著者
天野 和孝 フェルメイ G. J.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.209-223, 1998-10-31
被引用文献数
4

日本および北朝鮮の中期中新統初期のヒレガイ属, Ceratostoma makiyamai, C. sp.を検討した。これらを加え, ヒレガイ属はC. nuttalli (Conrad), C. virginiae (Maury), C. foliatum (Gmelin), C. rorifluum (Adams & Reeve)の4グループに細分される。本属はおそらく大西洋起源で, 中新世前期までにカリフォルニアに, 中新世中期の初期までに北東アジアに分布を広げた。このような中新世前半に北東太平洋から北西太平洋へと分布をひろげる移動パターンはチヂミボラ属など他の多くの北方系種にも特徴的に見られる。
著者
上島 励
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.110-115, 2007-11-08

タカハシベッコウNipponochlamys takahashiiはKuroda & Habe (1969)によって記載されたNipponochlamys属の1種である。本種の記載にあたってKuroda & Habe (1969)は,福岡県の若杉山から得られた標本の生殖器,歯舌の形態学的特徴を記述,図示した。一般にNipponochlamys属は,殻表に細かい成長脈を多数巡らし,曇った外観を呈するのが特徴である。しかし,タカハシベッコウは本属としては例外的に殻表が「平滑で,光沢を有する」ことが特徴とされる。原記載において,Kuroda & Habe (1969)は「本種もし解剖学的知見を得なかったならば,我々は恐らくヒラベッコウ属の1員と考えたであろう」と述べている。Kuroda & Habe (1969)は解剖学的特徴を重視して本種をNipponochlamys属に入れたが,その貝殻の特徴がNipponochlamys属らしからぬことを原記載時に指摘したのである。本種の原記載から30年あまりが過ぎ,「波部忠重記載の貝類」が出版された。これは波部忠重民が記載した貝類全種の原記載を再録した出版物であり,この中にタカハシベッコウの原記載も再掲載された。驚くべきことに,この「波部忠重記載の貝類」の1105ページ(タカハシベッコウの項)には,「波部追記」として「生殖器に関する記述および解剖図は,記載に用いた殻とは別種のものであった可能性があり,模式産地の標本により再検討を要する」とのコメントが追加された(波部,2001)。もし,この追記が事実であるならば,タカハシベッコウは2種(別種)の特徴を組み合わせて記載されたことになるため,原記載通りの生殖器と貝殻の特徴を併せ持つ種は実在しないことになる。また,本種をNipponochlamys属に含めた最大の根拠であった「軟体部の特徴」が別種のものであったならば,その分類学的位置も疑わしくなる。これは,そもそもタカハシベッコウなる種が本当に実存するのかどうかが疑われるという重大な問題である。本文では,この追記をめぐる背景について記述し,タカハシベッコウの「実体」について考察する。
著者
藤原 義弘 小島 茂明 溝田 智俊 牧 陽之助 藤倉 克則
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.307-316, 2000-12-31
被引用文献数
5

日本海溝の超深海域より採集したオトヒメハマグリ科ナラクシロウリガイCalyptogena fossajaponicaの共生細菌の性状を明らかにするため, 形態観察, 硫黄含有量および同位体組成分析, 分子系統解析を行った。透過型電子顕微鏡観察により, この二枚貝の鰓上皮細胞中に多数の細菌を確認した。また, この二枚貝の軟体部の硫黄含有量と硫黄同位体組成の解析により, 硫黄細菌の存在を示唆する結果を得た。更に, この細菌の16SリボソームRNA遺伝子配列を決定し, 系統解析を行ったところ, この細菌は深海の熱水噴出域, 冷水湧出域に生息する他のオトヒメハマグリ科二枚貝の共生硫黄細菌と近縁であった。この共生細菌はガラパゴスシロウリガイ, ナギナタシロウリガイおよびフロリダ海底崖産シロウリガイ類の1種の共生細菌と単系統群を形成した。これら4種の二枚貝は他の多くのシロウリガイ類に比べて大深度に分布していた。シロウリガイ類は種ごとに垂直分布が異なることが知られているが, このような垂直分布様式の違いはそれぞれの共生細菌の影響を受けているのかもしれない。
著者
中野 大三郎 伊澤 邦彦
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.235-241, 1996-09-30
被引用文献数
4

