著者
亀崎 宏樹 庄子 佳文子 上村 慎一郎 津田 良夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.137-143, 2022-09-25 (Released:2022-09-25)
参考文献数
42
被引用文献数
1

Twenty Japanese mattresses with various periods of use were collected from 11 localities in Japan in 2014. Samples of the mattresses including the padding were removed at 5 collection points in each mattress. The samples were divided into 3 layers (upper, middle, and bottom layers), and the fauna and density of house-dust mites were examined. A total of 12,734 mites of 10 families were collected and 97.0% of them belonged to Pyroglyphidae. The total number of mites was estimated as 4,640 to 394,240 per mattress. A positive correlation was found between the number of dead and alive mites and the number of exuviae. The dominant species in Pyroglyphidae was Dermatophagoides pteronyssinus (Trouessart) and D. farinae Hughes, and the proportion of D. pteronyssinus ranged from 0 to 100% among the samples. Multiple samples collected within the same locality (Tokyo, Kanagawa) showed a wide variation in the proportion of D. pteronyssinus. The distribution of mites in the 3 layers differed among the 5 sampling points. More mites were distributed in the middle layers at sampling points located at the edge of the mattresses. The proportion of Pyroglyphid mites distributed in the upper and bottom layers ranged from 15.6 to 94.3%.
著者
斎藤 一三 金山 彰宏 佐藤 英毅 上本 騏一
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.305-312, 1995-09-15 (Released:2016-08-23)
参考文献数
26
被引用文献数
6

The fauna and distribution of the blackflies in Miyagi Prefecture were investigated from collections of larval and pupal stages of flies from streams and imaginal stages flying around the collectors at 78 localities in the spring of 1986. A total of 9,441 blackflies, 7,928 larvae, 1,464 pupae and 49 adults, was collected at 63 sites. Those blackflies were classified into 3 genera and 23 species. Sixteen species, Prosimulium (Prosimulium) yezoense, P. (P.) jezonicum, Cnephia (Stegopterna) mutata, Simulium (Nevermannia) konoi, S. (N.) subcostatum, S. (N.) uchidai, S. (Gomphostilbia) ogatai, S. (Gom.) shogakii, S. (Gnus) bidentatum, S. (Gnus) malyshevi, S. (Simulium) kawamurae, S. (S.) nikkoense, S. (S.) suzukii, S. (Eusimulium) sp. H., S. (E.) sp. Y. and S. sp. M-1 were newly recorded from Miyagi Prefecture. Predominant species was S. (N.) uchidai (26.8%), followed by S. (O.) aokii (24.8%), S. (S.) japonicum (19.1%) and S. (N.) konoi (7.3%). The most widely distributed species was S. (N.) uchidai (53 sites), followed by S. japonicum (39 sites), S. (O.) aokii (32 sites), S. (N.) konoi (19 sites), S. (S.) rufibasis (19 sites) and P. (P.) yezoense (16 sites).
著者
横山 紘子 斉藤 康秀 二瓶 直子 澤邉 京子 津田 良夫 小林 睦生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第58回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2006 (Released:2006-06-07)

蚊の吸血嗜好性は疾病媒介能を評価する上で重要な形質である。近年、わが国へのウエストナイル(WN)ウイルスの侵入・定着が危惧される中、PCR法を中心に野外捕集蚊の吸血源動物種が推定されてきているが、実験的に吸血嗜好性を評価する試みは全く行われていない。そこで我々は、わが国においてもWNウイルスを媒介する可能性の高いと思われる、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカの3種類の蚊の吸血嗜好性を、ほ乳類と鳥類の2者選択実験により詳細に検討した。実験は、三連結した30cm立方アクリル製箱の左右それぞれにマウスとウズラを一定時間保定し、中央から放した蚊50頭がどちらに移動するかを観察、吸血蚊からはDNAを抽出し吸血源動物種の同定を行った。その結果、ヒトスジシマカはマウスを、チカイエカはウズラを多く吸血したが、アカイエカでは特定の傾向は見られなかった。次いで、麻布大学構内の動物舎で捕集した吸血蚊の吸血源動物種を、チトクロームbおよび16S領域のPCR産物から得た塩基配列をもとに推定したところ、アカイエカ(89%)とチカイエカ(71%)は鳥類を、ヒトスジシマカ(100%)はほ乳類を吸血していたことが判明した。2者選択実験と野外捕集蚊における吸血源動物種特定の結果を総合すると、ヒトスジシマカとチカイエカでは両結果はほぼ一致し、前者は「ほ乳類」を、後者は「鳥類」を好む傾向にあることが示された。一方、アカイエカでは、野外捕集蚊は鳥類を多く吸血していたが、2者選択実験では繰り返しによってよく吸血される動物種が異なった。アカイエカの吸血嗜好性は柔軟性が高く、環境条件に依存して容易に吸血源を変えることができると考えられる。実験に供した3種を比較すると、WNウイルスのヒトへの媒介種としてはアカイエカがより重要な役割を果たすであろうことが示唆された。
著者
都野 展子 石田 幸恵 矢吹 彬憲
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第63回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.47, 2011 (Released:2014-12-26)

