著者
富澤 元博 山本 出
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.231-236, 1992-11-20
被引用文献数
8

イエバエおよびミツバチ頭部のニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)画分のα-ブンガロトキシン(α-BGTX)結合部位への薬物の結合を, ラジオレセプターアッセイにより検討した.塩基性の高いニコチン, ノルニコチン, アナバシン, ジヒドロニコチリンでは親和性が強く, 塩基性の低いミオスミン, ニコチリン, コチニンでは弱かった.ピリジルメチルアミン類の3位異性体で塩基性の高いものの親和性が強かった.ニコチンの光学異性体では, d体よりl体のほうが強かった.以上の結果はこれらニコチノイドの殺虫活性と対応していた.アセチルコリンエステラーゼの強力な阻害剤であるオキサジアゾロン化合物のnAChRへの親和性は認められなかった.ニコチンと同じ構造部分をもつイミダクロプリドは強い親和性を示し, α-BGTXやニコチンと同一部位に相互作用することが示された.
著者
瀬戸 秀春 禿 康雄 銭 昭輝 清水 猛
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.61-67, 1992-02-20
被引用文献数
5

ククルビン酸のすべての立体異性体および種々の類縁体をラセミ体にて立体選択的に合成し, 構造活性相関の解明ならびに農業上実用可能な植物生長調節剤の探索を目的として, これら化合物について水稲の幼苗根およびトウモロコシの草丈の成長に対する阻害活性を調べた.その結果, 水稲の幼苗根の成長阻害活性を高めるククルビン酸類縁体の化学構造要因として, 1) 1位と2位の置換様式がシスであること, さらに, 2) 3位の水酸基, 3) (Z)-2´-petenylあるいはbutyl基に代表される2位のalkenylあるいはalkyl置換基, および, 4) 1位のmethyl acetate置換基が重要であることが解明された.水稲の幼苗根の成長阻害活性において, ククルビン酸類縁体の中で, 相当する3-oxo体である, ジャスモン酸メチルあるいはエピジャスモン酸メチルに勝るものはなかったが, 茎葉処理によるトウモロコシ草丈の成長阻害活性においては, これらの化合物と同等あるいは若干強い活性を示す化合物がいくつか見い出された.これにより, より実用的な茎葉処理においては, 3位がケトンであるより水酸基のほうが, また, 2位の置換基がalkenylよりもalkyl基のほうが活性発現に適していると推測された.
著者
本間 保男 高橋 広治 水野 宏 見里 朝正
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.33-40, 1977-02-20

キュウリうどんこ病菌Sphaerotheca fuligineaを供試し, 本菌の生育過程に及ぼす大豆レシチンの影響を検討した.キュウリ子葉裏面に大豆レシチン2000ppmを処理し, うどんこ病菌分生胞子を接種し, 分生胞子の発芽, 菌糸の伸長, 分生子梗, 分生胞子の形成を経時的に走査電顕により観察した.分生胞子の発芽には著しい抑制はみられなかったが, 無処理区に比し, 発芽管がやや太く, 短くなり, 菌糸の伸長が遅くなる傾向がみられた.もっとも顕著な影響は, 処理区の接種3日目以降の菌糸先端部に現われた.すなわち, 伸長した菌糸の先端部周縁に薄膜が見られ, うなぎ尾状を呈し, 日数の経過とともに膜の部分が拡大することであった.また無処理区に比し, 分生子梗, 分生胞子の形成が遅れ, 数も少なく, とくに分生胞子が分生子鎖から離脱せずに, そのままたれ下がり, 全体的にゼンマイ状を呈するものがみられた.
著者
竹中 秀行 市成 光広 谷本 憲彦 早瀬 善男 新川 求 市場 常男 益子 道生 林 幸之 武田 禮二
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.107-112, 1998-05-20
被引用文献数
9