三重県伊賀盆地の上野市大谷と大山田村甲野の2地点で1988年から1991年に, カワニナを採集し, 母貝の殻高と胚数の関係及び殻高25-30 mmの母貝を用い保育嚢にみられる胚の発育段階による胚構成の季節変化から生殖周期, 保育期間, 年産仔数を検討した。年による生殖周期の基本パターンには大きな相違は認められなかった。夏には発生初期の胚が保育嚢に多く認められ, 1腹の平均胚数は大谷では約1000個, 甲野では約700個と最大を示し, 夏以降秋まで産仔による減少を続ける。越冬した胚は春に産出し, この季節の胚数は最小となり, 大谷及び甲野ともに約250個であった。卵は4月下旬から10月中旬までの長期間にわたり保育嚢に継続して供給され, 4月下旬から8月下旬までに供給された卵は6月下旬から10月中旬に稚貝となり産出されると推定された。8月下旬以降の供給された卵は越冬し, 翌春の4月以降6月までに稚貝となり産出されると推定された。温暖期の4月から10月の胚の成長速度に相違がないと仮定した場合, 再生産力として1母貝当り大谷で1550個/年から2100個/年, 甲野で約1200個/年が見積られた。
著者
河合 渓 山口 志織 井手 名誉 五嶋 聖治 中尾 繁
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.105-112, 1994-08-31
被引用文献数
4

北海道北東部に位置するサロマ湖において1990年12月から1993年10月にかけてヒメエゾボラNeputunea arthriticaの生殖周期, 寄生虫による感染個体の割合とこれらの個体の生殖腺発達について検討を行った。組織学的観察により生殖腺と貯精嚢の発達過程を卵巣と精巣は4期, 貯精嚢は3期に区分した。その結果, 雌雄共に1年を周期とした生殖周期が示された。発達過程は卵巣で8月∿11月が回復期, 10月∿4月が成長期, 4月∿7月が成熟期, 5月∿8月が放出終了期であり, 精巣は4月∿5月が回復期, 4月∿7月が成長期, 8月∿12月が成熟期, 11月∿4月が放出終了期であった。また, 貯精嚢は7月∿8月が休止期, 9月∿12月が貯留期, 4月∿6月が放出終了期であった。その結果, 交尾期は4月∿8月, 産卵期は5月∿8月と推定された。また, 雌では放出終了期の個体の割合が非常に低いことが示された。寄生虫に感染した雌個体は生殖巣指数(GSI)の値が周年にわたり非常に低く, 生殖腺はほとんど発達していないと考えられる。一方, 感染雄個体のGSIは低い値を示しているが, 非感染個体のGSIの周期と同調した傾向を示しており, 寄生虫に感染しても生殖腺は発達すると考えられる。寄生虫感染個体の割合を湖内各地で調べたところ, 感染率は0%から60%と様々であったが, 全域の感染率は3.7%と低い値を示した。これらの結果から, 寄生虫の感染はヒメエゾボラの生殖腺の発達に影響を与えているが, 湖全域での産卵抑制の主要な原因にはなっていないと考えられる。
著者
近藤 高貴 山田 雅彦 草野 恭文 酒井 健司
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.177-179, 2000-06-30
被引用文献数
4

カワシンジュガイの天然宿主としては, これまでヤマメ, アマゴ, ヒメマスとニジマスの4種が知られている。これらの魚種は全てサケ属に属し, これまでイワナ属の魚種がカワシンジュガイの宿主になることは報告されていなかった。北海道富良野市内を流れる布礼別川で1997年7月7日に採集したアメマスとカワマスの鰓に, カワシンジュガイの幼生が多数寄生していることを見いだした。この幼生の殻長は0.22∿0.37 mmで, 放出時の幼生の大きさ(殻長約0.07 mm)に比べるとかなり成長していた。このことから, イワナ属に属するこの2種がカワシンジュガイ幼生の宿主となっていると考えられた。
著者
バーチ J. B.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-27, 1968-08-31

