著者
久保田 和歩 真弓 夏生 桜木 惣吉
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学編 (ISSN:18845142)
巻号頁・発行日
no.69, pp.59-64, 2020-03-01

養護教諭にとって,ストレスによる心身の不調などメンタルヘルスに関する課題等への対応は,重要な任務の一つである。そこで,ストレスへの理解を深めるため,女子大学生を被験者としてストレス度と生活習慣や生育環境・生来の性格との関連をロジスティック回帰分析により分析した。その結果,「趣味に費やす時間が十分でない」「アルバイトの現状に満足していない」「両親に叱られることが多かった」「両親に比較された」と感じている人ほどストレス度が高かった。また本人が多感であるほどストレス度が高く,心気症・精神衰弱・社会的内向性の傾向が高いほどストレス度が高かった。以上より,子供たちに好きなことをする時間を与え,子供たちをむやみに叱ったり,他の子供と比較したりせず,認めて自信をつけさせること等が,ストレスの軽減に有効であると考えられる。
著者
吉岡 恒生
出版者
愛知教育大学
雑誌
治療教育学研究 (ISSN:09104690)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-21, 2010-02-26

本論では,子どもを援助する者の「心の傷」が援助プロセスへ与える影響について論じた。子どもを援助する者の「心の傷」が子どもの「心の傷」に触れる際に,どのようなプロセスが起こりうるか,またその癒しの効果と危険性はどのようなものかについて,「傷ついた癒し手」「メサイア・コンプレックス」等の概念を用いて論じた。また,特別支援学校教員への記述式アンケートにより,自身の子ども時代の「心の傷」をめぐるエピソードが,特別支援学校教員としての職業選択・教育実践に影響しているかもしれない,と半数近い者が感じていることがわかった。またアンケートの記述をもとに,「心の傷」が職業選択・教育実践にどのように影響するかについて,7事例を紹介しつつ考察した。以上を踏まえて最後に,特別支援学校における「子どもたちの心の傷とその対応」について論じた。
著者
河村 愛 河村 善也
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 自然科学編 (ISSN:18845169)
巻号頁・発行日
pp.23-30, 2018-03-01

The Quaternary is the latest period of the Earth’s history ranging from about 2.6 million years ago to the present day. Based on the results of recent researches on the Quaternary, this paper briefly outlines environmental changes during the period, which are important for understanding the present-day environment in historical context, for anticipating the environment in near future, and for seeking to learn about the significance of environmental protection. In Japan, however, the importance of the Quaternary environmental changes seems not to be adequately understood in the field of environmental education. This paper, therefore, emphasizes the importance, and presents a course for learning the environmental changes and for considering their significance to human life. We believe that the course adds new topics to classes of environmental education mainly in Japanese schools.
著者
田口 達也 岩田 吉生 小塚 良孝 浜崎 通世
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育 (ISSN:24335339)
巻号頁・発行日
no.17, pp.16-23, 2017-10

聴覚障害学生に対する授業経験が少ない(または皆無の)英語教員にとって、手話に頼らないインクルージョン教育方法の開発は大きな課題である。本稿では,海外での研究及び教育実践の文献に基づいて、教員が手話を用いることなく、聴覚障害学生と健聴学生が合同で受講する英語授業において効果的と考えられる具体的な授業運営および指導方法を考察する。特に、(1)授業運営や指導に際しての環境整備や基本的配慮事項、(2)聴覚障害学生に対する教育実践の中から、健聴学生にも有効と考えられる技能別指導方法、とりわけ語彙指導、文法指導、リーディング・ライティング指導、そして音声関連指導、(3)ICT機器の使用方法と教材、の三つの側面に焦点を当て、それぞれに関連する配慮事項や教育実践方法を最近の文献から抽出し、それらを実りのある方法で統合した指導法を探る。
著者
釜田 史
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、戦後日本における教員養成システムの中核を担い続けている「課程認定制度」の成立過程について、国立公文書館や各大学内に所蔵されている史資料を活用し明らかにすることを目的としている。また、戦後日本の教員養成システムの中核的な人物だった玖村敏雄が残した史資料(「玖村文庫」、山口県立山口図書館所蔵)の調査・収集・整理・分析も重点的に行い、その研究成果は『「玖村文庫」目録(山口県立山口図書館所蔵)』(報告書)として、「解題」「玖村敏雄著作目録」「玖村文庫目録」「植木鉢(玖村の自叙伝)」を収録し刊行した。