著者
江川 宜伸 田中 正武
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.50-56, 1984
被引用文献数
14

トウガラシは新世界に起原した栽培植物で,4つの栽培種を含んでいる。C.chinenseは,アマゾン低地で広く栽培されており,同所的に分布しているC,frutescensがその祖先野生型である。C.baccatumは,栽培型と野生型の2つのvarietyから成り,栽培型var.pendulumは,ペルー及びボリビアで主に栽培されており,祖先野生型Var.baccatumは,ボリビア低地から高地にかけて自生している。筆者らは,南米で収集したこれらの種の系統間の類縁関係を明らかにするため種内及び種間雑種を作出し,その染色体対合を観察した。その結果,C.baccatumの種内雑種はすべて12"の正常な染色体対合と高い花粉稔性を示した。又,C.frutescensの種内雑種,及びC.chinenseとC.frutescensとの種間雑種も12"の対合と高い花粉稔性を示した。このことは,この両種の形態的類似性と考え併せて,C.chinenseとC.frutescensは,異なる種ではなく,ひとつの種と考えるべきであることを示唆している。C.baccatumとC.frutescensとの種間雑種では,多価染色体が観察された。又,一価の出現頻度が低く,これらの二種は,共通ゲノムを有すると結論された。この雑種の稔性は,極めて低く,C.baccatumとC.chinense/C.frutescensとの間には,生殖隔離が発達している。 本研究結果と野生型の地理的分布を考えると,これらの種は,元々或る共通の祖先種から一元的に起原し,その後地理的に隔離され,生殖隔離を生じたものと結論される。
著者
山田 利昭 堀野 修 佐本 四郎
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.191-196, 1979
被引用文献数
1

イネ白菜枯病抵抗性遺伝子源の探索を目的として,日本在来稲34品種に日本産のイネ白菜枯病菌I~V群菌を接種し,抵抗性検定を行ったところ,新たに15品種の早稲愛国群品種が見いだされた。このことから日本在来稲の中にも,早稲愛国3号以外に,相当数の早稲愛国群品種が存在することがわかった。また,それら15品種のうち,とくにゴマシラズは本群品種を侵すlVおよびV群菌に対して強い量的抵抗性を示す品種であり,今後の本病抵抗性育種素材として有望と考えられた。一方,上記工5品種の玄米性状についてみると,15品種のうち12品種が儒性,3品種が綾性であり・濡性品種が大半を占めた。また,これら品種の水陸稲の別についてみると,13品種が水稲,2品種が陸稲であり,水稲儒性品種の多いのが特徴的であった。
著者
坂本 知昭 片山(池上) 礼子
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.11-19, 2019-06-01 (Released:2019-06-18)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

サツマイモ「兼六」は塊根にβ-カロテンを含む特徴がある良食味品種で,1930年代に石川県農事試験場で選抜された.苗条および塊根の形態的特徴が「安納いも」のそれらと酷似していたため,「安納いも」5品種・系統と「兼六」の比較を試みた.「兼六」,「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の成葉はいずれも波・歯状心臓形で,新梢頂葉にはアントシアニンが蓄積し紫色を呈していたが,「安納イモ1」の成葉は複欠刻深裂で頂葉は緑色だった.「兼六」,「安納3号」,「安納紅」の塊根皮色は紅であったのに対し「安納イモ4」と「安納こがね」は白であったが,これら5品種・系統の塊根にはβ-カロテンの蓄積が認められた.一方「安納イモ1」の塊根皮色は赤紫で条溝が多かったほか塊根にβ-カロテンは含まれていなかった.27の識別断片を用いたCleaved Amplified Polymorphic Sequence(CAPS)法によるDNA品種識別では「兼六」と「兼六」を交配親に作出された「泉13号」および「クリマサリ」さらにその後代品種「ベニアズマ」の識別はできたものの,「兼六」と「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の識別はできなかった.45の識別断片を用いたRandom Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法によるDNA品種識別では「兼六」と「泉13号」,「クリマサリ」,「ベニアズマ」だけでなく「安納イモ4」および「安納こがね」の識別も可能となったが,「兼六」と「安納3号」,「安納紅」の識別はできなかった.以上の結果と「安納いも」が戦後の種子島で見出された在来系統であった経緯を考え合わせると,「安納いも」のルーツはかつて全国に普及していたとされる「兼六」ではないかと結論づけられた.
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001-03-01 (Released:2012-01-20)
参考文献数
21
被引用文献数
9 11

