著者
福井 大祐
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.265-269, 2020-12-25 (Released:2020-12-17)
参考文献数
38
被引用文献数
1

The emerging coronavirus pandemic has severe impacts on One Health globally. Diseases, zoonoses, and biosecurity are important emerging issues for species conservation at the world zoos. Zoos emphasize public health to protect visitors and zoo staff, and animal hygiene to manage the good health. There is no border between on a zoo ground and neighboring natural environment. Therefore, zoo biosecurity including preventive medicine protocols to protect the animals from infectious diseases transmitted by wildlife are routinely conducted. Infectious diseases of captive animals should be prevented to spread outside. Investigation of rescued wildlife and necropsies of the carcasses found on zoo grounds must be useful monitoring tools of wildlife diseases and provide a baseline measure of the risk by local wildlife. A sparrow mass mortality caused by emerging salmonellosis in Hokkaido, 2008–2009. The initial case found dead on a zoo ground was investigated as a preventive medicine program to protect the captive animals and biosecurity.Zoos can play an important role as a wildlife health center to protect One Health for human, animal and ecosystem based on conservation medicine. Zoos can work as wildlife disease information networks and an early warning system by monitoring wildlife diseases and conducting biosecurity countermeasures.
著者
山岸 宏 中村 譲 和田 芳武 沖野 外輝夫 中本 信忠
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.48-58, 1966
被引用文献数
2

わが国の4つの温泉地(蓮台寺, 浅間, 戸倉・上山田, 内郷)において, 温泉廃水を含む水体中に南米原産の胎生魚, グッピーが野生化し, 自然繁殖を続けていることを確認し, 主に戸倉・上山田および蓮台寺でグッピー個体群とその環境についての調査を行つた.グッピーは冬季には温泉廃水の混入する場所のみに生息する.これらの場所の水温は20℃前後に維持されている.戸倉・上山田温泉のこのような場所の一つで, グッピーは冬の終りには非常な高密度に達していた.しかし夏になるとグッピーは温泉の影響の少い農業用水, 水田, 川の岸辺の浅水部などへ広く分散する.この時期には越冬場所の個体数は著るしく減少した.これらのグッピーは下水の混入する汚濁のかなり強いところにも生息しうる.しかし耐寒性はない.グッピーの生長は非常に早く, 産子間隔も短いので, 急速に個体数が増加する.このような性質と強い雑食性によつて, 水田その他の水たまりの蚊幼虫の駆除にグッピーを利用することができる.調査した2つの温泉地の水田にはシナハマダラカとコガタアカイエカの幼虫が極めて少なかつた.
著者
武田 富美子 當間 孝子 大友 元 宮城 一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.169-173, 1999
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

幼児が長時間生活をする保育所のダニを調べた。沖縄県宜野湾市と西原町の保育所5カ所で, 1997年2月と7月に3歳児の部屋の床, 昼寝時に使用されるゴザ, 敷布団, 毛布(タオルケット)から塵を集めた。ヤケヒョウヒダニが優占種だった。ダニ数は2月に3,740(サンプル数17), 7月に2,204(サンプル数19)で, 7月の方が少なかった。36サンプル中15サンプルで, 1m^2あたり100以上のダニ数が検出された。ゴザに最も多くのダニが検出され, 2月の総ダニ数の50.2%, 7月の68.9%を占めた。
著者
武田 富美子 當間 孝子 金城 直美 宮城 一郎 佐藤 良也
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.163-168, 2002
参考文献数
13
被引用文献数
1

The study was carried out in central mainland Okinawa to determine the mite densities and fauna in four hospitals. One hundred and twenty-seven dust samples were collected from the floor and bedding in the hospitals in May, August and November 1996, and February 1997. The average number of mites was 30.9/m^2 for the floor and 180.0/m^2 for bedding. There was significant difference in the mite number between the floor and bedding. The genus Dermatophagoides predominated at the rate of 89.6%. In 29 out of 127 samples, Dermatophagoides farinae was more abundant than D. pteronyssinus. Blomia tropicalis was found in low frequency and in small numbers in the hospitals. Five Sarcoptes scabiei were found from a mattress and blanket in a patients room. This species was also found from a mattress and futon in the rest room for hospital staff.
著者
真喜屋 清 田口 五弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.335-343, 1982
被引用文献数
1 9

