著者
山口 忍 川野 通夫 藤沢 直人 中島 志織 藤木 暢也 塩見 洋作 内藤 泰 本庄 巖
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.667-673, 1999

就学前幼児6例の人工内耳装用経験に基づき, 初回マッピングとその後のマップの調整や装用状況について調べた。 初回マッピングでは, T/Cレベルを幼児の表情や行動の変化によって測定するが, 先天性難聴幼児5例中4例がCレベル測定時に目を覆ったり部屋の電気がピカピカしていると視覚刺激のように感じ, その後の2回目のT/Cレベル測定を嫌がり, 内2例はヘッドセットを装着することも嫌がって, 終日装用まで時間がかかった。 このことから幼児のT/Cレベル測定では, 目を覆う反応の前に見られる身体接触を求めるなどをCレベルとして次の電極の測定に移り, 測定刺激が不快レベルにならないよう慎重にする必要があると考えられた。 また, マップ作製後の装用では, 感度調節ツマミを最適感度レベルより低い値にして, 装用時の音への反応を観察しやすくすることが, マップの調整に有効であった。
著者
三輪 レイ子 伊丹 永一郎
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.251-257, 2002

子どもが装用する補聴器は, 活発な身体の動き, 細い外耳道, 成長による形状の変化, 高度難聴による高出力型補聴器の使用などの条件が重なり, ハウリングを起こしやすい。 また, 耳介が小さく柔らかいため, 耳介上に補聴器を固定でき難い難点がある。 「子ども用改良型イヤモールド」は, 先に高齢者向に開発した「改良型イヤモールド」をモデルとし, さらに改良を加え発展させたものである。 改良のポイントは, 1. 入口部を工夫し弾力性をもたせ操作性と密着度を高めた, 2. 本体のサーモソフト材を柔らかくし密着度を高めた, 3. 補聴器とイヤモールドを結ぶチューブを狂いなく連結し安定性を高めたの3点である。 試着の結果, ハウリングの防止ならびに補聴器の安定性が確認され, 耳介の上に安定して装着できる補聴器を実現することができた。
著者
神田 幸彦
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.121-128, 2017-04-28 (Released:2017-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
3

要旨: 難聴者にとってこれまでの大きな問題だったのは, 何だったのか? それはどう解決されていったのか? 補聴器の歴史と変遷は正に難聴患者に寄り添いながら発展, 進歩を重ねてきた。最近では雑音抑制, 音声強調に加え音楽も聴きやすく, 10kHz~12kHz まで増幅可能な補聴器も出現してきた。補聴器の歴史と進歩, 問題点の解決, これまでの筆者の補聴器外来 2,468名で扱ってきた主要なメーカーの歴史的変遷, 補聴器外来の年代別外来統計ヒストグラムの変遷なども踏まえ, 補聴器の進歩により生ずる新たな問題についても考察を加えた。
著者
河口 幸江 萩原 晃 西山 信宏 小林 賀子 鈴木 衞
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.95-101, 2011 (Released:2011-04-16)
参考文献数
14

2002年4月から2009年3月の7年間に当科に入院した突発性難聴で, 初診時Grade3以上の症例168例168耳を検討した。年齢は8歳から86歳 (平均52.7歳) で, 重症度はGrade3が95例, Grade4が73例であった。治療法は次の3群に分けた。プレドニゾロン60mg (PSL60群), プレドニゾロン120mg (PSL120mg群), 又はベタメタゾン8~12mg (BT群) のいずれかの漸減投与 (約1週間) を行った。いずれの群もプロスタグランジンE1製剤を併用した。全体の成績は治癒19.4%, 著明回復47.9%で, 重症度別の成績ではGrade3はGrade4に比べてよかった (p<0.05)。ステロイド薬別治療成績ではPSL120群の治癒率は26.1%で, PSL60群の8.7%に比べて高かったが, 多重ロジスティック回帰分析ではステロイド投与量の違いでは有意差はなかった。
著者
岡野 由実 廣田 栄子
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.156-166, 2014-04-28 (Released:2014-11-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