核型分析が近縁種問の類縁関係を知るのに非常に有効であることは明かであるが, 軟体動物では僅かにSTAIGER(1954)その他数篇の報告があるに過ぎない。これはよい検鏡標本を作るのが大変困難なためで, この問題を解決するために著者は組織培養を計画した。材料はCatinella vermeta(SAY)(オカモノアラガイ科)とHelix pomatia L.(ブドウマイマイ, エスカルゴ;マイマイ科)である。1) 生殖腺の摘出。殻をよく洗い, 70%アルコールで拭き乾いてからこわして軟体部を取出す。次に中腸腺(肝ぞう)に埋没している生殖腺(両性腺)を注意深く摘出する。この際, 小葉を傷つけぬことが大切である。生殖腺は蝸牛用生理塩水で数回洗った後, 1&acd;2mm^2に切刻んで手早く生理食塩水で洗って培養管に入れ培養液に浸しておく。使用器具その他は充分消毒滅菌し, 殺菌灯下で操作することはいうまでもない。2) 培養。4種の培養液(調製等については文献及び付記参照)を使用したが, 結果は何れも良好であった。培養液には何れも10^<-3>モルになるようにコルキシンを添加する。濃度は10^<-5>, 10^<-7>でも効果があった。培養管は室温(23℃)及び15℃に4日間おいたが, 大抵は42&acd;48時間後検鏡標本を作った。1&acd;24時間位では分裂像は稀である。また培養温度は23℃も15℃も大差なかった。3) 検鏡。1mm^2位の小片をスライドに取り, 醋酸オルセイン押しつぶし法で検鏡する。4) 結果。C. vermetaでは4対の中部付着型(中部狭窄型, V型ともいう)と小さい2対の次中部付着型(L型)の染色体があり, そのうち1対は他のどれよりも大きい。H. pomatiaでも前種同様で端部付着型(I型)の染色体はないが小型で数が多く, 16対の中部付着型, 11対の次中部又は次端部付着型(J型)の染色体が見られた。両種共染色体の長さは, 細胞が異ってもほぼ一定していた。このように組織培養法が核型の分析や比較に応用されれば, 系統分類学上多大の効果をもたらすものと信ずる。(稲葉明彦 抄訳)
著者
片桐 展子 片桐 康雄
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.37-42, 2007-08-31
被引用文献数
1

イソアワモチOnchidium verruculatumは暖流が洗う外洋に面した潮間帯の岩礁に棲み,千葉県の房総半島が北限とされる(黒田・波部,1971)。体全体が保護色ともいえる岩と同じ色調で,小判型である(図1)。イソアワモチの頭部には1対の触角があり,触角の先端にカタツムリのような柄眼がある。イソアワモチは頭部の柄眼の他に背中にも眼があることで知られる。体の背側の外套は大小の粟状の突起で覆われるが,一部の突起は背眼を備え担眼突起と呼ばれる。担眼突起は外套の中央部付近にあり,1個体に15個前後,1つの担眼突起に3〜4個の背眼が光軸を異にしてそれぞれ別の方を向いている。イソアワモチは柄眼と背眼の2種類の眼を持っているのである。柄眼も背眼も直径0.2mm位で黒い点として肉眼で識別できる。(Stantschinsky,1908;黒田・波部,1971;Okuno et al., 1976;片桐,1999)。イソアワモチは不思議な動物で,全身で光をキャッチしている。行く方向へ延ばした触角の先端に柄眼がある。外套背面では伸び縮みする担眼突起の上で背眼が周囲を見張っている。そして,柄眼と背眼の他にも,眼外光受容である皮膚光覚細胞が体表全体に夥しく散在する。その上,中枢神経系に光感受性神経節細胞が存在する(後藤・西,2003)。イソアワモチは光情報を得るために多種類で多数の光受容装置を搭載している。このような動物は他に例がなく,イソアワモチは光受容の研究に貴重な動物である(平坂,1912;Eatagiri et al., 1985,1990;片桐,1999)。私たちは1975年頃からイソアワモチに見られる多種類の光受容装置について研究してきた。研究材料であるイソアワモチは主に房総半島で採集し,実験室に持ち帰って飼育していたが,その過程で「イソアワモチと一般に呼ばれているものには2種混じっている」ことに気付いた。2種を区別するために,一般にイソアワモチと呼ばれているものをイソアワモチOnchidium verruculatumとし,もう一つをミニアワモチ(仮称)Onchidium sp.と呼んでいる(これは便宜的な仮称であり,正式な標準和名として提唱するものではない)。ミニアワモチはイソアワモチに非常に似た動物である。イソアワモチとミニアワモチは図1と2のように2種並べて見れば違いが分かる。しかし,どちらか一方だけを見たのでは,外観による区別は難しいようである。一般には,ミニアワモチはイソアワモチと同一視され区別されていないため,ある動物図鑑にはミニアワモチの写真がイソアワモチとして掲載されているし(濱谷,1986),ある臨海実験所にイソアワモチの採集を依頼したところミニアワモチが届いた。私達は研究を始めた当初から,同じ採集地で見かけるミニアワモチをイソアワモチと区別し,イソアワモチを選んで採集し実験してきた。ミニアワモチは以下に述べるいくつかの特徴と発生の孵化時の状態に違いがあるので,イソアワモチとは別種であると考えている(藤本,1984;片桐・他,1983;片桐,1999)。
著者
湊 宏 大久保 皖司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-4, 1991-07-31
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.109-111, 1975-09-30