種々の2-(置換フェノキシメチル)フェニル-2-メトキシイミノアセトアミド誘導体を合成し, フェノキシメチル部の置換基と殺菌活性における構造と活性相関について調べた.その結果, フェノキシメチル部のベンゼン環が無置換の化合物に比較して, ベンゼン環の2位, 3位または4位がメチル基またはハロゲンで置換された化合物の方が活性が高かったが, ベンゼン環の2位に比較的嵩高い置換基が導入された化合物は活性が低下する傾向が見られた.また, モノ-置換体より2, 3-, 2, 4-または2, 5-ジ-置換体の方が活性が高く, とくに2, 4-ジメチル, 2, 4-ジクロル, 2, 5-ジメチルおよび2, 5-ジクロル体の活性が最も高く, スペクトラムも広かった.一方, 2位と6位に同時に置換基が導入された化合物は著しく活性が低下した.メトキシイミノ部の幾何異性体間ではE-体の方がZ-体より活性が高かった.
著者
上路 雅子 金沢 純 岩撫 才次郎
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.371-377, 1978-11-20
被引用文献数
1

殺虫剤, BPMC (2-sec-Butylphenyl N-Methylcarbamate)の, キュウリおよびコマツナにおける根からの吸収と, 植物体への移行について検討した.微粒剤あるいは粉剤として土壌に施用した場合, 土壌中のBPMCは根から吸収され, 地上部に移行が認められたが, キュウリではおもに根に検出され茎, 葉, 実には少なく, コマツナにおいては根, 茎葉部でのBPMCの分布はほとんど同じで, 吸収, 移行が植物によって異なる結果を得た.さらに, 吸収, 移行は微粒剤を処理したときのほうが粉剤の場合よりも多く, コマツナでは処理後11日から21日後に吸収, 移行は最高となり, その後減少した.また, 処理した土壌が火山灰土壌の場合, 沖積土壌と比かくして, 根への吸収が極端に少なく, 茎, 葉, 実にはBPMCは検出されなかった.処理されたBPMCは土壌中で漸減したが, 粉剤で処理した土壌のほうが, 消失速度が早かった.処理後41日では土壌中の残留は, 両剤型によって大きな差は認められなかった.アセトン抽出後の土壌を0.5N HClで処理することにより抽出される土壌に吸着されたBPMCは, 微粒剤で処理された場合に多く検出された.
著者
堀越 守 豆塚 弘毅 廣岡 卓
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-22, 1999-02-20
被引用文献数
5

大腸菌のprotoporphyrinogen oxidase(Protox)遺伝子欠損変異株(SASX38)を用いた遺伝的相補法によって, タバコ葉から葉緑体及びミトコンドリア型Protox cDNAを単離し, 全塩基配列を解明した.得られた塩基配列情報を利用し, 光要求型除草剤pyraflufen-ethyl耐性タバコ細胞ETR-245株及び感受性株から, RT-PCRによって各々2種のProtox cDNAを増幅した.これらProtox cDNAによって生育を相補した大腸菌SASX38株に対するpyraflufenethylの生育阻害度を測定し, 各遺伝子産物のpyraflufenethylに対する感受性を比較した.ミトコンドリア型遺伝子産物には感受性の差は認められなかったが, 葉緑体型遺伝子産物ではETR-245株由来のものは感受性株由来のものに比べ, 4000倍以上の耐性を示した.さらに, これら葉緑体型Protox cDNAの全塩基配列を比較した結果, 1塩基にのみアミノ酸置換を伴う塩基の変異が認められた.したがって, この変異がETR-245株における光要求型除草剤耐性の原因であることが明らかとなった.
著者
日本特殊農薬製造株式会社開発本部技術部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.775-779, 1987-11-20