イネ (Oryza sativa L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, wx並びにdu 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, wxの対立遺伝子であることが示唆された.
著者
中井 弘和 桑原 定明 千賀 茂政
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.397-409, 1990

イネ白葉枯病に感受性の水稲品種晴々を原品種とする,白葉枯病菌系II,III,IVに対して量的抵抗性を,また菌系I,Vに対しては質的抵抗性を示す誘発突然変異体(M57)の遺伝分析を行なった.晴々とM57の交面己F<SUB>1</SUB>およびF<SUB>2</SUB>実験の結果から,M57の菌糸II,III,IVに対する量的抵抗性はポリジーンあるいは微動遺伝子によって,また,薗系I,Vに対する質的抵抗性は1対の主働遺伝子により支配されていることが明らかにされた.しかしこの質的抵抗性の遺伝子は対立性検定の結果,黄玉群の品種が持つ抵抗性遺伝子Xa-1,Xa-12とそれぞれ類似しており,M<SUB>1</SUB>植物養成中の花粉コンタミによることが疑われた.菌系I~Vに量的抵抗性を示したF<SUB>2</SUB>個体に由来するF<SUB>3</SUB>系統に対する接種試験において,明らかに菌系I~Vのすべてに抵抗性を示す系統がいくらか選抜された.このことから,Mutagen処理によって菌系II,III,IVのみならず菌系I,Vに対しても量的抵抗性を現す突然変異が誘発されたことが示唆された.また,それら選抜されたF<SUB>3</SUB>系統のほとんどは,M57の矮性の欠点をもたず,したがってイネの白葉枯病抵抗性育種における貴重な交配材料となると考えられた.
著者
浅井 辰夫 中井 弘和
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-5, 1996
被引用文献数
1

イネ品種「晴々」の種子に対するEI及びEMS処理M<SUB>2</SUB>植物集団を播種時期と窒素施用量の異なる条件下で栽培した.M<SUB>2</SUB>植物の出穂日の頻度分布の型は,適用した播種時期と窒素施用量によって変更された.M<SUB>2</SUB>における早生個体の選抜効果は,普通植条件において最も大きく,晩植条件では小さかった.適用した窒素施用量の影響は,それほど明確ではなかった.以上のような実験結果を基礎にして,栽培条件(特に播種時期)によってmutagen処理後代集団(M<SUB>2</SUB>)における出穂期に関する選抜効果が変更される機構について考察した
著者
河野 和男
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 = Breeding research (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.9-15, 2012-03-01
被引用文献数
1

一般向け科学誌としては世界で最も影響力の大きいものの一つと思われる『Scientific American』の2010年5月号にキャッサバの報文が出ていた(Nassar and Ortiz2010)。内容は,キャッサバは8億人以上もの人々の食生活を支えている大作物であり,その更なるポテンシャルは最大級で,今後ますます社会の関心と研究の重要度が高まるべきものであるとする妥当なものであったが,記事のヘッドラインにもなっている「カロリー生産高で世界第3位の作物」という記述にはやや驚いた。同じ年の暮れには『品種改良の世界史―作物編』(鵜飼保雄,大澤良 編2010)という百科事典的な本が刊行されてここには21の作物種が論じられていたが,キャッサバが取り上げられていなかったのにはもっと驚いた。「世界史」というタイトルであり「人間社会を支えてきた代表的な作物を選んで」と書かれているので,この本の著者たちは世界の重要作物を何らかの客観性を持たせて選んだつもりであろう。仮にこれが今の日本の学識経験者の常識だとし,冒頭のキャッサバの扱いを世界の常識だとすれば両者の間に大きなギャップがある。これ自体興味深いが,世界の作物統計といったマクロデータと私自身の体験といういわばミクロのハードデータから,世界認識の違いや現在日本の内向き思考までを考えてみたい。
著者
新倉 聡
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.153-160, 2007 (Released:2011-01-21)