サハラ以南アフリカで主要なマラリア媒介蚊である2種Anopheles gambiae とAn. arabiensisの幼虫繁殖場所の生産性を決める環境要因は何かについて近年研究が進められている.従来よりこの2種の幼虫繁殖場所の特徴は、短命な浅い水溜りであることが認識され報告されてきていたが、Tunoら(2006)は緑藻類(特にRhopalosolensp.)が幼虫の餌として重要であることを示した.本研究は、Anopheles gambiaeとAn.arabiensisの2種の幼虫の生息する水体に発生する他の生物群集を評価しながら、その水体の特徴、とりわけ藻類とその水体の物理化学的特徴を評価し、生物的・無生物的な環境変量と幼虫個体数の関係を解明することを目的として、本研究を行った.方法:ケニア西部の水溜りから、水を採集し、動物群集・生産者である藻類群集・水体サイズ・陽イオン成分・陰イオン成分・酸素同位体比δ18Oなど物理化学的な特徴を調査した.結果:調査に費やした2008年と2009年で水溜りの性質はかなり異なっていた.2008年は水溜りが出来るのを見ながら採水を進め、2009年は乾いていく水溜りからの採水となった.δ18O値の性質や実用性を検証した結果,δ18O値は降雨以外に、水体の個性(形状・土壌の質・水の供給源)に影響されているとわかった.ガンビエ幼虫に関係するさまざまな環境要因は水の古さによって大きく異なった.2008年の新しく出来た水溜りのみ、卵に乾燥耐性がある種が見られ、2009年の長期間存在していた水溜りでは、甲虫目や半翅目など比較的成長に時間がかかる種が多く存在していた.考察:ガンビエ幼虫密度と環境要因の結果では、生産者との関係として、水の古さにより幼虫密度と重要な藻類は異なっていたが、Rhopalosolen sp.は両年で重要性が証明された.ガンビエ密度は新しい水体では生産性の高い水体にニッチの近い生物種と同時に発生すると考えられた.古い長期間存在する水体では捕食圧が重要であったことが示唆された.
著者
山口 杲
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.173-180, 1960-12-25 (Released:2016-09-05)

1958, 1959両年度にわたり, 京都市北区において, タケノホソクロバArtona funeralis(Butler)の生活史を, 野外観察と飼育実験の両法によつて追究した.結果を以下に要約する.1.本種は1年間に3世代を営み, 第3世代の蛹態で越冬する.2.越冬蛹は5月中旬〜6月中旬に羽化, 産卵し, 第1世代は5月下旬〜7月中旬, 第2世代は7月下旬〜9月上旬に営まれ, 第3世代は10月下旬に蛹化して越冬にはいる.3.卵期間は各世代間にあまり差がなく, それらを平均すれば7.3日であつた.各世代の平均孵化率は, それぞれ85%, 80%, 80%であつた.4.幼虫期は5令で, 各令の平均所要日数は, 第1世代の第1令5.8日, 同第2令5.3日, 同第3令5.2日, 同第4令6.1日, 同第5令7.4日, 第2世代ではそれぞれ, 4.7日, 4.0日, 4.9日, 6.0日, 8.4日, 第3世代ではそれぞれ, 5.5日, 6.6日, 8.9日, 7.9日, 11.5日であった.全幼虫期間の平均所要日数は, 第1世代29.8日, 第2世代28日, 第3世代40.4日であり, 蛹化率は夫々55%, 65%, 57.5%であつた.5.前蛹期は第1世代1.1日, 第2世代1.1日, 第3世代2.2日, 蛹期はそれぞれ11日, 11日, 187日(越冬)であつた.羽化率はそれぞれ, 47.5%, 56%, 11.5%であつた.6.雌成虫は原則として羽化後1日経つてから交尾し, さらに1日経過してから産卵する.成虫期の寿命は雌1〜6日, 雄1〜9日, 平均寿命はそれぞれ3.5日, 4.0日であつた.雄は雌より1〜2日早く羽化する.7.卵はタケ或いはササの葉裏に整然と並べて産みつけられ, 卵数は第1世代20〜182(平均90), 第2世代20〜268(平均140), 第3世代26〜145(平均81)であつた.8.幼虫は第1〜2令は完全な集団をなして行動し, 第3令に達すると分散し始め, 第4, 第5令では概ね単独に生活する.9.蛹化は腐竹, 腐木の内側, 板塀, 軒先等で行われ, まゆは濃褐色, 扁平楕円形の薄い蝋質の板で, 皿を伏せたような形に蛹を被う.10.本種幼虫が野外でイネを食害する例を観察したし, また飼育室内でも本種成虫はイネの葉に産卵し, それから孵化した幼虫はイネを食べて終令に達し得ることが確認された.11.以上の他, 成虫の交尾習性, 幼虫の移動性, 眠性, 卵内発生に及ぼす湿度の影響等を観察記載した.
著者
岡澤 孝雄 奥土 晴夫 當間 孝子 比嘉 由紀子 宮城 一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第55回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.34, 2003 (Released:2003-08-01)