越冬場所(第2次大戦中に使われた防空壕)におけるアカイエカの休止状況を写真撮影によって比較し, その分布様式, 集合の程度, 移動率の変化を推定すると同時に, 乾重量によって越冬前後の体重の変化を調べた。越冬蚊は, 壕内の3室のうちしだいに奥の部屋に移り, 奥の部屋の壁面ではより下方に集合するのが観察された。蚊の集合の程度は壕内の気温と湿度が低下するにつれて強くなり, 1月下旬に最大になった。壕内での蚊の移動は, 気温の低下とともに少なくなり, 気温の最も低い2月に最少になった。床からの高さによって分けた壁面の三つの部分のうち, 下方の壁面で蚊の移動は最も少なく, 越冬期間中の移動率は約70%であった。蚊の平均体重は, 越冬前の1.271mgにくらべて越冬後には0.708mgと著しく減少し, 平均減少率は44.3%であった。
著者
比嘉 由紀子 Arlene Garcia-Bertuso 徳久 晃弘 永田 典子 沢辺 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.48, 2012

デング熱は20世紀以降,流行が世界中で報告され,2億 5千万人以上が感染リスクを負っており,特に熱帯アジアでの流行が大きく,この地域に限っていえばマラリアを凌ぐ最も深刻な蚊媒介性ウイルス感染症となっている.フィリピンは東南アジアの中でも特にデング熱感染者数,死亡者数が多い国であるが,媒介蚊に関してはマニラを含む首都圏の情報が断片的にあるのみである.そこで,本研究では, 2010年 1月にルソン島において,古タイヤから発生するデング熱媒介蚊調査を行った.侵襲度を調べるとともに,野外にてピレスロイド系殺虫剤感受性簡易試験を行った. その結果,135地点から蚊の幼虫を採集した. 3,093個のタイヤのうち,775個のタイヤをチェックした. 有水,有蚊幼虫タイヤ数はそれぞれ 341(44.0%),127(16.4%)個だった. ネッタイシマカはルソン島に広く生息しており,ヒトスジシマカは北部と南部の一部にみられた.デング熱媒介蚊以外にネッタイイエカも採集された ネッタイシマカのほうがヒトスジシマカよりピレスロイド系殺虫剤に対する感受性が低下していることが示唆された.
著者
橋本 知幸 江口 英範 松永 忠功 紅谷 一郎 伊藤 弘文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.65, 2011

ヒョウヒダニアレルゲン(Der 2)量によってダニ汚染度を簡易判定する「マイティチェッカー&reg;」の測定精度について、実際の室内塵を用いて検証した。室内塵は東京都1区内の幼稚園及び保育園より掃除機を用いて、1m<sup>2</sup>から1分間かける方法で、計101検体を採取した。室内塵は秤量して、マイティチェッカー&reg;の測定手順に従って、抽出・判定した後、その抽出液上清をELISA法によるダニアレルゲン量測定用に、残渣をダニ数カウント用に供した。マイティチェッカー&reg;の判定(4段階;-、±、+、++)は同一の反応結果を6人が干渉しないように同時に行った。アレルゲン量測定はIndoor Biotechnology社製測定キットを用いてサンドイッチELISA法によりDer p 1量、Der f 1量、Der 2量を測定した。 6人の判定が全員一致したのは101検体中44検体で、判定が「++」および「-」の時に一致度が高かった。また各スコアに対するDer2量の幅は、「-」が0~34.7ng/m<sup>2</sup>(平均8.43ng/m<sup>2</sup>)、「±」が8.22~479ng/m<sup>2</sup>(平均36.4ng/m<sup>2</sup>)、「+」が11.7~3,160ng/m<sup>2</sup>(平均353ng/m<sup>2</sup>)、「++」が27.5ng/m<sup>2</sup>~3,160(平均936ng/m<sup>2</sup>)であった。 ヒョウヒダニ数、ダニアレルゲン量、マイティチェッカー判定結果それぞれの相関性をスピアマン順位相関係数により確認したところ、いずれも高い相関(r=0.63~0.96)を示した。マイティチェッカー&reg;はDer2と特異的に反応するものであるが、実際の室内塵ではDer1量とDer2量の間にも高い相関が見られることから、ヒョウヒダニアレルゲン簡易検査法として有用であると考えられた。
著者
紅谷 一郎 伊藤 弘文 江口 英範 松永 忠功 橋本 知幸
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.66, 2011