スルプロホスの安全性評価のための各種毒性試験を実施した.スルプロホスはラットとマウスにおける急性毒性値から劇物に指定された.中毒解毒法としては, 硫酸アトロピンと2-PAMの反復投与が有効であった.ウサギを用いた刺激性試験では, 皮膚に対する刺激性はみられなかったが, 眼粘膜に対しては結膜にのみ軽度の刺激症状がみられた.神経毒性に関して, 解毒剤を前処理したニワトリにLD_<50>量を投与して試験したが, 肉眼的にも組織学的にも遅発性神経毒性作用は認められなかった.ラットとイヌの亜急性毒性試験では, 有機リン剤特有のChE活性の阻害が観察され, 高薬量群では体重増加の抑制と飼料摂取量の低下もみられた.ChE活性以外の血液生化学的検査, 血液学的検査, 剖検および病理組織学的検査においては, 一貫した薬量相関性の変化は認められなかった.ラット, マウス, イヌを用いた慢性毒性試験でも, 抗ChE活性が認められたが, 検体長期摂取による組織変化や催腫瘍性作用は認められなかった.3世代にわたるラット繁殖試験の結果, 30および120ppm投与群においてF_<1a>新生仔の離乳時の体重減少を認めたものの, その後の世代には反映されない一時的変化であり, 薬量相関性を示す繁殖能の変化はなかった.ラットとウサギにおける催奇形性試験では, ChE活性阻害に起因する母動物の一般症状の悪化や体重の減少が認められたものの, 胎仔毒性や催奇形作用は認められなかった.スルプロホスは, 昭和60年2月に野菜類のスリップス防除用の殺虫剤として登録を取得した.登録保留基準値は, ピーマン5ppm, さやいんげん2ppm, きゅうり, なす, かぼちゃ, にがうり1ppm, とうがん0.5ppmと設定された.スルプロホスは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つであると考えられる.
著者
Fahmy Adel Ramzy SINCHAISRI Neungpanich 宮田 正
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.665-672, 1991-11-20
被引用文献数
4

タイ国産コナガTL系統およびBK系統を用い, クロルフルアズロンで室内淘汰をし, クロルフルアズロンに対する抵抗性発達の程度をしらべた.クロルフルアズロンで14ないし15世代淘汰をしたところ, TL系統およびBK系統は無淘汰系統に比較し, それぞれ318および303の抵抗性比を示した.クロルフルアズロンに対する抵抗性比が200以上になった時点で, 他薬剤との交差抵抗性をしらべた.BK系統でテフルベンズロンが, TL系統でピリプロキシフェンが非常に弱い交差抵抗性を示した以外, 試験した殺虫剤はいずれもクロルフルアズロンに交差抵抗性を示さなかった.
著者
倉橋 良雄 新木 康夫 金原 太郎 PONTZEN Rolf 山口 勇
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.22-28, 1998-02-20
被引用文献数
8

カルプロパミド(ウィン^[○!R])はP. oryzaeやV. dahliaeなどの平面培養やいもち病菌の振とう培養での菌の色素沈着を強く抑制した.そしてそれらの野生株の培養物の抽出によって白色の結晶が単離された.薄層クロマトRf 0.36付近のスポットから得られた白色結晶の化学分析値は既に報告されているシタロンのデータとよく一致した.カルプロパミド10μg/mlを処理したそれらの培養物中には多量のシタロンと少量のバーメロンが蓄積したが, 2-ハイドロキシジュグロンは検出されなかった.P. oryzaeのアルビノ変異株(P_2-alb)の振とう培養にシタロンを加えると速やかに代謝され, その培養は薄い褐色となった.しかしその培養にあらかじめカルプロパミドを加えるとシタロンはあまり代謝されないで培地中に残った.P. oryzaeのアルビノ変異株(P_2-alb)の平面培養の菌叢先端に局所処理したシタロンとバーメロンは黒色色素に変換されたがその着色はカルプロパミドによって阻害された.これらの試験結果はカルプロパミドが菌類メラニン生合成においてシタロン及びバーメロンの脱水反応を阻害することを示唆している.
著者
高瀬 巌 小山 寛史 藤下 章男
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.473-480, 1982-11-20