アブラナ科野菜における生殖形質の遺伝学的研究とその育種への展開。イネやコムギは世界的に見て、主食となる穀物であることに疑いはない。しかしヒトは主食を摂るだけでは、健康的でかつ文化的な食生活を送ることができない。現在世界中には数百種の野菜が存在し、副食として欠かせないものとなっている。その農業生産的側面としては、国内をとってみても、野菜作付け面積ではダイコン、キャベツ、ホウレンソウ等を筆頭に、多くの作付けが為されている。その中でアブラナ科は300属3000種から成る重要な作物種であり、Brassica napusに属する油糧用ナタネ、世界中で栽培されB.oleraceaに属するキャベツ、ブロッコリー、主に東アジアを中心に利用が為され多くの在来品種が発達している、B.rapaに属するハクサイ、カブ、ツケナ類ならびにRaphanus sativusに属するダイコン等約40種が特に重要品目として挙げられる。
著者
水島 宇三郎 近藤 晃
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, 1961-12

救培稲の遠縁品種問雑種での濡綬性の分離につきF_1の花粉と胚乳について調査を行なった。供試品種は日本在来濡品種8,南米産濡品種1,日本在来綾品種6および外国梗品種10の合計25品種,叉供試したF_1は72組合せである。日本在来品種間のF1では,その大部分で正常な分離比がみられる。すたわち花粉での粳:糯は1:1,F_2種子の胚乳では3:1となる。インド産粳品種と日本在来粳品種とのF_1ではF_2種子の胚乳で糯の減少する'場合が多い。またインド以外を原産地とする供試外国品種と日本在来糯品種とのF_1では糯花粉の増加傾向がみられる(表3)。従来,親和性の分類で日本型に分類されてい先中国起源の陸稲粳品種戦捷の関与する雑種での分離比は相手とする粳品種の如何によって興り,日本在来粳品種と同様の行動を・とる場合と,インド産品種や中国産品種と同様の行動をとる場合とがあり,品種分化が放射状のものでなく網目状のものであることを暗示している。叉従来同様の分類で別の群として扱われていたインド産品種相互間に差異がなく,かえって同一群としてあつかわれていたインド以外の外国品種との間に明瞭な差異がみとめられ糯綾性決定のψ遺伝子座の分離混乱の型が,親和性?こ比較して,より地理的分布と密接た関係にあることが示された。配偶子比(花粉での分離比)が胚乳の分離比に一致する場合と,花粉では正常た分離がみられながら,胚乳では糯の減少する場合との両様がみられる。胚乳のみに異常のあらわれる原因を遺伝的原因による糯花粉の受精率の低下と仮定し,受精率を算出してみると粳花粉の受精率を1とすると,3/4,1/2および1/4の3がみとめられる。この受精率低下の原因機構の解明は今後の研究に委ねられる。
著者
原田 竹雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.169-174, 2014

食べごろに熟れたリンゴ(Malus×domestica)をほお張る時,その特有の芳醇な香り,そして絶妙なバランスの甘味と酸味が私たちに至福をもたらすものである。「エデンの園」にリンゴがあったように,リンゴ栽培は紀元前から行われており,特に栽培が古くから本格化したヨーロッパでは様々な童話や逸話にも登場する。また,近年においてもニューヨーク市の愛称名やコンピューター会社の社名になっているほど,リンゴは世界中の人々に愛されてきた。リンゴは世界における果樹としてはバナナ(Musa)に次ぐ生産量を占め,実に多くの国で栽培されている。他殖・永年性作物であることから多くの品種が存在し,例えば果実に限っても,熟期,形態,果皮・果肉色など実に遺伝的多様性が大きい。果実日持ち性も品種によって収穫後の商品価値を保持できる期間が異なり,短いものは長期保蔵に不適であって収穫後すぐに出荷され,消費者に食される必要がある。一方,長いものは冷蔵やCA(controlled atmosphere)貯蔵などと組み合わせることで,出荷時期をさらに延長することも可能となる。リンゴは他の果実に比べ日持ち性が高い特徴があるものの,上述のとおり果実の日持ち性の良否は商品価値を大きく決定することから,リンゴにおけるポストハーベスト学の主課題として日持ち性の研究が世界中で進められ,品種間の違いの原因が追及されてきた。果樹の特徴である一世代の長い期間やその栽培管理労力の大きさが障壁となって,リンゴ果実特性の分子遺伝学的研究は容易には本格化できない点があった。しかし,果実ライプニングのモデル植物とされるトマト(Solanum lycoperisicum)からの知見とリンゴの全ゲノム解析情報(Velasco et al. 2010)から,リンゴの日持ち性の違いに関わる分子機構の理解が飛躍的に進行している。本総説はリンゴのライプニングに関するこれまで解明された最新の分子機構を紹介する。
著者
野口 弥吉
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.247-254, 1959