これまで幼稚園及び保育園についてのダニ調査報告が少ない。そこで東京都1区内の幼稚園及び保育園より室内塵を採集し、ヒョウヒダニ数及びダニアレルゲンの調査をするとともに学校などでダニ検査事例が比較的多い7月~9月の時期にヒョウヒダニ数やダニアレルゲンがどのように変化しているか検証した。室内塵は、掃除機を用いて1分間かけて1m<sup>2</sup>から採取し、幼稚園では7月、8月、9月それぞれ1回ずつ、保育園では8月に1回実施した。全部で101検体の室内塵を採取した。採取した全ての室内塵についてヒョウヒダニ数とELISA法によるダニアレルゲン量の測定、マイティチェッカー&reg;によるダニアレルゲンレベル判定を実施した。マイティチェッカー&reg;の手順に従い、採集した室内塵をPBS-T10mlに浸漬・抽出し、アレルゲンレベルの判定を行った後、抽出液上清をELISA測定用に、残渣をダニ数カウント用に供した。上清中のアレルゲン量は、Indoor Biotechnology社製測定キット(標準抗原はUniversal Allergen Standard)を用いてサンドイッチELISA法によりDer p 1量、Der f 1量、Der 2量を測定し、残渣は全てろ紙上に展開してダニを計数・同定した。ヒョウヒダニ数は101検体中70検体が10匹/m<sup>2</sup>未満であり、学校環境衛生の基準100匹/m<sup>2</sup>を超える検体は6検体であった。100匹/m<sup>2</sup>以上であった採取場所の材質は6箇所ともカーペットだった。ダニアレルゲン量はDer 2量<Der 1量、Der p 1量<Der f 1量の傾向があった。7月、8月、9月に同じ場所から採取した室内塵のデータを比較した結果、ダニ数では7月<8月、8月<9月、ダニアレルゲン量では8月<9月という傾向が認められた。
著者
砂原 俊彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.66, 2012

高解像度の衛星画像が急速に普及してきて,地域によっては Google Earthによって無料で利用できるようになってきた.これは衛星を管理する企業が注文を受けて撮影した画像を注文者に販売した後Google社に公開を前提に提供しているためである.したがって,いかなる研究機関や企業,組織からも撮影の注文のない地域では高解像度の衛星画像が存在せず,Google Earthで見ても低解像度の画像しか見ることが出来ない.このような顧みられない場所にこそ顧みられない病気や媒介者が存在し調査の必要性も高いといえるが,衛星写真の注文には高額な料金が必要で,注文から良好な画像の撮影までに 1年以上かかる場合もある.このような地域に対して低コストで迅速に地上の画像を得るために,凧を利用して上空から地上を撮影する方法を試みた.凧はPremier Kites Power Sled 24,カメラは視野角 170度のGoPro HD Hero 960を用い数秒おきのインターバル撮影を行う.撮影された画像はAdobe Photoshop ElementsにPanorama Tools Pluginを組み合わせて幾何補正を施す.この方法の利点はPhotoshopを含めて5万円以内とコストが安いことである.欠点は風が弱いと撮影できないこと,カメラの方向に固定するのが困難なため,ソフトウェア上で画像の幾何補正を手動により行う必要がある点である.
著者
森下 哲夫 小林 瑞穂
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-88, 1954