要旨: 首都圏A県全域の公立小学校通常学級で一側性難聴児が在籍する学級の担任教員を対象として調査を行い, 学級担任の評価によると一側性難聴児の教科学習, 言語コミュニケーション, 社会参加, 活動的行動について, 著しい問題はみられず, 一側性難聴が言語発達や学業には直接的な影響を及ぼすわけではないことが示唆された。学級適応に特に問題を呈した一側性難聴児では, 他障害を併せ持つ傾向が指摘された。また, 幼児期早期からの難聴が言語発達に及ぼす影響に関しては, 軽度難聴児よりも一側性難聴児の方が影響は少ない一方で, 感情抑制等情緒発達については一側性難聴児の方が低く, 周囲に難聴を開示しない傾向にあり, 一側性難聴児と軽度難聴児では質的に異なる問題点があると考えられた。一側性難聴児童への支援には, 本人や家族, 教育関係者に対して十分な理解を促し, 児の状況に応じた支援・指導の必要性が示唆された。
著者
伊藤 彰紀
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.142-147, 1983 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

Tinnitus is an otological symptom which is often encountered and is yet difficult to treat.Transtympanic anesthesia with 1ml of 4% Lidocaine was performed in 86 patients (119 ears) suffering from cochlear tinninus.The results are summarized as follows:1) Tinnitus was completely abolished or considerably ameliorated in 37 ears (31%)2) Tinnitus was moderately ameliorated in 52 ears (44%)3) Tinnitus was slightly ameliorated in 30 ears (25%)Consequently, we found the therapeutic effectiveness of the transtympanic anesthesia in 75% of our cases.It is not elucidated whether the therapeutic effect of the transtympanic anesthesia was attributed to anesthetic blockade of the tympanic plexus or the inhibition of cochlear cell activity.However, it is undeniable that the transtympanic anesthesia has a remarkable therapeutic effect to tinnitus without any significant side effects.It is hoped that this therapeutic method would be used more often for the patients suffering from tinnitus.
著者
中島 務 植田 広海 三澤 逸人 伊藤 彰英 冨永 光雄
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.98-103, 2000-04-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4 3

厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班は, 平成10年度に突発性難聴の重症度基準を作成した。 今回, 我々は, この重症度基準を用いて今まで行われた3回の突発性難聴の全国疫学調査結果の解析を行った。 この重症度基準を用いた分類は, 突発性難聴の治療経過の解析に有用な指標であると考えられた。

1 0 0 0 OA 蝸電図検査

著者
原 晃 和田 哲郎
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.45-53, 2008-02-28 (Released:2010-08-05)
被引用文献数
1

音刺激により生じた内耳及び蝸牛神経由来の電気的反応を, 鼓室内あるいは外耳道深部に電極をおいて検出する方法が蝸電図検査 (Electrocochleogram, ECochG) である。誘発される電気現象の構成成分として蝸牛マイクロホン電位 (CM), 加重電位 (SP), 蝸牛神経複合活動電位 (CAPまたはAP) があり, 音刺激からおおよそ3msec以内に認められる。聴性脳幹反応 (ABR) に比べ, 電極留置にやや煩雑な面はあるものの, より蝸牛近傍の情報が得られ, 病態の理解・診断に有用である。本稿では蝸電図検査の意義, 検査法, 適応について概説した。
著者
鯨井 和朗 大西 信治郎 小河原 昇 中川 千尋 小川 克二
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.133-137, 1983 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

The results of survey of tinnitus in hearing impaired children of primary and junior high school pupils in Yokohama City are reported. The questionaires were obtained from teachers of 6 special classes for training of the hearing impaired pupils.58 children with 75dB of the mean hearing level in the primary (6 to 12-year-old) and the jounior high (12 to 15-year-old) schools were inquired about tinnitus. In a sample of the children aged 6 to 8, tinnitus was found in only one patient because of the difficulty to make them understand about tinnitus. In the other sample, 11 patients with tinnitus (31%) were found. Among the 12 cases, only 2 cases had constant tinnitus and the remainder had intermittent tinnitus. Tinnitus were expressed as /pi:/ by 8 cases. Many children claimed the tinnitus was annoying.
著者
水越 治 斉藤 等 浅野 登
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.265-266, 1973 (Released:2010-04-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1