著者
森 智昭 MOHAMED Ahmed S. A. 佐藤 正資 山崎 徹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.405-409, 2000-11-20
被引用文献数
4

ミズキ科サンシュユの新鮮葉から精製エラジタンニン標品を得た.線虫Caenorhabditis elegansを同調培養した.未成熟成虫と抱卵成虫をこのタンニン(10 ppm濃度)に5日間暴露しても運動能に若干の低下が認められたものの, 未成熟成虫は死亡せず, 抱卵成虫の死亡率も7%に過ぎなかった.しかし, 未成熟成虫の性的成熟および抱卵成虫の繁殖能は阻害された.L1幼虫の運動能も低下しなかったが, その成長は阻害された.同濃度下でさらに暴露試験を続けると, 抱卵成虫と未成熟成虫の死亡率は急激に高まり, 10日目で未成熟成虫の死亡率は56%, 抱卵成虫で78%に達した.しかし, L1幼虫は死亡しなかった.1 ppm濃度下でL1幼虫の成長が若干阻害された.1000 ppm濃度下でなお生存していた抱卵成虫の内臓は溶解・消失していた.しかし, 体内での卵割は認められた.
著者
東亞合成化学工業株式会社ポリマー事業部
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.271-272, 1989-05-20 (Released:2010-08-05)

各種毒性試験を実施し, ポリアクリル酸ナトリウムの安全性評価を行なった.ポリアクリル酸ナトリウムのマウスに対する急性経口LD50値は10,000mg/kg以上であり, きわめて低毒性の化合物と判断された. ラットの亜急性および慢性毒性試験においては, 高用量群で若干の体重増加抑制の結果も得られたが, 蓄積的毒性ならびに癌化, 前癌的変化などの特異的影響は見られなかった.以上から, ポリアクリル酸ナトリウムは, 食品添加物にも指定されているように, 非常に安全性の高い化合物といえる. また, 魚貝類に対しても通常の使用では問題もなく, 魚毒性はA類に該当している.なお, ポリアクリル酸ナトリウムを含有するアロンAは安全性の高い薬剤である上, 空中液剤散布における補助剤として噴霧粒子中の主剤のドリフト防止効果およびそれにより主剤の病害虫防除効果を向上させうることから, 農業資材としてきわめて有用であると考えられる.
著者
重川 弘宜 竹内 正明 近内 誠登
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.85-90, 1993-02-20

Effects of surfactants, polyoxyethylene nonylphenyl ether and the Silwet L-77, on penetration of propanil through Commelina adaxial epidermis were investigated in terms of concentration and EO molarity of the surfactants and stomatal condition of the epidermis. The initial penetration rates of propanil varied widely. In 70% of the epidermis they were below 70pmol/mm^2/hr. On microscopical observation, most stomata on the surface remained closed throughout the penetration experiment. There was no significant correlation between the initial penetration rates and the number of stomata. The promotive effect of surfactants was high when the initial penetration rate was low, approaching 1 as the rate increased. There was an exponential relationship between the initial penetration rate (X) and the penetration rate (Y) after surfactant addition. The relationship is expressed as, Y=e^a・X^b. Surfactant efficiency to promote penetration was evaluated by two approaches : (i) by substitution and (ii) by plotting coefficients a and b. There was a parabolic relationship between the EO molarity of surfactant and the promotive effect, and surfactant NP(8) was the most effective in enhancing. There was a linear relationship when coefficient b was plotted against coefficient a, and that showed a difference in effectiveness in enhancing penetration among the surfactants. The Silwet L-77 significantly promoted non-pore penetration.
著者
西沢 秀男 元場 一彦 鈴木 孝 大島 哲治 浜口 洋 内田 又左衞門
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.p59-66, 1993
被引用文献数
1

フェンピロキシメートのラットにおける代謝を3種の^<13>C-標識体を用いて検討した.[pyrazole-3-^<14>C], [phenyl-^<14>C(U)]あるいは[benzene ring-^<14>C(U)]-標識体を経口投与したとき, 血液中放射能はそれぞれ投与後12, 12および9時間にピークとなり, その後半減期11.3, 10.6および9時間で減少した.放射能の主排泄経路は糞で, 投与後72時間までに糞には投与量の63.9&acd;65.5%が, 尿中に26%が排泄された.[benzene ring-^<14>C(U)]-標識体を経口投与したときの放射能の主排泄経路も糞で投与量の86.9%であった.3種^<14>C-標識体の代謝物を分析した結果, フェンピロキシメートはラット体内でt-ブチル基およびピラゾール環3位のメチル基の酸化, フェノキシ基p-位の水酸化, N-脱メチル化, t-ブチルエステルの加水分解, オキシムエーテル結合の解裂およびE/Z異性化を受けることが明らかとなった.
著者
斎藤 茂 諌山 真二 坂本 典保 梅田 公利
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.372-375, 2004-11-20
被引用文献数
1