従来水稲の幼穂形成は品種の特性として日長感応性と温度感応性の組合せによって決定され,更にそれに栄養その他の条件が加わって出穂の遅速が現われると考えられている。しかし,温度感応性はすべて日長感応性と共に実験され,考え方としては一応纏められているが,実態に関しては未だ推察の域を脱していない。不時出穂の現象は栽培の立場からすれば異常現象と認められるが,植物生理の見地に立てば一種の出穂促進現象である。それは早生種に限って見られ,常に肥料不足が伴うようであり,初夏の急激な温度上昇に由来するとも考えられる。数種の水稲品種,特に早生品種を対称とし,不時出穂現象を鍵として温度感応性を解明しようとしたのが本研究であって,その結果,温度感応性の強い品種の幼穂形成は高温に支配され,一方茎葉等の栄養器官の発育は栄養,特に窒素の存在に左右されることが明かとなった。たお温度に感応する時期は発育の極く初期,発芽期ではないことが実証された。
著者
野口 弥吉 鎌田 悦男
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-40, 1959

数品種の水稲について温度並びに栄養状態の変化が播種より山穂までの日数に及ぼす影響を測定した。感温性の高い早生種では高温に遭遇する時期が早いほど出穂が促進され,特に温度感応性の最も高い農林11号は高温の下で約40日で出穂した。また,窒素欠乏の状態では出穂は促進され,燐酸が与えられない場合は逆に出穂の遅延することを知つた。後者は特に低温で著しかった。次に農林11号について第4葉までを順次切断して高温の下で育て,幼植物時代の温度感応が第何葉で始まるかを調べたところ,第4葉または第4葉身を切ると出穂の遅れることが認められ,第4葉以上が高温に感じ,いわゆる花成ホルモンをつくることが明らかとなった。更に同じ品種を暗黒または光線不足,窒素欠乏等栄養生長をとどめるような処理をして高温を作用させたところ,大部分の植物は第5葉または第6葉を止葉として出穂した。特に1個体は葉数4で幼穂の形成がみられた。これらのことは上の事実を再確認すると共に,農林11号の基本栄養生長は第4葉出現期に既に終ることを証明している。この最高感温性品種の基本栄養生長期の決定は今後の水稲感温性の研究に資するところが大きい。
著者
野口 弥吉
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.205-211, 1959

水稲の催芽種子を高温または低温で処理した場合,出穂が早まつたという報告もあるが,それを否定した結果も出ていて,その効果は確認されていない。そこで正確な実験によつてその点を明かにしようとした。、(1)低温処理出穂期を異にする16品種を用い,催芽種子を10日乃至80日間平均温度2~5℃.で低温処理した後,栽培して出穂期並びに出穂までの主稈出葉数を調べたが,何れの場合も全く処理の効果は認められなかつた。なお,養分の関係を考慮した実験でも,低温処理は出穂期を変えることはなかつた。(2)高温処理出穂期の異る6品種の催芽種子を平均27~30℃.の高温に20日,30日,45日間保つた後栽培して出穂期並びに止葉迄の主稈葉数を調べた。高温処理した場合は,むしろその期間だけ出穂期が遅れ,何れも葉数はふえた。従つて,水稲の幼穂形成に対する温度の影響は小麦の場合とことなるもののようである。