著者
米田 力生
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

複素平面上の開単位円板上において、p-乗可積分である正則関数によって作られるバナッハ空間をベルグマン空間という。本研究の目的は、このベルグマン空間を一般化した空間である荷重付きディリクレ空間上のマルティプライヤーにおけるシンボル空間がどの程度縮小するのかを解析し、荷重付きディリクレ空間上で定義された(ある特殊な二つの)積分作用素の性質を詳しく調べることである。一般に、その二つの作用素は、有名なテープリッツ作用素とハンケル作用素と呼ばれる二つの作用素と密接な関係がある。そのため、これら二つの作用素の性質を調べることは、テープリッツ作用素やハンケル作用素の新たな性質を導き出す鍵となる。そこで先ず、それらの作用素がいつ有界、コンパクトとなるのかに関しての研究を行った。これらに関する研究は、一定の成果を上げ、幾つかの研究集会において発表し、専門雑誌に受理され出版された。また更に吟味を重ね、別の幾つかの成果(有名な空間であるBMOA上での積分作用素及びマルティプライヤーに関する)を上げることに成功した。その結果は、専門雑誌に受理され、今年度出版予定である。また今年度は、荷重付きブロッホ空間上で定義される合成作用素及び積分作用素がいつ閉値域を持つのかに関する研究を行った。先ず、積分作用素がいつ閉値域を持つのかに関して研究を行い、これまでにはまったく知られていなかった必要十分条件を導き出すことに成功した。これらに関する成果は、幾つかの研究集会で発表し、更に吟味を重ね、現在、専門雑誌に投稿中である。更に、これらの結果を合成作用素に応用出来ないかという研究に着手し、幾つかの成果が上がってきている。これらの結果は来年度、発表予定であり、更なる吟味の上で、専門雑誌に投稿する予定である。
著者
舩尾 日出志
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学 (ISSN:0587260X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.17-30, 1991-02-20

In diesem Aufsatz handelt es sich um die Darstellung der Ergebnisse unseres sorgfältigen Durchsehens von P. Oestreichs einigen Schriften in den Jahren 1925-1927. Mit dem Artikel "Ein Fußtritt" (1925) rechnet Oestreich wiederum mit den rechten SPD-Schulpolitikern ab. Der Artikel "Die Begabung der Begabten" (1926) ist seine Auseinandersetzung mit Dr. Wilhelm Hartnacke, Stadtschulrat von Dresden, der mit seinen reaktionären biologischen und rassenkundlichen Begabungstheorien zum Wegbereiter der faschistischen Pädagogik wurde. Darauf haben wir folgende Erkenntnisse durch das Durchsehen von seinen weiteren Schriften in der Jahre 1927 gewonnen : "Prüfel als Schul-'Strafe'?" ; Sind Kolonien Erzieher zu volklicher Persönlichkeit? ; Die Not Front!. (1) Aus humanistischer Haltung wendet sich er gegen die Prügelstrafe. (2) Er hat zusammen mit seinem Kampf gegen Nationalismus, Chauvinismus, Rassismus und Militarismus den fortschrittsfeindlichen und antidemokratischen Charakter der Kolonialpropaganda als einen wesentlichen Bestandteil der ständigen intensivierten imperialistischen Erziehung angegriffen. (3) Besonders eingehend hat er sich mit den Bestrebungen reaktionärer Kräfte auseinandergesetzt, durch Wiederherstellung der konfessionellen Gebundheit aller Volksschulen den EinfluB fortschrittlicher politischer und weltanschaulicher Lehren zurückzudrägen.
著者
戸谷 義明 伊藤 弘晃 後藤 大希
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 自然科学 (ISSN:03653722)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.33-43, 2007-03-01

Sweet candies are remarkably familiar and attractive not only for the primary school children, but also for adults. For visiting instruction of the chemical experiment in a cooking room, procedures of candies making were investigated. Three sweet candies, "Gummy Candies", "Lemonade Candies", and "Sweet Alginate Beads" were chosen and their preparation methods for visiting instruction were developed chemically. A practice by using the developed methods was performed in a cooking room at Mizuho Young People's Center(Seinen-no-i-e) in Nagoya city on August8, 2006. The experimental method in candies making was proved to be educationally useful and effective to master the basic theory and handling in chemical experiments by analyzing the questionnaire data.
著者
村岡 眞澄
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.77-82, 2003-03-29