新規殺虫剤ピリダリルのハスモンヨトウ幼虫に対する殺虫作用について局所施用法により調査した.処理3日後の死虫率に基づくピリダリルのLD_<50>値は24.4ngであった.400〜100ng/個体処理においては処理後6時間以内に死虫率100%に達したが,痙攣,苦悶などの症状は示さず,弛緩,麻痺するように死亡した.一方,25ng/個体以下の処理では処理2日後以降生き延びた個体において処理部が暗色に変化する症状が見られ,25ng/個体処理では処理5日後に全身が黒色になって死亡する個体が見られた.また,12.5,6.25ng/個体処理においては脱皮後,処理部に火傷状の変性が見られた.これらの幼虫の多くは以降正常な変態ができずに死亡した.このように,ピリダリルは即効的致死量未満においてもハスモンヨトウ幼虫の正常な発育を阻害し,密度抑制に貢献することが期待された.ピリダリルの生化学的作用機構の詳細は未だ不明であるがその特徴的症状から新規のものと予想された.
著者
三原 一優 磯部 直彦 大川 秀郎 宮本 純之
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.307-316, 1981-08-20

フェニトロチオン, ダイアジノンおよびメチルパラチオンの中毒量を雌雄ラットに1回もしくはフェニトロチオンの中毒量を連続経口投与したのち, 肝ミトコンドリアの呼吸機能および肝ミクロゾームの薬物代謝酵素活性に及ぼす影響をしらべた.250mg/kgのフェニトロチオン投与によりミトコンドリアの呼吸調節率が投与24時間後にわずかに低下したが, ADP/O比およびATPase活性に対する影響はみられなかった.ミクロゾームのチトクロームP-450含量およびアニリン水酸化, アミノピリンN-脱メチル化両活性は, いずれの有機リン化合物によっても投与1時間から72時間にかけて著しく低下した.しかしながら, このようなミトコンドリアとミクロゾームへの影響はいずれも投与72時間から1週間後には元のレベルにまで回復し, 可逆的であることが判明した.また, フェニトロチオンの5mg/kg, 25mg/kgを12週間連続投与した場合にはミクロゾームの薬物代謝酵素系に対する影響はみられなかった.
著者
天野 昭子 矢野 秀治
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.425-430, 2006-11-20
被引用文献数
4 3

市販のフェニトロチオン測定キット(高感度タイプ)およびイミダクロプリド測定キットを用い,キュウリ測定時のマトリクス効果について調査した.キュウリの実試料では,薬剤の低濃度添加の場合に回収率が150%を超え,実用的でほない結果となった.キュウリ果実を,外果皮を含む果托,中果皮および種子を含む胎座に分け,各抽出物が測定値に与える影響を見たところ,果托の抽出物が吸光度値を大きく抑制していた.これはフェニトロチオンの測定で特に顕著であった.試料の希釈調製液を限外濾過膜で処理したところ,回収率は大きく改善された.
著者
Mafi Shaban Ali VANG Le Van 中田 恵久 大林 延夫 山本 雅信 安藤 哲
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.361-367, 2005-11-20
被引用文献数
2

ミカンハモグリガの処女雌抽出物をGC-EADおよびGC-MSにて分析し, ランダムスクリーニングですでに雄の誘引物質として見出されている(7Z,11Z)-7, 11-hexadecadienal (Z7,Z11-16:Ald)が真の性フェロモン成分であることを確認した.第2成分の探索を目的にZ7,Z11-16:Aldに関連化合物を混合しカンキツ園で誘引試験を行ったところ, 共力効果は認められず, いくつかのモノエン化合物はZ7,Z11-16:Aldの誘引活性を強く阻害することが明らかになった.さらに, 合成フェロモンを用いた交信撹乱技術を確立するため, 以下の2つの実験でZ7, キャップを配置した.誘引される雄蛾の数はコントロールに比べ低下せず, 明瞭な定位阻害効果は認められなかった.一方, Z7,Z11-16:Aldを1本当たり60mg封入したポリエチレンチューブを圃場に配置した実験では, 本種の卵や幼虫の新葉における密度低下を認めるに至らなかったが, モニタリングトラップへの雄の定位が強く阻害される結果を得た.すなわち, 無処理区では7月から9月の間に一晩当たり27〜127頭の雄蛾が誘引されたのに対し, 1ha当たり500本あるいは1300本のチューブを処理した圃場では, 雄蛾はほとんど誘引されなくなった.
著者
斯波 久二雄 角田 紀子 金子 秀雄 中塚 巌 吉武 彬 山田 宏彦 宮本 純之
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.557-569, 1988-11-20
被引用文献数
2