mesulfenfosの樹幹注入またはdisulfotonの土壌混和の単木処理によるマツノザイセンチュウの防除効果と施用方法や時期別による樹体内の吸収・移行および分布との関係を検討して, つぎの結果を得た.(1) mesulfenfosを樹幹注入またはdisulfotonを土壌混和処理すると, 薬剤は松の樹体内に吸収移行して優れた枯損防止効果を示した.マツノザイセンチュウの防除効果と薬剤の吸収量との間には相関性が認められた.(2) mesulfenfosを樹幹注入すると, 注入点から上方1mでは, 注入部位にのみ薬剤は検出されたが, 高さ5&acd;7mでは樹体内に均等に分布していた.そして, 木部の中心部より薬剤はおもに検出されたことから, 樹幹に直接注入すれば, 蒸散流に乗って上昇, 移動する垂直移行分布が認められた.(3) 11月から3月に薬剤を樹幹注入または土壌処理したとき, 6月の分析時に土壌処理でやや吸収量の差はあったが, 9&acd;12月の樹体内の吸収量は変わらず, いずれの処理時期でも効果が認められた.マツノザイセンチュウの活動期間に薬剤を松に保持させて優れた防除効果を発揮させるには, 樹幹注入は5月まで, 土壌処理は3月までに処理すればよい.(4) 土壌処理したdisulfotonは比較的幹基部に多いものの, 上方の幹部や枝部にも吸収移行しており, 垂直分布が認められた.おもに木部(外側)に多いが, 篩部からも検出されたことから, 松の根系から吸収され, 蒸散流はおもに木部の辺材と篩部であることが示唆された.(5) 樹体内から検出された化合物は樹幹注入ではmesulfenfos自身であったが, 土壌処理では酸化体のdisulfoton sulfoneとsulfoxideが主であった.土壌処理したdisulfotonは土壌内で酸化されて, 酸化生成物が根から吸収移行した.
著者
内田 又左衛門 小川 邦彦 杉本 達芳 相澤 宏保
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.537-544, 1983-11-20

水面施用した[aniline環-^<14>C]flutolanilはイネによく吸収され, 27日後に葉身中の放射能は最高濃度(93.7 ppm ^<14>C-flutolanil相当)に達した.その後, 緩やかに減少し, 81日後では83.0 ppm相当となった.玄米中への移行はわずか(0.5ppm相当)であった.イネにおける代謝は比較的速く, 9日目以降の葉身中放射能は大半が抽出性あるいは結合性の代謝物に帰属できた.イネからは, 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (2), 3′-(hydroxymethyl) ethoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide(3), 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide(4), 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide(6), 3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide (7)および2, 3, 4, 6の抱合体が得られた.キュウリの葉面に塗布した^<14>C-flutolanilは13日後でも70%以上が表面から回収された.しかし, わずかながらイネと同じ代謝物が検出できた.
著者
山本 出 藪田 五郎 冨澤 元博 斉藤 隆行 宮本 徹 利部 伸三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.33-40, 1995-02-20
被引用文献数
14

[^3H]α-ブンガロトキシン, [^3H]ニコチンをプローブとしニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の認識部位へのニコチノイド, ネオニコチノイド, 関連化合物の結合性をみた結果, 昆虫nAChRでは3-ピリジルメチルアミノ部分をもつこと, 脊椎動物nAChRではイオン化度の高いことが必要であった.[^3H]フェンサイクリジンを用いTorpedoのnAChRのイオンチャンネル開口への効果をみた結果, アゴニスト作用を呈するのに3-ピリジルメチルアミノ部分があるほうがよいが, イオン化度の高いことが必要であった.ニコチノイドのアミノ窒素原子とネオニコチノイドの構造上対応する窒素原子の^<15>N NMRを測定したところ, 後者は前者に比べはるかに低磁場にあり, 窒素原子上の非共有電子対が電子吸引性基により非局在化, すなわち部分正荷電を帯びていることを示し, これが昆虫のnAChRとの相互作用には十分だが, 脊椎動物のそれとは不十分であるといえる.これによってニコチンは温血動物への毒性が高く, 殺虫活性が限られているのに対し, イミダクロプリドはその反対の特性を示すことが説明できる.
著者
天野 昭子 矢野 秀治
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.249-253, 2005-08-20
参考文献数
8
被引用文献数
5