いわゆる「一年生プロブレム」などをきっかけにして、幼・小連携への実践的取り組みに対する関心が高まっている。より実りある連携を推進するには、従来のようなイベント的な交流に終ることなく、教育内容や指導方法の見直しといったところにも踏み込んでいく必要があると思われる。このような問題意識から、小学校低学年の子どもの発達特性に相応しい教育の内容や指導方法を「体育」を切り口として探ろうとした。幼少年期の子どもにとって、身体活動の持つ意味は大きいからである。運動種目を課題として与えず、「子どもがやりたい」と思い、「やってみよう」と自分で取り組み、多種多様な動きを工夫してつくり出す子ども中心の生き生きとした体育学習を総合的につくろうとしている岩井の「忍者体育」のような実践が追究されるならば、そこに自ずと幼・小連携の道が開かれるであろう。岩井の実践はまた幼児教育の見直しを要請する。幼・小の相互理解をふまえながら、子どもの側からの教育を追究することが小連携の基本となると考える。
著者
牛田 憲行
出版者
愛知教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

世界で唯一最多のニュ-トリノ・エマルジョン(νEm)反応(FNAL E531)を解析しその荷電カレント(C.D)反応における終状態二次粒子(SHOWER Ns,GREY Ng,BLACK Nb)の多重度、角分布、エネルギ-分布、各粒子相互の相関を調べた。W依存性とKNO scalingの様子から〈Ns〉はPROJECTILE粒子の種類によらず、むしろ標的に依ることがわかった。Nbの角分布、エネルギ-分布からこれが核からの蒸発粒子であることが明確となった。Ngについては、陽子・EMULSION(pEm)反応と比べ多重度の低い所ではνEmの方が多く、逆に高い所では逆になっていて、νEmとpEmとでPROJECTILEの核内相互作用の違いによるNgの頻度の差が浮き彫りにされた。〈Ns〉はW^2に依存して漸次増加するのに対して〈Ng〉も〈Nb〉もW^2の値によらずほぼ一定となった。NbとNgとの間には強い相関があり、これらはUNIVERSALな勾配をもつが、Nsと無関係である。Ngの角分布はpEmに比べ前方への傾きは緩やかで、Ngの前後方の放出比はpEmよりも小さく、pEmの場合よりも多く後方に放出される。νEmにおける核効果を解く鍵がNgであり特に後方に出るNgが重要で(核子標的の場合後方放出は禁止される)、さらに300MeV/c以上の後方放出Ng(CUMULATIVE PROTON;CP)生成について約700例のC.C反応を完全解析してCUMULATIVE EFFECTを調べた。CPの運動量自乗分布の勾配は他のνNeやハドロン実験での値と良い一致をし〈A〉=80の場合でもNUCLEARE SCALINGが成立していることがわかった。CPの生成率はA^αに依存し他の泡箱実験と本研究のデ-タから20≦A≦80にたいしてα=0.68となりA^<2/3>に依存することがわかった。また10≦Eν≦200GeVにわたってCPの生成率にエネルギ-依存性がないことがわかった。後方放出Ngと前方放出Ngの間には相関があり、核内のSUCCESIVEなREINTERACTIONの過程から前方陽子が増えると後方陽子も増えるというCP生成模型が有効であると考えられる。
著者
江口 誠
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ジャーナリズムと文学という観点からピータールー虐殺事件の受容に焦点をあて、19世紀初頭イギリスにおける様々な言説の把握を試みたものである。主な研究成果は、以下の3点にまとめられる:(1)単著Progress and Stasisの出版、(2)学術論文「サミュエル・バムフォードの詩におけるピータールー虐殺事件」の発表、(3)学術論文「ピータールー虐殺事件とWilliam Hone」の発表。
著者
藤江 充
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