新規ピレスロイド系殺虫剤S-4068SF [Etoc^[○!R], (S)-2-methyl-4-oxo-3-(2-propynyl)cyclopent-2-enyl (1R)-trans/cis-chrysanthemate, (trans/cis=8/2)]の代謝運命を明らかとするため, (4S, 1R)-trans-または(4S, 1R)-cis-S-4068のアルコール側^<14>C標識体を2 mg/kgの割合で, 雌雄ラットに1回経口または皮下投与した.放射能は, 投与後7日間で完全に糞尿中に排泄された.血液および組織中^<14>C濃度は, 経口投与後3時間以内に最大値を示したのち, 生物学的半減期は, 投与後3時間から12時間まで3時間ないし5時間, 12時間から48時間まで7時間ないし35時間で減少した.投与7日後の組織残留量は, 全般的に低値を示した.排泄物中, 20種類の代謝物を同定し, 代謝経路を以下のように推定した.1) 酸側イソブテニルのメチル基およびアルコール側プロピニル基の1位および2位の酸化, 2) エステル結合の開裂, 3) 以上の結果生成した化合物のグルクロン酸または硫酸による抱合.両異性体の代謝運命に, 雌雄および投与経路によらず顕著な差異を認めなかった.
著者
小高 理香 菅野 輝美 片木 敏行 瀧本 善之
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.235-241, 2002-08-20
参考文献数
28
被引用文献数
2

フェニトロチオン及びそのオキソン体のフランスの湖水及び日本の池水-底質系での好気的な代謝試験を行った.系への通気方法がフェニトロチオンの代謝経路に与える影響を見るために, 水層中に穏やかに通気するかまたは水表面上に空気を流す方法で実験を行った.いずれの方法においても代謝経路はほぼ同じであったが水-底質間の放射能分布に若干の違いが認められた.水中通気による嫌気雰囲気の減少から, フェノール体と二酸化炭素の生成量が増加し還元的代謝が減少した.フランスと日本の水-底質系でのフェニトロチオンの代謝に顕著な差異は認められず主にP-O-アリール結合の開裂によるフェノール生成, ニトロ基のアミノ基への還元とそれに続く.アセチル化により分解された.オキソン体の生成(<1%)は主要な分解経路ではなく, 速やかにP-O-アリール結合が開裂しフェノール体に分解された.
著者
日本農薬株式会社開発部登録センター
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.655-657, 1986-11-20

各種毒性試験を実施し, ブプロフェジンの安全性評価を行なった.本剤のラット, マウスにおける急性毒性は弱く, 普通物に相当した.眼および皮膚に対する一次刺激性もきわめて軽度であった.亜急性および慢性毒性試験においては, 高薬量群で体重増加抑制, 中・高薬量群で肝の重量あるいは体重比の増加, 肝細胞肥大が認められた.これらの変化は化合物を代謝分解するための肝機能亢進像と解釈される.また本剤は変異原性を有さず, ラット慢性毒性試験においても本剤によると思われる腫瘍発生は認められなかった.さらに, 催奇形性も認められず, 胎仔や次世代にも悪影響を及ぼすことはないと考えられる.本剤は, 昭和58年12月に, イネ, ムギ類, キュウリ, ナス, トマト, カンキツ, チャの対象害虫に対して登録を取得し, 登録保留基準値は, コメ; 0.3 ppm, ムギ・雑穀; 0.3 ppm, 果実(ナツミカンの外果皮を除く); 0.3 ppm, ナツミカンの外果皮; 2 ppm, ヤサイ; 1 ppm, チャ; 5 ppmと設定された.ブプロフェジンは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が高い薬剤であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.
著者
高橋 義行 高田 正司 小田中 芳次 井園 佳文 長岡 広行 沼田 京太 藤田 俊一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.378-382, 2002-11-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

