- 著者
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畢 滔滔
- 出版者
- 日本商業学会
- 雑誌
- 流通研究 (ISSN:13459015)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.1-26, 2002 (Released:2011-05-20)
- 参考文献数
- 28
本論文では, 広域型商店街に立地する大型店舗は商店街全体の集客力にどのような影響を与えるか, また, 商店街内部の大型店舗と中小小売商の共存共栄の関係はいかにして形成されるか, という問題を, 東京都台東区の「アメ横」商店街の事例研究を通じて明らかにした.広域型商店街内には, 買回り品を中心的に取扱う大型店舗が立地するため, これらの大型店舗はより広い地域の消費者を引き付けることができる.しかし, 大型店舗に引き付けられる顧客は, 商店街の中小小売商の店舗までにも商品を探しに行く保証がなく, 広域型商店街において大型店舗と中小小売商が自然に共存共栄の関係にはなりえない.商店街内部の中小小売商は, 大型店舗と共存共栄の関係を形成するために, 大型店舗によって引き付けられた消費者の欲求を注意深く観察し, その欲求を満たすことができるように業種と品揃えを調整すべきである.これによって, 商店街内部の小売店舗の競争は激化するが, この競争活動の存在こそが, 商店街全体の集客力が向上し, 商店街の小売店舗間の共存共栄の関係が形成される最も重要な要素である.