カニアナヤブカの幼虫の主要な生息場所はアナジャコの穴であるが,成虫の重要な活動である交尾,吸血等は穴の外で行われると考えられる.八重山群島,西表島,古見でカニアナヤブカ成虫のアナジャコの穴への出入りの日周期変化を調べた.マングローブ林の周縁のアナジャコの穴約50個を選び,半分は穴から出る蚊の数を調べるために穴の上に常時ケージを設置した.残りの半分の穴は入ってくる蚊を調べるために調査時のみにケージを置いて,中の成虫蚊を細棒を使いケージの中に追い出し,定時的に蚊数を数えた.雄成虫も雌成虫も日暮から夜の0時までに穴を出て,夜明け頃から穴に入り始める.穴に戻る行動は日中も継続的に観察された.雄成虫のスワームは夜明け直後から1時間弱の間, 穴の上に見られ,そこに飛来した雌との交尾行動も観察された.
著者
栗原 毅
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.Supplement2, pp.1-28, 2002-07-15 (Released:2016-08-07)
参考文献数
105
被引用文献数
5 4

The present paper will describe guidelines for a malaria vector survey by public health personnel engaged in entomological work. The history of the past 100 years of taxonomic studies on Anophelini mosquitoes in Palearctic Japan is reviewed. Among the mosquitoes recorded in the area, Anopheles sinensis was considered the main vector. However no survey designed to systematically assess the presence and abundance of malaria vectors has been carried out since malaria transmission was interrupted in the Islands. There is uncertainty about many aspects of a suspected vector Anopheles lesteri, particularly its distribution. It is recommended that an occasional survey should be carried out in this region considering the possible reintroduction of malaria to the Islands.
著者
青木 淳一
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.11-15, 1962
被引用文献数
2 3

1) 全国41都道府県の主として種畜場放牧場の土壌中のササラダニ類を調査した結果, 合計13科19属31種1877個体のササラダニが検出された.2) 1地域のササラダニ種類数は平均3.0種で, 他の環境下の土壌と比較するとき, 放牧場のササラダニ相は著るしく単純なことを示している.3) 科別にダニを比較すればScheloribatidae (オトヒメダニ科)とGalumnidae (フリソデダニ科)の2科が個体数・頻度ともに最も大きく, Euphthiracaridae (タテイレコダニ科)などのイレコダニ上科に属するものがきわめて少ないのが特徴である.4) 優勢性および検出率からみるとき, 主要種としてScheloribates rigidiselosus Willm.(マガタマオトヒメダニ)とTrichogalumna lunai Bal.(チビゲフリソデダニ)の2種をあげる.これらはわが国の放牧場のダニ相を代表する種類と考えられるし, 条虫類の中間宿主としての可能性も大きい.5) Scheloribates laevigatus (Koch)ハバビロオトメヒメダニ)は欧米においてMoniezia expansaその他の条虫類の中間宿主たることが確認されており, 本調査においても前記2種に次いで多く検出されていることは注目に価する.
著者
野田 伸一 山本 進 内川 公人
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.339-346, 1996
参考文献数
22
被引用文献数
8 8