我々はさきの報告に於て蛔虫を海〓に多数感染させて, 1週以後に蛔虫の幼虫及び成虫から得た抗元を以て, 罹患海〓に皮内反応を実施し特異な成績を得た.しかもこの反応は蛔虫の種類(人, 豚及び犬に)関係なく陽性であるが, 鉤虫抗元に対しては蛔虫罹患海〓は皮膚反応を示さないことを知つた.その逆に犬鈎虫罹患海〓は鈎虫抗元にのみ陽性の反応を示し蛔虫抗元には反応しない.更に蛔虫及び鈎虫抗元共抗元分析の結果polysaccharide fractionは注射後30分で烈しい発赤を惹起し, 6時間位継続して消褪し, 一方protein fractionは2〜3時間後から水腫を伴つて発赤を起し72時間継続することを知つた.豚蛔虫飼養液を抗元として蛔虫罹患海〓の皮膚反応を行うと蛔虫体成分のpolysaccharide fractionに相当する反応丈を示し, protein fractionに相当する反応は全然認められなかつた.Schultz-Dale反応を罹患海〓の腸に対し施行すると蛔, 鈎虫抗元ともpolysaccharide fractionのみが腸の著しいれんしゆくを示すが, protein fractionでは反応が陰性であつた.蛔, 鈎虫共成虫と幼虫との間には共通の皮膚反応が認められ犬鈎虫の場合はfilaria型幼虫のみならずrhabditis型幼虫が成虫と同様な皮膚反応陽性成分を有するが, 卵には認められなかつた.蛔虫卵に依る抗元の場合は更に判然とした変化を認められ蛔虫卵の数を一定にして抗元を製造すると, 単細胞のものには反応が認められず桑実期迄はこの状態が続くが, 蝌蚪期に至つて多少弱いが皮膚反応が陽性になつて来る.幼虫形成の蛔虫卵では勿論成虫と同様の反応を示した.以上の様な結果に対して更に精しい抗元の性質の究明を試みたのが本報文である.
著者
矢部 辰男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.251-255, 1997
参考文献数
17
被引用文献数
6 6

わが国のビル街では, 1970年代からクマネズミの横行が目立つようになったが, 札幌では1980年代に至ってその駆除に成功した。その原因を, 空中写真の解析によって考察した。解析対象は札幌, 仙台, 新宿, 横浜, 名古屋の商業・業務地域である。高さ10m以上のビルの占有面積割合を算定すると, いずれの都市でも1960年代半ばに5-10%であったものが, 1970年代には15%以上に急増した。1988-1990年における1ha当たりの平均道路面積は, 札幌で0.424±0.133haで, これは他のいずれの都市の値よりも有意に大きかった。また, その変動係数は31.4%で, 他のいずれの都市よりも小さかった。これは, 札幌では平均的に道路面積が広いのに対し, 他の都市では道路面積が狭い上に, 広い道路と狭い道路とが混在していることを示す。クマネズミの生息に適した大型ビルの急増がクマネズミの横行を促したが, 道路面積の分布形態はその後のクマネズミ駆除の成否を分ける一因になった可能性もある。広い道路で街区を区切られた札幌では, すみ場の分断化によって容易に駆除されたが, 狭い道路の混在する他の都市では分断化がなされず, 駆除の困難な状態が続いてきたものと推測される。
著者
橋本 知幸 琴 基天 東 直行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.113-117, 2017-09-25 (Released:2017-10-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