3年間の研究は,学校と美術館との連携に関わる分野のうち,(1)美術館での教育活動の実態調査とその課題の指摘,(2)学校教員と美術館学芸員との連携の実態調査とその課題の指摘,(4)学校と美術館での美術鑑賞教育の実践上の課題,(3)学校と美術館との連携を展望するための視座の提案,を中心に行った。以下にその成果を述べる。(1)実態調査では,いくつかの県立美術館や都立美術館を訪れ,担当者に面接し,資料などの提供を受けた。そうした現場で直面している共通の課題について整理した。また。児童生徒を対象とした美術館のワークショップやギャラリー・トークなどの活動をビデオに撮影して各館の保存資料として提供した。また,北米の事例を美術館へも紹介した。(2)特に,「アミューズ・ヴィジョン研究会」を中心とする連携促進の活動に参画し,シンポジウムでのまとめをするなど連携の方向を提案した。また,教員や美術館ボランティアに対して,連携のあり方に関する意識調査を行ない,現状認識を知るデータとした。学校での美術館との連携授業に参加し,ビデオに撮影し,研究・実践資料として提供した。(3)公開講座やいくつかの学校での研修会の講師として,美術鑑賞教育の考え方や事例を紹介し,「アート・ゲーム」など最新の鑑賞指導の普及に努めた.学校や美術館での美術鑑賞活動に対する提案をすると同時に,両者を結ぶ教材を研究し,試作し,授業資料を提供した。(4)連携の方法論だけに終わらずに,連携の基本的な意義を確認するために,学術研究の対象としての連携問題を展望するためのマトリックスを示し,今後の検討のための一つの視座を提示した。今後は,収集した資料や撮影したビデオ映像などを分類・整理して,データ・ベースとして活用できるようにしたい。
著者
富田 理沙 谷尾 千里 村松常司 〔他〕 佐藤 和子
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学・創作編 (ISSN:13461818)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.15-23, 2003-03-01

本研究では小学校5・6年生369名(男子181名,女子188名)を対象に日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとを追究し,以下に示す結果を得た。(1)小学生の日常ストレスは「試験や試合などで失敗した」が最も多く,以下「自分が失敗するのではないかと恐れた」,「友達とうまくいかなかった」と続いた。「試験や試合などで失敗した」,「自分が重い病気になった」は男子に多く,「自分の性格のことで悩んだ」,「自分の成績のことで悩んだ」,「自分の顔やスタイルのことで悩んだ」は女子に多く,日常ストレスには性差が認められた。(2)日常ストレスの影響として最も大きかったのは「自分の大切なものを失ってしまった]であり,以下「誰かにひどくいじめられた」,「身近な人が病気になった,または亡くなった」と続いた。(3)ストレス対処行動は「信頼できる人に相談する」が最も多く,以下「勉強や趣味に集中する」,「困難に立ち向かい,努力して乗り越える」と続いた。また,「友達の家へ遊びに行く」,「気分転換のため軽い運動をする」は男子に多く,「信頼できる人に相談する」,「人に話し,気持ちを分かってもらう」,「買い物などをして気を晴らす」,「泣きわめいたり,取り乱したりする」は女子に多く,対処行動に性差が認められた。(4)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもは積極的対処行動が多く,セルフェスティーム得点の低い子どもは消極的対処行動が多かった。(5)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもはストレスの程度(ストレス個数ならびにストレス得点)が低かった。以上の結果が示すように,小学生において日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとの関連を確認することができた。今後,小学生のストレス軽減にはセルフエスティームを高める視点からの教育指導を取り入れることが重要であることが示唆された。
著者
足立 重和
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

今年度は、岐阜県郡上郡八幡町における「郡上おどり」の現状を事例にしつつ、伝統文化を「所有」するということは一体どのような現象なのか、その一端を明らかにしていきたい。昨年の報告書にて研究代表者が議論したことは、ある盆踊りが「郡上おどり」と名づけられた瞬間に生じる規範的な期待であった。具体的に言えば、「郡上おどりは誰のものなのか」が問題になったとき、「地元住民」は、踊り能力の有無にかかわらず、「郡上おどり」という名づけに付着した"郡上"という固有名詞に着目して、「郡上おどりは郡上八幡人のもの」という"思考のエコノミー"を行使するのである。このような規範的な期待のおかげで、地元住民は、いくら踊りを踊らなくても、踊りを崩して踊っても、それらの実践が「地元らしさ」「土臭さ」という表象を可能にさせてしまうがゆえに、郡上おどりの所有権を楽々と主張することができた。ただ、この戦略は、いわゆる「よそ者」に対しては通じるが、同じ「郡上八幡人」のあいだでの所有権争いになったときには、通じない。そこで、地元住民どうしは、自分たちを改めて「郡上八幡人」だと自己規定したうえで、自分たちの踊りには「風情がある」と語りつつ、絶えず差異化をはかろうとする。つまり、これらの事実から言えるのは、伝統文化の「所有」とは、常にある文化形態の担い方を他の担い方と同じ地平(=客観的な基準)で評価されることに対して拒絶していくことであり、そのような拒絶を通じて「自分たちがイニシアティブを保持している」ことを示すということである。そういった意味で、伝統文化の「所有」とは、何らかの実体を保持することではなく、たえず何らかの実体を保持しているかのように"示す"ことなのである。