Land snails of the Genus Parmarion belonging to the family Helicarionidae include two species (HOFFMANN, 1940). The specimen of Parmarion martensi SIMROTH, 1893, reported in this paper was collected by Mr. K. UOZUMI on January 2th, 1975 from Ishigaki Island, the southern Ryukyus, Japan. The reported distribution of Parmarion has been limited to the Southeast Asia (Hainan Is., Cambodia, Sumatra, Java, Lumbok and Borneo) and the northernmost record was from Hainan Island, China. This specimen here reported represents the first record of the species from Japan, or some 1400 km northeastern range extension.
著者
近藤 高貴
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.227-236, 1987-12-31
被引用文献数
5

岡山県旭川水系の祇園用水に生息するイシガイ類7種の繁殖期を調べた。その結果, グロキディウム幼生の放出時期に関して"冬繁殖"と"夏繁殖"の2つのグループが認められた。ここでは冬繁殖とは水温10℃以下でもグロキディウム幼生を放出できるグループ, 夏繁殖は水温10℃以上でしかグロキディウム幼生を放出しないグループと定義した。また, カタハガイでは寄生期間中に幼生の殻の生長が見られたが, 他の種では見られなかった。以上の結果と文献の資料に基づいて, 日本産イシガイ類の繁殖様式を, 1)冬繁殖で寄生期間中に幼生が生長する種(カタハガイ), 2)夏繁殖で寄生期間中に幼生が生長する種(カワシンジュガイ), 3)冬繁殖で寄生期間中に幼生が生長しない種(ニセマツカサガイ, オトコタテボシ, カラスガイ, ドブガイ, マルドブガイ), 4)夏繁殖で寄生期間中に幼生が生長しない種(マツカサガイ, オバエボシ, イシガイ, タテボシ, ササノハガイ, トンガリササノハガイ, イケチョウガイ)の4つのタイプに分類した。
著者
ブシェ フィリップ ポッペ ギド
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-32, 1988-04-15

Alcithoe aillaudorum n. sp. is the first Alcithoe known outside New Zealand waters ; it is however not considered a Gondwanian vicariant relict but is probably a recent immigrant that dispersed from New Zealand to New Caledonia via the Norfolk ridge. Lyria exorata n. sp. is known from Capel and Kelso Banks, two submerged flat plateaus surrounded by abyssal depths in the Coral Sea. L. habei Okutani, 1979 is a new record for New Caledonia. Records of other Lyria are reviewed and summarized. Although the distribution of Lyria in the Western Pacific corresponds rather well with the limits of the Pacific plate, this distribution appears to be a result of constraints in larval biology rather than a reflection of the plate tectonic history of the area.
著者
ブシェ フィリップ ワレン アンドル
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.172-184, 1988-10-15

Exilioidea Grant & Gale, 1931 is transferred from the family Buccinidae to the Turbinellidae based on its radular and shell morphology. From an examination of types and representative material of E. rectirostris (Carpenter, 1864), E. kelseyi (Dall, 1908), and Plicifusus obsoletus Talmadge, 1971, it is concluded that these names are synonyms and based on a northeast Pacific species with great, clinal, latitudinal and bathymetrical variation. The East Pacific abyssal Fusus rufocaudatus Dall, 1896 is transferred to Exilioidea and three new species are described : E. indica, Indian Ocean, 2900-4040 m ; E. costulata, SE Asia, 1025 m ; E. atlantica, Gulf of Mexico, 880-3365 m.
著者
小澤 宏之
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.173-181, 2001-09-30
被引用文献数
1

生殖巣の組織学的観察をもとに, 沖縄島金武湾の海草藻場のホソスジヒバリガイ個体群の繁殖と産卵について調査を行った。生殖巣の発達する7月から10月の期間中に顕著な産卵のピークが3回確認され, それぞれの産卵ピークの間隔は約45日間であった。また, この期間中(7-9月)に台風が襲来し, その影響により急激な水温の低下が確認された。しかし, 本研究では, 産卵と台風襲来による物理的環境変化(急激な水温の降下)との間に, また産卵と月齢との間に, 密接な関連性を確認できなかった。