2015年10月に経口ダニアナフィラキシーと見られる1症例を経験し,その事故品中より,ヒョウヒダニ属の一種Dermatophagoides siboneyを多数認めた.得られた標本の計測では雌の胴体長は平均296±S.D. 35 µm,雄の胴体長は平均256±S.D. 17 µmであり,一般的なコナヒョウヒダニよりも一回り小型であった.雄成虫では第I脚基節条に分離型とV字型が見られたが,その比は47匹:16匹であった.さらに,患者宅の屋内塵中のダニ相を検査した結果,コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニに混ざって本種を認めた.本種は本邦初報告と考えられる.
著者
浅川 満彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.171-176, 2020

<p>An overview of infectious diseases derived from agents from and/or to wildlife, livestock, pet animals in Japan was given, and effective countermeasures in future were presented a standpoint of both zoo and wildlife medicine and medical zoology.</p>
著者
渡辺 洋介 谷川 力 神田 浩一 加藤 光吉
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.28, 2008

近年、コンピュータを利用した音響機器および分析ソフトが開発普及し、従来に比較してネズミ類の発生する超音波の分析がしやすい環境になってきた。そこで筆者らは以前データレコーダーで磁気テープに録音したねずみ類が発生する超音波コールをアナログデジタル変換した後、最近普及しているサウンド分析ソフト(アドビオ-ディション2.0)で分析した。今回は収録されたデータのうちからドブネズミとクマネズミの雄成獣が主として闘争時に発生する超音波コールの分析を試みた。同種ともそれぞれ雄3個体を同じケージに入れて供試した。その結果、発生周波数ではドブネズミは約23kHzで周波数が比較的平坦な変化であったが、クマネズミは26kHzでドブネズミに比較して周波数が高く、周波数変化も多かった。また、持続時間については、ドブネズミは約740ms、クマネズミは720msであった。しかし、両種とも超音波コールが発生する始まりは周波数が高く、終わりは低くなる傾向があった。超音波コールの時間軸を伸ばして可聴音としたものでは、ドブネズミは「ピー・ピー」という平坦な音であり、クマネズミは「ピロ・ピロ」と変化のある音に聞き取れ、両種に相違があることが認められた。
著者
前田 理
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.i, 1998-12-15 (Released:2016-08-18)
著者
安富 和男 高橋 三雄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.315-321, 1989
被引用文献数
3 2

Culex tritaeniorhynchus mosquitoes collected at Chinen Village, Okinawa, in 1987 and colonized in the laboratory were tested for resistance to insecticides. High resistance levels of the Chinen strain to organophosphorus (OP) and carbamate insecticides were similar to those of 16 samples in the 1984 country-wide survey in which no material from Okinawa was included. Extremely high levels of resistance to malathion and temefos were observed in the Chinen strain; the resistance ratio in larvae was about 10,000 for malathion and >125,000 for temefos. However, the Chinen strain was less resistant to fenitrothion, fenthion, and carbamates than the mosquitoes tested in 1984. The electrophoretic analysis indicated that the Chinen strain showed higher activity of carboxylesterases which hydrolyze β-naphthyl acetate than in the susceptible (Taiwan) strain. Therefore, the enhanced carboxylesterase activity was estimated to be a mechanism of OP resistance in the Chinen strain, although the role of acetyl-cholinesterases has not been analyzed. The Chinen strain was also resistant to pyrethroids with the resistance ratios of 50-1,000 for larvae. This finding was contrary to the results in the 1984 survey. When piperonyl butoxide was applied, LC_<50>'s of permethrin and cypermethrin for Chinen larvae were decreased by 1/3 and 1/23,respectively, but a considerable difference between LC_<50>'s for Chinen and Taiwan larvae remained in each of these pyrethroids. This indicates mfo's are not major factors regulating pyrethroid resistance in the Chinen strain. Application of an inhibitor of DDT-dehydrochlorinase (DMC) and an inhibitor of mfo's (sesamex) did not affect the LC_<50> of DDT for Chinen larvae. Experimental crosses of the Chinen strain with the susceptible (Taiwan and e ma) strains showed that pyrethroid resistance of the Chinen strain is regulated by genetically recessive factor(s). This indicates that kdr-like factor(s) might participate in resistance of this strain to pyrethroids and DDT.