鹿児島県大隅地区のツツガムシ病流行地に4ケ所の調査定点を選定し, 1994年6月から1995年5月までの1年間にわたって, 毎月1回各地点から土壌サンプルを採取し, 表層土壌内に生息するツツガムシ類をツルグレン法によって調査した。その結果, タテツツガムシ, クロシオツツガムシ, フトゲツツガムシ, キタサトツツガムシ, フジツツガムシ, カンサイツツガムシ, シライタマツツガムシ, オガタワルヒツツガムシ, コシキワルヒツツガムシ, サダスクガーリエップツツガムシおよび未同定種(ドロシータマツツガムシ属)の11種が確認された。このうち, タテツツガムシは10-2月に, フトゲツツガムシは8-5月にそれぞれ採集された。さらに, 夏期のツツガムシ相を調べる目的で1995年7月と8月に, 調査定点とその周辺の18ケ所で土壌サンプルを採集した。その結果, フトゲツツガムシが5ケ所から確認された。したがって, 鹿児島でのツツガムシ病の媒介には秋-冬はタテツツガムシとフトゲツツガムシ, 春-夏はフトゲツツガムシの関与が推測された。一方, 1995年11月に住宅敷地内, その周辺部, 隣接する林内および耕作地で, 黒布を用いた見取り法とツルグレン法でツツガムシ類を調査した。その結果, いずれの場所からもタテツツガムシが採取され, 日常生活域にもタテツツガムシが生息して, ツツガムシ病の伝播の役を担う可能性が考えられた。
著者
内川 公人 山田 喜紹 佐藤 潔 熊田 信夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.233-243, 1984
被引用文献数
3 1

Field surveys were carried out monthly during the period from August 1981 to September 1982 to add to the basic knowledge of the vectors of tsutsugamushi disease in Nagano Prefecture, where outbreaks of the disease were reported in the spring of 1981 after a lapse of 14 years. Field mice and voles were trapped alive at stations selected mostly in grasslands in Miasa Village and Iida City. Preliminary or additional surveys were also done at irregular intervals in these areas and in Yamanouchi Town and Matsumoto City. From four kinds of field rodents examined, a total of 51,548 chiggers comprising three genera and 12 species was collected and identified. Among them, Leptotrombidium pallidum, L. intermedium, L. fuji, and Gahrliepia saduski were the predominant species in this order. L. scutellare, one of the known vectors in Japan, was not collected during the study, suggesting that L. pallidum would have played the role of vector in the recent reoccurrence of tsutsugamushi disease in Nagano Prefecture. Remarkable difference was observed among the average numbers of chiggers taken from different kinds of hosts. Conspicuous variations in host perference of some chigger species were also observed depending on the localities of collection. Habitat specificity was distinctly demonstrated by the fact that the faunal compositions of chigger species were closely related with the topographical features of the lands surveyed. Seasonal fluctuation of chiggers also differed depending on the localities of the survey. For example, average number of L. pallidum on the rodents showed a peak of occurrence in the late fall at the stations in Iida, while the same species of chigger had two peaks, one in spring and the other in autumn, at the stations in Miasa. The importance of studying the favorable habitats for the vector was discussed from the epidemiological viewpoints.
著者
大島 司郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.165-191, 1968
被引用文献数
2 5

