスセラミックス中には、現在室温で最も高い導電率を示すLi_<4-x>Ge_<1-x>PxS_4系チオリシコン結晶と類似の結晶がいずれも生成しており、これが高い導電率の得られる要因であることを見出した。(4)Li_2S、単体リン、単体イオウを出発原料として、Li_2S-P_2S_5系ガラスおよびガラスセラミックスの合成をMM法により試みたところ、熱的・電気的性質においてLi_2SとP_2S_5から作製したものとほぼ同等の生成物が得られた。(5)MM法によって得られたLi_2S-P_2S_5系ガラスセラミックスを固体電解質とし、負極にIn金属、正極にLiCoO_2を用いて全固体二次電池を試作し特性を評価した。その結果、初期数サイクルの不可逆容量が大きいものの、初期充電を容量規制で行うことによって放電容量が増大し、200サイクル経過後も放電容量約100mAhg^<-1>、充放電効率ほぼ100%の極めてサイクル特性に優れた全固体電池が得られた。
著者
片岡 健 中塩 文行 寺本 正明 竹内 寛 川崎 順二郎 江口 彌 平田 彰 古崎 新太郎 藤縄 勝彦 原田 誠
出版者
大阪府立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

乳化粘膜による分離濃縮プロセスの開発においては, 1.二本の長鎖アルキル基を有する新しい界面活性剤が合成され, 分離濃縮プロセスの見地から望ましい界面活性剤であることが実証され, 実用化へ前進した. 2.溶存クロムの連続槽型分離濃縮操作には, 滞留時間とその分布が影響し, 並流操作が実用的であることが判明した. 3.向流接触塔による分離濃縮プロセスのシミュレーションにより, pH変化を拌う分離濃縮系にはpH調節が重要であることを明らかにし, 塔内濃度分布の推算および装置設計が可能となった. 4.乳化液膜の電気解乳化速度式が提案され, 液滴合一の限界電場条件が示唆されるとともに, 試作した連続解乳化装置の操作条件が明らかにされた. 支持液膜による分離濃縮プロセスの開発においては, 1.多孔性支持液膜に使用する有機物として, 直鎖系炭化水素が膜の安定性に優れ, 支持液膜の連続再生方式を提案した. 2.新しい膜形態として流動液膜が提案され, スパイラル型, plate-and-frame型各モジュールが試作され, 好成績を示した. 3.Ga・In湿式製錬プロセスに, 支持液膜法あるいは乳化液膜法が導入できることを明らかにした.液膜分離技術の応用開発においては, 1.希土類, 特にランタンの分離に適用できることを明らかにし, 分離濃縮の基礎的設計指針を見出した. 2.バイオプロセスへの液膜法の検討が行われ, Z-APMの連続合成に適用可能であることを見出した. 3.(O/W/O)液膜による有機物の分離選択性を高める方法を提案し, 転相による新しい機械的解乳化法を見出した. これらの諸成果を基盤とすれば, 実用的な連続分離プロセスは可能であり, パイロット・プラントの試作・操作が望まれる. なお一連の開発研究の過程より新たにマイクロエマルションを応用した液膜分離の技術開発の重要性が萌芽してきた.