宮崎県佐土原町の圃場において, キャベツを定植した灰色低地土の緩斜面圃場(A1 : 1.7°, 5a)で1997年5&acd;7月の梅雨期に地表水の流出が計13回観察された.この圃場にダイアジノン粒剤の定植時処理(a.i. 300 g/10 a), その55日後にTPN (400 mg/l)とジメトエート(430 mg/l)の混用液(239 l/10 a), その8日後にTPN, ダイアジノン(400 mg/l)とジメトエートの混用液(224 l/10 a)を散布した.表流水によって流出したTPNの96%(流出直後)から47%(終了直前)は, 浮遊物質(SS)とともに流出した.一方, ダイアジノンとジメトエートはそれぞれ33&acd;44%および1%とほぼ一定の割合でSSとともに流出した.また, 同年9&acd;10月の台風時期にはA1圃場の傾斜を1.15°に調整した圃場(A2)と黒ボク土の圃場(B, 5 a, 傾斜1.15°)にダイコンを播種して地表水の流出頻度を比較した.その結果, 灰色低地土では4回, 黒ボク土では台風時の降雨によって2回の地表流出が認められた.灰色低地土のA1圃場では平均降雨強度5 mm/hr前後以上で, A2圃場では10 mm/hr以上の降雨によって, また黒ボク土のB圃場では20 mm/hr以上の降雨によって地表水の流出が生じた.さらに, 人工降雨装置を用いた屋内小規模地表流出試験系でも灰色低地土からは黒ボク土よりも容易に表流水が発生した.
著者
片山 正人 加藤 康仁 秦野 利基 羽鳥 真 丸茂 晋吾
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.289-295, 1998-08-20
参考文献数
14
被引用文献数
4

新フルオロインドールオーキシン, 5, 6-ジフルオロインドール-3-酢酸(5, 6-F_2-IAA, 1)をFischerのインドール化法によって合成した.本化合物はアベナ子葉鞘切片に対してインドール-3-酢酸(IAA)より, より強い伸長活性を示した.アベナ子葉鞘切片に対する5, 6-F_2-IAAの至適濃度は5, 6-Cl_2-IAAのそれより, より高かったが, 5, 6-F_2-IAAの伸長の度合いは5, 6-Cl_2-IAAより, より大きかった.また, 5, 6-F_2-IAAはマング・ビーン幼植物に側根形成を誘導し, さらにその側根の成長をも促進した.白菜の下胚軸の成長に対しても合成したモノおよびジフルオロ-IAA類のうち5, 6-F_2-IAAが最も強い阻害活性を示した.5, 6-F_2-IAAのペルオキシダーゼ酸化に対する抵抗性は中程度であった.
著者
石川 莞爾 中村 安夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.127-134, 1977-05-20
被引用文献数
1

室内試験により, 除草剤ベンチオカーブの水溶液および土壌からの揮散について研究した.^<14>C-ベンチオカーブ水溶液に太陽光を照射すると, 水溶液中の放射能は水分の蒸発量に比例して減少した.水溶液中に土壌を添加すると, ベンチオカーブは速やかに土壌層へ吸着移行し, 放射能の揮散は顕著に抑えられた.非湛水土壌の表面に散布したベンチオカーブの揮散は湛水土壌からの消失に比べると, はるかに少なかった.太陽光照射時に水溶液から揮散する放射性物質の半分以上はベンチオカーブ自身であり, 残りは, 生成したP-クロルベンズアルデヒドなどの揮発性の光分解生成物として揮散した.
著者
中神 和人 田中 治一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.243-247, 1980-05-20

テクロフサラム[N-(2, 3-dichlorophenyl)-3, 4, 5, 6-tetrachlorophthalamic acid]を水田に施用して, イネ白葉枯病に対する防除効果を検討した.テクロフサラムは10アール当たり有効成分400gの土壌処理で, 相当遅効的ではあったが, 高い効果を示した.茎葉散布処理では, 100, あるいは50ppmの濃度で顕著な効果を示した.ことに, 病斑の拡大を長期間抑制した.人工暴風雨処理によって付傷感染をおこしたイネにおいても, テクロフサラムの茎葉散布は高い効果を現わした.
著者
日本サイアナミッド株式会社技術開発部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.360-364, 1997-11-20
被引用文献数
1

イマザピルはアメリンカン・サイアナミッド社が開発した多年生及び一年生雑草を対象とする非農耕地用の非選択性除草剤である.またそのユニークな作用特性により1%液剤は多年生雑草を対象とした抑草剤として開発に成功した.イマザピルは各種毒性試験の結果, きわめて安全性の高い薬剤であることが示された.急性毒性は非常に弱く普通物に相当した.変異原性, 催奇形性は認められず, 顕著な薬理作用も認められなかった.眼に対する刺激性, 皮膚に対する弱い刺激性はみられたが, 皮膚感作性は陰性であった.ラットを用いた亜急性毒性試験では, 高用量群(10, 000 ppm)の雄ラットで一時的に体重増加抑制, 食餌効率の低下がみられたのみで非常に毒性が低かった.以上より, イマザピルは, その使用方法, 使用上の注意事項を厳守すればきわめて安全性の高い薬剤であると考えられる.