- 著者
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清水 正明
- 出版者
- 宝石学会(日本)
- 雑誌
- 宝石学会(日本)講演会要旨
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.4-5, 2018
<p>富山県に産出する代表的な鉱物及びその産地について,産状別にまとめ,報告する。合わせて,「越中七金山」について,紹介する。</p><p>I. 産状別にまとめた富山県の代表的鉱物産地</p><p>(1) スカルン鉱床</p><p>(1-1) Pb-Zn-Cu 型</p><p>1. 富山市池ノ山 <u>神岡鉱山清五郎谷坑</u>,播磨谷,銅平谷</p><p>アダム鉱,異極鉱,灰鉄輝石,灰礬ざくろ石,孔雀石,珪灰鉄鉱,青鉛鉱,チタン石,デクルワゾー石,透輝石,バーネス鉱,白鉛鉱,ブロシャン鉱,硫カドミウム鉱,緑鉛鉱,緑閃石,緑簾石など</p><p>2. 富山市亀谷(かめがい) <u>亀谷鉱山</u> アダム鉱,霰石,異極鉱,灰鉄輝石,水亜鉛鉱,水亜鉛銅鉱,透輝石, <i>菱亜鉛鉱</i>,ロードン石など</p><p>3. 富山市長棟(ながと) <u>長棟鉱山</u> 黄鉄鉱,黄銅鉱,絹雲母,閃亜鉛鉱,白鉛鉱,方鉛鉱など</p><p>(1-2) Fe 型</p><p>4. 富山市水晶岳 <u>黒岳鉱山</u> 磁鉄鉱,灰鉄ざくろ石,水晶,鉄バスタム石など</p><p>5. 上新川郡加賀沢村 <u>加賀沢鉱山</u> 磁鉄鉱,磁硫鉄鉱,珪灰石,ざくろ石など</p><p>(2) 鉱脈鉱床</p><p>(2-1) Au-Ag-Cu 型</p><p>6. 魚津市松倉(虎谷) <u>松倉鉱山</u> 黄銅鉱,輝銅鉱,エレクトラム,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,</p><p>7. 魚津市鉢金山(かなやま) 鉢鉱山 輝銅鉱,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,エレクトラム</p><p>8. 魚津市河原波(かわらなみ) <u>河原波金山</u> 輝銅鉱,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,エレクトラム</p><p>9. 中新川郡上市町下田(げた) <u>下田鉱山</u>(白萩鉱山) 黄鉄鉱,黄銅鉱,エレクトラム,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱</p><p>10. 富山市庵谷 庵谷鉱山,片掛鉱山, <u>吉野鉱山</u> 黄鉄鉱,含銀四面鉄鉱,輝銀鉱,閃亜鉛鉱,磁硫鉄鉱</p><p>(2-2) Mo 型</p><p>11. 黒部市宇奈月町池の平山東斜面 <u>小黒部鉱山</u> 輝水鉛鉱,水鉛華,石英,ポウエル石</p><p>12. 富山市岩苔小谷 <u>大東鉱山</u> 輝水鉛鉱,鉄水鉛華</p><p>(2-3) その他</p><p>13. 南砺市福光刀利下小屋(とうりしもごや) <u>刀利鉱山</u> 黄鉄鉱,輝銀鉱,石英,方鉛鉱,硫砒鉄鉱</p><p>14. 黒部市宇奈月町餓鬼谷 <u>大黒鉱山</u> 銅鉱</p><p>(3) その他</p><p>15. 富山市小原(おはら) <u>千野谷鉱山</u> <i>石墨</i>,絹雲母,ぶどう石,方解石,緑泥石</p><p>16. 富山市蟹寺 <u>蟹寺鉱山</u> 石墨</p><p>17. 中新川郡立山町室堂 <u>地獄谷</u>鍛冶屋地獄(かじやじごく) 硫黄</p><p>18. 下新川郡朝日町宮崎—境 <u>ひすい海岸</u> <i>ひすい輝石</i>,オンファス輝石,コランダム,透閃石</p><p>19. 黒部市宇奈月町明日(あけび)谷,深谷(ふかたん), <u>イシワ谷</u>など <i>十字石</i></p><p>20. 南砺市利賀村<u>高沼</u>(たかぬま)<i> コランダム</i>, 珪線石,石墨</p><p>21. 南砺市祖山(そやま) <u>祖山珪石</u> 褐簾石,サマルスキー石,ジルコン,石英,正長石,微斜長石,ポリクレース,ユークセン石</p><p>22. 中新川郡立山町 <u>新湯温泉</u> 魚卵状珪石,貴蛋白石(珪華、蛋白石)</p><p>23. 南砺市福光 玉随,碧玉,めのう</p><p>24. 中新川郡上市町白萩村 鉄隕石(白萩 1 号:明治 23.4. 発見,白萩 2 号)</p><p>II. 「越中七金山(ななつかねやま)」</p><p>越中は,かつてエル・ドラード(黄金郷)であった。富山藩分藩の際,加賀藩が手放さなかった(富山藩領地内に加賀藩の飛び地があった。)。一時期佐渡金山より産金量が多かったという記録があり, 17 世紀後半まで加賀藩の財政の要を担ったドル箱的存在であった。ゴールドラッシュに沸き返ったこれら「加袮山」は,戦国時代から江戸時代初期を中心に,「越中七加袮山」と呼ばれ,松倉,河原波,下田,虎谷,吉野,亀谷,長棟の 7 つの鉱山のことであった。</p>