農産物の残留農薬調査における, 市販のイミダクロプリド測定キットの実用性について検討した.6名の作業者による, 同一農産物試料としてトマトを用いたイミダクロプリド添加回収実験では, いずれの作業者においても回収率および繰り返し再現精度は良好であった.また, 数種農産物(トマト, イチゴ, ナス, ピーマン, キュウリ, キャベツ, ダイコン, ニンジン, リンゴ, ナシおよびダイズ)を用いた添加回収試験では, いずれも回収率は良好であった(94.2〜132.0%).以上より, イミダクロプリド測定用キットは農産物の残留農薬のスクリーニングに有効な手段であると言える.
著者
宮門 正和
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.483-492, 1986-08-20
被引用文献数
3

For several years, our research group at Sumitomo has been conducting an extensive search for new biologically active natural products. Some of the isolated natural products could be looked upon as prototype models for synthetic research to develop new agrochemicals. In this paper, the followings are described as examples of our research : (i) The extract of black pepper fruits (Piper nigrum L.) exhibited strong insecticidal activity against several pests. A new amide, N-isobutyl-11-(3, 4-methylenedioxyphenyl)-2E, 4E, 10E-2, 4, 10-undeca-trienamide (pipercide), as well as two structurally related amides, were isolated as insecticidal principles. From the results of synthetic studies, N-isobutyl-12-(3-trifluoromethylphenoxy)-2E, 4E-2, 4-dodecadienamide was found to have especially potent activity. This amide, as well as the amides from pepper plants, exhibited notable paralyzing effects and lethal activity against pyrethroid-resistant houseflies. Electro-physiological studies using the central nerve cord of the American cockroach demonstrated that these amides are neurotoxic compounds. (ii) The chloroform extract of the stems and leaves of May apple (Podophyllum peltatum L.) showed fungicidal activity against rice blast. Three new 2-pyrones (podoblastin A, B and C) were isolated as fungicidal components and their structures were determined by synthesis. Fungicidal activities against rice blast were greatly improved by structural modifications, and 3-(2-oxodecanyl)-4-hydroxy-6-n-propyl-5, 6-dihydropyran-2-one was selected as the most potent compound. The preventive effect of this compound against rice blast was most successful, however the curative and systemic effects require further improvement. (iii) A biphenyl(3, 5-dimethoxy-4-hydroxybiphenyl, aucuparin), as well as a new dibenzofuran (2, 4-dimethoxy-3-hydroxydibenzofuran, eriobofuran), were isolated as phytoalexins from fungi-infected loquat trees (Eriobotrya japonica L.). The structure of eriobofuran was determined by synthesis. Eriobofuran exhibited fungicidal activity against Pestalotia funerea (phytopathogenic fungi to loquat), however it did not show any activity against several fungi which are non-pathogenic to loquat. The biological significance of the self-induction of the phytoalexins in the loquat tree was considered in relation to plant resistance against fungal attack.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
参考文献数
14
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.
著者
小林 裕子 俣野 修身 後藤 真康
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.81-84, 1986-02-20
被引用文献数
4

Ethylenebisdithiocarbamates (EBDCs)を施用後の農作物中に残留するethylenethiourea (ETU)の分析法を確立する目的で, たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUの残留分析法について検討した.たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUを含水メタノールで抽出し, 溶媒を留去する.濃縮液を水酸化アンモニウム溶液あるいは水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整し, Extrelut^[○!R]カラムで精製したのち, 紫外部吸収検出器付高速液体クロマトグラフィーで定量した.検出限界は, 0.01ppmであり, 回収率は, 76&acd;90%であった.この方法はExtrelut^[○!R]カラムに供する試料をフッ化カリウム等で前処理するNitzの方法より簡潔性, 迅速性等の点で優れている.