<p>Since Baker and Wharton (1952) regarded the genus Mealia Trouessart, 1897, as a synonym of the genus Dermatophagoides Bogdanoff, 1864, many authors (Sasa, Dubinin, Baker et al., Hughes, Fain and others) have adopted the genus Dermatophagoides for the free-living mites which abound in the house-dust and other sources. When Fain (1966) redescribed Dermatophagoides pteronyssinus (Trt.) which was a dominant species in the house-dust, he suggested that it was impossible to define with certainty that D. pteronyssinus (Trt.) is not a synonym of D. schermetewskyi Bogdanoff, 1864. He did not, however, regard the former as a synonym of the latter, and stated that "Nous proposons donc de maintenir les deux especes et d'attendre que la decourverts de nouveau materiel puisse nous fixer sur le statut de D. scheremetewskyi". When he completed a monograph (1967a) on the genus Dermatophagoides, he could not include the redescription of the type species of the genus, i. e., D. scheremetewskyi. This means that the genus Dermatophagoides was reestablished without defining type species. That the dominant form found in the housedust is identical with Trouessart's Mealia pteronyssina seems highly probable on the following grounds : 1) Dr. Fain ascertained that his materials (D. pteronyssinus) was identical with the type series of M. pteronyssinus which was actually preserved in Berlese Collection of Florence with data written by Trouessart (1901) "Habitat : Sur des peaux de Mammiferes preparees et attaquees par des Insectes rongeurs (par M. Petit aine, de Paris", 2) we ascertained the identity between our materials from the house-dust and D. ptronyssinus sensu Fain, and found that our material falls within the category of the genus Mealia Trt., and specifically coincide with M. pteronyssina Trt. according to the original description. In Bogdanoff's original description of D. scheremetewskyi, we found that D. scheremetewskyi is definitely distinguishable morphologically from the species of the genus Mealia Trt. In the female of Bogdanoff's D. scheremetewskyi, 1) palpal tarsus is rather slender and pointed forwards, 2) a pair of external vertical setae are present and are provided with some ten pectinations, 3) a pair of pores which may be traces of internal vertical setae (which must have fallen off) are present, but are drawn by mistake between epimera I and II of ventral view (1B), 4) the propodosmal shield is lacking but that part is carefully and finely striated, 5) both posterior ends of epigynium (lesextremites de l'arc superieur) turned slightly outwards and reached the same level of the scapula of trochanter III, 6) the posterior ends of lateral vulva (les extremites posterieures de ce second arc) reached the same level of the scapula of trochanter IV. In the female of Mealia pteronyssina Trt., 1) palpal tarsus is rather short and turned strongly inwards, 2) both external and internal vertical setae absent, 3) a distinct propodosomal shield is present, 4) the epigynium is likely crescent or house-shoe shaped and the posterior ends do not reach the level of the scapula of trochanter III but may or may not reach the level of the anterior ends of epimera III, 5) the posterior ends of lateral vulva exceed beyond the level of the scapula of trochanter IV. Thus, it is clear that Bogdanoff's genus Dermatophagoides differs from the genus Mealia Trt. We propose, therefore, that the genus Mealia Trt. should be revived for the forms of free-living mites in the house-dust instead of the genus Dermatophagoides, which should be maintained for the true exoparasitic forms as like as the original habitat. It was also emphasized in the present paper that the male mite (described in the Bogdanoff's paper at the same time with the female of D. scheremetewskyi) is not concerned in the problem of the identity of D. scheremetewskyi Bogd., because he only sta</p><p>(View PDF for the rest of the abstract.)</p>
著者
福井 正信 長田 泰博 黒佐 和義 田中 英文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.169-172, 1959

1) 1958年11月より1959年1月にかけ関東甲信越駿1都10県の国立病院薬局68カ所を対象として薬局常備薬剤のダニ, 昆虫その他の異物の調査を行つた.2)対象薬剤に澱粉, 乳糖, 含糖ペプシン, ジアスターゼ, パンクレアチン, V.B_1, 乳酸菌製剤, タンナルビン, 乾燥酵母の9種でありこれを各々元封々切直後, 封切後貯蔵, 封切後装置瓶保管の3種ずつ検査を行つた.3)1, 071検体中ダニ検出例44(4.1%), 昆虫検出例51(4.8%)となり薬品別には乾燥酵母がダニ検出率19.6%, 昆虫検出率17.8%と最も高かつた.3)保存条件別には装置瓶, 開封放置の間には差がみられなかつたが元封々切直後のものからも以上2者の50%程の検出例が記録された.4)経過日数によるダニ検出率の差はみられないが長期保存のものからは多数のダニが採集された.5)容器別には多くの形態のものより採集された.また検体採集時の温度, 温度と検出率の間に一定の傾向はみられなかつた.
著者
佐々木 均 竹田 洋介
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.45, 2003

吸血性アブ類が,ソバの授粉昆虫として果たす役割を知る目的で,2002年8月,北海道幌加内町内2ヶ所でNZIトラップを用いた吸血性アブ類の捕獲調査を行い,得られた個体の体表に付着した花粉をグリセリンジェリー法で採取し,酢酸カーミンで染色した後検鏡し,ソバの花粉か否かを調べた.<BR> その結果,ソバ畑隣接地で,アカウシアブを優占種とする4属8種合計77個体,ソバ畑から離れた湿性草地で,ゴマフアブを優占種とする5属9種164個体の吸血性アブ類が得られた.ソバ畑隣接地で得られた吸血性アブ類の74%が,ソバ畑から離れた湿性草地で得られた個体でも57%がソバ花粉を体表に付着させていて,他殖植物であるソバの受精に吸血性アブ類が関与していることが示唆された.